死の谷・デスバレー。
とてもインパクトのある名を持ちカリフォルニア州とネバダ州の境界にある広大な砂漠地帯。
名前の通り一足入ると、どこまでも続く荒地、そして砂漠、とても過酷な環境下を前にデスバレーという名前が付けられたことに納得してしまい、言葉は無くなります。
名前の由来は1849年カリフォルニア・ゴールドラッシュの最中、金を求めた開拓者たちが誤ってこの谷に迷い込み、極限状態に陥ってしまいました。この時、ある女性が「Goodbye, Death Valley(さようなら、デスバレー)」と言ったことが地名の由来とされています。
アメリカの中で一番標高の低い地点があるのもここ。公園内のバッドウォーター・ベイスン(Badwater Basin)の標高は海抜約 マイナス86メートル、北米全体でも最も低い場所となっています。
そして更にこのデスバレーで有名なのはアメリカで最も暑い場所としても有名です。アメリカどころかデスバレーは正式に地球上で最も暑い場所です。1913年7月10日に記録された摂氏56.7度(華氏134度)は、世界最高気温の記録の一つとされています。また、最近では2021年7月に54.4度(華氏130度)が観測されています。
デスバレーは、夏になると連日50度を超えることもあり、世界的にも「最も過酷な暑さの場所」として知られていて、観光やハイキングは秋から春の10月~4月までがベストシーズンと言われていて、それ以降は危険です。夏のハイキングは暑すぎますのでご注意を。
そんな死の谷公園のハイキング情報を今回から3回に分けて紹介します(デスバレーの歴史は次回の投稿でシェアさせて頂きます)。
今回紹介するのは、デスバレーならではの景観を楽しむことが出来るお勧めハイキング「Golden Canyon Trail Loop to Zabriskie Point」です。
目次
デスバレーのハイキングおすすめの時期
- 10月~4月:気温が比較的穏やかで、快適に観光やハイキングが楽しめます。
- 12月~2月(冬):日中は20℃前後で過ごしやすいですが、朝晩と日中の寒暖差はあります。朝晩は冷え込むので防寒対策をし服装に注意が必要です。
- 3月~4月(春):特に雨の多い年にはワイルドフラワーが咲き、景色が美しくとても良い時期です。
※5月~9月(夏)のデスバレーは世界有数の暑さになり、熱中症のリスクが非常に高く、観光やハイキングは危険なので注意してください。もし3月から5月でハイキングをするなら、朝早い時間や夕方がおすすめです。ここでの夏のハイキングは控えましょう。
Golden Canyon Trail Loop to Zabriskie Point のトレイル情報
アクセス(車でトレイルヘッドまで)
デスバレーはカリフォルニア州とネバダ州の境にあるため、通常は ロサンゼルス(LAX 車でデスバレーまで4時間から5時間)、またはラスベガス(LAS 車でデスバレーまで2時間から2時間半) を経由するのが便利です。
トレイルヘッド住所:Golden Canyon Trailhead
もしくはBadwater Rd, DEATH VALLEY, CA 92328と Googleマップで入れてもらうと出てきます。※電波状況が悪いので事前に地図をダウンロードしておくことをお勧めします。
持ち物
ハイキングに携行すると便利な持ち物 関してはこれまで同様、一般的なアメリカのハイキングと同じような装備を準備して いきましょう。
- 飲み物(多めに3リットルくらいあるとよいです)
- 気温の調整できる防寒着(風避けシェルが役立ちます)
- 帽子
- サングラス
- 日焼け止め
- ハイキング中に食べるスナックなど
- 常備薬などがある場合は薬やバンドエイドなどのファーストエイド
- その他、通常ハイキング装備で好みのものを
トレイルデータ
- 初心者、中級者向け
- ベストシーズン10月から4月 (今回の写真は3月です。)
- 往復距離 9.6km ( 6mi )
- 標高差 約324m
- トレイルヘッド標高: 約79 m
- 平均ハイキング時間 2.5時間半から3.5時間
トレイルヘッド(登山口)からハイキング開始(3月初旬のお昼の12時)
パーキングは混んでいましたが、お昼のこの時間にも空きはありました。割とサクッと近くの行ける所まで歩いて戻ってくるグループも多いので車の出入りは頻繁に行われていました。
お手洗いもこの場所にあります。
トレイルヘッドからスタートです。この日の気温はこの時点で24度はあったと思います。ハイキング終了時には27度くらいには上がっていたはずです。
このトレイルはループになっているので時計まわりに進み、同じ出発地点に帰ってきます。
まず出迎えてくれるのは岩の壁
ベストシーズンだからか、平日でしたがスタート地点付近は人も多かったです。ちなみにこのトレイルは日陰ほぼなしで、カラッカラに乾燥しています。笑 でも最初はわりと平坦でサクサクと進んでいきます。
青い青い空と肌色の岩山のコントラスト。なかなかカリフォルニアでは見ない光景です。
更に進むと分岐が出てきます。(出発20分後くらい)
Zabriskie Point Trailhead (ザブリスキーポイント)方面へ向かうので右方向へ進む細い道へ。
Zabriskie Pointという展望台が本日のハーフポイントになり、そこへまずは向かっていきます。
トレイル上は矢印で方向を示してくれているのでとても分かりやすいです。さすが国立公園。
地盤は白い色に変わってきました。周りの岩の色も地盤の色もどんどん変化していきます。
すでに暑い暑い。歩き始めて20分を越すとすでに汗だくです。帽子やサングラス、日焼け止めは必須ですよ!
