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【保存版】トレッキングシューズ選びでもう迷わない。登山ビギナーが知っておくべき失敗しない選び方のポイントを、日本の登山靴メーカー・キャラバンに聞く ~自分にとってぴったりの一足に出会う方法~

なぜ「登山靴(トレッキングシューズ)が合わない」という人が後を絶たないのか?

かつて日本の登山シーンでは、山に登るための登山靴(トレッキングシューズ)を買うとなれば専門店に行って足を測ってもらい、そこでいくつか選んでもらった選択肢の中から足に合う靴を履くというある程度決まったパターンが確立されていました。しかし現在では、ご存じの通りスタイルの多様化とともに登山靴の種類も爆発的に増え、さらに内容が本当か嘘かに関わらず大量の情報を簡単に集めることができるようになったことで、多くの登山者の間で「登山靴のミスマッチ」が起こってしまっているのが現実です。

「街でも使える」「軽くて柔らかくて歩きやすい」といった汎用性や快適性がアピールされる一方で、いざ山に行くと「靴擦れで足が痛い」「下りでつま先が当たって爪が黒くなった」「濡れた路面で滑って怖い」といったトラブルに苦しむハイカーや登山者が後を絶ちません。

なぜ、登山靴選びはこれほどまでに悩ましいのか?

その答えを求めて、今回は 1954年の日本山岳会によるマナスル遠征隊の登頂挑戦以来、日本の登山者の足元を支え続けてきた老舗登山靴専門メーカー「キャラバン(Caravan)」にお邪魔しました。お話を伺うのは、営業、国内企画・仕入れ、そして広報と、30年近く同社で日本の登山靴を見つめ続けてきた井原さんです。

初心者が陥りがちな誤解から、現場での不快なトラブルを解消するノウハウ、そしてお店で自分に最適な1足を見極めるためのフィッティング方法まで、幅広い疑問・質問をじっくりと伺わせてもらい、その一つ一つに丁寧に答えていただきました。さらには「キャラバンがいかに『日本人の足』について考えて、こだわり続けてきたのか」など、ここでしか聞けないトレッキングシューズ作りの裏側に迫ります。

お話を伺ったのは…

1. キャラバンに聞く、登山靴選びについての素朴な疑問と真実【Q&A】

以下のそれぞれの疑問をクリックすると回答が開いて読むことができます。

A1. キャラバンの回答:「絶対にダメなわけではない」が、山をより安全・快適に歩けるのが登山靴です

「ダメですか?」と聞かれたら、「絶対に登れないわけではない」というのが正直な回答になります。ただ、ランニングをするためにランニングシューズがあるように、山を安全に歩くために作られたのが登山靴です。

最大の違いは、「不安定な不整地で、長い距離と時間を、重い荷物を背負って足を支えられるか」という点にあります。

アスファルトの平地を歩くスニーカーと違って、砂利や岩でゴツゴツした路面、泥や水たまり、木の根で凸凹した道など多様な地形を想定しているのが登山靴です。そんな複雑な地面を、重い荷重を支えながら足を捻らずに長時間歩き続けるために設計されています。「滑らない」「痛まない」「疲弊しない」という安心感と体への負担の少なさは、山を1日歩いてみればすぐにお分かりいただけるはずです。

A2. キャラバンの回答:これは明確に「やめたほうがいい」です。

これに関しては、「明確にやめたほうがいい」とお伝えしたいです。

登山靴は、ミッドソール(靴底の中間層にあるクッション)部分にポリウレタンなどが使われている場合、使用回数にかかわらず時間経過とともに「加水分解(経年劣化によりミッドソールがボロボロに剥がれる現象)」を引き起こす可能性があります。

すべての中古品が粗悪品であるとは言いませんが、どうしても中古品は前オーナーがどのような状態でどれくらい保管していたのかという実際の履歴を知ることができません。画面の写真や、手元に届いたときには綺麗に見えていたとしても、いざ山を歩き始めたら、途端にソールが剥がれて完全に歩行不能になる、といった危険性がないとは言えません。登山は下手をすると命に関わるアクティビティですから、余計なリスクを避けるためにも、安全を買うという意味で最初の1足は必ず新品を選ぶことを強くおすすめします。

A3. キャラバンの回答:比較的ソフトで守備範囲が広く、それでいてしっかりと丈夫なハイキングシューズからスタートするのがベスト

まず大前提としてお伝えしたいのは、「いつどの山でも使える万能な一足というのは存在しない」ということです。登る山の標高、地形や路面の状況、気象条件、そして荷物を含めた自身の重量と歩く速さに合った靴を履くことこそが、登山靴選びの核心になります。

