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ホンモノの快適さを知る山好きが冬の日常に愛用している980円のメッシュインナー「エーション クレーターメッシュ」

驚異的なコスパの高さで当サイトでもかなりの反響があったカジメイクのメッシュインナー、ATION Crater Mesh(エーション クレーターメッシュ)。

当時の紹介記事でも言及していたのですが実はこのインナー、寒い冬の日常からスポーツなど低温下でのアクティブな活動まで、毎日着倒すのにもちょうどよいシロモノだったりします。

もちろん、登山向けの高機能インナーを数多く所有している自分にとっては、山に入るときにはそうした”スタメン”たちを身に着けていく方が快適であることは確かです。ただ、これらのハイクオリティで高価なインナーを現実的に「毎日」着れるかとなると、価格・劣化の心配・手入れの手間などがネックで、ぶっちゃけちょっと気が引けてしまいますよね。

そんなわけでこれまでは、日常生活においてはある程度妥協して、いわゆる定番の防寒インナーを着ていたわけです。それがこのクレーターメッシュに出会ってからというもの、いつの間にか日常はもちろん、特にランニングやトレーニングなんかでも、冬は肌に直接当たる部分にこのクレーターメッシュを着るようになっていました。もちろんその上にシャツや中間着、アウターなどを重ね着しています。

別にこれ自体が「発熱」するとか、そんな魔法のような効果があるわけではありません。ただ、これを一枚肌の上に着て、あとは普段の服装でいると、屋外の低温下で寒すぎず、屋内の高温下や激しい運動で暑すぎずなど、冬にありがちな不快感をやわらげてくれます。一言でいうと、ちょうどいい。

そんな話をメーカーに伝えたところ、その便利さをもっと伝えたいという相談を直々に受け、ならばと今回、同じ価格帯でよくある防寒インナーなどを引き合いに出しながら、このシャツの冬での使い勝手についてあらためてレビューしてみたいと思います。

薄くて、軽くて、じんわりと暖かい

ここ数年ずっと人気のいわゆる防寒インナーの多くは、人体から発せられる湿気を吸収することで熱を発生させる「吸湿発熱」という仕組みで暖めているのは、ご存知の人も多いかと思います。

ただこの仕組みの場合、汗などによって湿気を吸いはじめてからしばらくは確かに暖かくなるものの、その発熱効果は持続しなかったり、逆に急に暖かい部屋に入って汗をかき始めた、本来は温度を下げたい状態でも発熱してしまうなど、実際にはその仕組み上、欲しいときにちょうどいい暖かさが得られないこともあるということが言われていたりします

さらに、より保温性を高めるためには現状、生地を厚くしていく傾向にあり、このため冬は厚手のインナーで着ぶくれしがちです。

そんな定番防寒インナーにある暖かさのクセや、厚くて重いといった不便さはクレーターメッシュには当てはまりません。

秘密はあたため方の違い:生地を厚くするのではなく、空気をしっかりと含むことで暖める

クレーターメッシュに使われている素材には特に吸湿発熱効果はありません。なおかつ約90グラムという軽さと、後ろが透けて見えるほどの薄さ。にもかかわらず、このシャツが冬の防寒インナーに引けを取らないほどの「ちょうどよい」暖かさを提供してくれる理由は、そのあたたかさを生み出す仕組みにあります。

まずクレーターメッシュで使用されている生地は、その名の通り完全な網(メッシュ)ではなく、生地の厚い部分と薄い部分で凹凸を作ったような「クレーター」状のメッシュ構造になっています。

さらにその生地はある程度の伸縮性によって、肌とシャツの間に風を通さない程度にピッタリと密着してくれます。

すると、体温によって温められた空気は生地の凹み部分に留まって断熱層の役割を果たし、体表面付近の熱を保ってくれるのです。もちろんこれ一枚のみで温かいのではなく、こちらの上に重ね着をしていることが前提です。つまり吸湿発熱系インナーの「吸着熱」ではなく、シンプルに動かない空気(デッドエア)の層による保温であるため、持続性も、急な温度・湿度変化による発熱も関係ありません。

ちなみにどれくらい暖かいのかを確かめるため「ユニクロのヒートテック」「しまむらのファイバーヒート」「グンゼのホットマジック」「千趣会のホットコット」の半袖・最薄モデル、そしてこの「クレーターメッシュ」の計5着を、同じ条件下で、同じ中間着の下に実際に着て比べてみました。結果は、体感的にはほとんど差が感じられないレベルです。もちろんこれらのシリーズの厚手タイプと比べれば、クレーターメッシュは保温性ではかなわないとは思いますが、軽さ・薄さを考えれば十分といえるでしょう。

