今年たまらず手に入れた、おすすめハードシェルジャケット10着【2016-2017】

「雪山にハードシェルってやっぱり必要ですか?」という質問をちょくちょく受けます。

どちらも防水透湿で防風なんだからレインウェアでもいいんじゃないかと。ただでさえ出費のかさむ冬山、1着5万円以上が当たり前になってしまったハードシェルは登山をはじめた多くの人にとって、できることならば後回しにしたいというのが本音だろうかと思います。

ただ、よほどのことがない限り、やはり雪山には、靴やグローブなどど同じくらいまじめにハードシェルは揃えるべきと答えています。その理由はたくさんありますが、決定的に譲れない違いは端的にいうと2つ。ひとつは摩擦や引裂きに強く、硬くて重くて鋭いモノを扱うことが多い冬でも安心な強度・耐久性の高さ。そしてもうひとつはグローブ・ヘルメットなど冬特有の装備や雪・風など冬山の厳しい天候を想定した素材・仕組みであることです。何かあったら即座に命の危険が伴う冬山では、お金で買える安全は買っておくに越したことはありません。とはいえ、そんな堅くるしいことよりも、個人的にはハードシェルを着込んだときの「さぁ雪山・・・」と気持ちを高めてくれるあの感じがなによりも重要だったりもします。

アウトドアウェアの最先端技術が投入されるハードシェルでは今年もそんなテンション上がりまくりなモデルが多数登場。昨年のGORE C-KNIT登場のような大きな技術的トピックは少ないものの、今年は各ブランドが細かい部分で違いを出そうと頭を悩ました結果、逆にバラエティに富んだおもしろいシーズンな気がしています。そこで昨年に続き、今年もいろいろとスゴすぎて編集部が思わず入手してしまったハードシェル10着をご紹介します。表示している重量は基本実測値です。例によって大まかな特徴を示す★★★はあくまでも目安程度に。これから冬本番に向けて、頼れるアウター選びの参考にしてみてください。

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目次

2016-2017シーズンに編集部がおすすめするハードシェル10着

Patagonia Refugitive Jacket

耐候性★☆☆ 機動性★★★ 透湿性★★★ 耐久性★☆☆ 機能性★★★

昨年からメインで使用しているのパタゴニアのGORE C-KNIT使用ハードシェル。何度かこのサイトでも紹介していますが、とにかく軽くて動きやすい、しなやかな肌触り。

ベース部分の生地は30Dと極薄で、肩や腕などの補強部分ですら40Dというから、正直耐久性については相対的には劣るのはやむを得ません。が、明らかにPolartec NeoShell を意識していであろう、どこまでも軽快な冬用シェルは、厳冬期や登攀などやらないビギナーにはもってこいの使いやすさ。実際昨年2月の金峰山でも難なく活躍してくれました。2つのハンドポケット、胸ポケット、2つの内ポケットと豊富な収納、ピットジップもちろん配置され、フードや裾調節のコードロックも使いやすく、今年も依然として断然イチオシの雪山入門シェルです。

HAGLOFS ROC HIGH Ⅱ JACKET

耐候性★★☆ 機動性★★★ 透湿性★★☆ 耐久性★★☆ 機能性★★★

メーカー的には今期復刻したSPITZ JACKETの方が推されているようですが、本サイトでは2014シーズンからその使いやすさに惚れ込んだフラッグシップモデルがまだまだ断然推しです。今年も細かくアップデートされ、益々その高い完成度に磨きがかかってきています。

身頃がさらにシュッと締まったにもかかわらず相変わらず完璧な裁断で素晴らしい着心地。40Dと70Dの生地を要所要所にマッピングし、着心地と耐久性、軽量化を両立させています。2つのチェストポケットとインナーポケット、ベンチレーション、2weyジッパーなど相変わらず使いやすさは抜群ですが、さらに細かい改良点としては、ジッパーが樹脂からビスロン製になり開閉がよりスムーズに。フードと裾のドローコードはグローブをはめていても失敗しにくく、片手ワンタッチで調節が可能なタイプに。曇りにくい空気孔付きのインナープラケットは邪魔なときに留めておけるようなスナップボタンが付くなど細部にわたって間違いのない改善が加わりました。