店頭には大きく分けて以下のようなカテゴリーが並んでいますが、それぞれが異なる目的と地形を想定して設計されています。

カテゴリー想定するシーン・特徴
トレイルランニングシューズ不整地を「走る」ための軽さと適度な保護性、足首周りの動きやすさ、非常に高い柔軟性。
アプローチシューズクライミングエリアの岩場まで移動するためのアッパーの丈夫さと、簡単な岩登りもできる岩場で滑りにくいソール。
ハイキングシューズ整備された低山の登山道などを歩くための適度な丈夫さとグリップ、軽快に歩くための硬すぎないソール。
トレッキングブーツそこそこの荷物を背負い、不整地を安定して長距離歩くためのホールド感と適度な剛性、やや硬めで耐久性のあるのソール。
マウンテンブーツ森林限界を超える岩稜帯や残雪期の重荷歩行に対応し、非常に剛性の高いアッパーとソール。
アルパインブーツ厳冬期の雪山登山に対応する優れた保温性と耐久性、アイゼン装着を前提とした極めて強固なソール。

初心者の方がやってしまいがちなのが、「大は小を兼ねるからはじめからマウンテンブーツにしよう」という選び方や、逆に流行の軽快さに惹かれて「脚力がついてないにもかかわらずトレイルランニングシューズで重装備登山に挑む」といったミスマッチです。

特に登山靴に慣れていない段階で、最初からガチガチに硬い本格的なブーツを履いてしまうと、足首や履き口が不自然に当たって赤く腫れたり、ひどい靴擦れを起こしたりする原因になります。

だからこそ、最初の1足目は、比較的ソフトで守備範囲の広いハイキングクラス(キャラバンで言えば超定番の『C1_02S』など)からスタートするのが最も安全で推奨される選択肢です。もちろんその靴で岩場の多いアルプスなどにいきなり挑むのではなく、まずは近くの里山や森林限界あたりまでの日帰り登山などから始めましょう。

そうして低山ハイクなどで経験を積んでいくと、人によって「岩場に立ったとき、この柔らかさだと少し足裏がねじれるな」「もっと荷物を背負いたいけれど、足首のホールド感が物足りないな」と、靴の剛性(硬さ)に対して不満や不安を感じるタイミングが訪れます。その不満や不安を感じた段階こそが、より剛性の高いモデル(グランドキングなど)へ移行する正しいステップアップのタイミングです。

最終的には、行く山やその日の登山スタイル(日帰りハイクなのか、テント泊縦走なのかなど)に合わせて、用途別に複数足の靴を使い分けるのが理想的です。実際に山を長く楽しんでいるベテラン登山者や登山ガイド/山岳ガイドも、その時の山の環境に応じて2〜3足を巧みに履き分けているんですよ。

A4. キャラバンの回答:人にもよりますが、一般的にはミッドカット以上のブーツタイプを選ぶのが無難です

最初の登山靴として選ぶなら、キャラバンシューズでいうなら「C1_DL MID(写真右)」のようなミッドカットや「C1_02S(写真左)」のようなマイルドなハイカットが無難。

最近はトレイルランニングシューズのようなローカットで身軽に歩くスタイルが流行っていますし、「軽くて歩きやすそう」と憧れる気持ちはとてもよく分かります。

しかし、安全面を最優先にするならば、やはり初心者や重い荷物を背負う場合、そして疲労が溜まる後半戦ほど、ハイカットやミッドカットを選ぶのが圧倒的に安全です。

ハイカットやミッドカットの最大の役割は、「ぐらついたときの初動を防ぐ」ことにあります。不整地で足元がグニャッと傾きかけたその瞬間、アッパー(靴の側面)がくるぶしや足首に触れていることで、「あ、今足首が傾いている!」と脳が瞬時に察知し、体が反応して捻挫を未然に防ぐことができるんです。アッパーの支えがまったくなければ、初動を防げずにそのまま体重が乗ってしまい、一発で激しい捻挫を引き起こしてしまう危険が高まります。

さらに、足首周りがしっかりホールドされている靴は、下り坂で足が前にズレ動くことによって、つま先が靴の先端に当たるのを物理的に防ぐ効果もあります。ローカットではどれだけきつく靴紐を締めても、下りで足が前方向にズレ動くのを止めることができません。これまで、歩きやすいからとローカットを履いたはいいが、下山中ずっとつま先が強く当たって苦痛を感じたり、足の爪が内出血で黒くなってしまった人を何人も見てきています。

