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全米最大のアウトドアギア見本市Outdoor Retailer Summer 2016で出会った発売まで待ちきれない期待のギアまとめ

昨年の初参戦に引き続き、今年も行ってきました。ユタ州ソルトレイクシティで毎年夏冬2回行われ、世界中から1600以上の有名・無名アウトドアブランドが集まり、来シーズン発売予定の最新ギアが初お披露目される世界最大規模のアウトドア・ギア見本市『Outdoor Retailer Summer Market 2016(以下OR)』。前回の記事でそのアウトラインを紹介したとおり、日本からは想像もつかないスケールのモンスターイベントに、ありがたいことに今年も3日間だけ取材することができましたので、その模様をこれから何回かに分けて報告していきたいと思います。

第1回目はアウトドア好きならおなじみの世界的メジャーアウトドアブランドから、注目の新作を厳選してご紹介します。

アメリカマーケット向けの展示会だけに、このイベントの主役は何といっても北米系のブランド。ヨーロッパ系のブランドについては先月ドイツで開かれた『The OutDoor Show』の取材レポート(Part1Part2)で数多く紹介していますので、興味のある方はこちらをご覧ください。

1. OSPREY AETHER AG 70 / DURO 15 HYDRATION VEST

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まずは斬新な切り口と安定感抜群の品質が毎年楽しみでしょうがない、オスプレーブース。中~大型バックパックの定番モデルAETHER(女性モデルはARIEL)が、昨年大評判だった超絶快適背面システム「AG(Anti Gravity)サスペンション」を導入してリニューアル。AGサスペンションは通気性とフィット感こそ抜群なものの、背面の空間が重心を後ろに下げてしまうため重荷には不適なのではと一瞬心配しましたが、そこはさすがオスプレー。今回採用されているシステムは背面凹みが最小限に抑えられ、適度な密着を残した、いわば進化型AG。大型バックパックも各ブランドから新モデルが続々出揃ってきて、競争が激化してきましただけに、今から発売が楽しみでしょうがありません!

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もうひとつの注目モデルはトレイルランなどのエンデュランス系スポーツに最適化したハイドレーションパックの新作 DURO(女性モデルはDYNA)。ハイドレーション(LTレザヴォア)を標準装備し、快適性と多機能性、利便性、デザイン性を兼ね備え、その高いレベルでの革新性と完成度でドイツのODShowでもアワードを受賞するなど、来年のトレラン系バックパックでは断トツの注目度でした。サイズは1.5・6・15Lと短距離からロングトレイルまでしっかりカバーしており、こちらも発売されたら迷わずチェックです!

2. Patagonia Nano Air Light Hybrid Jacket

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行動中から休息時まで着っぱなしのアクティブなインサレーションウェアの新境地を開拓したと言ってよいパタゴニアのNano-Airシリーズから、ついに来シーズン新しいラインナップが追加されます。その名もNano Air Light Hybrid Jacket。その名の通り従来の通気性と保温性・ストレッチ性を兼ね備えたNano-Air生地に加え、背面から脇下部分に通気性に富んだ新たな素材を配置することによって、さらなる軽量性と運動時における快適性を実現。秋冬の激しい運動にスーパー便利そうで、これも即買いレベルの重要アイテム!それにしても時代はハイブリッドですなぁ。

3. Arc’teryx Bora AR 50

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常に異次元の角度からアウトドアギアの新境地を開拓する彼らが、今度は長距離バックパッキング向けバックパックで革新を起こす!?

Bora AR 50のヒップベルトは身体の左右の傾きに合わせて回転するだけでなく、背骨の伸ばし具合によって上下に移動する「RotoGlide(ROTATE + GLIDE)」テクノロジーを採用 。例えば靴ひもを結ぼうと身体を屈んだ時も、全身を使って斜面を登ろうとするときも、背面パネルは背骨の伸縮にしっかりと追随してフィット感と快適さを保ち続けるとか。うん、聞いているだけではどれだけ快適なのかさっぱり分からん!アークテリクスのことだから相当いろいろと考えられているのだろうとは思いますが、どうにも想像がつかないという意味で要チェックです。

4. Black Diamond ヘッドランプ

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ブラックダイヤモンドのヘッドランプはすでにいくつかのモデルが新しいフォーマットにモデルチェンジしていますが、来シーズンにはハイエンドモデルであるアイコンや高照度のストーム、USB充電のリボルトなど全ラインナップがリニューアル。全体的により高照度に、そしてさらなる小型化が進んでいます。その他、まったく新しいラインナップとして超軽量コンパクトモデルのイオタ、軽量多機能モデルのイオンなど、昨今のトレイルランやファストパッキングなどのニーズに応えるアイテムが加わりました。

