【忖度なしの自腹比較レビュー】ベースレイヤー40着以上を実際に着比べて選んだ、シーン別・用途別ベスト・バイ

登山での「快・不快」を大きく左右するベースレイヤー

登山をはじめとするさまざまなアウトドア・アクティビティにとって、ベースレイヤー(肌着・アンダーウェア)とは「寒さ・暑さ」といった不快から身体を守るための、文字通り基本の衣服であり、万が一の遭難時には生と死を分ける一枚です。

外気の状態や発汗などによる環境変化が激しい登山では、「何を着るべきか」を考える際にはレイヤリング(重ね着)全体で考えることが大事ではありますが、ただその中でも直接肌に触れるベースレイヤーは、行動中の快適さを直接的に左右する最も影響の大きなピースと言って過言ではないと思っています。

今年の秋読者の皆さんにとったアンケートでもベースレイヤー関連の比較レビュー要望が多く、このことからも関心の高さがうかがい知れます。

ベースレイヤーの「ベスト・バイ」を決めたい

そんなベースレイヤーですが、各メーカーのカタログには「最高級の着心地」や「驚くほど暖かい」「抜群のストレッチ」「けた外れの速乾性」といった景気のいい言葉が躍っています。それ自体は商売ですからしょうがないとして、いちユーザーである自分が知りたいのはやはり「結局どれが一番なのか?」。

そこでこのサイトでは、今年1年間を通して集中的にベースレイヤーを着比べ、これまで誰もやったことのない規模での比較レビューを実施してみました。すべて自腹で調達したその数30着以上(昨年までのモデルや海外でしか販売されていないモデルも含めれば40着以上)。

ベースレイヤーに求められる機能は目的によって違うから、部門別にベスト・バイを選出

ここで注意したいのは、最近のベースレイヤーには、夏の暑さや蒸れを軽減してくれるものから、冬の寒さを防ぐ性能が高いもの、ランニングに使いやすいモデルから軽いハイキングに向いているモデルなど、用途や目的に合わせた多様な特徴を備えており、一概に比較することは難しいということです。

そこで今回は用途・目的別に7つの部門を設定してそれぞれから「ベスト・バイ」を選出することで、ノミネートされた総勢32着のベースレイヤーをできる限り公平にいろいろな視点から光を当て、アウトドア好きが今知るべき魅力的なベースレイヤーをもれなく紹介できるようにしてみました。

ベースレイヤー比較レビューについて

比較候補を選ぶ

いつものように、世界的な総合アウトドアブランドをはじめとして、特定のアクティビティに強い小さな実力派ブランド、ベースレイヤー専門ブランド、そして日本の人気アウトドアブランド等をまずはしらみつぶしにチェックしました。アクティビティは登山(沢登り)・トレイルラン・バックカントリーが中心です。

そしてスペックや写真等で引っかかったものだけでなく、実際にお店に足を運んで試着してみたりして見つけたりして、本格アウトドアに耐えられるのはもちろん、とにかく自分自身が「着たい」と思わせてくれる(ここ重要)最高品質候補を幅広く選びました。そうして厳選されたのが以下の32着です。

  • ACLIMA LIGHTWOOL SPORTS SHIRT
  • ACLIMA WARMWOOL CREW NECK
  • Arc’teryx コーマック LS ジップネック シャツ
  • Black Diamond ソリューション150メリノベースレイヤー1/2ジップフーディー
  • Black Diamond メンズ L/Sリズムティー
  • Houdini Desoli Crew
  • Houdini Ms Activist Turtleneck
  • icebreaker 150 ロングスリーブ クルー ストライプ
  • Icebreaker 200 オアシス ロングスリーブ クルー
  • MAMMUT Sertig Longsleeve Men
  • MAMMUT Trift Half Zip Longsleeve Men
  • MILLET ホールガーメントワッフル ウール フーディー
  • mont-bell クール ロングスリーブジップシャツ
  • mont-bell スーパーメリノウール EXP. ラウンドネックシャツ
  • MONTANE Dart Thermo Zip Neck T-shirt
  • MONTANE プリミノ140 ロングスリーブTシャツ
  • Mountain Hardwear エアメッシュロングスリーブクルー
  • Mountain Hardwear エステロロングスリーブジップTV.4
  • NORRONA Wool round Neck
  • OMM Core Hoodie(2020)
  • Patagonia キャプリーン・エア・フーディ
  • Patagonia メンズ・キャプリーン・ミッドウェイト・クルー
  • Patagonia メンズ・ロングスリーブ・キャプリーン・クール・トレイル・シャツ
  • patagonia メンズ・ロングスリーブ・キャプリーン・クール・メリノ・シャツ
  • SmartWool イントラニットメリノ200 1/2ジップフーディー
  • SmartWool メリノ150ベースレイヤーロングスリーブ
  • SmartWool クラシックサーマルメリノ ベースレイヤークルー(旧SmartWool メリノ250ベースレイヤー)
  • Teton Bros. MOB Wool Hoody
  • Teton Bros. PPP L/S
  • THE NORTH FACE エクスペディションドライドットクルー
  • THE NORTH FACE ロングスリーブフラッシュドライ3Dジップアップ
  • 山と道 100% Merino Light Long Sleeve(2020)