よく「下り坂になると、足が前にズレてつま先が当たって痛い」という方がいますが、この原因は靴のサイズが小さいからだけとは限りません。実は「靴の中でかかとや足首周辺、甲などがしっかりフィッティングホールドできていない」ことが原因である可能性もあります。ミッドカット以上の靴であれば、下り坂に入る前に一度、甲から足首にかけての靴紐ををキュッと締め直して足を靴の後方にしっかり固定してあげるだけで、正しいサイズであれば足は前にズレ動きにくくなり、つま先の痛みは激減しますので試してみてください。

足首のカットによる強み・弱みの違い

ハイカット / ミッドカットローカット (トレランシューズ等)
  • 足首を左右から包み込み、グニャッとなる「初動」を抑制
  • 下り坂で足首から上をホールドし、つま先の前方向へのズレ動きを防止
  • 荷物が重いときや、疲れて踏ん張りがきかないときも足を支えてくれる
  • 足首がフリーで動きやすく、平地での軽快さは抜群
  • 不整地での一瞬のぐらつきが、そのままダイレクトに捻挫などのケガに直結
  • 重い荷物を背負っていると、足首の関節だけで体重と荷重を支えるため疲れやすい

ローカットで山を走っている人たちは、そのリスクを十分に理解し、それをカバーできるだけの足首の筋力や歩行技術(バランス感覚)を持っているから履きこなせています。筋力が十分に備わっていない初心者の方や、後半に足が疲れてガクガクになってしまう方は、迷わず足首をサポートしてくれるミッドカット以上を選んでください。

実を言うと、キャラバンの社員として登山教室などのイベントで登山をする機会も多い私は、山に入るときは絶対にローカットは履きません。荷物を背負って歩く以上、一瞬の油断で『グリッ』とやってしまうのが一番怖いですからね。安全マージン(余力)を持っておくためにも、足首のホールドは絶対に妥協してほしくないポイントです。

A5. キャラバンの回答:同じ「3E(足囲)」でも足形は全く異なります。実際に足を靴に入れてみないと本当に合うかどうかは分かりません

これも、フィッティングにおける最大の罠のひとつですね。より専門的な足のサイズ測定器のなかには、足の長さだけでなくより細かな計測ができる機器がありますが、そこで判明した「3Eや2E」といったワイズ表示(JIS規格)は、「実は足の横幅だけでなく甲の高さも含めてぐるりと一周測った『足囲』の数値」なんです。つまり、「甲は低いけれど、横幅がすごく広い人」と、「横幅は細いけれど、甲がものすごく高い人」は、ぐるりの測定数値(足囲)が同じになるため、どちらも「3E」に分類される場合があります。だからこそ、数値だけで「自分は3Eだからこの靴」と決めつけてはいけません。

同じ「3E(足囲)」でも足形は全く異なる!

・パターンA ➔ ( 足幅:広 / 甲の高さ:低 )

・パターンB ➔ ( 足幅:狭 / 甲の高さ:高 )

※ 測定器で「3E」と出ても、実際の骨の当たり方やフィット感は全く別物になる可能性があります。

またこれも勘違いされている方が多いのですが、「同じメーカーだからと言ってすべて同じ足型の靴を作っているわけではない」ということも注意が必要です。キャラバンの靴は「幅広」という一般的なイメージがあるようですが、実際にはすべての製品が同じ幅広というわけではなく、モデル(木型・ラスト)によってフィット感をミリ単位で変えています。

例えば定番の『C1_02S』は指先を自由に動かせる気持ちゆったり目の設計ですが、ステップアップモデルの『GK_ALT』シリーズは甲をしっかりと押さえ込み、足がブレないややタイト目な設計にしています。必ず店頭で異なるモデルを3足以上は履き比べて、自分の足との相性を肌感で確かめてください。

A6. キャラバンの回答:靴擦れの原因は単なる「靴が足に合っていない」というだけとは限りません

靴擦れの原因はサイズの不適合だけではなく、ソックスや靴紐の緩みなど複数の要因が考えられる。

靴擦れは単なる「靴が足に合っていない」という問題だけでなく、履き方や周辺アイテムといった複数の要素が絡み合って起こります。主な原因は以下の5つです。

1. サイズの不適合(大きすぎる靴を選んでいる)

