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登山用靴下を100足以上履きつぶしてきた山好きが選んだ、今シーズンのおすすめソックスと賢い選び方【徹底ガイド】

靴下は1日を快適に過ごせるかどうかを左右する「縁の下の力持ち」

登山で履く靴下は保温や衝撃吸収・汗の吸収と拡散・肌の保護など、足周りを守るためのさまざまな役割を一手に担うキープレーヤー。ブーツの履き心地や蒸れやすさ、靴擦れなどはソックスを変えることで解決できる場合も実際多々あります。実は「シューズの良さを活かすも殺すもソックス次第」といえるほど重要なアイテムであり、自分にピッタリのソックスを選ぶことは、靴選びに負けず劣らず大切です。

そこで今回は、ハイキング・トレイルランニング用靴下を山歴20数年の間に延べ数十種100足以上履きつぶしてきた自分が、今シーズンの人気・定番・新作モデルを片っ端からチェックし、目的やこだわりに合わせてベスト・モデルを選んでみました。後半では皆さんが自分に最適な登山用靴下を選ぶために知っておくと役に立つポイントについてもまとめています。お店にズラリとぶら下がった山のような選択肢の中から、あなたにピッタリの1足を見つける手助けになれば幸いです。

目次

【部門別】今シーズンのベスト・アウトドアソックス

ベスト・ハイキング(総合)部門:DARN TOUGH ハイカー ブーツソック ミッドウェイト フルクッション/SmartWool マウンテニアエクストラクッションクルー/FITS ミディアムラグドクルー/Point6 37.5 Hiking Essential Medium Crew

DARN TOUGH ハイカー ブーツソック ミッドウェイト フルクッション

お気に入りポイント

イマイチポイント

SmartWool マウンテニアエクストラクッションクルー

お気に入りポイント

イマイチポイント

FITS ミディアムラグドクルー

お気に入りポイント

イマイチポイント

Point6 37.5 Hiking Essential Medium Crew

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お気に入りポイント

イマイチポイント

ベスト・ファストパッキング部門:RXLソックス WILD WOOL 【参(厚み:厚・丈:長)】

お気に入りポイント

イマイチポイント

ベスト・薄手ライトウェイト部門:Feetures ELITE LIGHT CUSHION MINI CREW

お気に入りポイント

イマイチポイント

ベスト・先割れ部門:injinji アウトドアミッドウェイトクルーヌーウール/YAMAtune アウトドアミディアムアーチクルー2toe

injinji アウトドアミッドウェイトクルーヌーウール

インジンジ アウトドアミッドウェイトクルーヌーウール IJJ223370 ユニセックス/男女兼用 靴下 【ゆうパケットOK】
お気に入りポイント

イマイチポイント

YAMAtune アウトドアミディアムアーチクルー2toe

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お気に入りポイント

イマイチポイント

ベスト・靴ズレ防止部門:WRIGHTSOCK ADVENTURE

お気に入りポイント

イマイチポイント

ベスト・ドライ(サラサラ速乾)部門:RXLソックス WILD PAPER 和紙 ソックス(ラウンド)

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お気に入りポイント

イマイチポイント

ベスト・コンプレッション部門:YAMAtune アウトドアミディアムアーチ クルー/SockWell STAMPEDE CREW

YAMAtune アウトドアミディアムアーチ クルー

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お気に入りポイント

イマイチポイント

SockWell STAMPEDE CREW

お気に入りポイント

イマイチポイント

ベスト・コストパフォーマンス部門:HALISON メリノ サポートパイル トレッキング

お気に入りポイント

イマイチポイント

選び方:自分にピッタリの登山・アウトドア用靴下を選ぶ5つのポイント

ポイント1:素材 ~万能選手のウール混紡か、速乾性重視の化繊か~

肌触りや保温性、蒸れにくさなど、履き心地から機能まで、靴下のパフォーマンスを左右する最も重要なポイントのひとつは、何よりまず素材選びです。

たとえば日常よく履いているコットン(綿)100%の靴下は丈夫で快適な反面、汗で蒸れやすく乾きも遅い。足には約25万個のエクリン腺と呼ばれる汗腺が集中しており、足は人体の中でも最も汗をかきやすい場所のひとつであることから、汗分処理がお粗末なソックスに用はありません。コットンはまたひとたび水に濡れると保温性が低下してしまい、場合によっては命の危険にすら繋がってしまいます。

