今年こそテント泊にチャレンジしたい人におすすめの登山向け軽量テント7選

山の醍醐味は誰が何といってもテント泊

山を続けていてふと振り返ってみると、テント泊(野営)は登山やアウトドアにおける最大の醍醐味であるといっても過言ではない気がしています。もちろん日帰りや小屋泊まりでも山は楽しいものですが、テント泊は登山の行動範囲をグッと拡げてくれるだけでなく、大自然のなかで何物にも代えがたい特別なひとときを与えてくれます。一方キャンプ場までクルマで乗り付けて大勢でするキャンプもまたもちろんアリですが、奥深い自然に分け入り、苦労してたどり着いた静かなテント場で過ごす一夜はやはり格別です。沢のほとりに張ったテントの横で、作りたての夕飯と酒(とイワナ)を、焚き火を見つめながら味わう夜。雨模様の中やっとこのことでたどり着き、濡れた身体をいち早く滑り込ませて安堵した夜。地獄のような寒さを壁一枚隔てただけのドームの中、シュラフに温々とくるまり、あったかい紅茶をすする夜。どんな場面であってもなぜか豊かな思い出を残してくれるのが山でのテント泊です。

そこで今回は今年こそテント泊をしてみたい!という人のために、オートキャンプ用テントとは異なる、登山向けテントのおすすめをご紹介したいと思います。一口に登山向けテントといっても実際にはスタイルに合わせたさまざまな種類が存在しており、それについては後日、最適なテント選びについて詳しく紹介したいと思いますが、今回は1張目の入門用テントとしてなるべく汎用性の高いモデルを可能な限りバリエーション豊かに選んでみました。

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選定にあたっての基準

自立式テント

登山向けテントには一般的に、ポールを通せばとりあえず立ってくれる「自立式」テントと、四方を張り綱で張らないと立ってくれない「非自立式」テントに分けられます(詳細は後日「選び方」にて説明します)が、経験上最初の1張りは自立式テントがいいです。理由はひとえに、非自立式テントはペグ(張り綱を張るための杙)を打てる場所での使用が前提であり、さまざまなシチュエーションで張り綱を上手く張れる技術が必要だからです。テントは毎回利用する前に試し張りして不具合がないかチェックすることは登山技術の基本ですが、非自立式の場合前もって練習できる広い公園があればまだしも家の中で試すわけにもいかないので、あまり初心者にはおすすめできません。

ダブルウォールテント

登山向けテントのもうひとつの分類として、本体(インナーテント)と防風・防水目的のフライシートが二重構造になっている「ダブルウォール」テントと、防水透湿素材の1枚生地構造になっている「シングルウォール」テントがあります(詳細は後日「選び方」にて説明します)。厳密には個体差があるものの、編集部として初めての1張目にはダブルウォールテントを基本的におすすめします。一見するとシングルウォールテントはシンプルで設営が簡単なため初心者向けのような気もしますが、逆に言うと初心者に優しいのはそこだけです。特に必ずしも軽いわけでもなく、通気性が良いわけでもなく(インナーテントの方が通気性は高い)、防水性が高いというわけでもありません(逆に結露しやすかったりします)。入口は雨晒しなので、開けると雨が簡単に入ってきちゃいます。各メーカーの選択肢も少ないです。シングルウォールが本当に威力を発揮するのは設営スピードと耐風力が求められる冬の積雪期です。そんな訳で、今回はダブルウォールテント中心に選んでみました。

3シーズン以上、メッシュはなるべくなら避けたい

初めの1張としては、汎用性を考えると最低限3シーズン(無雪期)で使えるモデルが大前提。ただしアメリカ製のテントによく見られるようなほぼ全面がメッシュのテントは、逆に通気性が良すぎて寒さに耐えられないので要注意です。真夏でも10℃を下回るような高所の夜はおそらく凍えて大変なことになるでしょう。このため「3シーズン」と銘打っていたとしても日本の登山では穏やかな寒暖差の地域や低山以外では避けた方がいいです。ただ、もちろん超軽量で通気性も抜群、おまけに晴れた夜なら星空を見上げながら寝るなんてシャレオツなこともできるメッシュ・テントはシチュエーションさえハマれば非常に魅力的なことは確かなので、メッシュ範囲が50%程のハーフメッシュ(100%メッシュは流石に厳しい)テントをチョイスする場合には比較的穏やかな季節と場所に利用シーンを絞って使うということを念頭に置きましょう。そしてその分、防寒具を厚めに用意するなど備えは万全に。ぶっちゃけメッシュテントの理想的な位置付けは、オールマイティなテントを1張目に、そして真夏のピンポイントでここぞと言うときにもっていく2張目としてのチョイスが一番なのかもしれません。