普段履きと同じゆったりした感覚で大きすぎたり形が合っていないサイズを選ぶと、歩行中に靴の中で足が前後に動き、激しい摩擦が生じます。

2. かかとの収まり具合の悪さ

かかとや足首周辺、甲などがしっかりフィッティングホールドできておらず、歩くたびにかかとが動いたり浮いたりしてしまう。

3. 靴紐(シューレース)の緩み

靴紐は歩行中の足の動きや衝撃などで緩みやすいものですが、登りはじめる前に締めたっきり、歩行中(登り・下り)に紐を調整・増し締めをおこなわないと、内部でブレが発生します。

4. 靴下(ソックス)の選択ミス

ここを軽視する方が非常に多いです。登山には必ず登山用の「中厚手以上の総パイル地ソックス」を履いてください。パイル(ループ状に編まれた状態)がクッションとなり、靴と足の隙間を適度に埋めて摩擦を防いでくれます。

5. 足の蒸れの放置

普段履きの薄い綿ソックスなどを履いていると、汗を吸いきれずに靴内部がサウナ状態になります。水分で皮膚が湿ってふやけると、少しの摩擦でも簡単に水ぶくれや皮剥けが起きてしまいます。

A7. キャラバンの回答:普段はあまり体験しない「ゴツゴツした不整地」は、ソールの硬い靴の方が歩きやすい

「お店の平らな床で歩きやすかった柔らかい靴」は、「登山では柔らかすぎて疲れやすい靴」になってしまうからです。

ゴツゴツした不整地を歩くとき、靴が柔らかいと地面の凹凸に合わせて靴がねじれたり曲がったりします。すると、自分の足裏やふくらはぎの筋肉を使って、グラつく体を必死に支え続けなければならず、あっという間に疲労が蓄積します。一方で、しっかりとした剛性のある靴は、地面の凹凸に負けずに靴全体で足を支えてくれるため、足の筋肉を無駄に使わずにフラットに立ち込めます。

ご存じの方もいるかと思いますが、この「登山靴の硬さ」を決めているのは、外側のゴム底(アウトソール)ではなく、中にサンドイッチされている「シャンクボード(樹脂製やカーボン製の芯材)」です。

登山靴の硬さを生み出す「芯材」のイメージ

このシャンクボード(芯材)の材質や形状、薄さをモデルによって調整することで、靴底(足底)全体の剛性具合を商品モデルに応じて変えているのです。シャンクボードがねじれや不必要な屈曲を防ぐことで、重い荷物を背負ってもブレずに歩けるようになります。自分の足首や歩行技術が未熟なうちは、靴の剛性に「足を支えてもらう」ことが安全登山への第一歩です。

A8. キャラバンの回答:ミッドソールは柔らかければいいというものではないですし、アウトソールは素材や形状によって得意・不得意な地形があります

かかととつま先部分には硬めの、中足部には柔らかめと、ミッドソールに硬さの異なるEVA(樹脂素材)を組み合わせ、安定性とクッション性を両立させている例(GK-ALT HI)。

お店で試履きしたときに、スニーカーのように「フワフワしてクッション性が高くて気持ちいい!」と感じる靴は魅力的に感じますよね。しかし、ここにも大きな落とし穴があります。

クッション性を担うのは、中敷きの下にある「ミッドソール」という部分です。柔らかくてぶ厚いミッドソールにすればフワフワとして一時的には快適に感じるかもしれませんが、その状態でゴツゴツした岩の上に乗ると、踏み込んだ部分だけがグニャッと沈み込んでしまいます。その結果、靴の中で足が横にブレやすく、姿勢バランスをとるため下半身は余計に疲労していきます。さらにはそれを何度も繰り返すことで靴擦れやマメの原因にもなり得ます。つまりミッドソールは柔らかければ柔らかいほどいいというわけではありません。

かといって、衝撃吸収性が全くないガチガチのミッドソールでは、着地したときの衝撃がダイレクトに伝わり、それもまた足裏を痛めてしまいます。つまり登山靴のミッドソールは「衝撃を吸収するクッション性」と「足のブレを防ぐ安定性」のシビアなバランスが求められます。例えば、私たちの『GK(グランドキング)』シリーズでは、硬さの異なるEVA(樹脂素材)を足の各部位に応じて部分的に組み合わせることで、この相反する要素を両立させています。

そして、地面に直接触れるゴム底「アウトソール」についても同様に『万能』はありません。世界的なアウトソールブランドのヴィブラム(Vibram®)ソールであっても、路面の条件によっては滑ります。

