サイトアイコン Outdoor Gearzine "アウトドアギアジン"

沢登り・渓流釣りに欠かせない「渓流シューズ」。モンベルばっかりだった自分がキャラバンの「KR_3XF & KR_3XR」を履いてみて感じた違いと実力【その他のアイテムもまとめて実践レビュー】

数あるアウトドア・アクティビティの中でも、水と岩が織りなす険しくも美しい世界へ踏み込む「沢登り」や「渓流釣り」は、急峻で雨・雪の多い日本の山岳ならではの味わい深いアクティビティです。

しかし整備されていない道なき道を行く沢登りは、通常のハイキングや一般縦走登山にはない危険がどうしてもついてまわります。

そこで安全かつ快適に沢を遡行するためには、何よりもフットウェア(渓流シューズ)やプロテクションギアの選択が重要ですが、そんな日本の沢登りシーンを長年支え続けてきた定番ブランドといえば、キャラバン(Caravan)の「渓流」シリーズです。

古くからの沢屋はもちろん、源流イワナを狙うアングラーまで幅広く愛されるこのシリーズですが、実はこれまで特に明確な理由もなくモンベル派だった自分には縁遠いモノでした。

それがついに今シーズン、縁あってキャラバンの渓流シューズをはじめとした「渓流シリーズ」をレビューさせてもらう機会を得ましたので、今回は毎年何本も渓流に入り浸る筆者が、フラッグシップシューズである「KR_3XF」(フェルトソール)および「KR_3XR」(ラバーソール)を中心に、快適な遡行を支えるウエア・アクセサリー類まで、実際に大小の渓流で使ってみたインプレッションを感じたままに、これまで自分が使ってきた競合モデル(特にモンベル製品)との違いを中心にレビューしてみたいと思います。

キャラバン「渓流」シリーズの主な特徴

キャラバンの「渓流」シリーズは、日本の沢登りの現場からの声を反映して生まれた、日本の渓流アクティビティのために作られたプロダクトラインです。中でも渓流シューズの「KR_3XF / KR_3XR」は、長年培われた日本人の足型データに基づき、適度なゆとりと確かなフィット感を備えた渓流専用のウォーターシューズ。ソールの違いによって、ヌメリや苔に強い13mm厚の日本製フェルトソールを採用した「KR_3XF」、ぬかるみやアプローチの登攀、岩場での高いエッジング性能を発揮する「Vibram S1628 W-Friction(Idrogrip)」を採用した「KR_3XR」に分かれます 。いずれも日本人の足に合いやすく水中での歩行や登攀を前提に作り上げられた2Eラスト(CRソックス着用想定)で設計され、つま先や側面のランドラバー補強により高い耐久性を誇ります。

その他、水の中でのアクティビティで寒さを感じさせず、擦れや衝撃から身体を守るためのウォーターソックス「CRソックス」やスパッツ「ニースパッツプロ_II」、グローブ「グローブプロ」、そして泳ぎが必要な大水量の渓谷に適した防寒性と動きやすさを両立した沢登り用シャツ「CRジップシャツ」、タイツ「CRタイツ」など、幅広いレベルでの沢登りに必要な機能を備えた装備がラインナップされています。

おすすめポイント

気になったポイント

シューズ詳細レビュー(KR_3XF / KR_3XR)

快適性・履き心地:長距離の「沢旅」でも疲れない、ゆとりのあるラスト形状と優れたフィット感・クッション性

これまで筆者は、今は無き池袋秀山荘の「ZONE」や、モンベルの「サワートレッカー / サワークライマー」をはじめ、スポルティバ「TX キャニオン」、ダイワ「WS-2302C」などさまざまな渓流シューズ(ウェーディングシューズ)を履いてきました。

そんな自分が「KR_3XF」に足を入れたときに、これまで履いてきた渓流用シューズと比較してはっきりと感じた違いは、歩きやすい登山靴を履いたかのようなこれまでにない「絶妙なフィット感の高さ」です。

厚手の渓流CRソックス(3mm厚)着用を前提としたうえで2Eサイズに設定されたラスト形状は、靴紐を締めると自然と足全体を包み込むようなきっちりとしたフィット感を備えながら、(決してあのキャラバンシューズと同じ形ではないと思いますが)キャラバンらしい窮屈さとまったく無縁の適度なゆとりを備えた心地よい履き心地を備えています。

かかとまわりも、丸みを持たせた立体形状のヒールとソフトな厚みのある3Dメッシュによる構造でホールド感も良好です。

水を含んだ状態でも足全体を均一に包み込み、かかとも浮きにくいため 、何時間も重荷で沢を歩き続ける泊りの遡行や沢旅でも足裏や足首への負担が軽減されます。

ちなみにモンベルのサワートレッカーやスポルティバのTXキャニオンなどは、同じしっかりとしたフィット感でも、足形はやや細めでフィットもややタイトめ。その印象はどちらかというとより「アプローチシューズ寄り」というか、登攀でのシューズの一体感を重視した確実なフィットへの意識が強く、その意味では KR_3XF の「歩行時の快適さ」は、これまで履いてきたどんな渓流シューズよりも高く、自分のようなどちらかというと「直登よりも沢旅」派にはありがたい特徴だと感じました。

