このたび、Outdoor Gearzine メンバーシップでは新しいプロジェクトが始まります。名前は『トレイルの学校』。
「トレイル」で「学校」?ありそうでなかったこのプロジェクトは、言葉通りに解説すると山野に伸びた道である「トレイル」の歩き方を「学ぶ場」です。
目次
なぜ、今『トレイルの学校』なのか?
このサイトを始めた2014年当時、北米から帰ってきて強く感じたのは、登山やハイキングなどアウトドアを楽しむためのギア関する実用的で信頼に足る情報が、日本では(少なくともネット上には)皆無と言っていい有様だったことでした。
そこでアウトドアの楽しさ、豊かさ、奥深さを感じることのできる重要な要素のひとつである「道具」にフォーカスして、ユーザーにとって有用な情報を発信するために誕生したのが Outdoor Gearzine というわけですが、それからおよそ10年の時を経て世の中は大きく変化しました。今では情報が足りないどころか、日常は清濁混ざり合った大量の情報の渦で満たされ、観る側の個々人がそれらすべてをキャッチアップし、正しいものだけを取捨選択するということが正直いって不可能といえる状況が(あらゆる分野で)広がっている気がしています。
その結果、SNSなどによって研ぎ澄まされたアルゴリズムは僕たちに「自分にとって必要な、より正しい情報」を届けてくれるのならば誰も苦労しないのですが、むしろ「より刺激の強いものやより極端に偏った情報」つまりとにかく瞬間的に注目さえ集められれば(結果はどうでも)いい情報だらけになっていく。こうしたメディアを運営しているからか、自分はそんな毎日に日々心が疲弊していくのを感じています。そんな気持ち僕だけではないのではないでしょうか。
そんな状況をあらためて振り返って「今、このメディアがアウトドアが本来ある自由や楽しさ、奥深さを伝えるために本当に必要なコンテンツって何だろう?アウトドアを楽しみたいと思っている人が、安心して役に立ち、楽しんでもらえるコンテンツって何だろう?」と自問自答したときに、たどり着いた答えが、単なる無料の情報発信にとどまらず、より深く本質的な知識と体験を通じてアウトドアの価値を伝えていくための「学校」でした。
いつか”あの道 ( TRAIL ) “を歩いてみたいと夢を抱いているすべての人へ
かくいう僕も、日々の新しい情報に追われ、サイトを継続させるための毎日の仕事に没頭し、気がつけば40代も終わりに近づいていました。
このサイトを始めるきっかけにもなった、北米の国立公園を歩いた時の自然風景の荘厳さ、人々とのふれあいで感じた清々しさ、自由と開放感は今でも忘れられません。でも今思えば、山の仕事をしている僕ですら、普段はどこかの引き出しにしまい込んで鍵をかけてしまっていたかもしれません。
この学校は、そんな自分をはじめとする(かつて胸に抱いていたかもしれない)”あの道 ( TRAIL ) ” への憧れを忘れられない人をはじめ、初めてアウトドアを知り、トレイルに憧れを抱き始めた新米ハイカーまで、すべての人々のためにあります。
40代はロングトレイルを歩き始めるのに最も適した、成熟した「大人の冒険」が始められる歳
このプロジェクトの副題は「40歳からのロングトレイル講座」としました。その理由を話します。
40代以上の円熟した年齢の皆さんは、SNSで流れてくる広大なロングトレイルや、日本の深淵な山々を繋ぐ稜線の写真。それを見つめるたび、心のどこかで「自分にはもう遅いのではないか」「体力も知識も足りない」と、諦める理由を探してはいないでしょうか。僕も正直そんな不安を感じ始めている人間のひとりでもあります。
しかし実際にはそんなことはありません。学生時代から山をやりつづけ、そして50歳を間近にした人間として実感しているのは、40代はむしろ「ロングトレイルを歩き始めるのに最も適した、成熟した『大人の冒険』が始められる歳」だということです。
そう断言する理由として、多くの人が忘れがちなことをあらためて紹介します。
- トレイルを歩く人(ハイカーでもバックパッカーでも登山者でも、呼び方は何でもいい)になるために決まった「方法」はない。
- 同じようにトレイルを歩くために決まった「形(スタイル)」もない(ましてややみくもに最軽量の道具を揃えなければならないわけでもない)。
- そして最後にロングトレイルは競争ではない。肝心なのはゴールではなく、自分に合ったペースで、スタートからゴールまでの過程を楽しむ活動です。
数マイル歩いて静かなキャンプ場を楽しむ人もいれば、長距離を歩くことや長距離トレイルに挑戦する人もいる。超軽量装備を携行する人もいれば、ちょっとした快適さを求めて荷物を増やす人もいる。どちらのスタイルも間違っているとか正しいとかではなく、自分が必要なものを携えてトレイルを探索するなら、それはすべて同じバックパッキングです。ロングトレイルを歩く人は「こういうスタイル」で歩かなければならないなんてことはまったくありません(こうした空気が日本のアウトドアカルチャーの発展を貧しくガラパゴス化させていることにもっと多くの人が気づいてほしい)。実際にフィールドに出て経験することに対して自然は何も差別しません。すべてに共通する唯一の大切なことは現場で体験することだけなのだから。
その意味では体力が衰えてきたとはいえ、その一方で、地質・生態・歴史・文化と幅広い知識が蓄えられ、そして人生の機微を知り歩くことのプロセス全体を楽しむだけの余裕が生まれている40代の方がトレイルからより多くのものを得られるようになっているはずです。
ぜひ僕とメンバーの皆さんで、楽しく、自分のペースでじっくりとロングトレイルを学んでいきましょう。
『トレイルの学校』では何をどう学ぶの?
