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東レの先端研究施設「人工気象室」に潜入。独自開発の高機能素材を採用したワークマン2026年新作ワークウェア『XShelter 暑熱Ω』の驚異的なパフォーマンスを一足先に体感してきた

以前からアンバサダーという立場で関わってきたワークマンですが、今回は山道具好きのための Outdoor Gearzine としては願ってもない機会が訪れました。

発端はワークマンの2026春夏新作ワークウェア「XShelter 暑熱Ω(オメガ)」。

近い将来外気温40℃越えが当たり前となることすら想定される容赦ない猛暑に向けて、ワークマンがこの春に放つ大砲です。この大注目のワークウェアで採用されている生地を供給しているのが何を隠そう、世界の素材産業を牽引するあの東レ。今回その最新ウェアの実力をいち早く体験するべく、滋賀県大津市にある東レ瀬田工場を取材してくることができましたので、その模様をレポートしてみます。

東レの瀬田工場があるのは、琵琶湖と淀川を結ぶ生命線として栄えた瀬田川を望む歴史ある街、瀬田。

地球上のあらゆる気象を再現する「人工気象室」とは?

我々が遠路はるばる滋賀県まで取材しに向かった最大にして唯一の理由は、ここにある「人工気象室」にあります。

琵琶湖に隣接する東レ瀬田工場は、1938年に繊維製品の生産を始動した歴史ある工場。現在では生産のみならず、さまざまな先端技術の研究・開発機能をも併せ持つ「複合工場」として機能しており、東レにとって「素材から最終製品までを一貫して科学的に検証できる」モノづくりの重要な拠点として位置づけられています。

日本有数の実験設備は、工場内にたたずむこの一見何の変哲もない建屋の中に。

この工場内の「テキスタイル・機能資材開発センター」にある開発拠点が「人工気象室」です。ここでは温度・湿度・風・降雨・日射量等を自在に調節できる本室と2つの副室、計3つの部屋を備え、多種多彩な気象条件をいつでも自在に再現できる、日本国内でも数少ない独自のハイテク施設。例えば、

といった(理論的には)地球上のほぼあらゆる気象環境が、制御室のボタンを操作するだけで即座に再現することができてしまいます。また本室と副室を異なる条件に設定して行き来することで、例えば真夏の屋外から冷房の効いた室内に移動する場面や、天候の急変といった、さまざまなシーンで起こりうる急激な温度・湿度変化を伴う状況までも再現が可能です。もちろん単に気象環境を再現するだけでなく、着用する人への影響をデータ化する最新の評価・解析設備も備わっており、体温や発汗状態など、さまざまな環境下での人体の生理的変化も計測することができます。

ここまで実際の状況を限りなく緻密に再現でき、さらに精密なデータまでも取得できる施設は世界でもごく限られた場所にしかないとか。ここでのさまざまな実験によって得られた膨大なデータが、より軽量で快適な素材や、革新的な機能性ウェアなどの高機能・高付加価値素材の開発に役立てられ、それが世界的素材メーカーである東レの研究開発力の源泉となっているというわけです。

今回はこの本室内に、真夏の過酷なフィールドを想定した【気温33℃、湿度50%、風速3m/sec、日射あり】という環境を完全再現。

そこで「XShelter 暑熱Ω PREMIUMジャケット・カーゴパンツ」と通常の綿を使った作業服とを着比べ、そのパフォーマンスを身体で直接体感してみました。

ワークマンの2026年春夏新製品「XShelter 暑熱Ω PREMIUMジャケット・カーゴパンツ」とは?