テスト環境

2021年3月~12月にかけて、とにかく今年はベースレイヤーを山に行くときはもちろん、ほぼ毎日着て、可能な限りの時間をベースレイヤーとともに過ごしました。全モデルをすべてのアクティビティで着たわけではありませんが、その幅は毎日の生活から登山、バックカントリースキー、沢登り、ファストパッキングやトレイルランなど、自分が納得がいくまで可能な限り多岐にわたって繰り返し着ています。

それ以外には、ある程度管理された室内で速乾性や通気性のテストなどを行っています。ただ物理的な都合上、同一条件ですべてのウェアを着比べる、複数人で評価するといったことはしていませんので、暖かい・蒸れるといった感覚は個人の主観が強いものになっています。

また使用したウェアは毎回洗濯し、おおむねすべてのウェアを10回以上ドラム式洗濯機で洗濯し、平干しではなくあえてハンガー掛けで干したり、低温の乾燥機にかけたりして手入れの簡単さもテストしています。

評価のポイント

このサイトでは、ベースレイヤーに求められる機能として以下の要素と定めています。ただ、当然すべてが備わったような神モデルは存在しておりませんので、評価にあたっては各要素がどのようなバランスで含まれているのかをチェックして判断しています。

  • 快適性・・・いわゆる着心地の良さ。肌ざわりやフィット感、動きやすさ、縫い目のスムースさ、抗菌防臭性、UVカット機能など、生地と仕立てによってどれだけ行動中、気持ちよく着られるかどうか。
  • 保温性・・・単に低温下で暖かいかどうかだけでなく、心拍数と体温が上昇したときには過剰な熱を和らげてくれるかどうか(調温性)、さらには濡れた時の汗冷えしにくさなど、行動中の様々な状況でいかに体温を一定に、ドライな状態に保てるかどうか。
  • 通気性・・・衣服の間を空気がどれだけ通りやすいか、それによっていかに身体をドライでクールな状態に保ってくれるかどうか。
  • 吸汗速乾性・・・肌面を常にドライな状態に保つため、かいた汗を素早く吸収し、衣服の外側へ排出し、蒸発させる能力。
  • 耐久性・・・生地の破れにくさや擦れにくさ(強度)、洗濯などを含めた経年劣化の少なさ。
  • 重ね着しやすさ・・・重ね着したときにいかにスムーズに脱ぎ着できるか、また重ね着したときに心地よいフィット感が得られるか。

ちなみにどのような目的・シーンでどのような特徴のベースレイヤーを選んだらよいかについては、下記の記事でまとめています。

【用途別・シーン別】ベースレイヤー ベスト・バイ 結果発表

ベスト・オールラウンド部門

Black Diamond ソリューション150メリノベースレイヤー1/2ジップフーディー

  • 【ここがスゴイ】NuYarnテクノロジーと見事な裁断による機能性と快適性の高次元での両立
  • 【ここがイマイチ】フードがあるモデルのわりにやや薄手のため真冬には使いにくい(好みにもよる)

