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arata ATP-125 レビュー:伸縮式・オールシーズンOK・高耐久にして重量126g!常識破りのトレッキングポール

テクノロジーの進化と共に「軽い」トレッキングポールは市場にラインナップを増やしています。市場に出回るトレッキングポールを調べてみると、伸縮式、3ピース構造のポールは1本150gを切るモデルが現時点での世界最軽量クラス。

で、ありましたが、その最軽量クラスのトレッキングポールを上回る超軽量トレッキングポールが登場しました。「arata ATP-125」は最小重量が126gで、同構造のトレッキングポールと比較すると頭ひとつ出るほどの軽さ。

しかし、約10kgの装備を背負った状態で安心して荷重をかけるには軽いたけではなく強さも求められます。異次元の軽さを誇るarata ATP-125はどうなのか?発売して間もない超軽量トレッキングポールをフィールドで試してきたのでレビューします。

arata ATP-125 の主な特徴

arata ATP-125 は重量比強度に優れた特殊なカーボンパイプが用いられた、3ピース(セクション)の長さ調節機能付きトレッキングポールです。ポールにはカーボンの含有率を高めやすいDirect Filament Windingという手法で編み込まれていることで重量比強度に特に優れ、連結部には一般的な折りたたみ式トレッキングポールとは異なるネジ式を採用し、アルミ合金を用いることで高耐荷重でありながら世界最軽量クラスの重量を実現。

100cmから125cmの間で無段階調節が可能になっており、調節が容易なフリックロック式が採用されています。折りたたんだ状態で長さ38cmまで短くなり、コンパクトに収納することが可能。ポール一本の重量は126gで、ストラップと合わせてると133g。軽さと握りやすさを考慮したEVAフォームグリップを備え、専用のバスケット、スノーバスケット、石突カバーが付属し、グリーンシーズンの登山やハイキングから雪山までオールシーズン対応のトレッキングポールです。

おすすめポイント

気になったポイント

主なスペックと評価

項目 arata ATP-125 
重量 133g(ポール: 126g  ストラップ: 7g)
ポール連結数 3ピース(おりたたみ式)
連結方法 ネジ式(分離式)、フリックロック
材質
  • シャフト:カーボン
  • グリップ:EVAフォーム
調整サイズ幅 100cm〜125cm
収納サイズ 38cm
付属品
  • 石突カバー
  • バスケット
  • スノーバスケット
Outdoor Gearzine評価
快適性 ★★★★★
重量 ★★★★★
固定・調整 ★★★☆☆
収納性 ★★★★★
耐久性 ★★★☆☆
汎用性 ★★★★☆
適したアクティビティ ハイキング・登山

使用インプレッション

圧倒的軽さにして高耐久

ポールとストラップを合わせた実測値

ATP-125の公式重量は、ストラップ付きで1本あたり133g(実測値は134.3g)。調節機能のないポールやトレイルランニング用ポールなどを含めて比較すると最軽量ではないものの、「長さ調節が可能な3ピース構造」としては世界最軽量クラス。2025年3月にOutdoorGearzinで紹介したDURSTON Iceline Trekking Polesが1本あたり145gでしたからそこからさらに12gも軽量になっています。これだけ軽いにも関わらず、フィールドでのテストではあえて体重をかけてみたり、強く突いてみたりといろいろ試してみましたが全く問題なし。安心して体重をかけることができました。

ATP-125のポールの経は最も太いグリップ付近で約13mm、先端で11mm(実測値のため誤差はご了承ください)と他のトレッキングポールと比較しても太いということもありません。軽いのにこんなに強いのはなぜかというと、ポールのカーボンの含有用を高める手法を採用していることと、独自の連結構造にしていることで高耐久を実現させています。一般的なカーボンパイプは一方向に炭素繊維が走るUDシートを芯材にし、表面に格子模様状の3Kシートを重ねて作られているのに対し、ATP-125はカーボンの含有比率を高めやすいDirect Filament Windingという手法で編み込まれることで重量に対しての強度が高いカーボンパイプが使われていることで強度を担保しつつ、軽量化が図られています。

ATP-125の対荷重は36kgで、これは軸方向に負荷をかけてポールが折れる(または破損する)直前の強度ですが、ATP-125の対荷重スペックであれば通常の登山やハイキングでの使用であれば全く問題ありません(フィールドテストをした上での実体験ベース)。しかし対荷重が問題ないと言い切れるのは歩行時のはなし。トレイルランなどスピードが加わった際にはより荷重がかかるため、性能と限界について十分な知識と経験が必要になることは留意しましょう。

ネジ式の接続部が突いた時のブレを軽減、安心して突ける快適さ

トレッキングポールは構造こそ違えどシンプルなアイテムです。ですが、フィールド突いてみると使用されている素材や接続方法などにより衝撃の伝わり方や、振動、たわみなどがポールによって異なり、ガシッとフィールドを捉えてくれるものや、粘り強く支えてくれるものなど、それぞれに個性があります。

ATP-125は突いた時もがっちりとトレイルを捉え、突いた瞬間の衝撃による反動もありません。たわむようなこともなく、安心してプッシュしたり、体重をかけることができました。これまでに複数のトレッキングポールを使ってきた経験からすると、突いた時の衝撃吸収とたわみのなさはカーボンという素材の特徴です。突いた時にたわみや反動がないのは接続の方法や強度が大きく関係してきます。

