厳しい冬のアウトドアには不可欠!ハードシェルジャケットの選び方

ハードシェルジャケットが冬のアウトドアに欠かせない理由

ハードシェルとは「シェル」という名が示す通り、アウターとして最も外側に羽織るタイプのウェアですが、その最も基本的な特徴を一言でいうと、「雪山や氷壁を対象にした登山・山岳スキーを念頭に置いて作られているアウター」ということです。今回は冬のアウトドア・アクティビティに最適なハードシェル選びについて、どんなポイントに気をつければよいのかをまとめてみます。そして後半では編集部のおすすめハードシェル※をご紹介したいと思いますので、すぐにおすすめが知りたい方は以下の目次から直接ジャンプしちゃってください。

目次

はじめに:ハードシェルの役割

ハードシェルジャケットの選び方

編集部おすすめのハードシェルジャケット10着

まとめ

はじめに:ハードシェルの役割

まずハードシェルが冬のアウトドア・アクティビティには欠かせない理由を、他のシェルレイヤーと比較してみることで確認してみましょう。

シェルレイヤーの特徴比較まとめ

種類 ハードシェル レインウェア ソフトシェル
防水性 △(~◯)
透湿性(通気性) ◯(~◎) ◯(~◎)
防風性
耐久性
ストレッチ性 △(~◯)
重量
生地の質感 ザラザラ ツルツル しっとり滑らか
袖口 グローブを着用を前提としてかなり調整可能 多少は調整可能 多少は調整可能
フード ヘルメット着用可が多い ヘルメット着用不可が一般的 フード無しからヘルメット着用可まで多種多様
ベンチレーション 大きく開くものが多い 無いモデルが基本 有っても開口部が相対的に小さい
ジッパー フラップ式、止水ジッパーが基本 フラップ式、止水ジッパーが基本 防水性のジッパーではないモデルも
鼻まで覆う大きな襟
呼吸してもゴーグルが曇らないような工夫があるものも
あごが隠れる程度 あごが隠れる程度
スノースカート あるものが多い × 付属しているものはまれ

結論:厳しい冬山で少しでも安全・快適に過ごしたければハードシェルをもつべし

上の表から分るとおり、雪山にハードシェルが欠かせない理由を一言で言うと、最も過酷な積雪期の冬山で最高のパフォーマンスを発揮するために最新の技術が投入され、雨だけでなく風雪を含めたあらゆる天候に適応できるような防水・防風・耐久・通気・透湿性を備えているからです。その他、雪面滑落時の摩擦抵抗を高めたり撥水性能を高めるために、生地は他と比べるとザラッとした質感になります。また袖・脇・襟・裾等に雪の中で快適に使用するためのさまざまな細かい機能や工夫が凝らされています。とはいえ、場所と季節と目的によってはアウターとして最低限、防水・防風性能を備えている(わりと生地のしっかりした)レインウェアでも十分だったりもしますのでそこは自己責任で。またたとえばパタゴニアの KnifeRidge Jacket のような透湿性と防水性を両立させた伸縮素材のシェルであれば、十分にハードシェル的な使い方もできそうです。

ちなみに、ハードシェルまでは必要ないけど、比較的丈夫なレインウェアでいきたいという方にはこちらの記事もおすすめです。

ハードシェルジャケットの選び方

素材で選ぶ:やはりゴアテックス(プロシェル)が鉄板

最近では防水透湿素材はゴアテックス以外にもたくさん出てきました。有名どころの特徴をかいつまんで紹介すると、同じ ePTFE というフッ素樹脂ベースでありながら透湿性能でゴアを凌ぐ eVent 、マウンテンハードウェア独自の防水透湿技術 ドライQエリート、最近話題の、しなやかな着心地と防水・通気透湿性能を両立した POLARTEC NeoShell など。今までちょっと手が出難い価格帯のゴアテックス以外に、同性能(を謳っている)の選択肢は確かに増えましたが、でも何だかんだ言ってゴアテックスの最高性能ラインである GORE-TEX PRO は性能・丈夫さからくる安心感がぜんぜん違います(高い買い物だけにこの安心感は超重要)。着心地や透湿性などの他の部分をフィーチャーしたいという願望が特になければ、プロシェルはすげぇす、やっぱり。もちろん、プロシェルじゃない方のゴアテックスも、ピッケルを必要としないような冬の低山登山やスノーシューハイキングなど、状況次第では全然ありだと思います。

