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【忖度なしの自腹比較レビュー】軽い・快適・汗が抜ける。進化するウィンドシェルのベスト10から厳選した最強候補3着を実践でテスト

ウィンドシェルは、天候の変わりやすい山で頼れる定番ギア。防風性と透湿性のバランスが良く、フード付きで温度調整もしやすいので、僕自身も愛用しています。最近はレインジャケットの進化で兼用する人も増えていますが、軽量で汗抜けが良い最新のウィンドシェルは確実に進化中。今こそ再注目すべきアイテムです。

この記事では、2025年モデルの中から「軽い・抜ける・快適」なスペックに優れた10点を厳選。その中から吟味した最強3選をフィールドレビューしました。

きっと、あなたの登山スタイルに合う1着が見つかるはずです。

軽量ウィンドシェル10選

2025年販売、重量150g以下、フードがあることを条件に、ファストパッキングを想定した防風性、透湿性、重量、着心地などに優れた10点を選びました。

上記の中からウィンドシェル最強候補3選を選んでフィールドテスト

たくさんのウィンドシェルに袖を通して悩みながら10選をリスト化しましたが、ここから3点に絞り込むのは本当に悩みました。

まず選んだ3点は次のとおりです。

この3点を選んだ理由についてです。

1点目「EXライトウインド パーカ」は、ずっと気になっていた超軽量ウィンドシェルだからです。候補としては、Zpacks「Ventum Wind Shell」、mont-bell「EXライトウインド パーカ」、Black Diamond「ディスタンスウィンドシェル」で悩みましたが、桁違いのコスパと手に取りやすさでmont-bell「EXライトウインド パーカ」を選びました。

2点目「コアエアシェルフーデッドジャケット」は、オールラウンドに対応できるウィンドシェルだからです。TETON BROS.「Wind River Hoody」、Rab「Vital Hoody」、MOUNTAIN HARDWEAR「コアエアシェルフーデッドジャケット」はどれも名品で買って間違いないウィンドシェルなので、本当に悩みました。さらに、3点とも生地がPertex® Quantum Airと共通しています。最終的には、袖通しの直感と生地の厚み(20d)でMOUNTAIN HARDWEAR「コアエアシェルフーデッドジャケット」を選びました。

3点目「エアシェッド・プロ・プルオーバー」は、異なる素材を組み合わせた異色のウィンドシェルで、ファストパッキングとの相性を確認したかったのと、他の2点との対比が興味深いので選びました。

テスト環境とフィールドテスト結果

防風性と透湿性のバランスが良く、軽量なウィンドシェルはどれでしょうか?

以下の条件でフィールドテストをして検証しました。

テスト環境

【期間】3月〜4月
【気温】2℃〜20℃
【山域】東海自然歩道(大阪、京都)、京都一周トレイル(京都)、六甲山系(兵庫)
【天気】晴れ、雨
【アクティビティ】ファストパッキング
【レイヤリング】アクティブインサレーションやTシャツにウィンドシェルを着用

フィールドテスト結果

タイプ 着心地No.1、オールラウンドタイプ とにかく軽い、クラス最軽量タイプ 汗抜け抜群、異素材ミックスタイプ
アイテム名 MOUNTAIN HARDWEAR
コアエアシェルフーデッドジャケット
mont-bell
EXライト ウィンドパーカ
パタゴニア
エアジェッド・プロ・プルオーバー
イメージ
生地 PERTEX® QUANTUM AIR 20デニール バリスティック エアライト® 7デニール 1.2オンス・リサイクル・ポリエステル100%
2.3オンス・リサイクル・ポリエステル100%
実測重量(g) 137 61 100
ポケット 左右ハンドポケット、インナーポケット 無し チェストジップポケット
パッカブル
参考価格
(2025年5月現在)
19,250円 11,000円 19,800円
ここが◎
  • オールマイティなバランスの良さ
  • 十分なストレッチ性能
  • 着心地の良さ
  •  61gと最軽量クラス
  • 持ち運びが苦にならない
  • 11,000円(税込)コスパの高さ
  • 抜群の透湿性
  • 幅広い温度帯で対応可能
ここが△
  • 重量
  • 強風時の着用が大変
  • 風抜けが良すぎて耐候性が低い
Outdoor Gearzine 評価
防風性 ★★★★★ ★★★★☆ ★★★☆☆
透湿性(蒸れにくさ) ★★★★☆ ★★★☆☆ ★★★★★
重量 ★★★☆☆ ★★★★★ ★★★★☆
動きやすさ ★★★★★ ★★★★☆ ★★★★★
着心地 ★★★★★ ★★★☆☆ ★★★★☆
脱ぎ着しやすさ ★★★★★ ★★★☆☆ ★★☆☆☆
収納性 ★★★☆☆ ★★★★★ ★★★★☆

OD缶110との比較。際立つ小ささのEXライトウィンドパーカ(右上)!

