ここ数年で爆発的に流行していると噂の「リカバリーウェア」。昨年は流行語大賞の候補にもなったらしいし、自分はテレビを見ないので知らなかったのですが有名タレントを起用したテレビCMなどもやっていたとか。
今回は、おなじみワークマンから販売されているリカバリーウェア「メディヒール」シリーズ(この春夏でうなるようにさまざまな種類のラインナップが拡充された模様)をこの冬試してみる機会を得たので、その感想と共に、本格的なシーズンに向けて今後の登山やアウトドアに使えるモデルはないかをチェックしてみた感想を共有したいと思います。
目次
「リカバリーウェア」というよりも「遠赤外線輻射テクノロジー使用ウェア」として山にも良いよね
この「リカバリーウェア」と呼ばれる製品の多くは大ざっぱにいうと、基本的には特殊な加工でセラミックなどの鉱物素材を練り込んだ繊維によって身体からの遠赤外線を効率的に輻射することができる衣類のことを指しているようです(もちろん各メーカによって細かな違いがあるとは思います)。
ただ、我々はついつい目新しいネーミングに踊らされがちですが、実は同じような性質を備えた製品は、登山愛好家にとっては何も珍しいものではありません。例えばゴールドウインでは体からの遠赤外線を輻射するテクノロジーを活用した「光電子®」によって20年以上前からさまざまな登山ウェア製品に取り入れられており、過酷な環境下での体温キープという側面で、その有効性はすでに知られていました。
もっとも当時は遠赤外線の輻射による「保温効果」に着目しており、特段に「疲労回復」機能に焦点を当てていたわけではありませんでした(ゴールドウィンは後にリカバリー専用コンディショニングウエアの新ブランド「Re-Pose」を立ち上げています)。
タイミングと売り出し方ひとつでこんなにも反応が変わるってのも興味深いところではありますが、とにかく、巷で「リカバリーウェア」として盛り上がりを見せている製品の正体は、これまでもあった「遠赤外線輻射テクノロジー」ウェアなのであって、重要なのはこの「何がどういう仕組みで機能しているか」の部分です。そう考えると、光電子ダウンのそれと同種の仕組みを備えた素材を活用した、かつての高機能ウェアを、ワークマンが「メディヒール」として2,000円を切る価格で販売しているという事実は、自分のようなもの好きなハイカーにとっては無視できない事件です。
果たして、この驚異的なコストパフォーマンスを誇るウェアは、山の現場でも「使える道具」になり得るのか?そこで今回は、日常向けのラインナップが混在するメディヒールのメンズ製品(おそらく全種)を日常で試着してみたので、素材感や生地構成、カッティング、登山レイヤリング適性などの面から、あえて「ちょっと山で試してみたい」と思った、ポテンシャルを秘めた3モデルをレポートしてみます。
メディヒールの仕組みとラインナップ、登山用途として何を期待するか
おさらいしますと、公式HPからの情報を転載すると、メディヒールとは「身体から放出される遠赤外線を、独自の技術で繊維に練りこんだ高純度のセラミックスが輻射することによる遠赤外線の血行促進作用により、疲労を回復する環境を整え」ることができる仕組みを備えたウェアシリーズ。遠赤外線の輻射により、疲労回復や血行促進、筋肉のハリ、コリの緩和、筋肉の疲れを軽減といった効果があるといいます※。
※効果には個人差があります。
※医療機器効果は上下セット着用時のものとなります。
実は試す前まで、メディヒールを含めたリカバリーウェアというのは「寝るときに着るためのルーズなスウェット上下」だけだと思っていました。ところがこのメディヒール、長袖に半袖、長パンに半パン、クルーネックにフーディ、コンプレッションウェアなど、実にさまざまな種類があり、多彩なシーンでこの遠赤外線輻射効果の恩恵を受けられるようになっています。
その意味で、自分はこのウェアの特性である「身体から発せられる遠赤外線を輻射する機能」を備えたウェアとして、これらの多彩なラインナップを眺めてみて、あらためて山で使えそうなモデルをピックアップしてみます。例えば、通気速乾性と効率的な保温性を備えたアンダーウェアやベースレイヤーとして使えないか?であるとか、寒いテント泊でもなるべく薄着であったかく、1日の疲れをとってくれるテント着として使えないか?など。もちろんそれぞれはダイレクトに登山用に作られているわけではないのだから、ところどころに粗があるのはこの際、細かい点は気にしません。山で着ることを想像できればOK。
「登山にも導入できる」と感じたメディヒールのおすすめ3モデル
1. 【Active】メディヒール® ドライ半袖Tシャツ(1,490円) 本格使用はこれからだけど、べたつきにくい涼感と「冷やし過ぎない」輻射効果で「ちょうどいい」涼しさ
まずは吸汗性が高く、汗をかいてもべたつきにくい涼感メッシュ素材に例の高純度セラミックス成分を練り込んだ半袖Tシャツ「メディヒール® ドライ半袖Tシャツ 2366」を挙げてみたい。
生地構成:
ポリエステル85%・ポリウレタン15%
重量:
191 g(Lサイズ実測)
山でこう使える?:
光電子®のベースレイヤー同様、運動中から遠赤外線の恩恵を受けることで、筋肉の過度な冷えを防ぎ、パフォーマンスの持続を狙えるのではないか。