『トレイルの学校』は、単なる登山のテクニックを学ぶ場ではありません。
2年という歳月をかけて、身体と装備を研ぎ澄まし、トレイルにまつわる文化や、日本をはじめそれぞれの地域の歴史を味わい、頭と身体全体で目の前の自然と深く向き合える「自立したハイカー」になるための旅路です。
しかし、「体力に自信がない」「何をどう学べばよいかわからない」「何からはじめればいいのかわからない」という不安があるのは当然です。ということで、ここから何を、どう学んでいけるのかを説明します。
プロハイカー斉藤正史さんと学ぶソロハイキング、ロングトレイル、スルーハイキング…
『トレイルの学校』の講師は、Outdoor Gearzineでもおなじみのプロハイカー、斉藤正史さんです。会ってから交流を重ねるなかで「いつかこんなことをやりたいね」という話をしていたのですが、ようやく実りました。斉藤さんについて知りたい方はぜひ過去のインタビュー記事をどうぞ。
斉藤正史さん プロハイカー
2012年より日本で唯一のプロハイカーとして活動。トレイルカルチャー普及のため、海外のトレイルを歩き、アウトドア媒体を中心に寄稿する傍ら、地元山形にトレイルのコースを作る活動「山形ロングトレイル(YLT)」を行なう。スルーハイク(単年で一気にルートを歩く方法)にこだわり、スルーハイクしたトレイルだけで22.000km(地球半周以上)を超える。
まずは開校にあたって、斉藤正史さんからのメッセージをお伝えします。
『トレイルの学校』5つの特徴
1.2年間で「自立したハイカー」を目指すカリキュラム
『トレイルの学校』は基本的にはいつから始めても、いつ抜けても自由ですが、全体のカリキュラムとしては、内容的に2年で一区切りするように作りました。1年目は「基礎知識」、2年目は「トラブル対応から実践計画」と、ステップアップ形式で学んでいきます。
- トレイルを歩くとは?トレイルを歩くさまざまなスタイル、トレイルを歩く際に知っておくべき知識についてといった文化・実践マナーな慣習
- 安全かつ快適に屋外活動を行うための、包括的なアウトドアスキル
- 自分に合ったハイキングスタイルと、それにとって最適な装備、そしてそれらの正しい使い方
- 自信を持ってバックカントリー旅行を計画する方法
などなど
2.毎月のオンライン講習 + ライブチャット
毎月オンラインテキスト講座に加え、疑問を直接解消できるライブチャット講座を1回ずつ実施します。
ここでは信頼のおけるアウトドアの専門家からさまざまな実践的な情報を吸収するだけでなく、自分の関心ある話題について納得のいくまで疑問を解消することができます。
3.実践の場としてのオフラインイベント
メンバーはただ机上の知識を得るだけでなく、不定期開催(およそ3カ月に1回)で斉藤さんと共に実際にフィールドに出て歩き、そこで実践的な知識や経験を得るとともに、目標を同じくする仲間と喜びを共有することができます。
4.不定期にルート、装備、技術や知識に関するトレンドや実用的なコンテンツ配信やゲストとのトークコンテンツ等も
メンバーの皆さんには定期的にルートや装備、その他アウトドア界隈で話題になっている最新情報に関するレポートやニュース、考察記事など、現在のメンバーシップ向け有料コンテンツを配信するとともに、さらに今後はさまざまな分野のプロフェッショナルを招いてのトークセッションなど、ここでしか見られない貴重なコンテンツもお届けしていこうと思います。
5.『トレイルの学校』受講メンバー限定のオンラインコミュニティ
受講メンバーの皆さんは、新たに設けたメンバー限定のオンラインコミュニティにアクセスすることができます。そこでは気軽に、自由にアイデアを交換し、議論を交わし、有益な情報を交換することができます。
講座のカリキュラム概要(2年間で1サイクル)
この講座で月2回配信予定のオンライン講座で学ぶ大まかなカリキュラムは以下のように考えています。ただこれはあくまでも現時点での想定で、カリキュラムや配信日程は運営していく過程で、変更になっていく可能性が大いにあります。その辺は新しいプロジェクトを進めるにあたって試行錯誤を重ねていく必要があるため、なにとぞご了承下さい。
1年目:トレイルの基礎(歩いて泊まる)