大きく見えるエアシェッド・プロ・プルオーバー(左下)は、ポケットの大きさを優先したのか中身はスカスカでもっとコンパクトにできます。

各モデルのインプレッション

総合BEST:MOUNTAIN HARDWEAR コアエアシェルフーデッドジャケット 最高の着心地と十分な透湿性と防風性。全ハイカーにオススメ!

重量137gと3点の中では最も重量が重いMOUNTAIN HARDWEAR コアエアシェルフーデッドジャケット。

いざ着てみると、重量以外は、非常に好バランスの一着でした。
 
まずは着た状態です。

168cm、56kg、Mサイズ、Black

アクティブインサレーションの上にも着用できるゆったりサイズ

背面はお尻まですっぽりとカバー

ストレッチが全体的に効いており、特にフードは体型や首の長さを幅広くカバーできる汎用性の高さを感じました。

続いて、20デニールのPERTEX® QUANTUM AIRについては、風をしっかりブロックし、それでいて、激しい運動をした時もしっかりと換気され、透湿性も十分です。

着心地は滑らかで気持ち良いです。

スポーティー過ぎないデザインなので旅行など多用途に使えます。

ウィンドシェルとして大切な機能を高次元でまとめており、重量が嵩んでも使いたいと感じたので、私が最も欲しいBestに選びました。

初めてウィンドシェルの購入を検討しているハイカーはもちろん、買い替え検討中などの全てのハイカーにオススメできるウィンドシェルです。

手を差し込みやすい位置にあるハンドポケット(ジッパー付)

ストレッチ性の高いPERTEX® QUANTUM AIR

気温20℃の登りで汗をかいてもベタつきは少ない

重さは今回の中では最も重いが、実感ではそこまで気になることはなかった。

透湿性が高く、着心地も良いので、ずっと着ていたいと感じながら歩いていました。ずっと着たいと思えるかどうかは大切な評価ポイントです。

コスパ最強・軽量Best:mont-bell EXライトウィンドパーカ 軽量化に興味があるULハイカーにオススメ

初めてEXライトウィンドパーカを着た時は、その信じられない軽さ、経験したことのない着心地に感動しました。

果たしてこのギアを過酷な山の環境で使うとどうなるのか?超軽量ウィンドシェルの可能性にワクワクしながらフィールドテストをしました。

まずは着た状態からです。

168cm、56kg、XLサイズ、ダークグリーン

ポケットは一切なく、リフレクションのみのミニマムデザイン

フードも適度に余裕があります。

次に、7デニールのバリスティック エアライト®の防風性は、しっかり風をブロックしてくれ、ウィンドシェルとしての機能を十分に果たしてくれました。

しかし、10℃くらいの気温で強風が吹くと少し寒く感じ、単体での対応温度帯はやや狭めです。

私はこれをデメリットとは捉えておらず、アクティブインサレーション等をレイヤリングすればちょうど良い塩梅になり、暑くも寒くもない状態を保てます。

また、生地自体の透湿性は高くはありませんが、熱が溜まりやすい脇辺りに切り込みがあり熱が抜けること、生地自体の防風性が高くないことが相まってムレることはなく、なんとも絶妙なバランスの仕上がりになっています。

写真ではわかりにくいのですが、脇周りに換気用の通風口が複数箇所あり、熱が抜けます。

ウィンドシェル選びで重要ポイントであるフードのフィット感も、シンプルながらも十分に調整できる仕様になっており、mont-bellが掲げる「function is beauty」を感じ、惚れ惚れします。袖の上げ下げもストレスがありません。物価高のこの時代に11,000円で購入できるので、コスパ最強です。

頭の形にフィットしやすい形状のフード

フード調整は、コードを引くだけのシンプルさですが、しっかりと調整でき、ミニマムデザインの美しさにため息が出ます。

気になった点としては、超軽量であるがゆえに、強風時に着用するのはコツが必要なことです。飛ばされないように注意が必要です。

また、モンベルの中でも非常にタイトフィットなので、サイズ選びにも注意が必要です。アクティブインサレーションにレイヤリングする場合はサイズアップが望ましく、一度試着することをオススメします。

