比較レビュー:登山用ソックスを履き比べてみた【一番快適で疲れにくい登山用靴下は?】

見た目は小さな違いでも、比べて分かる大きな差

ハイキングやトレッキングに履いていくソックスは、厚みから素材の構成、編み方を含めてさまざまなモデルがありますが、実際のところ見ただけでは違いが分からず、試着することもできません。ぼくもこうして比較するまでは見た目6割、手にとった感じやパッケージを読んで4割、といった感覚と類推で選ばざるを得ないというのが現実でして。過去にこのサイトでも登山向けソックスの選び方については説明してきましたが、そこで話したようなソックス選びにとって重要なポイントの違いは、ただ手に取っただけでは見抜けないのが悩ましいところだったかと思います。

そこで特徴的な登山用ソックスを実際に履き比べてみて、見た目だけでは分からなかった各モデルの差異をさまざまな視点から浮き彫りにすることで、目的やこだわりに合わせたソックス選びをできるようにしたいというのが今回の比較の目的です。この結果がみなさんにとって、ベストなモデル選びに役立ってもらえればと。では早速いってみましょう!

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今回比較した登山向けソックスのピックアップ方針

  • クッションのよさや汎用性等を考慮して、厚手のモデルを中心にチョイスしました。
  • 同じシリーズで厚み違いも試していましたが、保温性以外大きな差異が出なかった場合は代表的な1モデルのみのチョイスにしました。
  • ファイントラックについてはソックスのレイヤリングを推奨していることから、個性を出すためあえて2枚履きでのテストとしています。

比較テストアイテム

SmartWool PhDアウトドアヘビークルー

SmartWool PhDアウトドアミディアムクルー

SmartWool マウンテニアリング

DARN TOUGH マイクロクルーエクストラクッション

キャラバン RLメリノ・アルパイン

Point6 ハイキングテックミディアムクルー

ファイントラック メリノスピンソックス アルパインレギュラー(& フラッドラッシュスキン メッシュソックス)

X-SOCKS TREKKING エアーステップ

THE NORTH FACE コンフォート トレッキング 3レイヤー

icebreaker アウトドア ミディアム クルー

テスト環境

基本的には2015年3月~9月に複数回の山行にてテスト。日常生活においても続けて履く→洗濯を繰り返し、左右別々のソックスを履き比べるということを含め複数回繰り返しテストしました。

実地テストによる詳細評価

総合順位 1位 2位 2位 4位 5位 5位 7位 7位 9位 10位
アイテム SmartWool PhDアウトドアヘビークルー Point6 ハイキングテックミディアムクルー キャラバン RLメリノ・アルパイン X-SOCKS TREKKING エアーステップ ファイントラック メリノスピンソックス アルパインレギュラー(※) SmartWool PhDアウトドアミディアムクルー DARN TOUGH マイクロクルーエクストラクッション SmartWool マウンテニアリング THE NORTH FACE コンフォート トレッキング 3レイヤー icebreaker アウトドア ミディアム クルー
ここが◎

フィット感、サポート力、保温性

適度なサポート力とフィット感、デザイン

保温力、クッション性、履き心地

適度なサポート力、透湿性

クッション性、透湿性

フィット感、サポート力

耐久性、履き心地

保温力、クッション性

速乾性、透湿性

保温力

ここが△

速乾性

特に無し

速乾性

保温力、クッション性

履き心地、サポート力

保温力、クッション性

サポート力、速乾性

サポート力、速乾性

保温力、履き心地、サポート力

サポート力、快適性

快適性
(25点)
22 22 23 20 19 21 22 20 18 19
サポート力
(20点)
19 18 16 17 14 19 14 13 14 12
クッション性
(20点)
17 16 18 15 18 14 16 18 15 16
保温性
(15点)
14 12 14 10 11 11 13 15 9 13
透湿性
(10点)
6 7 6 8 9 6 6 6 9 6
速乾性
(10点)
5 6 4 8 6 6 5 4 9 7
総合点(100点満点) 83 81 81 78 77 77 76 76 74 73
スペック
生地 ウール71%
ナイロン27%
ポリウレタン2%
ウール67%
ナイロン30%
スパンデクス3%
メリノウール79%
ポリエステル14%
ナイロン6%
ポリウレタン1%
アクリル 32%
ナイロン 29%
メリノウール 27%
ポリプロピレン 10%
スパンデックス 2%
ウール36%
ナイロン31%
ポリエチレン31%
ポリウレタン2%
ウール67%
ナイロン31%
ポリウレタン2%
メリノウール74%
ナイロン21%
Lycraスパンデックス5%
ウール74%
ナイロン25%
ポリウレタン1%
ポリプロピレン
アクリル
ウール
ナイロン
ウール
ナイロン
ポリエステル
ポリウレタン
抗菌防臭効果
参考価格 2,916円 2,376円 2,592円 3,348円 2,484円 2,700円 3,024円 2,808円 1,944円 2,484円