大切なのは、歩く場所(用途)に合わせてソールのラグパターン(溝の形状)やゴムのコンパウンド(配合)が最適化されていることです。

構成としては、ハイキング向けの靴(C1_02Sなど)は、歩行時のスムーズさを出すためにソールの角に少し丸みを持たせています。一方、高山用の本格的なブーツは、岩場の僅かな突起に立ち込めるよう、ソールのエッジ(角)が非常に鋭角に立っています。

岩場の細かなホールドにも立ち込めるようエッジ(角)が鋭角に立っているマウンテン系ブーツのアウトソール(左)と、歩行時のスムーズさを出すためにソールの角に少し丸みを持たせたハイキング系のトレッキングシューズのアウトソール(右)

ここで知っておいてほしいのが、「ソールは摩耗によって性能が劇的に変化する」ということです。

丸みのあるハイキング用ソールは、すり減りによって角がさらになだらかになると、濡れた粘土質の泥道などで一気に滑りやすくなります。岩場用のエッジが立った高山用ソールも、摩耗してエッジが丸くなると、接地面積自体が減って不安定さが生まれます。

単に「滑らない」というスペックの看板だけで選ぶのではなく、自分の行く山域の地形も考慮したうえでラグパターンにも目を向けて、摩耗によるソールのすり減り具合を定期的にチェックすること。これが、山でスリップ事故を防ぐために最も重要な意識となります。

ミッドソールとアウトソールの役割

ミッドソール(クッション & 安定性)アウトソール(グリップ & 泥抜け & 耐久性)
  • 柔らかすぎると、岩場で踏み込んだときに沈み込み、足ブレ(靴擦れの原因)を起こす
  • 硬すぎると、衝撃が吸収できずに足裏が痛くなる
  • ⇒登山では「適度な硬さで荷重を支え、ブレを防ぐ」のが重要
  • ハイキング用(C1_02Sなど):接地面積が広く、角が丸めで、土の上を滑らかに歩ける
  • 岩稜・高山用:岩に引っかからないようスリムで、角(エッジ)が鋭く岩を捉える
  • ⇒ 摩耗する(すり減る)と、本来の泥抜けや岩を捉えるエッジング効果が失われて、性能が変化する

A9. キャラバンの回答:それぞれに一長一短があり、目的や重視する機能に合わせて選ぶのが最適解

かつては登山靴といえば本革で作られている製品が主流でしたが、現在では初心者向けから上級者モデルまで、用途や目的に合わせて本革・合成皮革・合成繊維と大きく3種類の素材があります。それぞれに明確な一長一短がありますので、メインで歩く場所や地域、そしてアクティビティや目的に合わせて選ぶのがよいでしょう。

レザー(本革)

手入れの手間はかかりますが、圧倒的な耐久性があり、何より「履き込むほどに革が自分の足形に変形して馴染む」という、唯一無二のフィット感に育ちます。外反母趾や特定の骨が当たる場合、本革なら部分的に引き伸ばしてフィット感を調整することも場所によっては可能です。

合成皮革

本革に似せて作られた人工的な皮革である合成皮革は、本革ほど岩への擦れに対する耐久性などは高くないものの、耐水性に優れ、汚れが付きにくく手入れが簡単で、安価に作れるというメリットがあります。

合成繊維(化繊)

軽くて通気性が良く、最初から柔らかいため、買ったその日から足に馴染みやすいのがメリットです。一方で、レザーに比べると擦れや引き裂きに対する耐久性は劣ります。

コンビネーション(化繊×レザー)

軽さと通気性を化繊で持たせつつ、岩に擦れやすい側面や負荷がかかる部分に本革を配置した、いいとこ取りのハイブリッド設計です。キャラバンの上位モデルなどでも適材適所で採用されています。

A10. キャラバンの回答:つま先部分を指で押してみれば、その靴が山で足を守れるかどうか、ある程度分かります

登山靴における「丈夫さ」とは、単に「長持ちするかどうか」だけでなく、「外部からの衝撃から足をどれだけ保護できるか」という安全面に直結する性能です。

山道では、木の根に足を引っ掛けたり、岩につま先を強くぶつけたり、あるいは岩同士の間に足を挟んでしまうなどさまざまなアクシデントが起こり得ます。もし靴の先端(つま先)が柔らかいスニーカーのような構造だったら、指を強打して怪我に繋がりかねません。