折りたたみ式のトレッキングポールは内部のワイヤーを引っ張ることでポールを保持する接続方法が採用されているポールがありますが、その構造のトレッキングポールは突いた時に振動が伝わってきたり、たわみを感じることがあります。対してATP-125はトレッキングポールでは珍しい「ネジ式」が採用されていることでしっかりと固定されるため、接続部の強度が高められることで突いた時のたわみを感じにくくなっています。

ネジ式になった接続部、ネジのようにくるくると回すことで固定できる。時計回りに回せば固定し、反時計回りで緩めることができる

ネジ式であることで使用中の連続した衝撃で緩んでしまうことを懸念しましたが、数回のテストでは一度も緩むことはありませんでした。組み立て時にしっかりと締めることが重要ですが、接続部に弾力のあるOリングがついていて、しっかりとネジを締めることで緩み防止の役割を担ってくれているため緩みにくい構造になっています。

ネジ式の接続は組み立てにやや時間がかかる

ネジ式であることで組み立てにやや時間がかかるため、スピーディに組み立てがしたいシーンには向かない構造ですが、スピーディな組み立てが可能なワイヤーで固定しているタイプのトレッキングポールはワイヤーが切れてしまった際に使い物にならなくなってしまうのに対し、使い勝手は悪くなりますが原始的な構造なため、トラブルが起こりにくく、仮に内部のショックコードが切れてしまったとしても支障なく使うことができます。

100cmから125cmまで無階調節が可能なフリックロック式

ポール上部のグリップ付近がテレスコピック(伸縮式)になっていて、長さが100cm〜125cmの間で無段階に調整でき、フリックロック式で調整は容易に行えます。1cm刻みで目盛りが付いているため長さ調節の目安にしやすく、さらに目盛りがあることで自身にとってのベスト長さを見つけ出すことにも役立てられます。ベストな長さが分かれば次のステップとしてより伸縮機能のないより軽量なトレッキングポールを選ぶ際に基準にできるため、目盛りの付いているトレッキングポールはエントリーモデルとしてもおすすめです。

ただし、軽量なトレッキングポールの場合、強度が高められているとはいえ、過度な負荷や衝撃が加わると破損する可能性があるため製品の性能と限界についての把握と、安全に関する注意事項などを理解した上での使用が前提となります。

コンパクトに収納可能

伸縮式のトレッキングポールは操作性が高いメリットがある反面、バックパックに取り付けた際に大きくはみ出てしまうことがありますが、ATP-125は折りたたんだ状では長さが38cmまで短くなることでコンパクトに収納が可能になり、収納時にまとめておくことができるよう、マジックテープのバンドが付属しているため、バラバラとなることもなくバックパックからはみ出すようなこともないため、頭上の木に引っ掛けてしまうようなこともありません。

力を入れて握らなくともプッシュできる絶妙なグリップ

初めてATP-125を握った時に感じたのがグリップがやや細いということ。筆者の手は平均よりも大きいため、ある程度は仕方ないにしてもこれまで握ってきたポールの中でグリップが細く感じられました。グリップが細いことで握りにくさが気になっていたのですが、フィールドで使ってみてると、グリップの形状により握力を必要とせずに支えられることに驚きました。

握った際にちょうど小指のあたりに絶妙に引っかかってくれるグリップはストラップを併用することで強く握らなくても力を加えることができ、長時間の使用でも疲労せずに使うことができました。人差し指のあたりも引っかかりやすい形状になっているため、状況に応じて持ち方を変えたとしてもちょうどいい位置にひっかかりがあるため非常に使いやすかったです。

スノーバスケット付属でオールシーズンOK

付属品として石突カバー、バスケット、ストラップが付いているため、購入後にそのままフィールド使用することができる上、雪山でも使えるようスノーバスケットまで付属しています。

直径が約89mmあるスノーバスケットが浮力をもたらし、雪山での使用を可能にしてくれます。ちなみに、スノーバスケットは重量が19gで、トレッキングポールの重量は153gとなります。

オプションではなく、付属していることで文句のつけようがないスノーバスケットですが、強いていうのであれば折りたたんだ状態時にスノーバスケットが干渉しないように工夫されてくれていたら最高でした。

まとめ:超軽量にして頑丈さ・機能・コンパクトさの揃ったオールシーズン対応トレッキングポール

arataから新登場したトレッキングポールATP-125を紹介しました。

伸縮式でありながら最小重量は130gを切る軽量なトレッキングポールは軽いだけでなく、しっかりと強度も確保された使いやすいアイテムでした。ATP-125はトレッキングポールを活用し、歩行をサポートしつつ、軽量化を図りたいハイカーにとっておすすめのトレッキングポールです。

ブランドの由来に「新たに・改める」という意味が込められているarataはその名の通り、常識を覆すようなアイテムを次々と誕生させています。テントにスリーピングマット、そして今回紹介したトレッキングポール。個人的にはすでに次に何が生み出されるのか楽しみでなりません。

Yosuke C(ヨウスケ)

不便にならない程度に「できるだけ軽く」をモットーにバックパックひとつで行動する人。

春から秋にかけては山奥のイワナを追いかけて渓流へ釣りに。 地上からは見ることのできない絶景を求めて山を歩き。 焚火に癒されたくてキャンプ。 白銀の山で浮遊感を味わいにスノーボード。

20年以上アウトドアを嗜み、一年中アウトドアを自分流に楽しむフリーランスのライター。数十以上のアウトドア系WEB媒体での記事執筆経験をもとに、自身の経験や使ってみて良かった道具を発信していきます。

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