※実際にはインナーにファイントラック フラッドラッシュスキンメッシュソックスを履いてのテストをしています。

快適性

ソックスにおける総合的な快適さとは、実際には履いてから歩き、脱ぐまでのさまざまな要素が絡み合って決まるものですが、ここでいう快適さとは、履いたときの肌触りやフィット感・擦れにくさなどの狭い意味での”履き心地”といった意味で理解してください。このときポイントとなるのは主に2点で、1つは裏地の肌触り、次に足の各部分への適度なフィット。項目上位のモデルはどれも高いレベルではありましたが、なかでも肌触りとフィット感で最もバランスよく高いレベルの印象だったのはキャラバンのRLソックスです。このソックスの一番の特徴である左右の足型に合わせた非対称の編み方によるフィット感の調整、さらに柔らかなメリノウールにボリューム満点のパイル地クッションとが理想に近いフィット感と履き心地を可能にしています。いずれも僅かな差で次点となったのですが、スマートウールPhDアウトドアヘビークルーとポイント6は肌触りが、ダーンタフはフィット感がそれぞれ微妙に気になったため、この評価にしています。ただ正直なところどれがトップになってもおかしくない程度の差で、どれも履いた瞬間から非常に快適な履き心地を実感できることは間違いありません。

サポート力

登山向けソックスの優れた点として、足首からかかと、土踏まず、つま先など各部分への負担を軽減しつつ、下半身の適切な動きをサポートすることで、長時間歩行におけるパフォーマンスを高めるという機能が挙げられます。サポート機能が優れたソックスは歩いていて足が靴下の中でズレにくく歩きやすいとか、足首の締め付けが適切で疲れにくいとか、一歩一歩では些細な違いでしか感じられませんが、長時間同じ状況で履き比べてみることで、時に大きな違いとなって現れてきます。今回の比較で最もサポート力に優れたモデル、すなわち最も歩きやすく、疲れにくくしてくれたのはスマートウールのPhDアウトドアヘビークルーでした。足の甲をクロスしながらホールドする「4ディグリーエリートフィットシステム」が、フィット感を高めつつ、どんなに複雑な動きでも足が靴の中でズレずに安定してアーチ部分の働きをサポートしてくれます。その他、スマートウールPhDシリーズに勝るとも劣らないサポート感で健闘したのが(意外にも)ポイント6。このブランド、実はスマートウールを立ち上げたメンバーがつくった会社で、なるほど足の甲からアーチ部分のコンプレッションの感覚や、つま先・かかとのクッションなどはPhDのそれに近いものを感じました。

クッション性

ソックスを比較評価する上で「疲れにくさ」は当然最も重要な要素のひとつです。重荷で行動することが当たり前のトレッキングでは、シューズはもちろん、ソックスに対しても、どれだけ衝撃を和らげることができるかということが重要になってきます。常識的にはより厚手のソックスの方がクッション性は高いわけで、今回の比較でも最高のクッション性を発揮したのはキャラバンのRLソックスとスマートウールのマウンテニアリングでした。一方ダーンタフの最厚モデルであるエクストラクッションは、きめ細かいしっかりした織りのせいなのか、相対的にはそこまでクッション性が高いとは思えませんでした。また、今回特別に2枚履きでエントリーしたファイントラックについても前述の厚手ソックスと同程度のクッション性を発揮しており、クッション性を高めるための2枚履きは現在でも効果的であることが分かります。

保温性

アウトドアではたとえ雨に降られなくても、水溜まりや沢の渡渉、そして発汗等により靴下は常に濡れやすいものです。その意味で登山用ソックスの保温性については、乾いているときだけでなく濡れているときについても評価する必要があります。今回の比較では、スマートウールのマウンテニアリングとPhDアウトドアヘビークルー、キャラバンのRLソックスの保温力は頭1つ抜けていました。その理由は生地の厚さということ以外に、素材構成的にウールの割合が高いということが考えられます。これらのモデルは単に寒いところで暖かいだけでなく、天然の調温機能を備えているため暑すぎず寒すぎず、さらに濡れても保温力が衰えないということから、あらゆる状況で快適な温度を保つことができます。