- 登山とトレイルの違い、アメリカ3大トレイル、LNT(Leave No Trace)の精神について
- ロングトレイルでのさまざまな歩き方(ネロ、スラックパッキング)、メールドロップなど
- 靴とウエアの選び方、水の補給と浄水、キャンプ地の攻略
2年目:トレイルの実践(計画から実行へ)
- テント・寝具選び、バックパックの背負い方、パッキング術、火器の選択などの基本的な野営テクニック
- 危険動物・エマージェンシー対策、許可証の取得、アプリを活用した計画立案
- 長く歩くための体作り、先人に学ぶ歴史(ジョン・ミューア、加藤則芳)、ソロハイキングの醍醐味
『トレイルの学校』の入会方法
入会はいつから入っても、いつ抜けてもいい「月額入会制」です。スタートの第1期はお得な特別料金となっています。
入会(参加)方法:
『トレイルの学校』に参加するには、Outdoor Gearzine のメンバーシップ「OFUSE スタンダード会員」への登録が必要です(つまりすでにスタンダード会員の方々は第1期の資格を持っているとお考え下さい)。入会方法は以下に説明しています。
会費:
月額 1,000円(税込)
これは従来のメンバーシップのスタンダード会員に登録いただくのと変わらず、スタンダード会員に登録すればそのままトレイルの学校に参加することができます。
【重要】第1期生限定の特別価格です。今が最も気軽にスタートできるチャンスですので、この機会にぜひご検討ください!
『Outdoor Gearzine メンバーシップ』に登録するには?
『トレイルの学校』に参加するには、Outdoor Gearzine のメンバーシップ「OFUSE スタンダードプラン」への登録が必要です。
Outdoor Gearzine メンバーシップとは、クリエイター支援のためのWEBサービス「OFUSE」を活用した、月額メンバーシップ制度です。約2年前からスタートし、こちらに加入いただいた支援者の皆さんにはこれまで以上にアウトドアを愉しんでもらえるような、Outdoor Gearzineならではの新しいコンテンツやイベントなどのサービスを提供してきました。今回新たにスタートする『トレイルの学校』も、第1期に関してはこのメンバーシップの「スタンダードプラン」会員に対してご提供していきたいと思います。
「OFUSE」のメンバーシップに登録するためにはアカウント(Sozi ID)作成し、その後に「スタンダードプラン」への加入が必要です。お手数ですが案内に従ってアカウントを作成いただいた後にメンバーシップへご参加ください。なお、このメンバーシップについての詳細が知りたい方、OFUSEについてもっと知りたい方は下記のメンバーシップの立ち上げに至った経緯とお願い記事をご覧ください。
なお、スタンダードプランでは、この講座以外にも各種オフラインイベントをはじめ、トークイベントの他、ワークショップや勉強会、上映会なども行っていく予定ですので、合わせて楽しみにご支援いただけると幸いです。
皆さんからのご支援はすべてこうした企画やイベントの運営費として活用させていただきます。一緒にソロハイキングやロングトレイル、スルーハイキングのスキルを身に着けていきたいハイカーの方々はもちろんですが、日ごろからOutdoor Gearzine を愛読いただいている読者の皆さまには当サイトへのクラウドファンディングだと思って、みなさまのご参加を心よりお待ちしております。なにとぞよろしくお願いします。
開校前の4月下旬に『トレイルの学校』の説明を兼ねたライブ配信(またはpodcast配信)を予定しています
開校にあたって、興味のあるみなさんに詳細や今後の展望などについてざっくばらんに説明するライブ配信を行いたいと思います。詳細は後日またお伝えしますので、お楽しみに。
最後に:スタイルにとらわれず、自分だけの自由で開かれたトレイルを一緒に歩いてみよう
ロングトレイルのプロフェッショナルであり第一人者の経験に裏打ちされた知恵と経験、そして同じ志を持つ仲間とのかかわり。
Outdoor Gearzine がしまい込んだ引き出しの鍵を開けるお手伝いをします。
どこから始めても、どこで終えても自由。
2年後、あなたは今とは違う景色の中に立っているはずです。
皆さんの受講を、心よりお待ちしています。