そのシューズが登山をするうえで十分な堅牢性があるかどうかを、お店で誰でも簡単に確認できる方法があります。それは、「店頭でつま先を指で上から押してみる」ことです。

店頭でできる!つま先の剛性セルフチェック

登山靴のつま先(トウガード部分)を指でぐっと押してみる

➔ [ 合格ライン ]:指で押しても潰れず、しっかりと硬さを保っている
➔ [ NGライン ]:ペコペコと簡単にへこんでしまう

店頭でつま先を指で押してみて、簡単にへこまない程度の剛性が、不整地での足の保護に十分かどうかの目安となります。ただもちろん、剛性がない靴がすべて山に適さない靴という分けではありません。ファストパッキング用モデルなど、軽快さや柔軟性のためにあえてプロテクションを下げているシューズもあります。ただ最近は「登山対応」と謳う非常に軽量で柔らかいシューズが世の中にたくさん出回っていますので、上記の確認方法はあくまでも、そうした「登山靴用途として販売していながら堅牢性が不十分な製品」かどうかを見極めるための一つの方法として理解してください。

ちなみに私たちの『C1_02S』や女性用の『C4_03』は、入門者用のソフトなモデルであっても、つま先部分にはしっかりと頑丈なカップ芯材を入れていますので、指で押したくらいでは潰れません。

A11. キャラバンの回答:長く登山をするつもりであれば、防水(透湿)性は絶対に譲れないマスト機能

山では晴れていても、常に乾いている道ばかりとは限らない。ちょっとした水たまりや小川など、登山靴が濡れる可能性はいつでもあると思っていた方がいい。

「ダメですか?」と聞かれたら、晴天が約束されている日帰りハイキングなら防水がなくても登れなくはありません。しかし、登山を続けるのであれば、私は「防水性は絶対に譲れないマスト機能である」とお伝えします。

なぜなら、山では晴れていても、前日の雨によるぬかるみ、朝露に濡れた草むら(藪漕ぎ)、ちょっとした沢の渡渉など、足元が濡れるシチュエーションがいくらでもあるからです。そして何より、山の天気は本当に変わりやすい。街中で雨に降られて靴がびしょ濡れになっても、「気持ち悪いな」と我慢して帰れば済みますよね。でも、山ではそれが致命的なトラブルに直結します。

水が浸入して靴の中がぐしょぐしょになると、足の皮膚がふやけて極めて柔らかくなります。その状態で、重い荷物を背負い、下り坂で一歩一歩強く踏み込んだらどうなるか。簡単に皮が剥け、苦痛で一歩も歩けなくなってしまいます。山の中で歩行不能になることは、『遭難』を意味してしまいます。

「濡れて不快だから」ではなく、「足の皮膚を守り、自力で安全に登山を行うため」に防水透湿機能(ゴアテックス等)が必要なのだ、という想像力を持って靴を選んでいただきたいと思います。

2. 自分に最適な1足はどう選ぶ?キャラバンがおすすめする店頭での登山靴のフィッティング方法

自分に最適な登山靴かどうかを確かめるためには、1にも2にも店頭で試し履きすることが重要です。お店に行ったら、ぜひ以下の手順を試してみてください。

1. 登山用の中厚手以上のソックスを履いて、靴紐を完全に緩める

試し履きの際にはまず登山で実際に履く「中厚手以上のソックス」を履いて、そのうえで靴紐を「つま先の先端」まで完全に緩めます(※履き口だけ緩めて足を入れるのはNG。靴の本来の内寸を測れません)。

2. 足を入れて、つま先を一番前に突き当てる

足を入れたらつま先を一番前まで詰めたうえで、この状態で「かかと側に指が1本(約1〜1.5cm)入る隙間があるかどうか」を確認します。これが下り坂で指先を守るための「捨て寸」になります。

3. かかとをトントンと地面に打ち付け、かかとを後ろに密着させる

確認が終わったら、靴ひもを締めあげる前にかかとを後ろに密着させます。これでつま先側に適切なゆとりが生まれます。

4. つま先から順に、紐を1つずつしっかりと締め上げる

立った状態の足の形状に合わせて、足首を直角に曲げた状態で、先端から順にホールドしていきます。このとき、締めた部分が途中で再び緩んでしまわないように、片方の指で締め終わった部分を押さえながら締めていくと、先端から均等にしっかりと締め上げることができます。

また上部では、フックに掛けてから締めるのではなく、甲のホール部分までをしっかりと締めてからフックに掛けるようにしましょう(フックに掛けた状態で強く引っ張りすぎると、フック部分の破損に繋がりかねません)。

