比較レビュー:【入門者向け】登山用バックパック(リュック)を比べてみた

初心者にもやさしい定番バックパックのおすすめが知りたい

アウトドア・ギアの中でも特にこだわりたいアイテムのひとつである登山用バックパック(登山用リュック)。最近では本当にさまざまなタイプのバックパックが手に入るようになりましたが、これからハイキング・トレッキングをはじめてみようという人の1個目のパックとして最適なのは、クセがなくて汎用性が高く、なおかつ多くのメーカーで出していて選択肢も多い、30~40リットルの縦走(トレッキング)向けタイプです(バックパックの選び方についてはこちらに詳しく書きました)。そこで今回は主要パックメーカーから先述したタイプの人気バックパック8つを厳選し、それらを同じ条件で背負い比べてみて、さまざまな視点から比較しました。その結果明らかになった、初心者におすすめ定番バックパックと、こだわりポイント別のおすすめバックパックをご紹介します!

今回比較したバックパックについて

  • 容量は30~40L
  • カテゴリは縦走(トレッキング)向けモデル
  • 縦走用でもウルトラライト・モデルは除く
  • バックカントリーにも対応できるオールシーズンモデルも除く
  • なるべく多くのメーカーを取り上げたいので、各メーカー1モデルずつ

比較テストアイテム

今回テストで取り上げたバックパックは以下の8つ。ベーシックなモデル・サイズとあって各メーカーから複数のアイテムが用意されていたりするので、やむを得ず見送ったものもいくつかあります。例えば karrimor では本来であればド定番の ridge シリーズがよいかとも思ったのですが、今回は intrepid という新モデルが登場し、その実力が知りたい!ということであえてこちらを選んでみたり。そんなわけで今回漏れた他のメーカー、モデルについては今後も随時追加していきたいと思います。

なお、価格は2015年5月時点での公式オンラインストア価格等から、また各バックパックの特徴についてはこちらのページでも紹介しています。

Osprey ストラトス36

MILLET SAAS FEE 40+5

テストは2014年モデルで行いました。 ※画像・リンクは2015年モデル

karrimor intrepid 40

deuter フューチュラプロ36

Berghaus エクスプローラー 40

MAMMUT Heron Crest 30+10

mont-bell チャチャパック35

Gregory スタウト 35

テスト環境

3月~4月の関東周辺の山行で試着。複数人で同じルートにパックを2つ以上もっていき、同じ量の装備を同じ場所で背負ってみての比較を数回繰り返しテストしました。

backpacks_

同じ山に同じ量の荷物をもって別のパックで登ってみるテストを繰り返す。

実地テストによる詳細評価

総合順位 1位 1位 3位 4位 5位 6位 6位 8位
アイテム カリマー カリマー karrimor イントレピッド40 タイプ3 intrepid 40 type3 ネイビー【Mens】【Ladies】karrimor intrepid40 typeⅢ グレゴリー(GREGORY) スタウト35 シャドーブラック 05J*090 シャドーブラック MGregory スタウト35 OSPREY(オスプレー) ストラトス36 OS50319 アンスラサイトブラック M/LOsprey ストラトス36 [ドイター] deuter フューチュラプロ 36 D34274 3303 (ミッドナイト×クールブルー)deuter フューチュラプロ36 [バーグハウス] Berghaus EXPLORER 40 RUCSAC AM 21495 C33 (BLK/DKGRY)Berghaus エクスプローラー40 [ミレー] MILLET SAAS FEE 40+5 M MIS0509 6744 (DEEP HORIZON)MILLET SAAS FEE 40+5 [モンベル] mont-bell チャチャパック 35 1223361 ORBL (ORBL)mont-bell チャチャパック35 マムート(MAMMUT) Heron Crest 30L 0601 2510-02910MAMMUT Heron Crest30+10
ここが◎

