SNS上ではちょこっとだけ伝えていましたが、今年も欧州最大の総合スポーツ用品展示会、ISPO MUNICHに行ってきました!
「ISPO MUNICH」といえば、ウィンタースポーツを中心に、世界から何千というブランドが集結し、未来の新作アイテムを発表する、スポーツビジネスの最前線を知るのにまたとない夢のモンスターイベント。2018年に引き続き今回が2回目の参加です。
長くこのサイトを続けていると、確かに主要ブランドの新製品なら、日本にいても各種展示会などでチェックできるようにはなってきました。にもかかわらず、こうして毎年、時には自腹を払ってまで海外の展示会を取材せずにいられない理由を一つだけ挙げるとすれば、それは「生まれたばかりの新しいブランドや製品の作り手たちに山ほど出会えるから」に尽きます。
そこに新しいブランドの新しい製品を発見する喜びはもちろんあります。でも個人的に重要なのは別の部分。希望と情熱に燃えた目をした彼らから受ける、大きな刺激やポジティブなパワーにあります。気さくで陽気な彼らと話をすると、日本にいて積もり積もった迷いや後ろ向きな考えがふっと消え、なぜだか前に進む勇気が出てくる。そんなある種のリセットをしに、今年も来てしまいました。
Outdoor Gearzineでは、このひたすら広い会場を4日間かけて歩きまわって目にした興味深いブランドやアイテムの数々を、これから何回かに分けてできる限り余すところなく紹介してみます。
毎度のことながら念のため、これから紹介する製品はあくまでも欧州市場を対象とした製品発表の場であり、それを現地での取材許可に基づき掲載しています。ここ日本での発売に関してはまったく無関係ですのでご注意ください。
目次
- ISPOで出会った注目のウィンタースポーツギア
- MAMMUT SOTA HS Hooded Jacket
- SCOTT Sports Patrol E1 22 Backpack
- Smith 4D MAG
- Black Diamond JetForce PRO BT
- Craft CTM Baselayer Hood Long Sleeve
- SPLIT SKI
- POC POCito VPD air vest + TRAX POC edition
- ODLO I-Thermic
- Peak Performance Argon
- snowcookie
- ORIGINAL+
- Bluebird Mountain POWDERBEE
- K2 MINDBENDER 116C
- G3 FINDr
- 10 PEAKS
- Allied Feather & Down TrackMyDown.com
- まとめ:次回はアウトドア・ライフスタイル編
ISPOで出会った注目のウィンタースポーツギア
MAMMUT SOTA HS Hooded Jacket
ここ最近の素材の進化を見ていると、重くてゴワゴワするハードシェルはもはや化石になりつつあります。MAMMUTの最新3レイヤーの防水透湿スキージャケットは4WAYストレッチ、立体的な心地よい肌触りのニット生地でソフトシェルと区別がつかない質感。要所にPrimaloft中綿をマッピングするなど保温・透湿・運動性に抜かりないあたり、次世代感ありまくりです。
SCOTT Sports Patrol E1 22 Backpack
近年画期的な機構が多く登場している電気制御のアバランチエアバッグの中でも軽量性や長寿命、低温耐性など多くの点で優れた「Alpride E1 System」を搭載したSCOTTのアバランチエアバッグ。今シーズンの初登場から矢継ぎ早に来シーズンは手頃な22Lも登場。そろそろ本気で欲しいぞ。
Smith 4D MAG
一見するとほぼフラットレンズなゴーグルに見えるかもしれませんが、レンズの下端を注意して見てください。緩やかにカーブしていて、少し前方に突き出ているんです。そのおかげでフラットレンズに不利と言われいていた視界の広さを確保しつつ、視界の歪みもないという、画期的なゴーグルっす。これも即、欲しいっす。
Black Diamond JetForce PRO BT
いち早く電動式のアバランチエアバッグシステムを導入した同ブランドの最新モデルは、さらに小型・軽量化が進んだうえに、ソフトウェアのBluetoothによるアップデートが可能に。もうすぐ、もうすぐ、アバランチエアバッグがバックカントリースキーの標準装備として普及する日が近づいている!