ただそれでも「KR_3XF/ KR_3XR」の足形は標準~広め向けであることは確かなので、そもそも足周りが細いひとはスタイル云々以前にモンベル等別の足形が合うモデルを選ぶのは大前提です。上記はあくまでも足形がどちらにも合わせられた人がとれる選択肢だと考えた方がいいのは念のため付け加えておきます。

耐久性・プロテクション:高巻きやへつりでの衝撃や摩擦から足を守る、盤石の保護力と剛性

対して文句なしに100点を付けたいのがこの耐久性に関して。つま先からサイド、ヒールまでをぐるりと覆うランドラバー補強は非常に剛性が高く、つま先にはおまけの先端ガードまで付いて、倒木や岩に足をぶつけた際にもプロテクション性能は抜群。そして岩に擦り付けられようが泥壁を高巻きしようがびくともしない耐久性も備えていました。それでいて水抜き穴もちゃんと空いてますので、足取りが重くなることもなく。またアッパーの合成皮革と化繊メッシュ地も軽さと通気性、そして耐久性に優れ、快適さと保護性のバランスの高さを支えています。

グリップ・滑りにくさ:渓流の特徴や目的、好みで選べるソールはどちらも張り替え可能

渓流シューズでは珍しいことではないのですが、このシリーズはそれぞれ特徴の異なる2種類のソールが用意されており、目的とする渓相やルート、好みなどによって選択できるようになっています。しかもどちらも張り替え可能で、耐久性の高いアッパーとともに長く使い続けることができます。

KR_3XF」の方は、きめ細かいポリプロピレンのフェルトソールを備えたモデル。一見何の凸凹もないこのまっ平らなソールで大丈夫なのか?と疑いたくなりますが、これが意外と濡れた岩にも吸い付くようにグリップしてくれます。乾いた・濡れた岩はもちろん、水苔やヌメリのある岩など、およそ沢登りで遭遇するあらゆる地形で一定以上のグリップを発揮してくれます(ココ重要)。一方で乾いた岩でのグリップや、細かなホールドをつま先で立ち込むようなエッジング性能、高巻き時の土斜面トラバースや草付きには、後述するラバー素材に一歩譲るといった面もあります。

一方「KR_3XR」はソールに濡れた岩でも高いグリップ力を備えたラバー素材の「Vibram Idrogrip」を採用したモデル。つま先にはクライミングゾーンを配置され、乾いた岩ヌメリのない濡れた岩での登攀性能に優れ、またアプローチシューズ的な歩きやすさから林道歩きその他高巻きやトレイル歩行での性能にも優れているといえます。ただ問題は「ヌメリのある岩や苔むした岩にめっぽう弱い」ということです(ココも重要)。

フェルトとラバー、ソールはどちらを選ぶのが幸せになれるのか?に対する私見

双方のメリット・デメリットを理解したうえで、ここで個人的な結論を書かせてもらうと(異論は認めますが)、自分は今でも「フェルト一択」です。理由としては、確かにラバーソールには利点も多々ありますが、たとえそうだったとしても「ヌメリでの脆弱性」はどうやっても回避不可能で危険だからです。これまでラバーの沢用シューズを何足も履いてきましたが、どれだけグリップ力が高いラバーソールでも、奥多摩のヌルヌルとした岩にひとたび足を置くと、もうあっけなく何も抵抗できず「ツルっ」といきます。仮に平らな場所であったなら注意してそっと歩けばいいのかもしれませんが、もし滝の直登でそこに足を置かなければならないというホールドが、ヌメリ気味の岩だったりしたらもう死活問題です。

一方でフェルトなら、相対的に登攀性能や高巻き時の泥壁に弱いとはいえ「滑りすぎてどうしようもない」という場面はまずありません。どこでも一定以上のグリップはありますし、滝の直登も(本気のクライミングのような岩壁を直登しない限り)基本問題はありません。また高巻き時の泥壁が心配であれば、今ならチェーンスパイクなどを使うことで安心して歩くことができるようになります。このようにフェルトのデメリットはおおむねカバー可能であるのに対し、ラバーの弱点は回避しようがないのです。

特に沢登り初心者の皆さんに対しては、なんとなくスタイルがいいからといってラバーを選ぶのはやめた方がいいと強く思います。やはり日本の沢は、フェルトが都市近郊の小渓流から山奥の大渓谷まで、初心者からベテランまで、シーンを問わず汎用性が高くておすすめです。もちろんこれは自分の経験上得た結論ですので、人によって結論は異なるかもしれませんが、ただキャラバンの製品ページにもあるように、ラバータイプの使用にあたってはそうした特徴やフィールドの状況、使用者の経験・スキルを十分に考慮したうえで判断することが必要です。

その他、沢登り・渓流釣りに必要なアクセサリーの紹介

川の中を歩き、滝を登り、釜を泳ぎ、瀞を抜ける沢登りでは、渓流シューズ以外でも安全性と快適さを高めるウエアやプロテクターの組み合わせが不可欠です。キャラバンではそれらのアクセサリー類も当然ラインナップされています。今回はそれらを試してみたので、その中でのお気に入りを紹介します。