このように素材によってさまざまな特徴の違いがあり、各メーカーは用途や目的に応じてそれに適した素材をチョイスしたり、時にはブレンドするなどして多種多様なモデルを開発し続けています。

主役は「化繊」から「メリノウール」へ

一昔前まではポリエステルやナイロン等を中心とした化繊の登山ソックスが一般的でした。これらは綿に比べて速乾性があり、耐久性にも優れているからです。さらにより伸縮性を備えたスパンデックス、羊毛に似たアクリル、より速乾性に優れたポリプロピレンといった長所の異なる化繊を混紡して、細かな違いを生み出していました。

その後登場したのがメリノウール製のハイキングソックスです。メリノウールはニュージーランドなどの厳しい山岳地帯に生息する羊の一種で、その繊維は昔のウールのようなチクチク感もなく、非常に暖かく快適で丈夫。濡れても保温性を保ち、そして適度な通気性と吸湿性、調温性に優れているため、厳冬・盛夏に限らず「暑すぎ・寒すぎ」といった状況を緩和させてくれる能力を持っています。また天然の消臭効果も備え、何日履き続けても悪臭を放ちにくいという、まさに登山のためにあるような素材です。当然一気に人気は爆発し、あらゆるアウトドアメーカーがメリノウールを取り入れた靴下を開発するようになりました。

今ではメリノウールを配合した靴下は珍しくなくなり、ほとんどの登山用靴下はウールと化繊をブレンドした生地構成になっています。ただ糸そのものの品質や化繊との混紡比率、編み方などによってその性能差はピンからキリまでありますので、メリノウールだからOK、と短絡的に判断するのは要注意です。

ともあれ、寒冷地用のソックスを選ぶのであれば間違いなくメリノウールが多く配合されているモデルを選ぶのがベター。ただ暖かい季節から猛暑のなかでのハイキング、あるいは大量に汗をかくと分かっている場合は、合成繊維メインのより速乾・通気性を重視した素材配合の方が安価で効果的といえます。

ポイント2:生地の厚み ~必要なクッションと暖かさを確保~

分厚い生地によってつくられた靴下は極上のクッションと暖かさを提供してくれます。また足と靴の間に必要以上の空間が開いている場合、適切な厚みを持ったソックスで埋めることで、そのズレを最小限に抑えることができます。ただ一方で、それなりの重さとかさばり、蒸れやすさ、そして場合によっては暑すぎるといった副作用ももたらします。1年中どんなアクティビティにもフィットする万能ソックスは、今のところまだ存在していません。

このため一般的なソックスブランドでは、ハイキング用ソックスに厚みによるカテゴリに分かれた複数のモデルを提供しており、ユーザーは状況や好みに合わせてウェイトを選択することができます。購入の際には季節や目的に合わせて厚みを選ぶのが基本ですが、もしそれで自分が実際に歩く靴とフィットしない場合には、よりジャストフィットする厚みを優先することをおすすめします。

なおソックスはすべてが一律の厚みであるとは限らず、モデルよってはつま先・かかとなど必要な部分に厚みを盛っていたりするものもあるのでその点は注意しましょう。以下にウェイトによる傾向の違いをご紹介します。

素材 ライト or ウルトラライトウェイト(薄手) ミッドウェイト(中厚手) ヘビー or エクストラヘビーウェイト(厚手)
保温性
クッション性
重量
通気・速乾性
フィット・ずれやすさ
適したシーズン

温暖~暑い季節

春先から初冬まで

冬期

適したアクティビティ
  • ランニングやファストパッキング、サイクリング、テクニカルなアルパインクライミングなどの激しい活動
  • 夏の暑い時期の短時間の活動(デイハイクなど)
  • 日常使い
  • 厳冬期を除いた幅広い季節・距離・時間でのハイキングを中心とした幅広いアクティビティ
  • 長期のトレッキング
  • ウィンタースポーツ、動きの激しすぎないアクティビティ
  • スルーハイク、ロングトレイル

ポイント3:丈(長さ) ~クルー丈が基本~

厚みと同じようにソックスにはさまざまな丈(長さ)があり、個人の好みや靴の種類によって選ぶことができます。呼び方や長さの規定、分け方はメーカーによって多少の差はありますが、大きく4つに分けると「ノーショウ(足首)・アンクル(くるぶし上)・クルー(ふくらはぎ半分)・ブーツ(ふくらはぎ全体)」といった感じです。

