雪山登山もバックカントリーも!おすすめハードシェルパンツ5+5選

前回はウィンターアクティビティに最適なアウターである、ハードシェルパンツを選ぶときの検討ポイントについてまとめてみました。いよいよ今回は実際に今シーズンの注目モデルについてご紹介していきたいと思います。

まず前回の話しをざっくりとおさらいすると、最適なハードシェルパンツを選ぶときに気をつけるべきポイントは以下の3つ。

  • 素材(防水透湿性・保温性)
  • フィット感(サイズ・動きやすさ)
  • 利便性(使いやすさ・機能)

さらにこのとき注意したいのは、登山なのか、バックカントリースキーなのかといった使用目的によって求めるカタチが違ってくるということです(詳しくは前回のハードシェルパンツの選び方をご覧ください)。

その意味において、ぼくは困ったことにどちらも捨てられない欲張り派。スノーハイクや縦走がメインだけれど、ゲレンデスキーもやるし、バックカントリースキーも近々に再開したい。アイスクライミングにも挑戦したい。強いていえばスノーボードはほぼやる予定はないということくらい。つまり、何かのアクティビティに特化したモデルではなく、登りも、滑りもどちらもイケるようなオールラウンドな完成度の高いモデルが欲しい。わがままなのは分かっていますが、こんな人って意外と多いのではないでしょうか?

そうなってくると、今回の選択基準としてはこんな感じになります。

  • GORE-TEX相当の防水透湿性をもった3レイヤー(中綿なし)。
  • シルエットはできる限りタイトめだけど動きやすく、最低限裾はスキーブーツが入る程度に広い。
  • 重ね着する冬は締めつけやずり落ちが嫌なので、できればサスペンダー付、もしくは極力ロープロファイルなビブタイプ。
  • ハイクアップ時に暑くなりすぎないようなベンチレーションなどの対策。ビブの場合はあまり暑苦しくない仕様で。
  • 深雪ラッセル対応のゲイター、クランポン対策のエッジガードは必須。できればポケット多め。

いろいろと無理な注文を付けまくってみましたが、今回紹介するのはこんなわがままにそっくり応えてくれる文句なしのスグレモノパンツばかり。ただ完璧に応えてくれるモデルはどうしても価格もそれなり。さすがにジャケットと合わせて考えるとできる限りリーズナブルにいきたいという人も多くいるでしょう。そこで、そんなさらにわがままなあなたのために今回はおすすめを「7万円以上」と「7万円以下」の2グループに分けてまとめてみましたので、予算感に合わせて参考にしてもらえるようになっています。

なお、今回表示している重量は公式発表値です。

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目次

2016-2017シーズンに編集部がおすすめのハードシェルパンツ5着(7万円以上)

Arc’teryx Theta SV Bib

アークテリクスのパンツといえば圧倒的な動きやすさを誇り、トレッキング、クライミング、レインウェアなど、どれも非常に快適で高品質。さすが高いだけのことはある。その多様なラインナップのなかで今回の条件に最もフィットするモデルがこのシータ SV ビブです。

「スティンガー」シリーズのようにバックカントリー特化でもないため、太くもなく細くもないベターなシルエットや裾から腰までフルオープンで開くサイドジッパーは縦走派にも嬉しい。また「アルファ」シリーズのようにクライミング特化でもないためインナースパッツを装備して深雪にも安心。もちろん立体裁断の快適な機動性と耐久性十分の80D GORE-TEX Proも申し分なし。極めつけはロープロファイル(控えめ)なビブ。決して軽快さも忘れずに、絶妙な塩梅にまとめてくれています。ポケットとカラーバリエーションが少ないのが唯一の要望点。

MAMMUT NORDWAND PRO HS PANTS

履いた瞬間にややっ!と思うのは、かなりしっかりした生地にもかかわらず抜群に動きやすいこと。シルエットはスリムなのに、しゃがんでもまったくキツくない。

それもそのはず、優れた耐久性を約束する70D GORE-TEX Proに要所でストレッチ性をもたせるというにくい素材構成(いろいろな事情でそうした特別な仕様を採用できるブランドは限られている)。まさにハードシェルパンツの最高級モデルといえるでしょう。細かく幅調整可能な裾とフック付のスノーゲイター、裾から腰まで開くサイドジッパー、快適な当たりとフィット感のウェスト、幅広のサスペンダー、重量もそこまで重すぎないなど、さすがは”北壁”と名付けられたモデル。細部まで手抜きが一切ない作りは見事という他ありません。