重量は最低でも2,000g以下

テント泊になると持ち物が格段に増えますので、重量はテントにおいて最も重要な要素のひとつです。ただ、軽いということはそれだけ「居住スペースを犠牲にしている」か「素材の耐久性を犠牲にしている」あるいは「トリッキーな構造」であることが大いに考えられますので、初めての1張にあまり軽さばかりを求めすぎるのはやめた方がいいというのが実感です。そんな訳で今回の目安としては1人用のテントで(ペグなど含めた総重量が)重さ2,000gを切るくらいを最低ラインに考えています。これでも一昔前を考えれば十分軽いですけどね。

ちなみにテントのサイズについて。今回は1人用を基準にレポートしていますが、多くのテントは収容人数のバリエーションをもったサイズ展開をしており、製品名に付いている数字が想定される基本的な利用可能人数を示していることが多いです。実際の購入に際しては自分が使用する一番メインの利用人数に合わせて大きさを選びましょう。もちろん、荷物が多かったり快適に過ごしたいので広大な居住スペースが欲しいということであれば、2人用のテント1人で使用しても問題ないですが、それなりの重量は覚悟しないといけません。

以上のようなことを前提に、居住性・設営し易さ・耐久性・重量・デザイン・細かい機能などを総合的に判断し、ピックアップしたのが以下の7アイテム。あくまで現時点での編集部独自推しですので、多少の偏りは考慮の上やんわりとお読みください。

軽さ・居住性・使い易さと完成度の高い無雪期向けテントの大定番
アライテント トレックライズ0  41,580円 1,250g

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日本で山岳用テントといえば知らない人はいないであろう大定番、アライテント。

積雪期も含めたスタンダードモデルとして知られるエアライズを差し置いて今回挙げてみたのは、無雪期での利用をターゲットにした超軽量テント「トレックライズシリーズ」です。エアライズ・トレックライズに共通した特徴である軽さと設営の簡単さは今でこそ多くのテントで見られますが、エアライズはその点、年季が違います。数十年前の初代リリース以来多くのユーザーに愛され、かくいうぼくも90年代からの生粋のエアライズユーザー。その間ほとんど基本構造の変更をすることなく地道に軽量化や細かい改善が続けられていったということが、何よりこのテントの信頼性の証でしょう。その信頼性がベースにありつつ、トレックライズはより軽量で、より快適な居住性を重視している点が初心者におすすめしたいポイントです。何といっても入口が長辺側にあって大きく開く構造は出入りや換気のし易さで間違いなく快適だし、前室(テントとフライの間にできる空間)も広く使えて非常に便利。その分、積雪期用の外張りは付けられませんので厳冬期には適しませんが夏を中心としたトレッキングには大活躍してくれます。

これ1つで積雪期もOK!バランスのとれたオールマイティ・テント
mont-bell ステラリッジテント1型 37,908円 1,260g

モンベル(mont-bell) テント ステラリッジテント1型[1~2人用] サンライトイエロー SUYL 1122464Amazonで詳細を見る モンベル(mont-bell) テント ステラリッジテント1型[1~2人用] サンライトイエロー SUYL 1122464

構造的にも重量的にもエアライズに似た作りのステラリッジも今では大定番テントのひとつで、安心しておすすめできるアイテムです。上のトレックライズと違ってオプションのスノーフライを合わせれば積雪期でも問題なし、オールシーズン活躍してくれます(ちなみにアライテントでも「エアライズ」なら冬もOK)。さらに後発だけあってアライテントにはない工夫を懲らしている部分、さすがはモンベルと言いたくなります。