収納性、使い易さ、重荷での安定感

背負い心地のよさ、重荷での安定感、デザイン

背負い心地のよさ、収納性、重量、価格

背負い心地のよさ、耐久性、シンプルさ、価格

重量、背面調整

スリムな形状

価格、汎用性

重量、背面調整、取り外し可能な天蓋

ここが△

価格、重量、ベルトの堅さ

価格

デザイン、汎用性のなさ

重量、収納力

ポケット類の少なさ

背負い心地、収納力

背負い心地、デザイン

背負い心地、貧弱なベルト

快適性
(20点)
17 18 19 19 16 13 13 12
安定性
(15点)
14 14 12 12 11 10 9 10
収納性
(20点)
19 17 18 16 18 13 17 16
使い易さ
(20点)
18 17 17 16 16 17 14 16
汎用性
(15点)
12 12 11 12 12 12 13 12
デザイン
(5点)
4 5 2 3 4 4 2 3
価格
(5点)
1 2 4 4 3 3 5 2
総合点(100点満点) 85 85 83 82 80 72 72 71
スペック
重量 1700g 1410g 1360g 1700g 1340g 1500g 1500g 1450g
生地 KS-N210RS silvagaurd/KS-N420 420 高密度ポリエステル・リップストップ/600デニール・ポリエステル/ポリエステル 210Dハイテナシティーツイルナイロン/420HDナイロンリップストップ Deuterマクロライト210D/スーパーポリテックス600D 210Dリップストップナイロン コーデュラ ナイロン500D/ベロシティーナイロン420D/オックスフォードナイロン420HD 330D・ナイロン・リップストップ[ウレタン・コーディング] 210Dナイロン・リップストップ/100Dナイロン・コーデュラ/420Dナイロン
背面調整 × × × × × ×
レインカバー ×

快適性(調整力)・・・Osprey ストラトス・deuter フューチュラプロ・Gregory スタウト

最適なバックパックを選ぶにあたって最も重視するポイントのひとつは背負ったときの快適さ(フィット感・着心地)です。この項目は背中・肩・腰といったザックにあたる部分のクッションや背面フレームの構造・材質などによって大きく左右されてきます。今回、総じて背面メッシュ(エアフロー)構造をもつ Osprey ストラトス36 と deuter フューチュラプロ36 が頭ひとつ抜け出ていました(カリマーはクッションの一部がメッシュ構造なので除く)。ウワサではずっと聞いていましたが、実際に使用してみると、なるほど背中に吸いつくようなフィット感と、歩いている最中の背中の発汗を逃がすエアフローがこれまで味わったことのない心地よさを感じさせてくれました。

一方、背面メッシュではないモデルにもかかわらず引けをとらない快適な背負い心地をみせていたのが Gregory スタウト35 。背面フレームだけでなく、特にショルダーベルトとヒップベルトのフィット感が秀逸。このパーツ、ただ当たりがソフトであれば良いというものではないのをよく分かっている。Gregory のそれは身体のラインに自然にフィットし、その上重荷を背負った状態でも柔らかすぎず堅すぎないショルダーのクッション性、しっかりと腰で背負える安定したパッドの形状、適度な通気性など、小さいサイズのパックではややもすると軽視されがちな細部にまで工夫の行き届いた完成度の高さが眼を引きます。そのクオリティに近いのが karrimor で、逆に MAMMUT は簡易なアタックザック(ベースキャンプから短時間で山頂を狙う時に使うシンプルさを重視したパック)の域を出ず残念。

安定性・・・karrimor intrepid・Gregory スタウト

30L程度のバックパックとはいえ、容量一杯まで詰め込めば総重量は10kgを超えることもしばしば。その際に重要になってくるのが、きちんと重心に加重がかかるように背負えるか、重荷を背負った状態で身体を大きく動かしたり、下りでの強い衝撃でも身体が振られず安定した歩行ができるかどうかです(もちろんパッキングの上手下手によっても安定性は変わってくるのですが)。ここでは karrimor intrepid40 と Gregory スタウト35 が最も実力を発揮。いずれもパックの外周を金属のチューブで囲むように配置された背面フレームが安定して背中にピッタリとフィットし、厚めのヒップベルトが加重をしっかりと受け止めてくれるので、ショルダーに負担がかからず、多少の動きでも身体が振られることがありません。快適性では群を抜いていた背面メッシュ構造のパックですが、背中の空間の分だけ重心が後ろに位置するため、相対的には安定性が劣ります。

収納性・・・karrimor intrepid

今回、単なる数字での容量の大小ではなく、数字上の容量に見合ったボリュームを収納できるか、そしてそれらを隙間なくパッキングできるか、または単純にパッキングがし易いかどうかで収納性をみています。その意味では karrimor intrepid はいろんな意味で本当にパッキングが楽。下部にいくほど余裕があるメイン収納部、大きくて余裕のあるトップ(天蓋)・フロントポケット、前面を大きく開けてアクセスできるジッパーなど至れり尽くせりとはこのこと。

