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Review:タイガーウォール UL2 EX ソロでもペアでも、軽さと快適さを兼ね備えた日本仕様の超軽量テント

Big Agnes (ビッグアグネス社)は、2001年にアメリカ・コロンビア州で誕生した比較的若い会社です。ビッグアグネスシステムバッグという、スリーピングバッグとマットを一体化した画期的なシステムを創業時のからリリースし、一気にアウトドアギア界の話題をかっさらいました。コロラドの山々に囲まれた最高のテスト環境で常にユニークな商品を作り続け、今では軽量テント・アウトドア寝具メーカーとしての地位を築いています。

今回は、そんなBig Agnesの誇る軽量テントのなかでも、日本向けに開発された タイガーウォール UL2 EX のレビューをお送りします。

タイガーウォール UL2 EX の大まかな特徴

タイガーウォール UL2 EX は、2018年に世界的なアワードを受賞した超軽量快適山岳用テント、タイガーウォール UL2の日本市場向け商品です。タイガーウォール UL2はインナーテントのほとんどがメッシュ生地であるのに対し、日本版EXではメッシュ生地を無くしたインナーとなっています。極薄の生地や、最小限の重量で居住性を高めた構造のアルミポールなど、何よりも軽さと快適さを重視したつくりが特徴。その他大きく開く入り口が左右に1つづつあることにより、2名で使用しても相手をまたぐことなく出入りできるのに加え、通気性も高く、ストレスを減らす工夫が散りばめられた快適性の高いモデルです。

おすすめポイント

  • 2名用テントにしては非常に軽量
  • 両側に備えられた出入り口
  • 高い通気性
  • 設営から居住まで、あらゆるストレスを低減してくれる

気になったポイント

  • 2名で使用するとやや狭い
  • 耐風性・耐久性は期待できない

主なスペックと評価

項目スペック・評価
就寝人数1~2名
カラーライトグレー/ゴールド
公式最小重量1060g(ペグ・収納袋含めて1190g)
実測重量1060g(ペグ・収納袋含めて1189g)
フライ素材リップストップシルナイロン(耐水圧1200mm)
インナー素材透湿リップストップナイロン
インナーボトム素材リップストップシルナイロン(耐水圧1200mm)
ポール素材DAC社製 Fatherlite NFL
サイズ間口218×奥行132×高さ99cm
収納サイズ本体:13×37cm、ポール45cm
フロア面積2.6㎡
前室面積0.7㎡ × 2
付属品
  • スタッフサック(収納袋)
  • ペグ 8本 (各11g)
オプション
  • フットプリント(170g)
居住快適性★★★☆☆(1名なら★★★★★)
設営・撤収の容易さ★★★★★
耐候性★★★☆☆
耐久性★★☆☆☆
重量★★★★☆
携帯性★★★☆☆
汎用性★★★★☆
総合評価★★★★☆

詳細レビュー

パッキングの際に、やや工夫が必要

収納袋は本体・ポール・ペグの3つに分かれていますが、本体用とポール用はストラップで繋がっているため、実質本体・ポールと、ペグの2袋となります。本体用の袋にはメッシュポケットが付いていて、そこにポールの袋を入れ、ストラップで留めるようになっています。

本体用袋とポール用袋は分離可能なので、実際にパッキングする時はそちらの方が便利でしょう。

実測値ですが、実測値は本体重量1060g(インナーテント436g、フライ389g、ポール249g)と、なんとメーカー公表値とばっちり一致しました!収納袋やペグなどを合わせた重量は 1189gで、それぞれ個別の実測値は本体1099g (テント436g、フライ389g、ポール249g、袋39g)、ペグ90g(87g:ペグ11g× 8本、袋3g)でした。

ポールは軽量テント定番のDAC社のFatherlite NFLを使用し、さらにジョイントパーツによってY字型にすることによって249gと超軽量に仕上げています。ペグもDAC社製で1本11gです。

 

設営時のストレスを軽減

基本的に自立式のドームテントですが、ポールの形状が特殊で、Y字状になっています。ポールはスリーブに通すのではなくポールにフックをかけていくタイプ。風が強い日にはこちらの方が立てやすい。各頂点のハトメにポールを接続すれば、ひとまずポールが自立します。

インナーテントのポール接続部とポール先端の色が合わされているので、直感的に組み立てることができ、意識が飛びそうなほどの披露でない限り間違えることはなく、ストレスは減ります。こういう細かな配慮は好感度高いですよね!