丈の長い靴下はハイカットのトレッキングブーツなどによりマッチし、脛部分の保護性能も高まりますが、夏の低山ハイキングでは暑苦しくもあります。

逆に短い靴下は夏の暑い日にローカットのハイキングシューズで日帰りハイキングをするときなどには最適です。ただしミッドカットやハイカットのブーツを履こうとすれば長さが足りず、靴擦れの原因にもなります。またハーフパンツで背の高い草や樹林帯の中をハイキングする場合、短い靴下はケガの元にもなりかねません。

靴下の長さは少なくとも履いている靴と同じ高さまで上がっていること、きれいに整備された広いトレイルでない限り、なるべく高めのソックスをおすすめします。一般的にはクルー丈のソックスが一番無難で、このサイズを選んでおけばどんなケースにも対応することができるでしょう。

ライナー(重ね履き)は有効?

かつて革製のゴツい重登山靴が主流であった時代には、確かにソックスを二重に履く人はよくいました。二重に履くことの意味は多くの場合「靴擦れ」の防止です。外側のソックスが靴との摩擦を受け止めてくれ、内側のライナーソックスはズレずに足の皮膚は安全、という事態を狙っています。

この理屈は現在でも間違ってはいません。ただ、昔よりもずっと軽く柔軟に進化したトレッキングブーツに、1枚で十分フィット感の優れた快適なソックスが数多く手に入る現在であれば「重ね履きをしなければ水ぶくれになりやすい」とまで深刻になる必要は必ずしもないといえます。このため今の時代、あえて重ね履きを積極的に検討する必要は無いといえます。

むしろ下手にソックスを重ね履きしたばっかりに、ソックスが靴の中でずれて滑りやすくなってしまうことの危険の方がより深刻です。軽快に歩いたり、走ったりするならば、なるべくソックスは1枚のシンプルなスタイルに越したことはありません。

もちろん、それでもやはり水ぶくれに悩んでしまうことはあり得ます。そんな時には重ね履きも有力な解決方法です。だからライナーソックスは水ぶくれや不快な摩擦に悩む人が、吸湿性の良いウールやフィット感と速乾性の高い化繊のソックスを試してみた後に検討する最後の手段であると考えておきましょう。その際のライナーソックスは、なるべく薄手でズレにくく、吸水速乾性の高いソックスを合わせるのがうまく機能します。

ポイント4:フィット感 ~快適さを大きく左右する~

良い靴下に優れた素材が欠かせないはもちろんですが、同時に欠かせないのはそれが自分の足にしっかりとフィットすることです。

心地よい肌触りと目立たない縫い目、キツ過ぎずユルすぎず、部分的な圧迫感や弛みもなく、指先を動かしたり、強く踏み込んだり、かかとで着地したとしてもズレないフィット感。行動中の靴の中は極めて湿度の高い状態であり、ふやけた肌は擦れに弱く傷つきやすい状態になっていることからも、正しくフィットしたソックスによって、ハイキング中のマメや不快感の危険はかなり削減できます。

優れたフィット感のソックスを実現するのは職人技的な縫製技術だけではありません。例えば左右それぞれの足型に合わせ、人間工学的なパターニングを施したハイキングソックス(下写真左)。つま先を見てみると各指の長さに沿って左右非対称なカーブが描かれているのが分かります。他にも足の形を立体的に捉えた裁断によって動きのなかでのストレスを軽減し、より行動全体でのフィット感を向上させてくれます。

足型は人それぞれ違いますので、実際には足を入れて動かしてみないと最適かどうかは分かりません。ただこうした工夫の有る無しは、シンデレラフィットの靴下に出会う可能性を確実に高めてくれます。

ちなみに靴下のサイズは一般的にS、M、L、XLといった大雑把なサイズ展開のため、ものによっては自分の足のサイズが境界線上に来てしまって迷う場合がありますが、自分の経験ではそのソックスがゆるめの編み(厚手タイプ)ならば小さい方のサイズを、しっかり編まれたソックスならば大きい方のサイズを選ぶようにすると失敗が少ないようです。

先割れ(二本指・五本指)ソックス

一部では熱狂的なファンをもつ「五本指ソックス」は何が良いのでしょうか。主に以下のような利点があるといわれています。

  1. 足の指の間の汗もしっかり吸いとることによるムレを防ぐ。
  2. 指と指が擦れないのでマメができにくい。
  3. 指が自由に動かせることで、踏ん張る指力を地面に伝えやすい。