試着インプレッション:
シリーズの中でも「ドライ」を冠する通り、ポリエステル主体の生地感が特徴。触れた瞬間にわかるさらりとした質感は、いわゆるリカバリーウェアっぽい「部屋着感」とはまた違い、普通の夏用シャツって感じで、行動中でも着心地がとてもよい。
ワークマンが作るスポーツ系ウェアにありがちなタイトすぎる作りではなく、適度なゆとりがあって真夏の気軽なハイキングに使う行動Tとして期待大。春秋のベースレイヤーとしても試す価値が十分にあります。
ここが気になる:
ストレッチ性を付加するためにポリウレタンが15%も入っているのが本当に不要。その分やや重みを感じるし、加水分解で長くは使えない。
2. 【Support】メディヒール® リカバリーフルレギンス(1,500円)& 長袖クルーネック(1,490円) キツ過ぎないコンプレッション、適度な保温性で春秋のタイツ・冬のインナーに最適
なんとメディヒールにコンプレッション系の「レギンス」が登場。トップスも販売されているのですが自分は苦手なのでこのボトムスに注目。
生地構成:
本体・メッシュ部分:ポリエステル85%・ポリウレタン15%
ウエストゴム部分:ナイロン60%・ポリエステル40%
重量:
141 g(Lサイズ実測)
山でこう使える(秋冬登山で実践済み):
数日かけて長い距離歩く縦走ではなるべく翌日に疲れを残したくないもの。疲労の蓄積によって感じる「足の重さ」への対策として、「コンプレッション×輻射熱」による足の血行促進に期待です。
試してみたいのは、寝ている間にもこれを着用することで、翌朝の筋肉の強張りがどこまで軽減されるか。タイツ形状だからこそ、遠赤外線が肌に密着しやすく、最も効率的にリカバリー効果を得られるのではと期待しています。
山での試着インプレッション:
自分は強いコンプレッションは苦手なのですが、大腿部からふくらはぎまでを優しめの密着感でカバーし、適度に動きやすさをサポートする作りがなかなか好感触でした。特にウエストゴムは幅広できつ過ぎず、長時間履いても腹部を圧迫しすぎない絶妙なテンションで、24時間穿いていても不快感が少なそうです。
また縫い目のフラットシームも抜かりなく、密着しながらも縫い目のごろつきはなく快適な穿き心地。またじんわりと感じる暖かみが下半身の冷えを抑えてくれ、逆に冬の登山で汗をかき始めた時は背面と股部分ににメッシュで通気性をよくしてあるので、蒸れがたまることもありませんでした。
正直秋冬の登山のインナーとして非常に優秀。春夏にはこれとハーフパンツの組み合わせを考えていますが、この感じだとかなり期待大です。
ここが気になる:
汗を大量にかいたときにどのような状態になるのか。またポリウレタン15%配合による重み、加水分解への弱さ。
3. 【Relax】メディヒール® ルームパイル長袖クルーネック(1,900円) 心地よい肌触りと吸汗速乾性でテント場着・着替え用トップスとして期待
3つ目はテント泊の夜を「極上のケアタイム」に変えてくれる(かもしれない)最小限の重量で優れた着心地と温もりによる快眠効果を狙ったパイル地Tシャツです。一応ロングスリーブをチョイスしていますが、半袖もあるので季節によっては半袖の方が手軽でいいかも。
生地構成:
ポリエステル100%
重量:
262 g(Lサイズ実測)
山でこう使える?:
テント場でのリラックスタイムに心地よく着られて、予備の山シャツとしても機能する快適さと機能性のバランスを突いた仕様。やや肌寒さが気になる環境でも、フリース一歩手前の「血行促進機能+パイル時による保温性を備えた中間着」として機能しそう。
ループ状の編み組織を備えたパイル時がデッドエアを溜め込むため、メディヒールの遠赤外線効果に「物理的な保温力」が加わっています。
試着インプレッション:
なんといってもパイル地はやっぱり肌触りが最高。肌当たりの柔らかさは、一日中ハードシェルやザックのストラップに締め付けられていた体にとって、何よりの解放感になります。またゆったりしたシルエットは、下に薄手のベースレイヤーを重ねても着膨れせず、シュラフの中での防寒着兼リカバリーウェアとして理想的。
ここが気になる:
山用としてはリラックスウェア過ぎてちと贅沢すぎやしないか。無駄な荷物となりやしないか。
まとめ:夏でも「冷やしすぎない」絶妙なバランスを提供する高機能化繊シャツ・パンツを、ありえない価格で
これまでの先端テクノロジーが証明してきたセラミック配合繊維による遠赤外線輻射という仕組みを、1,000円台という破壊的な価格で手に入れられるメリットは、これを活かさない手はないでしょう。
もちろん、登山専用ウェアに比べれば、汗処理や耐久性の面で一歩譲る部分はあるのは事実。ただ今回厳選した3モデルのように、適材適所でレイヤリングに組み込めば、それは立派な「山道具」として機能するポテンシャルを秘めているということも間違いではありません。
この春、3着をザックの底に忍ばせ、実際に「使える」レイヤーとなり得るのか、これからの本格シーズンで試してみるのが楽しみ。
最後に念のためご注意です。上記の内容はあくまでも個人の推測および感想です。本製品は一般医療機器ですが、効果の感じ方には個人差がありますので、その点はご了承ください。