まずはいきなりメインディッシュから。「ベスト・オールラウンド部門」で選ばれるのは、先ほど挙げた評価項目のすべてにおいて高いレベルを実感できる最も欠点の少ない、万人におすすめできる総合力の高いベースレイヤーです。あらゆるアウトドア・アクティビティで優れたパフォーマンスを発揮するだけでなく、衣服としての快適さもしっかりと備え、長く使える耐久性も備えた優等生。今年は悩んだ末に、個人な驚きも含め、Black Diamond ソリューション150メリノベースレイヤー1/2ジップフーディーに決定です。

受賞理由の最も大きな点は、ウール78%・ポリエステル22%の混紡素材ながらウール100%生地とそん色ないほどの快適さを維持し、メリノウールがもつ「天然の保温・調温機能や快適性」と化繊のもつ「通気性・吸汗速乾性・伸縮性・耐久性」をこれまでになく高いレベルで両立させている点です。

18.5ミクロンという極細メリノウールと化繊をミクロのレベルで加工・ブレンドした「NuYarnテクノロジー」を初めて体験しましたが、最高レベルの着心地良さと、激しいアクティビティでの快適さをここまで高いレベルで実現するその完成度の高さにすっかり惚れ込みました。それにしてもここ数年の「メリノウール × 化繊」ブレンド技術の目覚ましい進化ぶりにはあらためて驚かされます。

ユルすぎず窮屈すぎない的確なフィット感、そして適度なキックバック性による動きやすさも活動時の快適性を支えています。生地自体の厚さはそこまででもないので、その気になれば1年中着倒すこともできるでしょう。ただ暖かい時期にはフードなしのクルーネックタイプが出ているので、そちらを選ぶことをおすすめします。いずれにせよBlack Diamondのベースレイヤーってことで完全に侮ってましたが、これはお見事という他ありません。

【惜しくも受賞を逃したけどこちらもおすすめ】ベスト・オールラウンド部門次点

  • MONTANE プリミノ140 ロングスリーブTシャツ
  • NORRONA Wool round Neck
  • SmartWool メリノ150ベースレイヤーロングスリーブ
  • Icebreaker 200 オアシス ロングスリーブ クルー

ベスト・パフォーマンス部門

Patagonia キャプリーン・エア・フーディ

  • 【ここがスゴイ】圧倒的な快適性と抜群のフィット感、激しい運動でもべたつかない通気性を高めた立体構造の生地
  • 【ここがイマイチ】耐久性の低さ(&びっくりする価格)

MILLET ホールガーメントワッフル ウール フーディー

  • 【ここがスゴイ】ワッフル生地による極上の着心地、ホールガーメントによる計算された通気設計
  • 【ここがイマイチ】耐久性の低さ

「ベスト・パフォーマンス部門」では、耐摩耗性やひっかきに対する耐久性の低さという一点を除きさえすれば、快適さや吸汗・通気・速乾性など行動時に求められる要素をすべて備えているという意味で、平常時は最も優れたパフォーマンスを約束してくれるベースレイヤーを選出しました。不測の事態を考えなければこの2着はベスト・オールラウンドを凌ぐほど、文句なしに使えることは間違いありません。

特徴的なのは、どちらも肌に触れる部分が抜群の伸縮性を備えた立体構造、なおかつ縫い目のないホールガーメントによって編まれたニットであること。肌触りはふわっと軽くて病みつきになるほど心地よく、さらに溝に閉じ込められたデッドエアー効果によって生地の厚みや重量のわりに保温性も高い。汗をかいても凸凹構造によって肌離れもよく、べたつき感はゼロ。そしてひとたび風が吹けばこの凹凸を空気が通り抜けるため通気性も適度にあり、速乾性も高いという、一石で何鳥にもなる巧みな構造を備えています。

ホールガーメントによって縫い目が気にならず、立体構造のニットによって快適な肌触りは唯一無二。

違いを強いて挙げるとすれば、ホールガーメントワッフル ウール フーディーの方が極細ウール素材の割合が高く肌触りに関しては若干心地よい一方フィットは緩め。どちらかというと穏やめなアクティビティに向いています。一方キャプリーン・エアの方はより身体にピッタリとフィットして生地の構成的にも汗処理性能が高めのため、よりアクティブなスポーツ全般に向いているといえるでしょう。