着心地・重量・形で選ぶ:実際に着てみた感じが重要

ぼくがプロシェルで唯一気に入っていないのが堅牢さ故のゴワゴワした着心地。それが理由でハードシェルに動きやすさを付加したアイテムや NeoShell のウェアという選択肢も十分あり得ると思います。ところが同じプロシェルでも生地に使われている糸の太さで質感が違ってくるため、そのゴワゴワ感が少ないモデルが重量も軽いし、そこまでハードなシチュエーションでは使用しないし、かなりぼくにとってはちょうどいいラインだということが分りました。お店の人の話によると、プロシェルで使用できる糸は最も細くて40デニール(デニールは太さの単位)らしいので、40デニールのプロシェルで作られたウェアがゴアテックス・プロシェルのなかで最もしなやかな着心地になります。一般的に40デニールのプロシェルよりも80デニールのプロシェルの方が厚く重たい反面、耐久性が高くできているといえますが、ここで注意したいのが、細い糸であれば弱いのかというとそうでもないらしく、細くても密に編めば強度は上がるし、重量も上がるし、ということらしいです。その辺の密度までなってしまうと、そこまで公表しているメーカーは少ないので、これ以上は実際に使用してみるしかないのでしょうか。

ハードシェルのフォルムですが、大きく「アルパインクライミング」志向と「山スキー(バックカントリースキー)」志向で微妙な違いがあります。

  • アルパインクライミング志向・・・上半身の動きやすさ重視で細身のフォルムで、ハーネスなどの登攀具を付けても不自由ないポケットのレイアウト。
  • 山スキー志向・・・スキーウェアほどではないにしてもややゆったりめ(中により厚手の防寒着を着込めるように)で、パウダースノーで滑降しても雪が入りにくい工夫。

ぼくは登攀系の冬山やアイスクライミングはやらないし山スキーをやるので、どっちかというと山スキー志向の方を選びたい。もちろんそんなにはっきりと区別されていないことも多いですし、細身のシルエットもかっこいいのでここはどちらかでなければ絶対だめというほどではないです。

機能で選ぶ:細かい工夫の違いをチェック

  • ジッパー・・・完全防水がいいが、なおかつ片手で開け閉めできるような軽いものの方が好き。その点、止水ジッパーは開け閉めが重いモデルもちらほら見かけるので要注意。
  • ポケット・・・数は多い方がいいが、レイアウト、大きさも重要。また胸や腕の高さにあるポケットや内ポケットなど細かい気配りがあるかどうかを見ます。
  • フード・・・ヘルメットの上から被れるように大きめのつくりになっていますが、この大きさもメーカーによっては千差万別。個人的にはあまりに大きすぎるのは好きじゃないです。
  • スノースカート・・・バックカントリーなどスキーで使うならある方が望ましいけど、なくてもそこまで酷いことになったことはありません。
  • ベンチレーション・・・開閉部は大きいほど調節の幅が広がり便利。
  • あご(襟)・・・口と襟の空間の作り方、曇らない工夫などがあるとなお良し!

編集部おすすめのハードシェルジャケット10着

2016-2017秋冬の新作、アップデートしたモデルをチェックしたなかから、編集部がこれは!と思う注目モデルをご紹介します。
※内容は先日公開した「今年たまらず手に入れた、おすすめハードシェルジャケット10着【2016-2017】」と同じです。

Patagonia Refugitive Jacket

耐候性★☆☆ 機動性★★★ 透湿性★★★ 耐久性★☆☆ 機能性★★★

昨年からメインで使用しているのパタゴニアのGORE C-KNIT使用ハードシェル。何度かこのサイトでも紹介していますが、とにかく軽くて動きやすい、しなやかな肌触り。

ベース部分の生地は30Dと極薄で、肩や腕などの補強部分ですら40Dというから、正直耐久性については相対的には劣るのはやむを得ません。が、明らかにPolartec NeoShell を意識していであろう、どこまでも軽快な冬用シェルは、厳冬期や登攀などやらないビギナーにはもってこいの使いやすさ。実際昨年2月の金峰山でも難なく活躍してくれました。2つのハンドポケット、胸ポケット、2つの内ポケットと豊富な収納、ピットジップもちろん配置され、フードや裾調節のコードロックも使いやすく、今年も依然として断然イチオシの雪山入門シェルです。

HAGLOFS ROC HIGH Ⅱ JACKET

耐候性★★☆ 機動性★★★ 透湿性★★☆ 耐久性★★☆ 機能性★★★

メーカー的には今期復刻したSPITZ JACKETの方が推されているようですが、本サイトでは2014シーズンからその使いやすさに惚れ込んだフラッグシップモデルがまだまだ断然推しです。今年も細かくアップデートされ、益々その高い完成度に磨きがかかってきています。

身頃がさらにシュッと締まったにもかかわらず相変わらず完璧な裁断で素晴らしい着心地。40Dと70Dの生地を要所要所にマッピングし、着心地と耐久性、軽量化を両立させています。2つのチェストポケットとインナーポケット、ベンチレーション、2weyジッパーなど相変わらず使いやすさは抜群ですが、さらに細かい改良点としては、ジッパーが樹脂からビスロン製になり開閉がよりスムーズに。フードと裾のドローコードはグローブをはめていても失敗しにくく、片手ワンタッチで調節が可能なタイプに。曇りにくい空気孔付きのインナープラケットは邪魔なときに留めておけるようなスナップボタンが付くなど細部にわたって間違いのない改善が加わりました。