使い易さ・・・karrimor intrepid

パッキングのし易さ以外での総合的な使い易さを検証。アクセスし易くちょうどよい大きさの気の利いたポケットやネットがあるか、外側にギアを取り付けるアタッチメント類は便利か、取り外しは簡単かなどが評価の対象です。ここでも karrimor intrepid のクオリティの高さが印象的でした。実際には数値化しづらい部分ではあるのですが、例えばトップリッド(天蓋)のポケットの大きさ。他と比較してゆったり余裕があります。フロント部分を大きく開けてのアクセスにより、行動中の出し入れも簡単。そしてデザインも印象的なフロント部分の大きなポケットには、地図やボトル、アウターなど何でも入れられてしまいます(このサイズのバックパックでは珍しい)。こうした機能のひとつひとつは他のパックでも見られなくはないのですが、すべてが揃っていたのがカリマーだったということが評価の決め手となりました。他メーカーのモデルでは Osprey ストラトス36のトレッキングポールアタッチメントGregory スタウトのソーラーパネルアタッチメント などの見逃せない便利な機能がいくつかありました。

汎用性・・・mont-bell チャチャパック

今回のテストは最もベーシックなパック、なおかつそれほど容量の大きくないモデルですので、基本的にはどれも素直な作り、実際にはそこまで差は現れなかったものの、細かい機能がきちんと備わっているという意味では mont-bell チャチャパック の細やかさが目立つ結果となりました。フロント・サイド・ヒップベルト各種ポケット類を色々なシーンで使い分けられる便利さはもちろんのこと、天蓋上部にアイゼンなどを取り付けられるループ、取り外してウエストバッグとして単体で使用できる天蓋、2つ取り付け可能なピッケルストラップ、幅広でワカンも取り付け可能なサイドストラップなど、かゆいところに手が届く機能が多いのが特徴。逆に Osprey ストラトスは無雪期トレッキングに特化しているのか外側のアタッチメントも最小限で、汎用性は期待できないようです。

デザイン・・・Gregory スタウト

この部分については異論は大いに認めますが、Gregory の安定したフォルムの美しさといったら!もちろん”使える”ことが大前提なのは承知の上ですが、このスタイリッシュなデザインに機能とかどうでも良くなるくらい所有欲をかき立てられてしまうのはぼくだけでしょうか。ただこの安定したフォルムの美しさは、たとえ荷物の量が少なかったり多かったとしても型崩れしない機能美も兼ね備えているということも、一応触れておきます。

価格・・・mont-bell チャチャパック

モンベルのコストパフォーマンスについてはもはや誰も疑う人はいないでしょう。バックパックにおいてもそれは変わりません。ただ長く使用するものと考えると、果たしてそこまで他のアイテムと比較してお買い得なのかどうか、手放しには判断できないような価格差ではあります。

ベスト・アイテム

総合的な完成度の高さでおすすめ
karrimor intrepid 40・Gregory スタウト 35

この2つはとにかく死角がない。若干価格は高めではあるものの、ラグジュアリーな背負い心地と安定感、クセのない機能とパッキングのし易さ・・・そのどれをとっても上質な仕事ぶりには多くのメーカーとの比較を経た今、あらためて脱帽です。その上であえて違いを示すならば、背負い心地を優先するのであればグレゴリー(カリマーはややクッションが硬め)、収納性を含めた使い勝手を優先するのであればカリマー、といったところでしょうか。とはいえ(もちろん実際に試着してフィットしているとして)すべての人に自信を持っておすすめできるのがこの2つです。

コストパフォーマンスと夏での快適さでおすすめ
Osprey ストラトス36・deuter フューチュラプロ36

一方、価格を含めて最もお買い得なモデルはこちらの2つ。悩ましいことに、他と比べても抜群に快適な背負い心地がことのほか手頃な価格で手に入るという事実。上の2つは総合的には完成度の高いパックであることは間違いないですが、個人的にはこちらが最適な選択になる人も少なからずいるのではないかと思います。特に夏のトレッキングに限っていえば、シンプルで使い易く快適なこれらのパックは他の上位に引けをとらないパフォーマンスを見せてくれるでしょう。

※Osprey ストラトス36はヒップベルトが他のパックに比べて長めにつくられており、ウェストの細い人にとっては最小にしても緩い可能性があります。フィッティングで必ず確かめましょう!

まとめ

今回のテストでも分かるとおり、一見同じようなベーシックな作りの登山用リュック(バックパック)であっても、比較してみるとさまざまな点で良し悪しがあります。購入の際にはこの結果を参考に、そして自分のこだわりも大切に、間違いのないパック選びができるといいなと思います!(失敗しないバックパックの選び方についてはこちらのページも参考にしてくださいね)なお今回のテストはあくまで取り上げた8アイテム間での比較ランキングですので、編集部としては今回取り上げられなかった興味深いバックパックを今後追加していき、精度を高めていきたいと思っています。

山仲間にシェアしよう!

28 Shares

最新ギア情報をゲットしよう!