なお、このカテゴリにおけるもう一つの候補であったTeton Bros. MOB Wool Hoodyも受賞の2点に勝るとも劣らぬ優れたベースレイヤーですが、普通に洗濯機で洗うと縮みまくるという手入れのわずらわしさが個人的にどうしても受け入れられず、残念ながら次点にさせていただきました。

【惜しくも受賞を逃したけどこちらもおすすめ】ベスト・パフォーマンス部門次点

  • Teton Bros. MOB Wool Hoody

ベスト・ハイキング部門

Black Diamond メンズ L/Sリズムティー(春夏秋向け)

  • 【ここがスゴイ】軽くてソフトできめ細かい肌触りの良さと抜群の伸縮性による快適なフィット感、さらに優れた通気速乾性を両立。
  • 【ここがイマイチ】薄手なので保温性はそこまで期待できず、洗濯によって毛玉もできやすい。

SmartWool クラシックサーマルメリノ ベースレイヤークルー(旧SmartWool メリノ250ベースレイヤー)(冬向け)

  • 【ここがスゴイ】ソフトでしなやかな着心地の良さ、圧倒的な保温性の高さと通気性を両立。
  • 【ここがイマイチ】生地が厚いため重量がやや重く、速乾性も低い。

「ベスト・ハイキング部門」では、環境の変化やストップ&ゴーの頻繁で、何日間にもわたってき続けることが前提の登山・ハイキングにおいて使いやすいモデルを選出しています。オールラウンド部門と非常に近いとも言えますが、ここではより突出した汗処理能力よりも、止まっているとき・動いているとき両方でのバランスのとれた快適さがより優先されています。活動時も休息時も長く着用するので、どちらかというと普段の快適さをより重視しているといえます。

選んだ2アイテムは、どちらも非常にソフトで滑らかな肌触りをもち、ずっと着続けていたくなるようなクセのない着心地の良さを備えています。特にBlack Diamond リズムティーは、ウールとナイロンとの混紡であるにもかかわらずトップクラスのきめ細かく心地よい肌触りを有している点は驚きでした。NuYarnテクノロジーは今年の個人的発見です。

2つのそれぞれの魅力ですが、まずBlack Diamond リズムティーは、混紡生地とは思えない快適な着心地に加えて抜群のストレッチ性によるストレスフリーの動きやすさが挙げられます。薄手でしかもポリウレタンなどを使っていないにもかかわらず気持ちよいくらい伸び縮みする生地は、身体のラインにやさしくフィットし、もう1枚の皮膚のように外界からの影響を軽減し、身体からの水分を排出してくれます。

上質な極細ウールによって生地厚から想像するよりも高い保温・調温性をもたらしてくれるので、厳冬期を除く広い季節でうまく機能してくれるはずです。

NuYarnテクノロジーによる、薄手ながら驚くほどよく伸縮する運動性の高い生地。

一方、クラシックサーマルメリノ ベースレイヤークルー(旧SmartWool メリノ250ベースレイヤー)は、厳冬期を含めた低温下での登山で最も快適で使いやすい魅力が詰まった一枚です。

質の高いメリノウール100%を絶妙な密度で編んだやわらかいカットソーはとにかく心地よく、思わず頬ずりしたくなるほど。肌に無理なくフィットする巧みな裁断と縫い目のごろつきを抑えたフラットロックシーム、きつ過ぎない伸縮性は毎日着てもいいくらい(テストは2020年モデルですが、2021年モデルでは若干裁断の変更があった模様)。このためハイキング部門とはいえ、登山はもちろんのこと、ほかのアクティビティでも幅広くマッチするはず。

動きやすく肩の縫い目を外したラグランスリーブと、ストレスを軽減するフラットロックシーム。

【惜しくも受賞を逃したけどこちらもおすすめ】ベスト・ハイキング部門次点

  • 山と道 100% Merino Light Long Sleeve
  • patagonia メンズ・ロングスリーブ・キャプリーン・クール・メリノ・シャツ
  • Houdini Desoli Crew
  • ACLIMA WARMWOOL CREW NECK

ベスト・高負荷アクティビティ部門

THE NORTH FACE エクスペディションドライドットクルー(春秋冬)

