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【軽さ?風力?静音性?】エアマット用小型電動ポンプがおもしろい

昨シーズンの「Outdoor Gearzineベスト100ギア」でも取り上げましたが、バックパッキングで使える超小型のエアマットレス用電動ポンプの面白い製品がここ数年でポロポロと登場してきていることに気づきました。

今年に入るとそのうねりはさらに激化し、最近では無視できないほど画期的な新作がいくつか登場し、これはちょっと掘ってみようかと思ったので、今回はそのアツい市場の模様を俯瞰してみようと思います。

FLEXTAIL

ひとつめの注目ブランドはFLEXTAIL。2012年学生であった創業者たちがバックパッキング旅行に出かけたことをきっかけに、本格アウトドア用品の開発をスタート。今やエアマットレス用の小型電動ポンプのジャンルをリードする存在に成長していきました。

TINY PUMP 2X

代表モデルは昨年のOutdoor Gearzineベスト100に選出したこのTINY PUMP 2Xです。わずか46×45×59mmというサイズで重さも96グラム(エアポンプのみ)。空気圧は4kPa(0.58PSI)で180L/分の空気流量を実現。USB-C充電可能なバッテリーはシングルサイズのエアマットを約40回分の寿命を持ち、ランタンにもなります。もちろん主要なブランドのエアマットバルブに対応しています。

ZERO PUMP

今年初めに登場した、FLEXTAILの新作は、上のTINY PUMP 2Xをさらに上回る約33グラム(バッテリー含めると実測約50.8グラム)という驚きの重量を実現したモデル。サイズも26 x 26 x 75mmと細長で小さくなり、携帯性は格段にアップしています。

気になるパフォーマンスの方はというと、最大圧力2.5kPa(0.36 PSI)180L/分の空気流量、交換可能なUSB-C充電式バッテリーはシングルサイズマットレス17~25回程度充填可能と、パワーや多機能性は2Xほどではないにしても、マットを膨らませるだけなら実用性は十分です。

Aerogogo

FLEXTAILと激しい競争を繰り広げているトップブランドのひとつが2017年創業のAerogogoで、15年にわたる空気力学の学術研究に注力してきたという深い研究開発力を武器に、アウトドアの幅広い分野でインフレータブル技術の限界に挑戦し続けています。

GIGA PUMP Air

もっとも注目したいのがこの夏新登場の最新超小型エアポンプ。その重量なんと28グラム。バッテリーを一般的なモバイルバッテリーで代用することができるため、本体は指でつまむほど小さなサイズを実現でき、またバッテリーがある限り何回でも充填が可能です。

興味深いのは、モバイルバッテリーだけでなく、5V/3A出力に対応したあらゆる機器に接続することができること。スマートフォン、アウトドアランタン、Bluetoothスピーカーなど、必要な電力さえ供給できればポンプを作動させることができるとか。

パフォーマンス的には、最大圧力3.5kPaと高い空気圧に加えて180L/分の空気流量と、充填スピードもかなり速い!この軽さでこれはヤバい。

バルブのアダプターも6種類と安心。

先日行われていたキックスターターで購入してみたので、届き次第使用レポートをお伝えしたいと思っています。

Alpenglow Gear

次はこれまでと打って変わって新興の小規模ブランドAlpenglow Gear。おそらくまだ設立後数年しかたっていないであろう同ブランドは、テスラ社で電気自動車の設計に携わっていた創業者がコロナ禍でDIYに目覚め、その後休職して歩いたPCTロングトレイルでこのアイデアを思いつき、約 2,000 マイル歩いた後テスラモーターズを退社して事業を開始しました。

何といってもこの最新ギアの驚きは、重さがわずか5セント硬貨2枚分(8.5グラム)であるということ。こちらもバッテリーを汎用モバイルバッテリーで代用しているため、サイズも50 x 35 x 15mmと手のひらサイズ。しかも未確認ですが、ほとんど音もなくと書いてあります。

自分がこの手のアイテムで目下唯一不満に思っているのは、作動中に出る甲高い音です。まるで掃除機のような音がします。密集したテント場であれば使うのをはばかられるレベル。それがなくなればそれはかなりポイント高いです。

ただ、空気圧が公表されていないところがちょっと怪しい。最大空気圧や時間当たりの空気流量などのスペック的なことが非公表な代わりに、主要なマットレスの充填時間が公表されていますが、これがかなり時間がかかっている。おそらく他のモデルと比べてパワーは弱いと思われ、パッドを膨らませるのに時間がかかることは覚悟しなければならないでしょう。

こちらも先日意を決して購入してみました。近々レビューしてみる予定です。

Pad-Pal V5.2

謎のガレージブランド、Rex-Creationsの開発したわずか9グラムのパッドインフレーター。3段階に出力を切り替えられ、redditでのユーザー書き込みによると最高設定では約40秒でワイドサイズのネオエアXLITE NXTが充填できたとか。音も低設定なら静かめ。ただ3Dプリントされた小さなプラスチック部品なので、それほど耐久性は望めない気がする。いずれにせよ、まだ日本からわざわざ輸入するまでもないかもしれませんが、今後も注目していきたいと思います。

他にも気になる製品はぞろぞろと。

上記の3ブランドが要注目ですが、それ以外にも押さえておこうと思われる製品がいくつかありました。

サーマレスト ネオエアーマイクロポンプ

スリーピングパッドでの世界的ブランドのサーマレストは、結構前から自社用の電動ポンプをすでに出しています。ネオエアーシリーズマット専用ポンプなので、今となってはこれを選ぶ積極的な理由はないかもしれません。

Naturehike

価格競争力でAmazonを中心にじりじりとユーザーを伸ばしている中国ブランド、Naturehikeも予想通り出していました。そしてこれも想像通り、スペック的に驚くものはないのですが価格を抑えてきています。とはいえそれほど安くもないので、この分野に関してはそこまで惹かれるほどではないかも。

その他正体不明のAmazonもの

その他、Amazonを掘ればいろいろとあやしいものがたくさん出てきました。この辺はもう当たりはずれは運だと思います。

その中で重さは不明ですが、4.5 kPa(0.65 PSI)の空気圧と13 CFM(360 L/min)の風速というパワフルさを備えたこのモデルはちょっと興味を持ちました。この写真のサイズ感が本当であればいいのですが。。

現状ではAlpenglow GearとPad-Pal V5.2以外の製品を試してみることができそうです。というかAlpenglow Gearは価格が高いので正直購入を躊躇しています。いずれにせよ、この1年が終わるころにはこの小さな戦争には決着がついているかと思うので、そのころにまとまった記事を書こうかなと。

そしてまさかのマットレス&ポンプ一体型

驚くほど軽量自動膨張式スリーピングパッド「Tiny Sleeping Pad R09 AVS」

そして最後に、自動ポンプ機能がエアマットレスに内蔵されたスリーピングパッドも今シーズンついに登場。つい最近までMakuakeにてプロジェクトが行われていました

驚きなのはわずか498g重量とコンパクト収納サイズながら、自動膨張機能(60秒で満充填)を備え、しかも5層のアルミ断熱フィルムを内蔵してR値が9.4というからすさまじい。今後試す機会があればその実際をお届けしたいと思います。

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