THE NORTH FACE Antigravity FUSEFORM Jacket

耐候性★★☆ 機動性★☆☆ 透湿性★☆☆ 耐久性★★☆ 機能性★★☆

ノースフェイスが黙々と技術革新を続ける、一枚の生地において部分的に異なる繊維を織り込む独自技術FUSEFORMが採用されたハードシェルの最新モデル。

確かに擦れやすい腕から肩周りには耐久性ある生地、身頃部分はしなやかな生地を使用していながら、胸の切り替え部分に縫い目がありません。無駄なゴワつきがなくしなやかで自然な着心地。ただそうはいってもまだ胸以外の部分では縫い目とシームテープがしっかりとあるので、技術的にはまだ過渡期なのだろうと思わせます。ただメーカーいわく、lこのFUSEFORMを使用していながら、プロダクトにいろいろと要求の高いGORE-TEXが採用されたことが大きな進歩なのだと(これまではハイベントのメンブレンを採用)。バックカントリー向けに着脱式のスノースカート完備、スタイリッシュなデザインやカラーなど機能は未知数ながら、使い勝手がよさそうでアガる1着。

mont-bell ストリームジャケット

耐候性★★★ 機動性★☆☆ 透湿性★★☆ 耐久性★★★ 機能性★☆☆

何といっても価格がすべて。70Dで耐久性万全のGORE-TEX Proを用いて、一通りの機能をしっかり踏まえて、それでこの価格かよ!っていうことに尽きます。

もちろん細かい点を挙げていけばいろいろと不満がないわけではありません。フードや裾調節のやりにくさとか、脇下ベンチレーションのジッパーが1weyしかなかったり、スノースカートの簡易な作り、古めかしい太めのフォルムなどは改良の余地があると思います。ただそれらをこの価格帯で求めるのは酷というもの。1周回ってモンベルに行き着くという言葉が思い出される、愛すべき量産型ハードシェルといえるのではないでしょうか。

MILLET TRILOGY V ICON GTX PRO JKT

耐候性★★☆ 機動性★★☆ 透湿性★★☆ 耐久性★★☆ 機能性★★☆

GORE-TEX Pro採用、さらにベンチレーションが付いた本格ハードシェルでこの重量というのはあまり見覚えがありません。

40Dの軽量生地に加えて13mmのシームテープによって一層の軽量化が実現。アルパイン向けハードシェルの軽量化はついにここまで来たかという感じです。プロシェルということで耐久性は十分であるだけでなく、運動性を重視したカッティングによって着心地や動きやすさも飛び抜けています。ミレーでは同価格帯でより耐久性・多機能を特徴としたTRILOGY GTX PRO JKTもあって、こちらも使いやすいモデルだけに迷うところですが、より尖ったのが好きな自分的にはこちらのモデルをおすすめ。

NORRONA falketind Gore-Tex Jacket

耐候性★★☆ 機動性★★☆ 透湿性★★☆ 耐久性★★☆ 機能性★☆☆

ノルウェーを代表するアウトドア・ブランド、ノローナにはプロシェルを用いたガチの厳冬期向けハードシェルであるtrollveggenシリーズがフラッグシップとして君臨していますが、こちらのオールシーズン使用可能な軽量ハードシェルジャケットは特異な立ち位置がおもしろいので今回はこちらをピックアップ。

独自開発の裏地素材「RGR interlock backer」は高い耐久性と透湿・軽量性をもちながら、柔らかな肌触りのよさが魅力。しっかりとしたプロシェル相当の生地厚に脇下ベンチレーション、ハーネスに干渉しないよう配置されたポケット、ヘルメット対応の大きなフード、肩や肘への補強など、夏のトレッキングから冬山での使用まであらゆるフィールドで使用可能な機能性と耐久性を兼ね備えています。真夏には少し大げさに見えたスペックも、冬山であれば頼もしい助っ人として活躍してくれるでしょう。

Rab Latok Alpine Jacket

耐候性★★☆ 機動性★★★ 透湿性★★★ 耐久性★★☆ 機能性★★☆

最新素材をいち早く採用し、毎年革新的な製品で業界をリードするラブには今期初登場は無いものの、今期も相変わらず他と比べて完成度の高いハードシェルが存在しています。今期はそのなかから、昨年紹介したPolartec Neoshellとは別のおすすめ、eVentを採用したモデルをご紹介。

まずこれまで紹介してきたGORE-TEXと違い、構造的により高い透湿性が確保されているeVentを使用したハードシェルは、運動時の快適さという点ではGORE-TEXを凌ぐものがあります。それに加えて脇下ベンチレーションに採用された「エスケープアーティスト」によって、袖を丸々開放することができ、これによってハイクアップ時の不快感は相当解消することができます。ラブらしい細身でスタイリッシュなシルエットも素晴らしく、行動派の暑がりクライマーはこちらのモデルをチェックすべし。