5. お店の傾斜台で「3つの動作」をチェックする

両足しっかりと紐を締め終わったら、店内の傾斜台を使って以下のような動作によって靴のフィット感をチェックします。

登り: かかとがパカパカと不自然に浮き上がらないか。

下り: 足が靴の中で前方向にズレ動いて、つま先が先端に当たらないか。

横向き(トラバース): 傾斜に対して横を向き、体重をかけたときに、靴の中で足が横にズレたり、側面が痛むほどの圧迫感がないか。

立って平地を歩くだけでは分からない「ズレ」が、横を向いたり踏み込んだりすることで初めて見えてきます。面倒がらず、最低でも2〜3足は履き比べて、足裏と靴が一体化する感覚を見つけてください。

3. キャラバンではじめる地形やスタイルに合わせたベスト・シューズ早見表

0. 【大前提】自分の足に合った形とサイズを選ぶ

1.【定番にして王道】C1_02S・C4_03

日本の登山靴の歴史を支えてきた、言わずと知れた定番モデルです。 日本人の足形に多い『甲高・幅広(3E)』に合わせた設計で、つま先周りにゆとりがあり、指先をグーパーと自由に動かせるのが最大の特長です。足首周りの生地も柔らかく、履いた瞬間から足に優しく馴染んでくれます。女性専用モデルの『C4_03』は、単にサイズを小さくするだけでなく、女性特有の細身な足幅や、ふくらはぎの位置に配慮して履き口を低く・柔らかく仕上げてあります。

こんな人・シチュエーションにおすすめ

これから登山を始める初心者の方や、甲高・足幅広めの方。日帰りの低山ハイクから、富士登山、一泊二日の山小屋泊登山まで。まず「最初の1足」として選ぶなら間違いない守備範囲の広さです。

2.【フィット感重視、ステップアップの一足】GK_ALT HI・GK_ALT MID(グランドキング)

『C1_02Sだと靴の中で足が少し遊んでしまう』という方や、フィット感を極めたい方にぜひ試してほしいのが、『グランドキング』ブランドのALTシリーズです。上質なスエードレザーを纏い、甲の高さや土踏まず周りをキュッと絞った、C1_02Sよりはややタイトな足型(ラスト)を採用しています。足全体が吸い付くようにホールドされるため、靴の中で足がブレず、ソールもしっかり硬さがあるので岩場でもぐらつかずに立ち込めます。

こんな人・シチュエーションにおすすめ

日帰りトレッキングから一歩ステップアップして、岩場の混じる中級山岳やアルプスなどの高山を目指したい方、足幅が普通~細めで「靴との一体感」を重視したいハイカー。本格的な登山道でブレない確実なステップが求められる岩場を含めたオールラウンドな地形を歩く、シュアーなフィット感が好みの方に最適です。

3.【タフさとプロテクションの最高峰】GK8X_FFF・GK85(グランドキング)

キャラバンのラインナップの中で、最も剛性(硬さ)と耐久性が高いガチガチの本格派モデルです!GK85はアッパーに極厚のヌバックレザーを贅沢に使用し、周囲を頑丈なランドラバーで覆うことで岩の擦れから足を守ります。高硬度のシャンクボード(芯材)が入っているため、重い荷物を背負っても足裏がねじれません。GK8X_FFFはクライミングシューズのように粘り強い『FFFソール』を搭載しており、濡れた岩や厳しい岩稜帯で圧倒的なグリップ力を発揮します。

こんな人・シチュエーションにおすすめ

近くアルプス縦走やテント泊を目指している方、素早く歩くということはなく、長い距離、重い荷物で歩き、その間に足元のトラブルはできる限り避けたいというタフさを求めるハイカー。北アルプス・南アルプスなどの鋭い岩稜帯、20kg近い重荷を背負うテント泊縦走、残雪期の山行など。

4.【軽快でソフトな履き心地】C1_DL MID・C1_DL LOW

『とにかく軽くて動きやすい靴が良い!』という声にお応えする、ライトハイキングシリーズです。ミッドソールとアッパーが非常に柔らかく作られているため、スニーカー感覚で買ったその日から快適に歩けます。MIDカットは足首の最低限のホールド感を残しつつ軽快に歩け、LOWカットは足首が完全にフリーになるため平地での歩行性能が抜群です。

こんな人・シチュエーションにおすすめ

尾瀬の木道歩き、霧ヶ峰などの整備された遊歩道、低山の日帰り軽ハイクがメインで、スピードを重視したファストパッキング、ゴツゴツした重い登山靴が苦手、普段履きやキャンプの延長でハイキングを楽しみたい方。※不整地や重装備の際は足首の捻挫には注意!

