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今年こそ、山ごはん・キャンプ飯デビュー!アウトドア用カトラリーを片っ端から使い倒してみた。

物へのこだわりが味わいを変える

「ごはんを食べる道具が違うと、気分も味も違うんやなぁ…」。秋田県の夕暮れ空の下、次々と焼かれる肉を頬張りながら、私は心でそうつぶやきました。だって肉が野菜が米がおいしいんですもの、登山用語で「武器」と言われる「カトラリー」を使うと。「当然でしょう」「何をいまさら…」等、色々なつっこみがあるかもしれませんが、私の心の声を引き続き聞いてください。

そもそも私は食器自体にこだわりを持っておらず、食事ができるなら器やカトラリーは何でも良い人間でした。日常生活はもちろんのことアウトドアにおいても然り。基本割り箸・紙皿・プラカップ・プラフォーク等があればOK(なんとエコでないのやら)。登山をする時でも軽いですし拭けば再利用できますし。

しかしそれがくつがえされたのは去年の夏。秋田県の田沢湖畔で友人ファミリーとキャンプをした時のことでした。友人はいわゆる「キャンパー」。料理にも道具にもこだわりがあり、馴染みの道具で手際よく準備を進めていきます。私は遠方からきた客人ということで、サーブされる食材をありがたくいただき、完全にくつろぎモードに入っていました。

で、考えました。この居心地の良さは何なんだと。…ファミリーの心遣い、…田沢湖畔という環境、…おいしい料理、…キャンパーの友人が揃えたキャンプ道具。「そうや、これなんや!」とはたと気づいたのです。キャンプ道具がまさしくキャンプらしさを作っていたんだと。例えば懐中電灯じゃなくてガスランタン、フライパンじゃなくてホットサンドメーカー、そして使い捨て食器・カトラリーではなく、ホウロウ・木製・竹製のそれら達。

時と場合によりけりですが「何でもいいや」ではなく、そのこだわりが料理やキャンプの味わいを深めていたことに、やっと気づいた37歳の夏でした。

と前段が長くなりましたが、今回は脱使い捨て&山ごはん・キャンプ飯デビューを軸に、さまざまなカトラリーを比較してみます。なおカトラリーは比較を前提に私の独断と偏見とゆるい基準(ある程度のポイントは押さえていますので)で選んでおりますので、みなさんも「こんな商品あったのねー」くらいの軽い気持ちで読んでくださいませ。

目次

山ごはんにおすすめのカトラリー

以上を基準にチョイスしました。山に持っていく荷物は軽く・小さい方がいいですし、かつ少ないにこしたことはありませんから1つで何役か機能があると、なお良しです。また山では基本的に洗い物ができないので家でこびりついた汚れをガシガシ洗っても大丈夫、といったタフさも必要です。もちろん「スプーンが折れた…」なんてことにならないような強度も重要です。

とにかく軽くて見た目以上にタフ、でもって安価
MSR スポーク

重量:約12g
素材:ナイロン

とにかく軽いです。さすがMSR。伸ばすと約22㎝あるので容量900mlの深いクッカーにも使えます。

折りたたむとこんな感じに。真ん中をぎゅっと握ると折りたため、伸ばすとカチッと音がしてホールドされます。

突然の料理写真でスミマセン、使い勝手の比較用にクッカーの中はごはんとドライカレーを、左は鶏むね肉をアルミホイルに包んで焼いたものを作りました。

結構力を入れてみましたが、折れそうで折れません。写真を見るとスポークがしなっているように、見かけによらずタフです。そもそもフォークで固いものを無理くり切らなくてもいい話なのですが…。にしても口当たりも優しく、価格は約600円前後といい仕事をしてくれるMSRさんです。しかし、鶏肉は切りづらかった…。

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ナイフがGoodな軽量3兄弟
GSI スタッキングカトラリーセット

重量:約19g
素材:ポリエステル

左の方の持ち手の溝の部分(楕円の部分と小さい穴)どうしをググっと押して合わせれば、スプーン・フォーク・ナイフを1つに重ねることができ、コンパクトになります。

はい、コンパクトになりました。鶏肉も簡単に切れるナイフの使い心地もグッドです。長さは約15cmで深いクッカーに使っても特に支障はありませんでした。

見た目がポップなので心なしかテンションが上がります。スプーン・フォーク・ナイフと3つ揃っているのに約19gという軽さもありがたいところ。鶏肉を切るときにも「折れない?」と思いましたが、何かしらの強い力がかかった時にポキッといってしまわないか気になりました。