Teton Bros. TB Jacket

耐候性★★☆ 機動性★★★ 透湿性★★★ 耐久性★★☆ 機能性★★☆

着実に知名度を高めつつある日本発のアウトドアブランドは、その革新的なアイデアとユーザーフレンドリーな使用感からバックカントリースキーの分野では非常に高い信頼を寄せています。そのマスターピースともいえるTB Jacketは早くから透湿性・着心地抜群の新素材Polartec Neoshellを採用し、その垢抜けたカラーリングデザインなど日本では珍しく見ていてわくわくするようなジャケットです。

ミリタリージャケットにも使用される対摩擦性能の高いサープレックスナイロン、脇下ではなく脇腹に備えられたベンチレーション、首下2カ所だけのフード調節など細かい点でセオリーにとらわれない挑戦的な作りが非常に興味をそそります。バックカントリー向けモデルということでは若干身頃はゆったり目ですが太すぎず気になりません。なにより十分な強度を備えながらゴワつかずしなやかで動きやすい着心地はこの素材の良さを十分に活かしているといえ、非GORE-TEX勢のなかでもトップクラスにおすすめです。

finetrack エバーブレス アクロ

耐候性★★☆ 機動性★★★ 透湿性★★☆ 耐久性★★☆ 機能性★★★

昨年までまったくノーマークだったことを悔やむくらいに良くできているのが、こちらも日本発ブランドであるfinetrackのハードシェル。

独自メンブレンのエバーブレスはウレタン系のメンブレンにありがちな劣化の早さをある程度克服し、なおかつ伸縮性を備えることができる個性的な特徴をもった素材。それを用いたハードシェルはあり得ないほど動きやすい。そしてNeoshellに負けないくらいしなやかで快適な肌触り。対して表地はザラッとしていて雪面にも滑りにくくて安全。雪の侵入を防ぐ裾口のダブルカフ、音の遮断を防ぐ音抜き穴、ジャケットのずり上がりを抑えるハーネスなどこのモデルにしか見られない、まさに日本の雪山を知るからこそできる工夫が満載。最後に極めつけはこの価格。日本のブランドがこれくらいがんばってくれると本当にありがたい(お財布的に)。

Mountain Hardwear Seraction Jacket

耐候性★★☆ 機動性★★★ 透湿性★★★ 耐久性★☆☆ 機能性★★☆

世界的に有名なアイスクライマーであるティム・エメットと共同開発したというアイスクライミングに最適化されたモデルはここ数年カラーリングの変更のみのようですが、その完成度からするとそれも問題なし、相変わらず使いやすいハードシェル。ここで採用されている独自素材ドライQエリートは確かな耐久性だけでなく高い通気性もそなえ、ハードでアクティブなウィンタースポーツには最適。さらに脇や頭などの動く部分ではストレッチパネルをマッピングし、着てみてびっくりの動きやすさ。極限のシーンで最高の機動性を提供してくれる、やはりMHWはこうでなくちゃいけません。

まとめ

ここに挙げた10着以外に優秀なモデルが多数あることはいうまでもなく、今回も選定に関しては最後まで迷いまくりでした。例えば全面リニューアルしたArc’teryx Alpha SV Jacketも当然入ってくると思っていたのですが、蓋を開けてみれば100Dで10万円超えとなるともはや選ばれし者しか必要としないレベルまでいってしまい、オーバースペックで今回は見合わせとしたり、BLACK DIAMOND シャープエンド シェルも前々から素晴らしいと目を付けているものの、今年はとにかく入手困難すぎて実物を確認できずスルー。他にもOUTDOOR RESEARCH MAXIMUS JACKETPeakPerformance BL 4S JacketSalewa オルティス2GTXプロジャケットなども試したいと思いながら実物に触れられず今回の選出から断念したモデルが多数あります。それらの見逃してしまったモデルについては引き続きチャンスをうかがいつつ、今期の比較テストは今回紹介したモデルから進めていきたいと思います。

とにかく、冬山は楽しい、日常では絶対に体験できない瞬間に出会えるという意味では登山の醍醐味が凝縮されたアクティビティであると自信をもっていえます。でも簡単に死ねる。それだけは忘れずに、できる限り後悔のないよう、万全の準備をして望んでください!

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