1. 渓流 CRソックス 3mm

保温性とクッション性に優れた3mm厚の発泡ラバー(クロロプレン)ソックスで、水冷による足元の冷えを防ぎ、靴擦れを予防します。雪解け水を含んだ源流の水はとてつもなく冷たく、通常の登山用ソックスではたちまち足が凍りついてしまうので、それを防ぐためにもこのようなウェットスーツに使用されるようなクロロプレン地のソックスが不可欠です。キャラバン渓流シューズのサイズ設定の基準ともなっているので、セットで揃えるべき必須アイテム。1mmの薄手タイプもありますが、自分は1年通して厚手をおすすめします。これは他メーカーに比べても厚いので、保温・保護性能も高く気に入っています。

1点使っていて気になった注意点とすれば、分厚い構造のためか、洗って乾かす際に内側が乾きにくいということです。1日表面を乾かしたら、裏返すというひと手間をかけて裏面も乾かさないと、内側に水分がとどまってしまいますのでその点は注意して使いましょう。

2. 渓流 ニースパッツプロ_II

膝と脛(すね)を一体で保護する立体裁断のスパッツ。脛だけのスパッツもありますが、自分は断然膝も含めたこちらをおすすめ。膝をついて大岩や倒木を乗っ越すときをはじめ、沢を歩いていると何だかんだ何かとぶつけやすい脛をガードし、水流による裾のバタつきを抑えます。クロロプレン地なのでもちろんひざ下までの保温効果も抜群で、これを付けていると靴への直接の浸水もかなり防いでくれます。ライトな沢登りでは使わない時もありますが、ほとんどの沢旅で欠かせません。

こちらも今回初めて使用し、かなり気に入ってしまったアイテムでした。もっとも気に入った点は、多くのメーカーが出しているこのような膝・脛一体型のスパッツは、膝部分のベルクロが歩いているうちに非常に剝がれやすいのですが、このキャラバンのスパッツはこれまで一度も外れたことがありません。膝部分のパッドも厚手で、皿に合わせた補強があってずれにくく、非常に優秀でした。

3. 渓流 CRジップシャツ & 渓流 CRタイツ

脱ぎ着がしやすいフロントジップ仕様の発泡ラバー製保温シャツと、伸縮性と断熱性に優れる発泡ラバー製タイツ(上写真)。水流圧や摩擦から下半身を守ります。近郊の日帰り沢では保温性が高すぎて逆に暑いかもしれませんが、水温が低い初春〜初夏の沢や、水量が多く泳ぎやシャワークライミングを伴う大渓谷では体温低下防止に大活躍してくれます。

この夏の遠征時では下記のような瀞を泳いで通過する場面が何度かあり、また腰までの渡渉などが多い大渓谷では真夏でもこのような着心地が良くて保温性の高いウェアは非常に有効です。

https://outdoorgearzine.com/wp-content/uploads/PXL_20260809_225456832.mp4

ジップシャツの方は、フルジップのフロントジッパーによって脱ぎ着も楽だし、ジッパーを開閉することでこの手のコンプレッション系ウェアにありがちな窮屈感や暑さをある程度柔らげてくれます。またジッパー裏にはフラップがついて浸水もしにくく、裏地の縫い目もフラットでゴロつきもなく快適な着心地を提供してくれます。

夏ならば1枚でも泳ぎ系の沢で十分に暖かく、これ1枚とトレラン用のショーツというスタイルがこの夏の定番でした。

前立てはジッパーで開閉でき、ウエストは紐で締めるタイプなので窮屈感もなく、便利で脱ぎ着しやすいという文句なしの着心地です。

また、今回実際には使用できていませんが、沢登りでは濡れてふやけた手は傷つきやすく、そして保温のためにもグローブもあるといいです。

まとめ:穏やかなウォーターウォーキングから大渓谷の釣行まで。「沢旅派」の沢登りストやアングラーにこそおすすめしたい渓流ギアシリーズ

キャラバンの「渓流」シリーズ、なかでも特に渓流シューズに関しては、実際に履いて歩いた結果、他の靴との歩き心地の違いに良い意味で驚かされました。「快適に歩く」という点にフォーカスされ、これまでのどんな渓流シューズよりも長時間疲れにくい履き心地が印象的だった「KR_3XF」は、やや幅広な自分の足にはしっくりと合い、これからの沢旅のスタンダードになりそうです。

ソールをフェルトにするか、ラバーにするか、あるいは防寒・プロテクションのためのウェア・アクセサリー類は、はじめから全部揃えればいいという分けではありませんので、まずはソックスとスパッツ、グローブ、それ以降は目指す沢のスタイルや季節に合わせて少しずつ選んでいくすることをおすすめします。

足元も身体も万全のギアで固め、残り少ない沢登りシーズンも安全で素晴らしい沢旅へ出かけましょう!

限定企画やコンテンツを楽しみながらロングトレイル・ハイキングの極意をプロから楽しく学べる『トレイルの学校』始めました

『Outdoor Gearzine トレイルの学校』紹介ページへ

モバイルバージョンを終了