例えばポールに滑り止めが付いていて、グローブをはめた状態でも力を入れやすくなっていたり、ポールを通す袋(スリーブ)の末端が貫通して止まる方式になっていてグランドシートを固定しやすくなっていたり。なかでも地味に最も気に入っているのは、フライシートのベンチレーターに、勝手に閉じないようにリング上の芯が入っているところ。特に冬なんかでは換気が快適さの命に関わるところだったりするので、常にベンチレーターががばっと空いていてくれることはこの上なく助かります。その他カラーリングも(珍しく)ポップで好感もてるし、相変わらずの価格破壊っぷりは絶好調だし。難点はテント場で持っている人が被りまくるので目印でも付けないと迷うってことですかね。

コロラド発、新進気鋭ブランドの人気モデル
Big Agnes フライクリーク1 UL EX 49,680円 1,018g

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アメリカで出会って以来、その軽さと使い易さに惚れ込んだメーカー。2001年にコロラド州で誕生したビッグアグネスが初めてリリースしたのは「寝袋とマットレスを合体させる」という、いかにもガレージメーカーらしい、アイデアに富んだ型破りな製品でした。今でも「発光するテント」など、相変わらずチャレンジし続ける精神はいつもながら無条件に応援したくなります。

フライクリークの特徴は何をおいてもその軽さにあります。今回チョイスしているのは米国でリリースされているオリジナルモデル(上半分がメッシュ構造になっている)ではなく、日本の季候に合わせてメッシュを無くしたノーメッシュモデルなのでその分若干重いですが、それでも1人用で約1kg(2人用でも1,200g)はまさに感動的な軽さです。ここまで軽量にできたのは、ハブによって接続された1組のポールによって効率よい張り方を可能にしている点や、極限まで切り詰めた居住空間の設計、素材自体の軽量化などさまざま工夫が挙げられますが、いずれにせよただ軽くするのではなく最低限の強度と居住性、使い易さを確保したバランスの良さがおすすめの決め手です。とはいえやはり2本のポールをクロスした構造に比べると耐風性には不安があり、長く厳しい環境で使用するにはあまりおすすめできません

21世紀のテントメーカーによる意欲的なウルトラライト・テント
NEMO タニLS1P 50,760円 1,090g

NEMO(ニーモ・イクイップメント) タニLS 1P NM-TNLS-1PAmazonで詳細を見る NEMO(ニーモ・イクイップメント) タニLS 1P NM-TNLS-1P

日本のメーカー以外ではお店で見かけることが多く、比較的手に入れやすい部類に入るのがこのニーモ。彼らも2002年創業と、革新性と勢いで近年大注目のテントメーカーです。

タニLS はオーソドックスな2本ポール・ドーム型のダブルウォール構造でありながらウルトラライトな軽さを実現している、にわかには信じがたい優れモノです。そのタニLSですが、2015年のモデルの特色は何といっても大幅な軽量化でしょう。これによって上のフライクリークなどの変則ポール組自立式テントの軽さ(1,090g)に追いつきました。その圧倒的な軽さに加えてドーム型(長辺入口)の居住性の高さと耐風性、立て易さという「美味しいところどり感」がハンパなく物欲をそそります。ただ、あまりに薄すぎる生地はメッシュでは無いとはいえやや不安が残ります。寒さ・風の影響は受けやすいと思いますので、その点はやや慎重に考えた方がいいでしょうね。