透湿性

人体のなかで最も汗をかきやすい部位である足は、ハイキング中も当然、大量に汗をかいており、その汗を吸収し水蒸気として外に排出・拡散していかなければ、靴下はどんどん濡れていってしまいます。この項目ではそうした汗を排出・拡散し、足を常にドライに(快適に)保つ性能に焦点を当てています。結果ですが、インナーに吸汗性のソックスを履いたファイントラックのメリノスピンソックス、そして内側に疎水性の高いポリプロピレンを配置したノースフェイスのコンフォート トレッキングの汗抜けが特によく、靴下の中をドライに保ちやすいという印象でした。ウールをメインとしたソックスは適度な透湿性はあるものの、汗の排出・拡散力は相対的に弱いため、大量の発汗に対してはどうしても水分をため込んでしまいます。その点、真夏の山歩きや動きの激しいアクティビティには化繊のソックスにの方がより適していると言えなくもないでしょう。

速乾性

アウトドアにおいて靴下は濡れやすく、そして濡れた靴下は擦れや体温低下などのリスクを高めるため、登山用ソックスはできるだけ素早く乾いてくれることが望ましいわけです。この速乾性は透湿性と同様、水分を外に排出・拡散する能力が大きく影響してくるため、化繊で編まれたソックスの方がより高く、今回の比較ではノースフェイスのコンフォート トレッキング、そして X-SOCKS TREKKING エアーステップが最も乾きやすいという結果になりました。逆に分厚くてウールの比率が高い、スマートウール マウンテニアリング・PhDアウトドアヘビークルー・キャラバン RLソックス・ダーンタフ エクストラクッションは、どれも乾くまでにかなりの時間を要することを覚悟しなければなりません。

今回の比較まとめ

すべてのアクティビティでおすすめ:SmartWool PhDアウトドアヘビークルー

このテストを通じて最終的に自分のなかでスタメンが確定したのは次に挙げる3モデルです。まず特にこだわりがなければすべての人におすすめしたいのが SmartWool PhDアウトドアヘビークルー。全体的に欠点が少ないうえに、他のどのモデルよりも足に吸いつくように(決してキツすぎず)ピッタリとフィットし、負荷のかかる動きをしてもズレにくく、結果的に歩きやすく疲れにくいというのが一番の理由です。おまけに耐久性も高く、1年以上使用した今でも多少の毛玉程度で、性能的にはまったくヘタっていません。ちなみに厚みも”ヘビー”となっていますが、高密度に織られているのか分厚いという印象はなく、汎用性という点でも(同シリーズで薄いモデルに比べて)季節を選ばず1年中使えるなと思います。

デザインと品質の高さでおすすめ:Point6 ハイキングテックミディアムクルー

もうひとつ、例えるならば上のPhDをさらにバランスよく仕上げ、より多様なデザインから選べるようにしたのがポイント6。多様なアウトドアアクティビティに対応しつつ、デザイン性の高さと品質のバランスでは今回群を抜いており、個人的には普段の山歩きについつい履いて行きたくなる不思議な魅力があります。

秋~春にかけて特におすすめ:キャラバン RLメリノ・アルパイン

最後におすすめするキャラバン RLメリノ・アルパインは、歩く時のサポート力では上の2つに劣ったものの、何よりも潤沢な裏地パイルのもつ保温力とクッション性が素晴らしく、特に冬には活躍してくれそうです。ただ今回のテストで初試用となったこのRLソックス(左右それぞれの足型に合わせたフィッティング)は、日本人に多いと言われている「親指が最も長い足型」に沿ってつくられており、ぼくの足型と厳密には合っていなかった(自分は若干人さし指が長めの足型)ため、実力を十分に発揮できなかった可能性はあります(実に微妙な差ではありますが)。

以上、誰にもおすすめできる3モデルをご紹介しましたが、より細かいこだわりや用途によっては上のおすすめ以外のモデルの方が適している場合があります。また同じシリーズの厚み違いをチョイスすることでも、よりシーンに最適化させていくことができるので、細かい比較表と合わせて参考にし、自分にぴったりのソックス選びに役立ててみてください!

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