  • 【ここがスゴイ】優れた吸汗速乾性と肌面のドライ感、適度な保温性。
  • 【ここがイマイチ】表面の耐久性、真夏では暑すぎる(&高価格)。

Mountain Hardwear エステロロングスリーブジップTV.4(夏)

  • 【ここがスゴイ】ストレスのない動きやすさと抜群の通気・速乾性。
  • 【ここがイマイチ】保温性はほとんど期待できない。

「ベスト・高負荷アクティビティ部門」で重視しているのはもちろんトレイルランやファストパッキング、バックカントリーなど短時間で運動量の激しいアクティビティにおける汗処理性能の高さ、およびその状態での快適性です。ダイナミックな動きに応える動きやすさに加え、大量の発汗を素早く蒸発させる吸汗・通気・速乾性が求められることは大前提ですが、それに加えて衣服としての着心地の良さをどこまで維持できるかが受賞を分けるポイントとなりました。

この分野では当然化繊のベースレイヤーが有利ですが、今の時代、ただ化繊であるだけでは他よりも突出したパフォーマンスを見せることはできません。多くのメーカーが出している速乾重視の化繊ベースレイヤーの中でも、受賞した2枚はそれぞれのアプローチによって頭一つ突出したクオリティを実現していました。

THE NORTH FACE エクスペディションドライドットクルーはこのサイト以外でも散々取り上げらているのでご存じの方も多いかもしれませんが、大量の汗を素早く肌面から引き剝がし効率的に外側へ蒸発させる革新的な技術を用いた「Future Dot Fleece」によって、寒い時期での激しいアクティビティで驚くほどの快適さを提供してくれました。この1枚がスゴイのは、ただ速乾なだけでなく、汗の不快さを肌面に残さないので乾いている最中でも常に肌面をドライでサラサラな状態にしていることです。

裏面の肌と接する部分は撥水で水分を退けつつ、規則的に並んだドット部分から水分を表面に素早く吸収・拡散していく。

もう一方のMountain Hardwear エステロロングスリーブジップは、薄手で通気性抜群の生地を使い、動きやすさと風通りの良さを両立する計算された裁断でまとめ上げた、オーソドックスながら確かな実力をを備えた一着です。このモデルは5年以上前からお気に入りで、長い間、夏の定番としてバージョンアップを重ねてきている実績があります。ラグランスリーブでなおかつ縫い目が気にならないフラットロックシーム、そして薄手でながらも微細な凹凸とグリッド状のメッシュ構造によってドライ感を感じやすいつくりなど、とにかく一つ一つの仕事が丁寧。とにかく常にクールでドライでいたい真夏のアクティビティでこれ以上なく使える一着。今すぐには必要ないかもしれませんが、春夏シーズンにはぜひチェックしてみてください。

濡れていてもドライ感と通気性を失わない微細な凹凸とグリッド状のメッシュ構造。

【惜しくも受賞を逃したけどこちらもおすすめ】ベスト・高負荷アクティビティ部門次点

  • ACLIMA LIGHTWOOL SPORTS SHIRT
  • Arc’teryx コーマック LS ジップネック シャツ
  • Teton Bros. PPP L/S
  • SmartWool イントラニットメリノ200 1/2ジップフーディー
  • MAMMUT Trift Half Zip Longsleeve Men
  • MAMMUT Sertig Longsleeve Men
  • MONTANE Dart Thermo Zip Neck T-shirt

ベスト・レイヤリング部門

Mountain Hardwear エアメッシュロングスリーブクルー

  • 【ここがスゴイ】「異次元の保温性」と「異次元の通気・速乾性」が別のベースレイヤーの上に重ね着するブースターとして驚異的な効果を発揮。
  • 【ここがイマイチ】単体のベースレイヤーとして考えた時の、ともすれば高すぎる通気性、肌着としての着心地の悪さ、伸縮性のなさ。

「ベスト・レイヤリング部門」では、ここ数年新たに登場した「ベースレイヤーにもミッドレイヤーにもなる」新しいアイテムから優秀モデルを選出します。まだ未体験の人も多いかもしれませんが、それらは生地・素材に帝人の「Octa」やPrimaloftの「PRIMALOFT® NEXT」などを採用したカットソーが代表的で、これまで自分はSTATIC ADRIFT CREWOMM Core Hoodie、そして今年Mountain Hardwear エアメッシュロングスリーブクルーを試してみたことがあります。