Craft CTM Baselayer Hood Long Sleeve
ベースレイヤー開発の最前線は、目的や用途に応じた、身体のパーツ単位での緻密な計算に基づく素材の種類、ボリューム、縫製方法などあらゆる工程の最適な組み合わせ。ドイツのCraftによる最新スノースポーツ向けベースレイヤーはオールニットでシームレスに編まれたフード付きロングスリーブで、異次元の動きやすさ、フィット、快適さを実現。ところどころに設けられた細かいメッシュパーツがまたニクイ。
SPLIT SKI
スキー板がバックパックから飛び出ないように収納できたらどれだけ楽で安全なことか。でも普通の人はしょうがないものとあきらめていますが、世の中には特異なことを考える人がいるもんだ。ポーランドのメーカーが発明したのは、名前の通り前後2つに分解可能な山岳スキー。構造的な意味で大丈夫なのか?と思いますが、実際に曲げてみたり、開発者曰く、フレックスに関しては問題ないとのこと。
POC POCito VPD air vest + TRAX POC edition
来シーズンPOCはデジタル技術によってより安全性を強化したスノーギアを多く展開する模様。そのうちの一つ、子供用のバックプロテクションベスト「POCito VPD air vest」は、胸ポケットにスマートGPSトラッカー「TRAX POC edition」が内蔵され、子供の現在地を把握するだけでなく、SOS、行動計測、スキーマップなど、両親がスキー場で安全に子供たちを見守る手助けをしてくれます。
ODLO I-Thermic
北欧ノルウェー発祥のテクニカル・アパレルブランドODLOがClime8社とコラボして開発した、一見何の変哲もないニット地のミッドレイヤーは、腹部周辺に極薄の温度調節機能が配置されており、スマホのアプリで細かな設定をすれば、内蔵センサーがアクティビティに合わせて自動的に体温を調整。デザイン・機能など年々洗練されてきているけど、今年はもう実用レベルに来たという感じ。
Peak Performance Argon
天然ダウンに匹敵するソフトな風合いと保温性を備えたThermore社の最新高機能リサイクル化繊中綿「エコダウン」を使用したPeak Performanceの最新ミッドレイヤー。欧州のトレンドであるサステナビリティを押さえつつ、おなじみのスタイリッシュなデザインに仕上げるセンスの良さには毎度のことながら脱帽です。
これは面白い。3つのセンサーをそれぞれ板の左右と胸に装着すると、これまで不可能だったボディポジションまでを含めた詳細な滑走情報がスマホのアプリ上でデータで確認できるようになります。自分の滑りってどこが悪いのか自分では分からないもの。一人で滑っていても一向に上手くならないと悩んでいた人にとっては超朗報!まだiOSしか対応していないけど、Android版もできたら絶対買う。と思ったらすでに日本でも展開してた!
ORIGINAL+
自分の体型や好みに最適化されたオリジナルアイテムを作れる”カスタマイズ(パーソナライズ)”製品は、スポーツやファッションのあらゆる分野で進行していますが、ついにスキー板の世界にも。ORIGINAL+はオーストリアのベンチャーが開発した完全オーダーメードスキー。自分の身体情報をインプットし、好みのスキースタイルや滑走地形などを追加していくと、独自AIアルゴリズムによってその人にパーソナライズされた世界でただ一つの自分にぴったりなスキーが作れてしまいます。ようこそ未来。
Bluebird Mountain POWDERBEE
ついにここまで来たか。雪崩による遭難者をいち早く発見するために開発されたドローンは、危険なバックカントリースキーの安全意識が急速に高まる昨今、登場するべくして登場したといえるでしょう。この小型軽量ドローンを携帯し、万が一の際にはボタンを押して数秒でスタンバイし、人間の10倍の速さで飛行、犠牲者の雪崩トランシーバー信号を頼りに探索し、犠牲者の近くに着陸することで大まかな位置を示します。手動での捜索に比べれば、こうしたハイテク機器が捜索の大きな助けになってくれることが容易に想像がつきます。
K2 MINDBENDER 116C
個人的に愛用しているK2のオールマウンテン向けスキーに新しいラインナップが登場。部分的に最適なフレックスと軽量性を可能にしたCarbon Spectral Braid技術を採用し、パウダーをより高レベルで楽しむための性能を発揮してくれるとか。
G3 FINDr
カナダの本格バックカントリー・ギアブランドG3から、ありそうでなかったツアー向けスキーが登場。この軽量なカーボン内蔵スキーは、同時にエッジ周辺に磁気を内蔵しており、スキー同士がぴったりとくっつく!スキーの持ち運びはもちろん、ザックへの装着などでもストラップ留めが不要になり、とりあえずいいことしか浮かばない。
10 PEAKS
これもありそうでなかった、グローブをはめたまま指先を出すことができるスキーグローブシリーズ。スマホ対応のグローブはたくさんありますが、現実問題、指が太すぎたり指先が余っていたりして結局脱いだ方が早いのが現状ということを考えると、これはこれで十分アリな気がする。
Allied Feather & Down TrackMyDown.com
近年のダウン製品需要増加とともに問題になっているのが、強制給餌された水鳥や、生きたまま毛を毟り取るライブプラッキングなどの非人道的な採集方法。そこで世界最大のダウンサプライヤーAllied Feather & Downが今秋から100の以上のブランドと小売業者と共同で開始するのがこのサービス。ダウン製品についたタグから、性能パラメータおよび追加情報へのアクセスなどのトレーサビリティを可能にします。
まとめ:次回はアウトドア・ライフスタイル編
以上、公開できる範囲から、さらに厳選してお届けしました。次回はお待ちかね、マウンテン・キャンプ・ライフスタイル系のアウトドアギアを紹介します!