その前に、あらかじめワークマンの2026年春夏新製品「XShelter 暑熱Ω PREMIUMジャケット」について、その特徴をまとめておきます。

XShelter 暑熱Ω PREMIUMジャケット」とは、東レの先端技術から生まれた独自素材「暑熱Ω(オメガ)」を採用し、「気温・湿度・輻射熱・風の停滞」という熱中症の4大リスクを徹底解析して作られた、ワークマン史上最高グレードの暑熱軽減ウェアです。その大きな特徴は「遮熱 × 通気 × 気化冷却 × 速乾」による多面的な暑さ軽減メカニズムにあります。

圧倒的な遮熱性

暑熱Ωの繊維には、東レが独自開発した技術によりセラミック粒子が高濃度に含有されています。このセラミック粒子を練り込んだ特殊な断面構造が、外部からの熱エネルギー(近赤外線などの太陽光線)を効果的に反射・抑制し、衣服内への熱の侵入を防いで温度上昇を軽減しています。

しかもこうした粒子を練り込んだ特殊な構造の糸であっても脆くなったり硬くなったりするといったデメリットを生じさせず、素材が本来持っている風合いを損なうことなく、遮熱性能のみを大幅に向上させることに成功しています。

風が突き抜ける高通気性

東レの特許技術を基盤とした独自の空隙組織により、生地上に目に見えない微小な通気孔が精緻に形成されています。この構造が空気の流れを生み出すため、風が通り抜けて衣服内の熱やムレを排出しやすくしています。

汗を素早く拡散してドライを保つ気化冷却&速乾性

特殊生地設計により速乾性が高く、乾くときの気化熱を利用した気化冷却効果によって高い冷感性をもたらします。

紫外線状況が一目でチェックできる安全性

上腕やファスナーの引手等に「UVチェッカー」が搭載され、紫外線量に応じた色変化によって危険な環境をすぐに察知することができます。他にもリフレクターによる暗い場所での視認性向上など安全性に十分配慮されています。

人工気象室で体感。「XShelter 暑熱Ω」が生み出す驚きの清涼・ドライ感

はじめに説明や着替えなどを済ませ、いよいよ「XShelter 暑熱Ω」を着て人工気象室に足を踏み入れてみました。

室内はすでに前述した真夏の気象条件が整っており、扉を開けた途端ムアっとサウナに入るかのような熱気が否応なく体を包んできました。覚悟はしていたものの、入った瞬間からあのげんなりするような記憶がよみがえってきます。

室内は当然ですがメタリックな壁に囲まれていかにも実験室然とした、良くも悪くも無味乾燥です。ここにいるだけで(思う必要はまったくないのに)自分が実験台になっている気持ちになり、無意味にテンションが上がります。

多様な気象条件を再現できる「人工気象室」の本室

中には巨大な空調設備をはじめ、正面に風を送り込むための空気口、そして天井には大きなUVライトが人工太陽のごとく煌々と床を照らし、雨を降らせるためと思われる噴霧口も見られます。なるほどこれらの設備を外の制御室で調整することであらゆる気象状況が再現できるというわけです。

そよ風から強風までさまざまな風の状況を作り出す前面の通気口

天井に取り付けられた「人工太陽」によって、さまざまな場所・時間帯における日射量をコントロールする

そして背面には一回り小さい副室へのドアがあり、3つの部屋を自由に行き来することができます。前述したようにこれらを別々の気象条件に設定しておけば、急激な変化に対しての反応なども緻密に再現・検証することができるとか。

本室に直接繋がっている2つの副室へは自由に行き来が可能

ちなみに正面の大きなスクリーンには実際の環境を再現するための映像を流すなどして、心理的にもリアルな状況を再現するのだとか。実験施設ではありながら、こうした可能な限り実際のフィールドや場面に近い状況を作り出すためのさまざまな仕組みが組み込まれています。

うだるような暑さ、まとわりつく湿気、刺すような日差し。

見た目はひんやりとした実験室ですが、ここは紛れもなく真夏の屋外。恐ろしいのは、これでもここ最近の例でいうと7月の海の日あたりの東京の気象状況であり、8月にはさらに酷い暑さになるのだから、考えるとぞっとします。