奥にはマンリービーコン(Manly Beacon)と呼ばれる、鋭くそびえ立つ黄金色の砂岩の峰が見えて来ました。とても特徴的な岩の地形です。坂も始まります。
この名前は、1849年のカリフォルニア・ゴールドラッシュの際に、デスバレーを越えて移動した開拓者の一人 ウィリアム・L・マンリー(William L. Manly) にちなんで名付けられました。
このマンリービーコンへ向かって更に登りは続きます。
この光景などはトレイルを歩くからこそ間近で見ることができ、ハイカーの特権ですね。
更にトレイルは砂岩の峰、マンリービーコンの横へと繋がり進んでいきます。
ここまでくると結構登って来たので、周りを見渡すと奥に雪山などもみえています。
少し下りがあり、その後2つめの分岐の看板が出て来ます。
どちらから行っても良いのですがvia Gower Gulch ではなく左方向のZabriskie Point Trailhead 方面へ進みます。
まるで Star Wars かなんかの映画に出て来そうな、他の惑星に迷い混んだ感のある光景がどこまでも続きます。数百万年にわたる堆積と侵食によって形成された様々な地層があり、周りを見ると地質の違い、鉱物の含有量、風化や酸化の影響によって出来た色の違う砂岩や岩山が砂漠の中のアートとして私達ハイカーを魅了してくれます。
更に進みトレイルを下っていくと3つめの分岐の看板が出て来ます。
こちらも左方向へ Zabriskie Point Trailhead 進み、いよいよZabriskie Point 展望台までもうひと頑張り。
トレイルは Zabriskie Point 展望台の駐車場エリアと続いています。
展望台は駐車場から少し坂を登ったところにあります。車でここへ訪れる人は車を停めて、歩いてこの坂を登って景色を見に行きます。一見長い坂に見えますが、なんせ、他の場所より標高も低いので息切れすることもなく、健脚の方なら簡単に行けますのでご安心を。
ハイキング開始から約1時間半後、半分地点へ到着。ここで少し休憩です。
ザブリスキーポイント(Zabriskie Point)
ここからの光景は、古代の湖の堆積物が圧縮され、独特の波状の模様と色合いを生み出しているらしく、ここの展望台はデスバレーの中でも景色が素晴らしいということで人気な停車ポイントです。
火山活動の影響からデスバレーの地層には、古代の火山噴火による火山灰や溶岩が含まれており、それが固まることで特定の色(灰色、黒色など)を作り出しています。
気候と風化の影響からも極端な温度変化や風による侵食が、岩の表面を変化させ、色のコントラストを強めているそうです。まさに他の国立公園もですが、長い年月を経て作られた自然の証を目の前に眺めることが出来ます。
さて、ハイキングは続きます。実はこのザブリスキーポイント(Zabriskie Point)から続きのトレイルが続いています。展望台の少し手前の右手にトレイルが続いていて、ここから下って後半戦開始です。
どんどん下りてさっきまで居たザブリスキーポイント(Zabriskie Point)を今度は頭上に見て、谷底を歩いていきます。
後半はすごく楽です。一旦谷底まで下ってしまえば、そこからほぼ平坦が続きます。
景色は相変わらずとてもユニークで、周りは岩山のみの景観なのに全く飽きません。
開始から約2時間半の14時35分 ハイキング終了です。
このトレイルは普段はオフシーズンの冬の時期に楽しむことができるハイキングトレイルで、初心者でも健脚の方なら楽しめる場所です。
なんと言っても他のナショナルパークとはまた違う雰囲気、魅力があり砂漠好きの人にはたまらない場所だと思います。
是非、冬のシーズンに楽しむ事ができるデスバレーへ足をお運びくださいませ。
つづく
加藤 さやか