あとはフックをポールにかけ、天井を広くするための横向きのポールを固定すれば、インナーテントは完成です。ちなみにこのように、最初に隅をペグダウンしなくても立てることはできます。

あとはフライシートを被せ、インナーテントとともにペグダウンすれば完成です。

インナーテントに接続する、フライシートの3端も色が分けられているので、被せる方向がわからずイライラすることはなくなりそうです。

通気性を通り越した風抜けのよさ

まず特徴的な点が、入口が両側にある!ということではないでしょうか。入り口が長辺の両側にあることで、2人で泊まっていても奥で寝ている相手を起こさないように跨いで出る、といったわずらわしさから開放されます。入り口は両方を開けておくと風が通るので、通気性抜群というか、ビルの隙間風のように風がガンガン抜けます。広さも出入りするには十分でしょう。

フライやインナーテントの入り口を留めるストラップが適所にあるので、通気性が良くてもバタつくことはありません。

一応2人用テントということなので、室内にはエアーマット2つ並べることができました。しかし、なんとかギリギリ2名寝れるといった広さです。寝返りをよくする人や、喧嘩したあとだとかなり気を使う距離感です。

ポールが1本しかない側(足側)は、空間を広げられるようにインナーテントをペグで固定できるようになっています。広げなくても使用はできますが、比べるとその広さの差は一目瞭然です。

全室は0.7㎡と、それなりに確保されています。しかも両入り口にあるので、別々に荷物を置いたり、料理を作ったりと十分な広さかもしれません。

フライとインナーテントボトム部分の生地は、リップストップシルナイロンに、ポリエステルの耐水圧1200mmの防水加工をした素材。インナーテントのその他の部分は透湿性をもつリップストップナイロンが使用されています。収納袋はインナーテントボトム部分と同じ防水加工リップストップシルナイロンが使われているようです。防水加工されていますが、若干テカリがあるくらいで、見た目はほとんど変わらず、かなり薄いです。

実際に使ってみたインプレッション

2名用とありますが、実際には2名で使用するとやや狭いです。寝ることはできますが、2名だと寝ることに集中することになって、ちょっと疲れてしまいます。頭側には若干のスペースはありますが、小物を置く程度のスペースのみです。

頭側には両入口の根本にメッシュのポケットがあり、スマホなどの小物を入れておけます(下写真)。

上部にも大きめのメッシュポケットがあり、イヤホンコード用の口があります(下写真)。タブレットを入れて角度を工夫すれば寝転がって映画鑑賞など、用途はたくさんありそうです。

インナーテントボトムはやはり薄く、下から手ですくうと指の形がくっきり。下に尖った石や枝があると、破れてしまいそうです。専用のフットプリント(170g)も販売されているのですが、フライシートと同じ生地なので気休め程度にしかならなさそう……心配な方は別に丈夫なフットプリントを準備しておいたほうがよさそうです。

入り口は大きく開き、フライシートも大きく開き留められるので出入りの際に、変に腰をかがめたりして出入りする必要はなありませんでした。

通気性に関しては、入り口は広いので両側開けておけばかなり風が通るので問題はありません。入り口を閉めても、入り口の1/3程度あるメッシュを開けておけばそれなりに風は通ります。しかしこのメッシュ以外に通気口がないので、積極的な換気は期待できませんが、通常の環境下であれば、必要十分です。

居住性は非常によく、かなり快適。天井に設けられた横ポールによって底面から天井まで広々とした空間が広がっており、圧迫感・窮屈さはほとんど感じられませんでした。あとはやはり両側が開く、というのはかなり大きいです。特に1人で使えば十分すぎるほどの快適性と開放感が得られるでしょう。

全体の重量は軽量にまとまっているとはいえ、Y字ポールに垂直に接続しているポールなど、随所に軽量化の余地はありそうです。しかしこのタイガーウォール UL2 EXは、軽量化できる箇所も快適性が犠牲になるのであれば残すという、あえて快適性にウェイトを置いた仕様になっているのではないかと思いました。それでも、使用する側の工夫でより一層の軽量化はできそうです。

まとめ:こんな人におすすめ

タイガーウォール UL2 EX は、一応名目上は2名用のテントということになっていますが、2名でも使用可能なソロテントと思っておいたほうが良さそうです。しかし両側に入り口があり、0.7㎡の前室も両入口に備わって、そしてこの重量。軽量重視の2名パーティーであれば、これほど適任なテントはなかなかないのではないでしょうか。一方で軽量テントの常ですが、ポールの構造的に風に強いとは言えないので、しっかりとペグやガイラインで固定する必要があります。そして耐久性は期待できませんので頻繁に、手荒く使用する前提の人にも合わないかもしれまん。

1名で使用すれるのであれば、軽量テントとしても十分で、室内はエアマットが2枚敷ける広さ、そして大きい入り口。かなりの快適に過ごせるはずです。重量だけでいえば、より軽量なソロテントはたくさんあります。しかし1日24時間と考えた時、かなりの時間をテント内で過ごすことになるので、よほどのUltra lightストイックハイカーでもない限り、まずまず軽量で、かつ高い快適性をもつこのモデルは、幸せになれる選択かもしれません。