これらのウェアの特徴は、繊維の形や裏地の起毛構造によって中綿のように空気を溜め込むことができるため、劇的な軽さにもかかわらず従来では考えられなかったような保温性を実現する一方、メッシュと言っていいほどの通気性の高さによって空気をバンバン通すというもの。つまり「無風状態であれば身体を温めてくれるが、少しでも風を受ければ逆に身体をクールダウンする方向に働く」ため、単体で使う場合には常に動いているような短時間・高負荷アクティビティに限られます。肌触りも特段優れているというわけでもありません。

手に持つとふわふわ厚手に感じられる生地は、裏が透けて見えるほどの空気透過性を備えている。

非常にクセの強いこれらの新素材ウェアを様々な場面で試していった結果気がついたのは、自分のような通常の登山やハイキング用途では単体で肌の上に着るよりも、ベースレイヤーの上から重ね着することで、想像の斜め上をいく優れた使い勝手を発揮してくれるということです。ベースレイヤーの新たな可能性を切り開いたという意味で、今回特にあえて1部門として取り上げてみました。

中でも今シーズンの秋冬に新登場したMountain Hardwear エアメッシュロングスリーブクルーは、多くのOcta採用モデルがもつ優れた性能に加え、仕立ての良さ、あか抜けたデザイン・カラーリングの良さを備え、日常からフィールドまで使いやすい汎用性の高さを備えています。これ1枚あれば気温が高めの時期には防寒レイヤーとして、また気温の低い時期ではベースレイヤーに保温性をプラスオンするチョイ足しレイヤーとして役立てることができます。この冬、ぜひお気に入りのメリノウールベースレイヤーの上にこれを着てみてください。どんなベースレイヤーよりも優れた快適性・保温性・速乾性が備わったスーパーなレイヤリングができますよ。

【惜しくも受賞を逃したけどこちらもおすすめ】ベスト・レイヤリング部門次点

  • OMM Core Hoodie

ベスト・コストパフォーマンス部門

mont-bell スーパーメリノウール EXP. ラウンドネックシャツ

ここがスゴイ&イマイチ

  • 【ここがスゴイ】群を抜いて高いコストパフォーマンス
  • 【ここがイマイチ】寸胴で平凡なスタイル

「ベスト・コストパフォーマンス部門」は文字通り「この性能にこの価格でいいの?」といったいわゆる「費用対効果の高さ」で選んだNo.1チョイスです。大方の予想通り、やはりここはモンベルが強かった。価格も高くなりがちな厚手の冬用ベースレイヤーでもお構いなしのお手頃価格。にもかかわらず高品質メリノウール、断熱性の高い生地構造、裏地は吸汗性を高めつつクレープ加工による立体的な肌触り、縫い目を避けて動きやすさを高めた裁断(しかも縫い目もフラット)など、随所に快適さと機能性に優れた仕様を施されています。

通気性と肌離れの良さを実現するため、裏地はクレープ加工によって立体的な肌触りに。

ただ、これだけ至れり尽くせりなのになぜか食指が動きにくいのはやはりその色気の無さでしょうか。どんなスタイルの良い人でも寸胴のずんぐり体型に見せてしまうのだから困ったものです。

ベスト・普段着部門

Houdini Ms Activist Turtleneck(冬)

  • 【ここがスゴイ】リラックスしたフィットながら洗練されたシルエットとカラーリング、心地よい暖かさ。
  • 【ここがイマイチ】通気性や速乾性といったアクティブなシーンに対応した機能はそこそこ。

icebreaker 150 ロングスリーブ クルー ストライプ(夏)

  • 【ここがスゴイ】カジュアルなデザイン、日常1枚で着ても違和感のないシルエットとリラックスしたフィット感。
  • 【ここがイマイチ】フィット感や縫い目の仕様など、そもそもレイヤリングに向いてない。

最後に「ベスト・普段着部門」では、本気の山に着ていくにはやや心もとないものの、毎日の普段着や家族との休日にはとてつもなく重宝する、アウトドアが生きがいとする人々の日常着にピッタリなモデルを選出しました。

