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【Part1】欧州最大規模のアウトドア・ギア見本市『OutDoor Friedrichshafen 2016』で出会った未来のアウトドア・ギアまとめ

ドイツ国境近くのボーデン湖に面した静かな街、フリードリヒスハーフェンで毎年7月に行われるアウトドア用品の総合展示会『The OutDoor Show Friedrichshafen』。

イベントの概要については以前の記事でお話ししたとおり。世界のトップブランドをはじめ1000近くのメーカーがサッカー場12個分のホールに集結し、2017年の春デビュー予定の最新ギアをお披露目するという、アウトドア産業の未来が見える活気に溢れた4日間は全アウトドア・ファンにとって見逃せないイベントです。ヨーロッパのイベントとあってどうしても英語での情報が少なく、日本に居るとなかなかこのイベントについて知るのが困難でしたが、今年ついにこの眼で目撃することができました。

そこでここから数回に分けて、熱気とソーセージとビールでいっぱいの会場を3日間に渡って歩き回ってみて発見した最新ギアや、日本ではなかなか見られない興味深いブランドなどをピックアップしてお伝えしたいと思います。

レポート第1回目は現地で出会った最新注目ギアTOP10をご紹介。

なお、今回は基本的にせっかくなのでお膝元であるヨーロッパのブランドから選出しています。北米大陸のブランドについては8月の米ソルトレイクシティで開かれるアメリカマーケット向けアウトドア見本市『Outdoor Retailer 2016』特集までお待ちください!

1. PETZL REACTIK+

フランスで生まれたクライミングギアやヘッドランプの老舗、ペツルの最新ヘッドランプはついにBluetoothを介してスマホと連携し、モバイルアプリ「MyPetzl Light」によってランプを遠隔から完璧にコントロールできるように。スマホでの明るさ調節、残りの照射時間表示は当然のことながら、アクティビティに合わせた照射モードの設定、緊急時には簡易なメッセージを光の信号にして発信が可能など、もはや照明というよりもコンピュータそのものです。

2. OMM AVA Jacket

3レイヤーのeVentを使用した超軽量レインジャケット AETHER JACKET がアップデートし、男女それぞれのモデルに。女性向けの AVA Jacket は今年の Industry Award を受賞するなどイベント全体においても注目を集めていました。これまでの特徴である軽くて(200g)しなやかな着心地や高い透湿性を受け継ぎながら、今バージョンアップではフードの改良、状況に合わせて袖口の締め方を自在に変えられるカフ・クロージャー、まくり上がりにくいウェストの改良ドローコードなど、さまざまな点で行動時の快適性を向上させています。もちろん女性向けモデルは女性の体型に合わせた裁断になっており、今まで以上に幅広いユーザーに受け入れやすくなっています。これは正直待ちきれない!

3. MAMMUT Rainspeed Ultralight HS Jacket

とにかくスペックが尖りすぎぃ!トレイルランニングやマウンテンマラソンなどに特化した、一瞬のパフォーマンスのためにすべての技術を注ぎ込んだジャケット。表面にむき出しになった GORE-TEX(防水透湿メンブレン)の1層のみと裏地の2層のみで構成されたことによってメンブレンのもつ防水・透湿性能を最大限に引き出した一方、DWRといった耐久加工は一切考慮されていない究極のレース仕様モデル。超音波技術によって溶着された生地は最小限のシームテープを可能にし、115gという超軽量を実現しました。

4. Raidlight RESPONSIV 20L Vest

フランスのトレイルランニングギアブランド、レイドライトの最新ベスト型バックパックはさまざまな点で革新的な技術が投入された意欲作。まず軽量で丈夫なナイロンのレーザーカットによる裁断、フラットな縫い目の熱圧着、効率的なベンチレーションを可能にする3Dメッシュバックパネルなど、素材・構成的な革新性が目立ちます。boaクロージャーによる脇下のストラップは緩みにくく、前面の4つのショルダーポケットはレースに必要な分のエネルギーを収納するのに十分と、使いやすさもよく考えられています。さらには20Lの容量に対して重量も245gと、驚きの軽さを実現しており、隙のなさが非常に楽しみなパックです。

5. Rab Kinetic Plus Jacket

これにはほんとに驚いた!まず見た目・着心地はほぼソフトシェルのように伸縮性があって非常に動きやすい。にもかかわらず、性能的には本格的なレインウェアとほぼ同等。おまけに重量は十分軽い320gというのだから呆れるしかない。秘密は伸縮性を備えた独自開発の防水透湿生地 Proflex。そろそろレインシェルは軽いだけの争いから次の段階に進んでいきそうな予感です。それにしてもレインウェアはどこまで進化すれば気が済むのか。