MILLET TRILOGY GTX PRO PANT

急峻な岩壁と氷河に囲まれたアルプスの山岳レンジャー達のフィードバックが存分に反映されたミレーのフラッグシップラインであるトリロジーシリーズは、雪のシーズンでこそその真価を発揮します。軽快さと堅牢性のどちらも妥協できない本格派のためのハードシェルパンツ。

堅牢なGORE-TEX Proのなかでも薄手生地を採用し、さらに立体裁断による自然な履き心地は厳冬期にも対応するハードシェルとは思えない軽さと柔らかさを実現。薄手のProシェルは透湿性も抜群なうえに、フルサイドジッパーなのでベンチレーション性能も利便性も十分です。両脇2点だけで留めるサスペンダーの仕組みも、細かいけどとても使い心地がいい。

patagonia POWSLAYER BIBS

パタゴニアも雪用パンツは多くの選択肢がありますが、すべて穿き比べてみて最終的に太鼓判を押したは、バックカントリーを中心にあらゆるスノースポーツに対応するという軽量ビブパンツ。最近の流行?でもあるスタイリッシュな裁断で生まれ変わった今シーズンのモデルはブランドのアンバサダーをはじめ多くの人が「今年のパウスレイヤーはいいね」と唸っているらしい。

一番の特徴は何といってもビブパンツでこの軽さ(572g)でしょう。浅めの上半身はポケットがついて便利なうえに、ムレる心配はありません。軽いといって耐久性をおろそかにしているわけではもちろんなく、安心の40DのGORE-TEX Proはシーズンを通してまず心配なし。そして相変わらず見事な立体裁断で動きやすさも抜群。スキー寄りの作りなので若干太めですがシルエットに下品さはなく、ほどよく洗練されているあたりはさすがです。サイドジッパーはフルオープンではなく膝から上ですが、腰まで全開するのでトイレ的な意味では問題なし。ポケット類が多めでその辺は便利に使えそう。

Peak Performance BL CORE Pants

雪のシーズンになると俄然存在感を増してくるのがスウェーデンのアウトドアブランドPeak Performance。スキーに対する熱い思いを抱いたプロスキーヤー・雑誌編集者・アートディレクターの3人が立ち上げたブランドから生み出されるプロダクトは高機能かつ上質、それでいてムダの無い北欧ならではの機能美を備え、間違いなく極上のスノーライフを約束してくれます。

なかでも最高峰の技術を集約したフラッグシップBlack Lightシリーズのハードシェルパンツは最新GORE-TEX素材「GORE C-KNIT」を採用し、驚くほど軽くて快適な履き心地。耐久性という面ではProシェルに劣るかもしれませんが、それを補って余りある高い透湿性は、極端にハードな活動をしなければ、むしろ最適なチョイスといえるでしょう。適度にスリムなシルエットや、要所で気の利いたデザインの素晴らしさはさすが。

2016-2017シーズンに編集部がおすすめのハードシェルパンツ5着(7万円以下)

OUTDOOR RESEARCH Maximus Pant

ひょっとすると今回一番の驚きかもしれない。今期の新登場ビブタイプハードシェルパンツはスペック的にも、履き心地的にも想定外の仕上がり具合です。

昨年までのフラッグシップ「メンターパンツ」はビブ部分が無く、またややゴワついた印象でしたが、今年のコイツはまったく違う。秘密はMAMMUT NORDWANDと同じようにGORE-TEX Proの要所部分をストレッチ性をもたせているから。おかげでめちゃくちゃ動きやすいうえにシルエットがえらくスリムでカッコいいのです。しかも驚きはそれだけではなく、何とこのモデルはインナースパッツが取り外し可能。クライミングに特化したり、外側にしっかりゲイターを取り付けるという場合には取り外してしまえば、足元スッキリ&軽量化。使い方に合わせてムダなく調整が可能です。ポケット類も豊富、腰回りも浅いビブで非常に快適。なによりここまで細部を突き詰めていながらのこの価格は素晴らしいの一言。

MILLET K EXPERT GTX PANT

ハイエンドモデルのトリロジーシリーズとは素材の違いこそあれ、十分に優秀と感じたのがこちら。

Proシェルでない分、重量は重めで多少のかさばりはありますが、それでも堅牢なGORE-TEX3レイヤー生地を使いプロテクション性は十分。スリムながらストレスのない動きを可能にする立体裁断の巧みさは上位モデルと遜色ありません。試着してみたところトリロジーほど股下が長くないので、むしろ日本人にはこちらの方がフィットしやすいのではないでしょうか。付けたまま用を足せるサスペンダーの構造、フルオープンのジッパー、太さを2段階に調節できる裾は使い勝手もよく、ポケットの少なさを除けば、本格雪山からバックカントリーまで対応する完成度の高いパンツといえそうです。