個人的に3番目は予想もしていなかった効果で、素足で地面をしっかりと踏みしめている感覚は不思議とやみつきになるかもしれません。もちろん感じ方には個人差があるかと思いますが、今まさに上記のようなことで悩みを抱えている人は、解決手段のひとつとして是非試してみる価値はあります。

女性向けソックス

近年、男性用と女性用で別々のモデルが多く販売されています。大きな違いはカラーリングの違い、サイズ展開の違いですが、ほとんどの場合はそれ以外で両者の間に大きな「性能」差はありません。ただフィット感に関して、女性向けソックスは前足部・かかとの幅が微妙に狭く男性用は広めになっているといった、非常に細かいですが差があります。つまりもし足の幅が明らかに広いと知っている女性ならば、メンズモデルの方がフィットするかもしれないし、逆にかかとが細い男性は女性用ソックスの方がよりフィット感を得られる可能性があるということです。

サポーター効果とコンプレッション(着圧)ソックス

タイツやアンダーウェアの世界では、関節の動きをサポートして筋疲労を軽減する効果があるといわれるコンプレッション(着圧)モデルはかなり前から一般的でしたが、ソックスの世界でもこうしたコンプレッション効果のあるソックスが一部の野心的なブランドによって開発されています。

着圧靴下はふくらはぎの血流をコントロールしてむくみを軽減したり、土踏まずのアーチを支え落ち込みを防止して長距離歩行による疲労軽減と衝撃分散を実現したりと、フィット感の向上にプラスアルファの効果を提供してくれます。自分もこれを知ってからというもの、ハードなルートが予想される旅では手放せない一足です。ただ通常のソックスと比べるとかなり強めの締め付けが気になりすぎる場合もあり、のんびりとした旅では逆にストレスとなることも頭に入れておく必要があります。

もちろんあくまでも個人の感想ですが、コンプレッション機能はやはり万人にすすめられるというものではありません。ただ少なくとも高いパフォーマンスを目指す人、長時間のアクティビティを想定している人にとっては試してみる価値があるといえます。

ポイント5:丈夫さ ~1シーズンで擦り切れてしまうものから、いつまでも長持ちするモデルまでさまざま~

登山用靴下は基本的には擦れや引っ掛けに強くできていますが、それでもハイキングやランニングで目いっぱい使うとある程度の消耗は避けられません。さらに素材によっては洗濯機や乾燥機によっても繊維は傷んできてしまいます。

買った直後は潤沢にあった生地は繰り返しの強い摩擦によって擦り減っていき、早ければ1シーズン持たずにボロボロに。極上の心地よさをくれるパイル地も、ちょっとした不注意によって無残にほつれてしまったりします(下写真)。

こうしたキズや消耗に対する強さはブランドによって大きく異なるだけでなく、同じメーカーのなかでも年代によって変化しており、なかなか一目見ただけでは判断し難いところがあります。ただ、快適さばかりに気を取られ過ぎないように注意したいところです。

とはいえ靴下についてはある程度の消耗は覚悟しておかなければなりません。登山用のソックスは可能な限り複数のペアをローテーションして使うことが賢明であり、そうすれば少なくとも数年は持つことが期待できます。

ソックス保証

なかなか外見だけでは判断し難いソックスの耐久性を消費者に分かりやすくアピールするため、北米のソックス専門ブランド「ダーンタフ」を筆頭に製品の破損に対して保証を行うメーカーがあります。

ダーンタフの「生涯保証」は、製造上の欠陥はもちろん、通常使用で穴があいた場合、いつでも無償交換を可能とするもの。ダーンタフの後を追って北米ではFeeturesやFARM TO FEETといったいくつかのブランドも品質保証を行うようになりました。その他、Smartwoolは2年(本国でのサービス)、REI Co-opは1年といった形で、一定の期間を定めた保証で対抗するメーカーもあります。こうした品質保証はもちろん最終的な判断材料になるわけではありませんが、高価なモデルを購入する際にはかなりの安心材料になるはずです。頭の片隅に置いておくとよいでしょう。

まとめ

靴下は、日常であれば「たかが◯◯」といってしまえそうな些細なアイテムですが、ハイキングにおいてはその認識をあらためてよくよく検討する必要のある大切な道具です。足とブーツは人それぞれであり、その意味ではアクティビティや季節も合わせて考えると万人にとっておすすめしやすい正解が出しにくいのも、ソックス選びを複雑にしています。そんなときはこのガイドで挙げたポイントを思い浮かべてみて、自分だけのソックス選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。

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