6. THULE Guidepost 75

スウェーデンの知る人ぞ知る総合バッグメーカーの最新大型バックパックは、かゆいところに手が届きすぎ、素晴らしく完成度の高い逸品でした。既存モデルからのバージョンアップですが、元々の特徴である柔軟なサイズのカスタマイズ機能は健在。さらに内部へのアクセスが可能なサイドジッパー、28Lのアタックザックにもなる天蓋、モバイルチャージャーを収納し、なおかつパック背面に設置したソーラーパネルに繋がるコードを取り付けることができるアタッチメントなど、最新の使い勝手に対応したまさに未来の縦走用バックパック。さらに素晴らしいところは機能だけでなく背負いやすさについてもまったく抜かりがないところ。荷重をムダなく腰に伝えられる背面フレームとヒップベルトの構造が、どれだけの重量にも耐えうる快適さ・安定性を可能にしています。

7. Dachstein Spursinn EVO

このカラフルなデザインと奇抜な仕様を見て、これが日本でその昔スキーブーツなどで知られたオーストリアの老舗ブランド「ダハシュタイン」だと思えた人はまずいないでしょう。ぼくもこのブースに初めて訪れた時には「ダック・・・スタイル重視の新しいブランド?」とまったく気がつきませんでした。ドイツ語読めないし(実際のところ日本では一部BEAMSで取り扱っているようです)。驚いたことにヨーロッパではまったくもって健在で、スキーブーツはやめてしまったものの、最近ではライフスタイルからトレッキングまで幅広いラインナップのアウトドア・シューズを展開しています。どれも非常にデザイン性が高いのが特徴で、こちらの最新アプローチシューズはビブラムの特注ソールとミニマルでフィット感抜群のニット生地による足首など、独自の視点で魅力的な特徴を備えたシューズです。

8. LA SPORTIVA Akyra

今回の取材で感じたのはヨーロッパ、とりわけフランス・イタリアのトレイルランニング市場の盛り上がり。非常に多くのトレラン専門ブランドが見られ、日本では不思議に思っていましたが、ここに来るとスポルティバのような老舗登山靴メーカーがトレランシューズに力を入れてくる理由がよく分かります。最新モデルAkyraはプロテクション性能を向上させ、より過酷で長距離のトレイルに適したマウンテンランニング用シューズ。折り紙の幾何学的形状からヒントを得たという独自ソール構造を採用し、高いクッション性を提供しています。

9. KOMPERDELL Stiletto

ここ最近トレッキングポールの長さ調節は「回して締める」か「レバーで締める」かという2パターンが主流でした。2017年、オーストリアの KOMPERDELL は最新 STILETTO シリーズでまったく新たな開閉システムを提案しています。やり方は至ってシンプル、上部にある緑色のボタンを押すだけ。つまり歩きながら片手で瞬時に調節が可能となり、これまで登り下りが連続するような場所でいちいち長さを変えるのは面倒、なんてことがなくなる、小さいけれどこれは大きな進歩!ハイキング中のストレスが大きく軽減されるでしょう。

10. MORAKNIV Eldris

最後は北欧スウェーデンの100年以上続くナイフメーカー、Morakniv からスタイリッシュかつ便利なポケットナイフです。TPE素材でなおかつ握りやすい形状のグリップ、職人たちの手で伝統的に受け継がれてきた切れ味抜群で丈夫な刃、ファイヤースターターを削ることができる背、携帯に便利な下部に開いたネックストラップ用ホール。北欧らしいミニマルなデザインのなかに凝縮された確かな品質と十分な機能性、そしてセンスの良いカラーリングが何とも素敵です。古き良きオピネルのような王道ナイフも良いけれど、こういった現代的なスタイルの魅力も捨てがたい!

問い合わせ先:(株)アンプラージュインターナショナル TEL 072-728-2781

まとめ:続きはPart2で!

以上、数え切れない注目アイテムの中から絞りに絞った10アイテムの紹介でした。もちろん、まだまだ紹介しきれいていないおもしろギアはたくさんあります。今回はほぼ日本で正規に流通しているブランドばかりでしたが、実際には日本で見たこともないブランドにもたくさん出会いましたので、それらについてはまた次の機会に。さらに実は掲載許可の関係で載せられていないものなどもあり(まだ交渉中)、それらについても可能であれば次の機会にご紹介するなどしていきたいと思います。

→続き: HOUDINI、LEKI、Salewaなどその他の欧州注目ブランド最新ギア特集Part2へ

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