Teton Bros. TB Pant

上質な日本のアウトドアブランドとしてぼくの中での信頼が厚いTeton Bros.はジャケットだけでなくボトムスも優秀でした。

思うにPolartec Neoshellの「柔らかくて透湿性が高い」という特性は、大きな動きが要求され、ウェア内のムレを排出したいというハードシェルパンツの課題にこれ以上なくマッチするような気がします。ミリタリージャケットにも使用される対摩擦性能の高いサープレックスナイロンを採用し、堅牢性を配慮したうえで丁寧にカッティングされたNeoshellパンツは、バックカントリー向けのゆったりした着心地にもかかわらず決してムダに太すぎない、雪山登山にも十分に対応する非常にバランスのとれたシルエット。着脱可能なビブは背中部分がメッシュで通気性良く、そこまで暑苦しくはなさそう。右ポケットには無線機が入り、左胸にはビーコンも収納できるように想定され、サイドベンチレーション、インナースパッツのシューレースフックなどかゆいところに手が届いた秀作です。

finetrack エバーブレス シビロ ビブ

こちらも新進気鋭の日本ブランドfinetrackのハードシェルパンツはいくつかの候補がありますが、どれもユーザー視点のユニークな機能が興味をそそります。そのなかで、今回のような欲張り派にピッタリなのがウィンターアクティビティ全般に対応したシビロシリーズのビブタイプモデル。

まずおすすめジャケットでも書きましたが、4WEYストレッチの驚異的な機動性を実現した独自防水透湿メンブレン「エバーブレス」によるこれ以上ない動きやすさは今回も健在。耐久性十分な厚手のしっかりとした生地はともすれば暑そうですが、サイドジッパーをしっかり備え、ベンチレーションも考慮されています。裾のジッパーによる太さ調整はシルエットを壊さずブーツに対応でき、トイレを考慮したパンツの後ろ側だけ下ろせる仕様など、細部まで行き届いた使い勝手の良さはさすが。唯一、昔ながらのシルエットはどうにかしてほしいところですが、この価格を考えるとそれは欲張りすぎか。

MAMMUT GORE-TEX QUANTUM STRETCH PANTS

MAMMUTには冬用ハードシェルとして、上で紹介したGORE-TEX Pro使用のハイエンドモデル以外に、自社素材であるDRYtechを使用したエントリーモデルがありますが、今回おすすめなのはこのGORE-TEX3レイヤーを採用したミドルクラスのハードシェル。

特筆すべきは、名前の通りGORE-TEXでありながらストレッチする特別な素材を使用している点で、シルエットもかなりタイト。しかもインナースパッツは着脱可能で、このためオールシーズンのクライミングに最適化されています。もちろん雪山登山にも十分使用可能ですが、スキーブーツに装着可能かどうかは一応確かめておく必要があるでしょう(最悪、裾はジッパーで開閉可能なので、ゲイターと併用すればまったく被せられないということはありませんが)。このタイトな作りにもかかわらず動きやすさは抜群で、サスペンダーは付属していないものの、それを想定したループが付いており、さらにウエストはベルクロで幅調整可能、さらに後ろ部分は高くなっており装着性を高めていますので快適さ向上の伸びしろも高い。比較的手頃な価格でなおかつストレッチGORE-TEX、そして十分な快適性と使い勝手というマムートにしてはずいぶんとお買い得なモデルといえるのではないでしょうか。

まとめ

最後に補足として、この記事を書いている時点(2016/12/2)ではまだ2016秋冬モデルが完全に出揃う前の段階での調査であったため、調査予定でも実際に触ることができなかった有力モデルがいくつかあります。例えば英国の総合アウトドアブランドBerghausエクストレム 8000 プロ ビブ パンツはジャケットがヨーロッパのメディアでもアワードを受賞するなど注目を集めており、スペックからだけですがかなり期待できるモデルです。また冬用ジャケットでは常にトップクラスにいるNORRONA trollveggenシリーズも完成度の高いビブパンツが存在していますが、お店に出回るのがこれからということで今回は見送り。これらに関しては追々確認でき次第、もしかしたらリストに追加しているかもしれない期待のアイテムであることは最後に付け加えておきます。みなさんも機会があれば探してみるといいかもしれません。

レインウェアなどと違い、ハードシェルパンツは1日中着っぱなしのアウターです。せっかくの高い買い物、この記事がカッコよくて動きやすくて便利な、自分に合ったハードシェルパンツが見つかる手がかりになると幸いです。

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