5. MSR ADVANCE PRO 2 TENT

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アメリカのブランドが出すテントは大概メッシュで軽量といった、多湿・多雪な日本にはそぐわないものが多く、さらに言うと雪のシーズンまで使えるモデルが少なかった。そんななかMSRの新作テントはいわゆるシングルウォール・自立式の2人用軽量4シーズンテント。アルミの合成素材で作られた新しいポールは非常に弾力性が高く丈夫。高耐久・耐風にもかかわらず高さ110cm以上ある(44フィート)豊富な居住空間、設営が簡単なスリーブ&フックのハイブリッドな設営方法も興味深く、これまでシングルウォールで決め手となる製品がなかっただけに個人的には非常に注目しています。

6. MONTANE VIA RAZOR 15

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これだけ写真がドイツOutdoor Showのものですいません。軽量かつ高機能、そしてデザイン性に優れたギアに定評のあるイギリスのブランドMONTANEが来期力を入れているのは新たなトレイルランニング向けギア(ウェア)のラインナップ。VIA RAZOR(女性向けはCLAW)バックパックは基本的に高い快適性と機能性を備えながら、周囲を取り囲んだ伸縮性のドローコードによってポールや雨具などを取り付けるネットになったり、パックサイズを小さくするコンプレッションになったり自由自在に調整できます。おまけに前面のショルダーベルトに収納可能な500mlフラスクボトルが2本標準装備。

7. ALTRA King MT

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急な下り坂を走る時にどうしてもつま先が当たって痛くなるというトレイルランナーのみなさん、その苦痛はこの靴でおさらばできるかもしれません。アルトラの最新モデルKing MTは甲部分にストラップを設け、急な上り下りの際に一時的に締めることによって内側でのズレを最小限に抑えるという、思いつきそうで思いつかなかった興味深い機能が搭載されています。その他泥や濡れた地面、登山道などに適したという5.5mmの厚底ソールは日本のトレイルを走るにはピッタリなのではないでしょうか。

8. SALOMON XA ENDURO

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アドベンチャーレースに適したシューズにかけては一日の長があるサロモンですが、来期はトレイルランニング系の幅広いラインナップで進化を遂げていました。XAシリーズ最新作XA ENDUROはハードな地形の長距離トレイルに最適化された特徴を備えたオフトレイル向けランニングシューズ。安定したフィット感に定評のあるSENSIFITによって内部での足のブレを少なくし、また標準装備のゲイターによって荒れた地形での小石や泥・雪などの侵入を防ぎます。高い通気性の化繊生地は縫製のない独自構造。アウトソールはウェットで滑りやすい地面にも強いグリップを誇る独自のコンタグリップを使用。

9. HydraPak Trek Kit

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ハイドレーションの面倒なところは、水を飲む時に飲み口を噛んで、吸わなければならないこと(疲れて息も荒くなっているにもかかわらず)。これに対して空気圧の力を借りて、噛むだけで水が勢いよく出てくるGEIGER RIGはリリースから数年がたちながら、今でも唯一無二の使いやすさを誇る優れた製品です。それがついにハイドラパックからも対抗製品が登場。TREK KITはハイドレーションにも水筒にも使用できる形状のボディに、ワンタッチで内部の圧力を追加・開放できる「squeeze bulb」がついたシンプルかつ高機能なハイドレーションパック。モノとしてのクオリティはハイドラパックが高いだけに、乗り換える気満々です。

10. boreas TAMARACK

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最後はスタイリッシュなボディにユニークな機能を詰め込むアイデアが素晴らしいサンフランシスコのバックパックメーカー、ボレアスから新しい軽量ハイキングパック。相変わらず通気性・クッション性抜群の背面フォームパネル、柔軟なサイズ調整が可能なロールトップクロージャー、メインコンパートメントにアクセス可能なジッパーなどを備えた汎用性の高いバックパッキング用モデル。さらに外側にテントやパッドなどのギアを取り付けるためのカバーを装着することも可能で、普段はパックの底に仕舞うことができ、非常に機能的(下写真)。容量は40Lと48Lの2タイプ。

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最後に ~次回予告~

以上、OR出展の有名アウトドアブランドから、2017シーズン注目アウトドアギアの紹介でした。

しかし、実はこれからがORの醍醐味。これら世界的なメジャーアウトドアブランドの影に隠れ、いつか肩を並べてやろうと企む小さなガレージメーカー達の熱い展示に注目することなしにORは語れません。次回はそうしたアウトドア・ベンチャー達がひしめき合うエリア「パビリオン」出展企業の中から、新しいアウトドア・ブランドを中心にレポートしたいと思います!ここ1ヵ月ほど展示会のレポートでギアレビューが滞ってしまったこともあり、少し間を開けてのレポートにする予定ですのが、それまでの間をお楽しみに。