軽量化を目指しているULハイカーにオススメなのはもちろんですが、全ハイカーに一度は着てみて欲しい一着です。ウィンドシェルの概念がきっと変わると思います。

レインジャケットとウィンドシェルを兼ねて使っているULハイカーにもオススメで、61g重くなっても損がないほど機能的で合理的なウィンドシェルです。

7デニールの生地ですが、そこまで耐久性に不安は感じませんでした。

ミニマムデザインのストイックなカッコ良さを感じます。腕振りもしやすい。

手に収まるくらい超コンパクト!!ズボンのポケットにも簡単に入ります。

抜群の透湿性!激しく動くファストパッキングや体幹を温めたい寒がりハイカーにオススメ!patagonia エアシェッド・プロ・プルオーバー

興味津々だったエアシェッド・プロ・プルオーバー。熱が籠りやすい脇などにニット素材を配置したウィンドシェルです。フーディーニジャケットにキャプリーンライトウエイトを組み合わせたイメージに近いです。

ウィンドシェルの弱点である激しく登った時のムレや汗のベタつき等から開放されるのでは?!とワクワクしました。

まずは着た状態です。

168cm、56kg、Mサイズ、seabird grey

肘から下、首から上がニット素材です。

フードが伸び縮みして、そのうえニット素材なので、被り心地は最高です。

フィールドテストした感想は、「抜群に透湿性が高いウィンドシェル」です。透湿性の高さは3点の中でトップで、とにかく抜けるので、幅広いアクティビティ、幅広い温度帯で心地よく着れます。抜けやすさの秘訣はニット素材が袖〜脇まで配置されていること!汗をかいてもベタベタせず、袖上げも格段にしやすいので、着心地は非常に良いです。

袖をまくり上げる感覚はロンTと同じです。

ニット素材のフードもユニークで、バラクラバとしても活用でき、雪山ハイクやスキー、スノーボードなど幅広く活用できそうです。

プルオーバーは換気しにくい弱点がありますが、エアシェッド・プロ・プルオーバーはジップが深いので十分に換気でき、さらにダブルジップなので換気量が調整できる点もGoodです。

ジップの深さは十分で、ダブルジップも嬉しいポイント!

ということで抜けに関しては十分なのですが、抜けるがゆえに気温が10℃を切ると袖のニット素材の部分が寒くなる点は好みの分かれるところです

ベースレイヤーに近いウィンドシェルなので、化繊系のインサレーションやレインジャケットを重ねると適切に温度調整できます。

運動量高めのファストパッキングに向いているのはもちろん、寒がり体質で体幹を温めながらゆっくり歩きたいハイカーにもぴったりなウィンドシェルです。

日焼け対策としても使いやすい

ガンガン走っても快適でした

まとめ:軽さだけでは計れない実力。個人的おすすめは『MOUNTAIN HARDWEAR コアエアシェルフーデッドジャケット』

3点をフィールドテストして私が最も欲しいと思ったのは、MOUNTAIN HARDWEARのコアエアシェルフーデッドジャケットでした。

決め手はウィンドシェルに必要な全ての機能をバランス良く満たしていること、スポーティー過ぎないデザインでハードな山岳環境から旅行まで幅広く使える汎用性の高さです。

10年ほど使っていたpatagoniaのフーディーニジャケットに代わるウィンドシェルをようやく見つけられました。

ただ、自分にとってのBESTはMOUNTAIN HARDWEARのコアエアシェルフーデッドジャケットでしたが、他の2点も非常にコンセプトが明確でキャラの立った素晴らしいウィンドシェルでした。

例えば、61gのmont-bellのEXライトウィンドパーカは常にザックに忍ばせてお守り代わりに使えますし、patagoniaのエアシェッド・プロ・プルオーバーはトレイルランニングとの相性が非常に良いです。

使用山域や季節、アクティビティ等によって適したモデルも変わってくるかと思いますので、この比較レビューがそれぞれ判断いただく際の山行になれば幸いです。

村上ハルキ

登山歴5年、UL歴2年。まだまだ試行錯誤中のハイカーです。ロングハイク好き。旅も好きで国内外問わず出かけています。初心者の視点から感じたことを中心に、読者の皆様に「来週も山行くぞ!」と感じてもらえるように分かりやすくお伝えしていきます!

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