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ザックに常備して登山のお供に
Light My Fire チタン スポーク

重量:約21g
素材:チタニウム

登場しました。みなさんお馴染みのスポークです。こちらはチタン製で鋼鉄以上の強度を持ち(つまり折れませんよということですね)、かつ軽い。なんせ強度が半端ないわけですからナイフ部分はガシガシ使えます。

写真ではわかりづらいかもしれませんが、鶏肉も結構簡単に切れます。ナイフ部分の長さは約3㎝あり、これを使って野菜の皮をむいたり魚のうろこを取ったりもできます。まだそこはチャレンジしていませんが。

スプーンは大ぶりで一度にたっぷりと食材をすくえるので使い勝手は良いです。ただ深いクッカーの場合奥の方の食材をすくう時には、柄の上の方(フォーク部分)を持たなければならず手が汚れます。

スポークをまるごと使うと写真のように両サイドに料理の具や汁がつき、頑張って柄の部分だけ持とうとしても手が汚れてしまいます。汚れたら手かスポークを拭けばいいだけなので、気にならないといえば気にならないです。少しの手間も山ごはんの醍醐味の一つ。多少手が汚れてしまうにしても軽い上に折れる心配もなく、しかも簡単な調理までできてしまうチタンスポークは1本ザックに常備しておいて損はないでしょう。

スポークより便利かも?
ゴーバイト DUO

重量:約22g
素材:ナイロン

普通のスプーン・フォークに見せかけて…、

はい、重ねると1つにまとまってしまうんですねー。丸っこい見た目がかわいい。

裏にひっくり返してみます。フォークにスプーンをスライドすることでコンパクトに収納できる仕組みです。

スプーンとフォークそれぞれの柄の部分をジョイントさせると柄が長くなり(約23cm)、あら便利。深いクッカーでも使えます。ゴーバイトの説明書には、十分な強度があり耐熱温度はなんと200℃と書いてあります。しかもフォークで食材もカットできちゃいますよ、とあるので鶏肉を切ってみたら、はいすんなりと切れました。ナイフなしでもOKとまたまた便利。

これらの機能を見ると一般的なスポークに比べて便利な気がします。約900円前後とお財布に優しい価格なので、こちらもザックに入れておきたいカトラリーです。

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金属に優しいサブポジスプーン
UNIFLAME FDシリコンスプーン

重量:約22g
素材:ナイロン・シリコンゴム

折りたたんだ時はこのような感じ。ご覧のように収納ケースがついていますが、かさばるので要らないかなと…。

伸ばしました。長さ約23㎝。MSRと同じくらいの長さなので、深いクッカーにも楽々使えます。右の方にある金属をスプーン側にスライドさせることで固定します。

口にあたる部分はシリコン製なので口当たりは優しい。クッカーや食器に触れてもカチャカチャした金属音はしません。ということはクッカーも傷つきません。しかも汁気の多いものはきれいにすくい取って食べられるのでクッカーの汚れも少なくて済む、とクッカーに優しい存在です。

ただ柔らかい素材なだけに硬いものには歯が立たないので、メインは別に用意して補助的に使う感じでしょうか。軽いですしお掃除用的な役割として備えておいてもいいのでは?

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一石五鳥なパワフルトランスフォーマー
Forpoon -outdoor-

重量:約24g
素材:ナイロン

このスプーンが

フォークになり

ナイフとトングになりました。スプーン・フォーク・ナイフ・トングの4つの機能を持つこのカトラリー、なんだかトランスフォーマーみたいですね。最初は「どうやって使えば…?」と戸惑いましたが、ちゃんと説明書を見て使い方に慣れればなんてことはありません。

こちらスプーンとして使用中。ただし公式WEBによると「スープなど流動性の高い液体はすくえない」とのこと。右上の「xing」と書いてある部分をくるっと裏側にひっくり返すと

フォークになります。思い切り鶏肉に刺しても問題なし。

トングとナイフを使い鶏肉もあっさり切れました。WEBでは「強度がありますので、ある程度の負荷が加わっても折れません。また、組立や分解の際もある程度雑に扱っていただいても壊れません」とアナウンスされています。雑って!当初使い方がわからなかったので確かに雑に分解してしまったのですが、大丈夫でした。ちなみにWEB上の動画ではペンチを使って(!)無理やりしならせていますが、もちろん折れません。