【低山限定】美しすぎるフォルムとどこまでも心地よい居住空間
MSR ハバNX 52,920円 1,120g

MSR ハバNX【日本正規品】 37746Amazonで詳細を見る MSR ハバNX【日本正規品】 37746

MSR といえばストーブやスノーシューなどでハイクオリティなギアが有名ですが、実はテントでも頑張っています。でも今回のモデルは正直いって見た目でのチョイスが半分だったりします。まずファーストインプレッション、色遣いのクールさに惚れました。さらに設営したときの美しい左右対称のイモ虫型フォルムも良いです。ここでもし単にデザインだけの話しで終わっていたらおすすめにまでしませんでしたが、これがきちっと機能性の高さに繋がっているのだから納得です。例えばこの色遣い、内部を明るくして視認性を高めてくれます。またこの一見複雑な、独特なポールの形状は天上と足元のスペースを贅沢に拡げ、快適なベッドルームとゆとりあるフロアスペースを可能にしています。出入り口は長辺に付いており、前室も含めて非常に空間を広く使うことができます。と、かなり良いことずくめで紹介しましたが、唯一気になる(残念な)点は、インナーテントの上半分がメッシュであるところ。当然このテントは3シーズンといっても穏やかな気候・エリアが限界な訳で、1張目としてのチョイスにはそれなりの割り切りが必要なことは上にも書いたとおりです。以前のモデルはノーメッシュであったそうなのですが、そのモデルの復刻を願うのはぼくだけは無いはず。

独自の美学に基づいた堅牢・快適・簡単なオールマイティ・テント
HILLEBERG ソウロ 97,200円 1,800g

ヒルバーグ ソウロ テント(Hilleberg Soulo) - レッド Amazonで詳細を見る ヒルバーグ ソウロ テント(Hilleberg Soulo) – レッド

正直入れるかどうか迷いました。誰もが憧れるテント界のフェラーリ、ヒルバーグ。そりゃこのテント買えるならみんなこれ使ってるって。というくらいに、性能に関しては文句の付けようがありません3本のポールでがっしりと組み上がり、地面に接したフライシートは強風・降雪に強い構造。高い天井と広い前室による快適な居住空間。そしてダブルウォールでありながらテントとフライシートが一体化しているため、ワンアクションでテントが組み上がってしまう圧倒的な設営し易さは他の追随を許さない完成度の高さです。にしても高い。高すぎるよ。

ただこのモデル、難点としてはちょっと重いですよね。ヒルバーグの場合、軽量さを求める場合には今回の自立式ではなく非自立式のモデルにもっと軽量なテントを揃えているため、そこは割り切っているように思われます。

価格と性能のバランスに優れたカワイイやつ
テンマクデザイン rolly-polly 1.8 34,800円 1,740g

テンマクデザイン roly-polly1.8(ローリーポーリー1.8)Amazonで詳細を見る テンマクデザイン roly-polly1.8(ローリーポーリー1.8)

いくつかアメリカのガレージブランドによるテントを紹介しましたが、最後に新しい日本のオリジナルブランドからピックアップしてみました。宇都宮で生まれたアウトドアライフストア「WILD-1」による、野営をテーマにしたオリジナルブランド、テンマクデザインからユニークな3シーズンテントです。

まず文字通りダンゴムシな佇まい(2013年グッドデザイン賞受賞)がなんとも味があって良いんです。手前側に広がる大きな入口はドーム型にはない快適さを提供してくれそうです。その広い入口から入って来た空気は反対側の先端にあるベンチレーションを抜けていくという通気性を考慮した合理的な配置、重量がやや重めなのはテントのボトム部分にしっかりとした防水生地(70Dナイロンタフタ)を使用するなど耐久性にも配慮した結果なのでよしとしましょう。形状的に本格的な厳しい山岳には向かないかもしれませんが、一般的な登山には問題なさそうです。そして何よりアウトドアショップのプライベートブランドならではの良心的な価格設定も嬉しい限り。

まとめ

お分かりかと思いますが、上に挙げたおすすめにはそれぞれ強みと弱みがあり、すべてに秀でたテントというものは残念ながらまだ存在していません。その意味では、用途も季節も限定せず幅広く使えるモデルをということであれば、アライテントやモンベルなどの、どこまでも無難にオールマイティなモデルを選ぶのが良いでしょう。

まとめると、テントを選ぶ際には「重量」「居住性」「耐久性」そして「価格」のバランスを考え、どこに重点を置くべきなのかを考慮して選択することが重要になってきます。詳しくは今後最適なテントの選び方について詳しく書きたいと思いますが、最後にひとつ購入に際してのアドバイスを。テントは決して安い買い物ではなく、そう何度も買い替えるモノでもありません。使い易さや居住性などは実際に立ててみないと実感できないものでもありますので、可能な限り実店舗で試してみてから購入することをおすすめします。それでは、お気に入りのテントでとっておきのテント泊を愉しんでください!

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