室外では無反応だった上腕に配置された「UVチェッカー」を見ると、部屋に入ってしばらくすると、上からの紫外線に反応して真っ赤に変色していました(下写真)。

人工気象室に入る前(左)と入って5分ほど経過したとき(右)のUVチェッカー

この真夏を再現した室内で、ジャケットの機能を体験するべく、「XShelter 暑熱Ω(中には暑熱βシャツ)」と「従来の綿混作業着(中には綿のTシャツ)」それぞれで踏み台昇降を約5分間行ってみます。

運動をはじめる前から、「XShelter 暑熱Ω」と綿混紡ジャケットとの違いは明らかに感じられました。

通常の綿の作業服を着て室内に入ると、人工太陽から容赦なく降り注ぐ強烈な「日射」によるジリジリとした熱によって肩周りがみるみる暑くなってきました。風が吹いていても関係なく熱はこもり続け、まとわりつくような不快な暑さと汗ばむ感覚に襲われました。

一方、「XShelter 暑熱Ω」は同じ強烈な日差しを浴びているはずなのに、肩を焼くようなジリジリ感がありません。暑熱Ωの生地の特性である高い遮熱性能が、日射による熱を弾き返し、衣服内の温度上昇を強力に抑制しているというのは確かに感じられました。

もうひとつ驚いたのはやはり通気性。常にそよ風(風速3m/sec)が吹いている室内では、ウェアをスーッと風が通り抜けていく感覚が(綿混紡ジャケットとは違って)はっきりと分かります。これぞ「ドットエア」をはじめ高い通気性を備えた機能性生地を数多く手がけてきた東レの実力…。

さらに、その通気性と相まって感じられる高い「気化冷却効果」による清涼感にも感心せずにはいられません。この日は長時間着用による大量発汗までは試せないので、ここではウェアに霧吹きで水を吹きかけてみたところ、このウェアはその部分だけがとたんに涼しく冷えるのが感じられてきます。風によって水分が蒸発するときの「気化冷却」によって生地自体の温度が下がり、持続的な冷感をもたらしてくれるのです。

左手の袖口と右太ももあたりに霧吹きを大量に吹きかけてみると、すぐにその部分だけ清涼感に見舞われた

今回気象室の副室内に設置されたサーモグラフィカメラを使ってその状況を(お試しで)撮影してもらいました。本来データとして採用する場合には精緻な条件設定と、実験状況を揃えるための調整が必要なことから、今回サーモグラフィで表れている内容は決してウェアの効果を実証するものではありませんが、思いのほか違いがはっきりと出てくれたので参考までに共有します。左の「XShelter 暑熱Ω」を着たバージョンでは全体的に熱のこもりが少なく、また霧吹きを吹き付けた左袖と右太ももの温度がはっきりと低下していることが見て取れます。対して従来の綿混紡ジャケットの方はジャケット自体(特に肩回り)で熱をたっぷりとため込んで真っ赤になってしまっていることが明らかです。

まとめ:山好きも素直に驚く高パフォーマンスに、今後への期待しかない

今回、東レの先端施設での真夏を先取りする貴重な体験によって、高温・多湿・輻射熱・風の停滞という、熱中症を引き起こす4大リスクを徹底的に解析し、「超気化熱 × 超遮熱 × 超通気」で非常に優れた暑熱軽減効果を生み出す「XShelter 暑熱Ω」の実力をまざまざと実感することができました。惜しむらくはこの素材を採用した製品がまだワークウェアとしてのモデルのみだということですが、素材としてのポテンシャルは非常に高いことは間違いありません。これだけの高次元な機能素材を惜しみなく使いながら、「XShelter 暑熱Ω PREMIUMジャケット」の価格は税込4,900円と相変わらずの低価格。これが近い将来、過酷な夏山登山や真夏のキャンプといったアウトドアシーンに向けて作られたとしたらと考えると、期待しかありません。

今年も異常な暑さが予想される夏に向けて、ますます加速するワークマンの進化に今後も注目していきたいと思います。

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