5.【岩場へのアプローチ&軽快ハイク】GK26

ローカットながら、悪路での走破性も備えたローカット・アプローチシューズです。つま先の先端近くまでシューレースホール(紐穴)が配置されているため、つま先から甲までミリ単位でタイトに締め上げることができます。ソールも薄めでダイレクト感があり、足裏で岩の起伏をしっかり捉えられるため、岩場でのホールド感が抜群です。

こんな人・シチュエーションにおすすめ

クライミングエリアまでのアプローチ、岩場の多い低山の日帰りスピードハイクなどで、足首の自由度が高いローカット好き、かつ足裏の感覚や立ち込みやすさを重視するこだわり派。足の筋力と歩行技術がしっかりしていて歩ける経験者におすすめの一足です。

初心者の1足目から、テント泊や縦走を見据えるステップアップのハイカーまで、個々の足型と用途に合わせられるキャラバンの登山靴ラインナップを整理して、ポジショニングマップにまとめました。

キャラバン トレッキングシューズの「エリア・アクティビティによるポジショニングマップ」

4. なぜ「キャラバンシューズ」はこれだけ多くの人に支持されてきたのか?キャラバンが「日本の登山」と「日本人の足」、「靴の構造」にこだわる理由

なぜ、70年以上にわたりキャラバンは世代を超えて日本の登山者から信頼を寄せられ続けているのか。その理由は、ブランドの根底に流れる一貫した「道具への誠実さ」にありました。

1954年、日本山岳会マナスル遠征隊から始まった「日本人のための靴づくり」

キャラバンの歴史は、1954年の日本山岳会マナスル遠征隊のために、日本人の足形に合うアプローチシューズを開発したことから始まりました。当時、海外製の硬くて狭い革靴しかなかった時代に、「日本人の足に馴染み、長い道のりを安全に歩ける靴を」と情熱を注いで作られたのが初代「キャラバンシューズ」です。

以来、一貫して日本の山フィールドと、日本人の特有な足形(幅や甲の高さ、かかとの収まり)を見つめ続けてきました。単に「幅広」にするのではなく、モデルによって時には数ミリ単位で木型(ラスト)を削り出し、指先の運動性を保ちながらも足ブレを防ぐ絶妙なフィット感を追及し続けています。

修理工房(リペア)に宿る「命を預けるギア」への誇り

キャラバンの靴に対する誇りは、購入後のアフターサービスにも表れています。キャラバンでは国内にあるシューズ専門の修理工房(リペア)と提携しており、熟練の職人たちが手作業でソールの張り替えやパーツ補修を行っています。

長年使い込んで自分の足形に馴染んだ愛着のあるアッパーを生かし、磨耗したソールを新品に張り替えて再び山へと送り出す。この一足一足に対する丁寧な手仕事とアフターフォロー体制こそが、「一度履いたらキャラバンから離れられない」と多くのベテランハイカーから長年支持され続ける大きな理由です。

山で自分の命を預ける最も重要なギアとしての登山靴

井原さん:ここ数年、「軽くて柔らかい靴が正解」という風潮が強くなっているのを感じます。もちろん軽さは正義ということも理解できますし、整備された平坦な道を歩くなら快適でしょう。しかし、登山というアクティビティは、一歩間違えれば遭難や重大な怪我に直結する環境で行われます。

ウェアは多少サイズが違っても登山をすることはできますが、登山靴が合わなかったり、剛性が足りずに足を痛めたりすれば、山の中では一歩も動けなくなります。だからこそ、登山靴は「おしゃれな普段履きの延長」ではなく、「自分の命を預ける最も重要なギア」と割り切って選んでもらえたらと思っています。

キャラバンシューズはモデルによってはミリ単位で木型を削り、モデルごとに行き先に合わせた剛性を設計し、修理工房を設けて愛着のある靴を長く使ってもらえる体制を整えているのは、すべて『日本の山を、怪我なく安全に楽しんで帰宅してほしい。そしてまた、山に出かけてほしい』という一念からです。

宣伝文句ファーストインプレッションだけで決めてしまうのではなく、自分の行く山と足の形に、誠実に向き合う登山靴選びをしてみてください。その丁寧な選択が、あなたのこれからの山旅をどこまでも安全で、快適なものに変えてくれるはずです。

キャラバンの最新トレッキングシューズの詳細と購入について

製品の最新情報や詳細についてはキャラバンの公式サイトをご覧ください。

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