受賞した2モデルは個人的に共に文句なしの納得の選出です。Houdiniとicebreakerはどちらも「アウトドアの機能性を街での日常に」というもはや手垢のついてしまったキャッチコピーを、そんな概念がなかった20世紀から志向してきたパイオニア的存在。「アウトドア」で使うための実用性も「街での日常」で使うために求められる洗練さも、どちらに対しても深く精通しているからこそできる本気の快適さと機能性・デザイン性の高さを備えています。

例えばHoudini Ms Activist Turtleneckに一度袖を通してみれば、その心地よいフィットと上品なシルエットと風合いを両立した見事な仕立てに誰もが気づくでしょう。メリノウールとテンセルをブレンドした生地は、環境に配慮した天然由来で最大限の機能性と快適性を引き出しています。秋冬に着たいぼくの好みでまずはタートルネックをチョイスしましたが、この他にクルーネックも、半袖も幅広くラインナップされていますので、各種類もって1年中着てしまうかもしれません。

淡い光沢感を備えた上品なウール・テンセルの混紡生地と、身体のラインをきれい見せる洗練されたシルエット。

またicebreaker製カットソーでは、そのうっとりするるような吸い付くように滑らかな肌触りは、誰もが認めるはずです。ヨーロッパ風味のスリムで上品なシルエットを基調としながら、全体的にはアクティブなベースレイヤーよりもややゆったり目に作られたリラックスフィット。今回は日常に力点を置いたストライプ柄のデザインをチョイスしましたが、メリノウール専門メーカーだけあって無地ももちろんありますし、胸ポケット付き・長袖・半袖など、日常使い向きでもさまざまなスタイルをラインナップしているところもうれしい。

ちなみにこちらもややルーズめフィット感や縫い目のつくりがスタンダードであったりするところから、本気のアウトドア仕様と一線を画していることが分かります。

しっとり滑らかな肌触りの上質なウール。腕周りはゆったりで普段着感覚で着られるスタンダードなフィット。

これらのモデルはどちらも「日常+ちょっとアウトドア」というバランスで設計されているので、ガチのアウトドア用として比較すると所々が控えめで、機能性という意味では価格に見合ったものが得られないかもしれません。ただ、一度アウトドアウェアの快適さを毎日の生活に取り入れてみると、その便利さ、心地よさからきっと手放せなくなるに違いありません。

まとめ

今年のベースレイヤーを振り返ると、一昔前までの「やっぱ天然のメリノウールいいわ~」という時代から、完全に「やっぱテクノロジーってすごいわぁ」という時代に移行している気がします。確かに上質な天然素材100%に包まれたときの、あの何とも言えない幸福感は相変わらず健在ですが、それと同じくらい、ここ1~2年での天然ウールの良さを殺さずに機能性を付加する技術の成熟ぶり、そして天然素材の役割を模倣したような新しい化繊の破壊力はすさまじいものがあります。そうした技術革新にはこれからも目が離せませんね。

そう、単に「肌着」というと、ともすれば薄手か厚手か程度のシンプルな違いしかないものと思われがちですが、今やベースレイヤーは様々な素材と技術を組み合わせることで、シーン・季節・目的に合わせてバラエティに富んだ世界であることが分かっていただけたかと思います。この記事をまとめるにあたってはこの多様化したベースレイヤーの魅力の奥深さが伝わればと思い、スコアを列挙する形式ではなく、このようなアカデミー賞形式にしてみました。実際には32アイテムすべてについて各要素での評価スコアもつけてあるので、折を見て後日公開したいと思います。

今回のレビューを参考に、さまざまな役割と魅力をもったベースレイヤーに興味をもっていただき、皆さんがそれぞれにピッタリの一枚に出会う助けになれればありがたいことです。もちろん、ベースレイヤー単体をいくらしっかりしたとしても、その他のミドルレイヤーやシェルレイヤーにも気を配ることをお忘れなく。さらにここ数年定着した、ベースレイヤーの下に着る0.5レイヤー(メッシュアンダーウェア)を合わせてもより快適なレイヤリングが可能になります。興味のある方はこのサイトの他のページも参考にしてみてください。

それでは来年も、楽しい山旅を!

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