発汗時でもすぐに乾いて汗冷えしにくい快適さ

クレーターメッシュが他の格安防寒インナーよりも「ちょうどいい」もうひとつの大きな理由は、たとえ汗をかいてしまったとしても不快感を抑えてくれる、トータルでの快適性の高さです。

あくまでも日常での着用しか想定していない格安防寒インナーは、低温下で汗びっしょりになることはあまり想定されていないため、汗などで一度衣服が濡れてしまうと乾きにくく、しかも乾いている最中は保温性を発揮してくれず、寒い。こうした低温下での発汗時におけるヤバさはすでに多くの記事などで語られているところですが、その点、クレーターメッシュは素材の構成、生地の作りの両面でそれらの不便さを回避しています。

素材の構成:吸汗速乾素材だから、すぐ乾く

クレーターメッシュはそもそも現場仕事やスポーツなどでの使用に耐えられるように作られています。だから素材はポリエステルが79%、その他、伸縮性を生み出すポリウレタンが21%。これはスポーツウェアで一般的な速乾Tシャツに近い構成です。これによって肌面にある汗は素早く生地へと吸い上げられ、そこからさらに外側のレイヤーへと拡散しやすくなっています。

一方、他の格安防寒インナーを見てみると、レーヨンなどの速乾性が低い素材が必ずといっていいほど織り込まれています。おそらく吸湿発熱効果や肌触りを強調するのが目的です。例えばヒートテック(2018年)にはレーヨンが34%、「しまむらのファイバーヒート」で38%。また「千趣会のホットコット」でも乾きの遅い綿が95%使われています。

この素材構成の違いなどから、体感的に乾きやすさでは大きな差がありました。またあくまでも参考としてですが、水が滴らない程度まで絞った状態のシャツを陰干した状態を水分量100%として、時間の経過とともに乾き具合を比較してみたところ、案の定どの格安防寒インナーに比べてもクレーターメッシュは速く乾いていきました(下図)。

まとめると、格安防寒インナーは相対的に乾きが遅く、汗で濡れて不快な状態が長く続いてしまうため、冬の発汗量の多い活動には不向きと言わざるを得ない一方、クレーターメッシュはスポーツTシャツと同じような優れた速乾性があるため、冬にスポーツを楽しむ人から、暖房の利いた電車や室内と外を行き来することが多い人まで、幅広いシーンで安心して着られるといえそうです。

生地の構造:生地全体が肌に密着しないからベタつかず、汗冷えしにくい

シャツが汗で濡れたまましばらくいて寒気を感じた経験のある人は、少なからずいると思います。

水は空気と比較すると熱伝導率が高いため、肌に水分が付いた状態のままでいると、肌面の熱がどんどん奪われ、身体は冷やされていってしまいます。これがいわゆる「汗冷え」というやつで、山では夏でも低体温症が起こるくらい、下手をすると命にかかわる危険な状態です。日常生活でも、汗を大量にかいたまま気温の低い場所でいれば、どれだけ厚着をしていても寒気を感じて不快であることは変わりません。

汗冷えを防ぐために必要なのは、第一にとにかく早く乾かすこと。そして乾いている最中でも肌から水分をなるべく遠ざけておければ最高です。前述したような乾きの遅い防寒インナーは、濡れた衣服が肌に密着した状態がより長く続くため、低温下で汗を多めにかいてしまったときにはベタつき・汗冷えといった不快感からは逃れられません。

その点、クレーターメッシュは、前述のように生地表面が凸凹構造のため、肌に接触する部分が他の生地と比べて少ない。このため汗冷えが起こりにくく、寒い冬で汗をかいても、他の格安防寒インナーに比べて不快な状態が少なくてすみます。

まとめ:薄くて速乾なのにほんのり暖かい、仕事にスポーツに毎日着倒せるインナー

以上のような理由から、冬のインナーとしてのちょうどよい保温性と、激しい活動や温度変化に対しても素早く対応してくれる機能性を(本格アウトドアインナーほどではないにせよ)キチンと備えながらこれだけの低価格で手に入るエーション クレーターメッシュは、春夏だけでなく、秋冬でもインナーとして激しく使えます。特に冬は日常使いが捗りすぎる。今のところ気に入っている使い方としては、日常でYシャツやセーターの下に着たり、トレーニング時には厚手のポーラテックパワードライ等の吸汗速乾ウェアの下に着たりしてます。

本格的に寒くなりはじめた今、ぼくのようにアウトドアインナーの高品質を知りながら、格安インナーの不便さに悩んでいた人には特におすすめしたい。メーカーによると、何と2019年の春モデルから、待望のVネックシリーズも登場とのこと。この使い勝手の良さに気づいてしまった人は、きっと複数枚購入して毎日ローテーションしたくなるでしょう。