ご覧のようにトングで豆をつかめました。ということは、うまく使えばトングを箸代わりにできるかもしれません。カトラリーを分解したり組み立てたりしながら、子どもの頃の工作を思い出してちょっと童心にかえられるアイテムです。

日常生活での山ごはん用に
UNIFLAME FDスプーン&フォークセット チタン

重量:約35g
素材:本体/チタニウム 柄/ステンレス

折りたたみ時です。前掲のシリコンスプーン同様収納ケースがついていますが、やっぱり要らないかなと。

こちらも右の方にある金属をスプーン・フォーク側にスライドさせることで固定します。

柄がまっすぐではなく少しカーブがついているので手にしっくりなじみます。

ナイフ代わりにスプーンで鶏肉カットに挑戦。ナイフのように上手くは切れませんが、素材がチタンなので折れることを気にせずにガシガシ使えます。

スプーンとフォークで約35g・チタンスポーク21g・MSRのスポーク12g、これらを比較するとわずか10~20gの違いながら少し重い気がします。ザックに入れてしまえばそれくらいの重さは気にならないはずですが、コンパクトにもなりますしどちらかというと日常生活でのカトラリー向きでしょうか。例えば「お昼のお弁当で山ごはんの雰囲気を味わいたい」。そんな方にはぴったりかもしれません。

キャンプ飯におすすめのカトラリー

以上が基準です。登山の時と環境は違うので難しく考えず、「飯、うまいなぁ」と思えればそれでOK。プラスアルファでタフな素材ならさらにOK。最近はファミリーキャンプだけではなくソロキャンプも人気です。はたして一人飯も「うまい…」と感じられるカトラリーはあるでしょうか?!

キャンプ飯への第一歩はこれで
スノーピーク ワッパー武器

重量:約43g
素材:チタニウム

キャンプといえばスノーピークがテッパンですよね。そういうわけでスノーピークのカトラリーも比較してみます。ミーハーですがカトラリーに「snow peak」と刻印してある時点でテンションが上がります。

収納ケース付きでスプーン・フォーク・ナイフが1つに収まります。

カトラリーは申し分なしの使い心地。素材はチタンですからタフさはお墨付きです。これがあれば「何を食べるにも困らない(公式WEBより)」でしょう。ご覧の通り何の変哲もない料理ですが、なんだか上質なごはんを食べている気がします。価格は約3000円前後と少々お高めですが長く使える素材でデザインもシンプルなので、キャンプ飯へのエントリーモデルとしてはおすすめです。

自然素材は環境にも自分にも優しい
To Go Ware クラシック バンブー カトラリーセット

重量:約45g
素材:竹

天然素材のカトラリーがやっと登場です。天然素材のカトラリーを使っているだけでグンとキャンプ飯感が増します。「To Go Ware」と柄に刻印があるのも「snow peak」の刻印同様、テンションが上がります。

収納ケースもついています。ケースに余裕があるのでまとめてガバッと収められるのも楽でグッド。着脱可能なカラビナ付きです。常にどこかにぶら下げて持ち歩ける感じがいいですね。

丈夫な竹素材ですから鶏肉もサクッと切れます。口当たりはとても優しく、クッカーも傷つけにくい。

やはりお箸があるとホッとします。米と箸のセットは永遠の定番ですね。ありのままの竹の質感がわかる風合いに仕上げてあるので、よりいっそうごはんがおいしく感じます。自然の中で使えばなおさらではないでしょうか。普段使いしてキャンプ飯感を日々味わうのもおすすめです。

まとめ

駆け足で9種類のカトラリーを使ってみました。私は登山もしますしキャンプもします。ですからイチオシのカトラリーをピックアップするのはなかなかの至難の業。カトラリーは種類も多いですし、他の道具と違って個人の好みを大いに発揮できるところです。これからは待ちに待った登山シーズンに入っていきますし、まずは山ごはん用のカトラリーを探しにでかけます!

松原 充生子

アイスランドやアラスカなど北の世界がやっぱり気になる今日このごろ。しかし可能ならガラパゴス諸島の海に潜りたいとも思っています。そんな死ぬまでに見たい場所を訪ねる旅、日本百名山の踏破を始めて早6年目。平出モデルの靴(アルパインクライマー平出和也さんに選んでもらった靴)で、各地の山を登っています。クラフトビールと飲むヨーグルトをこよなく愛する大阪人です。

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