THE NORTH FACE Antigravity FUSEFORM Jacket

耐候性★★☆ 機動性★☆☆ 透湿性★☆☆ 耐久性★★☆ 機能性★★☆

ノースフェイスが黙々と技術革新を続ける、一枚の生地において部分的に異なる繊維を織り込む独自技術FUSEFORMが採用されたハードシェルの最新モデル。

確かに擦れやすい腕から肩周りには耐久性ある生地、身頃部分はしなやかな生地を使用していながら、胸の切り替え部分に縫い目がありません。無駄なゴワつきがなくしなやかで自然な着心地。ただそうはいってもまだ胸以外の部分では縫い目とシームテープがしっかりとあるので、技術的にはまだ過渡期なのだろうと思わせます。ただメーカーいわく、lこのFUSEFORMを使用していながら、プロダクトにいろいろと要求の高いGORE-TEXが採用されたことが大きな進歩なのだと(これまではハイベントのメンブレンを採用)。バックカントリー向けに着脱式のスノースカート完備、スタイリッシュなデザインやカラーなど機能は未知数ながら、使い勝手がよさそうでアガる1着。

mont-bell ストリームジャケット

耐候性★★★ 機動性★☆☆ 透湿性★★☆ 耐久性★★★ 機能性★☆☆

何といっても価格がすべて。70Dで耐久性万全のGORE-TEX Proを用いて、一通りの機能をしっかり踏まえて、それでこの価格かよ!っていうことに尽きます。

もちろん細かい点を挙げていけばいろいろと不満がないわけではありません。フードや裾調節のやりにくさとか、脇下ベンチレーションのジッパーが1weyしかなかったり、スノースカートの簡易な作り、古めかしい太めのフォルムなどは改良の余地があると思います。ただそれらをこの価格帯で求めるのは酷というもの。1周回ってモンベルに行き着くという言葉が思い出される、愛すべき量産型ハードシェルといえるのではないでしょうか。

MILLET TRILOGY V ICON GTX PRO JKT

耐候性★★☆ 機動性★★☆ 透湿性★★☆ 耐久性★★☆ 機能性★★☆

GORE-TEX Pro採用、さらにベンチレーションが付いた本格ハードシェルでこの重量というのはあまり見覚えがありません。

40Dの軽量生地に加えて13mmのシームテープによって一層の軽量化が実現。アルパイン向けハードシェルの軽量化はついにここまで来たかという感じです。プロシェルということで耐久性は十分であるだけでなく、運動性を重視したカッティングによって着心地や動きやすさも飛び抜けています。ミレーでは同価格帯でより耐久性・多機能を特徴としたTRILOGY GTX PRO JKTもあって、こちらも使いやすいモデルだけに迷うところですが、より尖ったのが好きな自分的にはこちらのモデルをおすすめ。

NORRONA falketind Gore-Tex Jacket

耐候性★★☆ 機動性★★☆ 透湿性★★☆ 耐久性★★☆ 機能性★☆☆

ノルウェーを代表するアウトドア・ブランド、ノローナにはプロシェルを用いたガチの厳冬期向けハードシェルであるtrollveggenシリーズがフラッグシップとして君臨していますが、こちらのオールシーズン使用可能な軽量ハードシェルジャケットは特異な立ち位置がおもしろいので今回はこちらをピックアップ。

独自開発の裏地素材「RGR interlock backer」は高い耐久性と透湿・軽量性をもちながら、柔らかな肌触りのよさが魅力。しっかりとしたプロシェル相当の生地厚に脇下ベンチレーション、ハーネスに干渉しないよう配置されたポケット、ヘルメット対応の大きなフード、肩や肘への補強など、夏のトレッキングから冬山での使用まであらゆるフィールドで使用可能な機能性と耐久性を兼ね備えています。真夏には少し大げさに見えたスペックも、冬山であれば頼もしい助っ人として活躍してくれるでしょう。

Rab Latok Alpine Jacket

耐候性★★☆ 機動性★★★ 透湿性★★★ 耐久性★★☆ 機能性★★☆

最新素材をいち早く採用し、毎年革新的な製品で業界をリードするラブには今期初登場は無いものの、今期も相変わらず他と比べて完成度の高いハードシェルが存在しています。今期はそのなかから、昨年紹介したPolartec Neoshellとは別のおすすめ、eVentを採用したモデルをご紹介。

まずこれまで紹介してきたGORE-TEXと違い、構造的により高い透湿性が確保されているeVentを使用したハードシェルは、運動時の快適さという点ではGORE-TEXを凌ぐものがあります。それに加えて脇下ベンチレーションに採用された「エスケープアーティスト」によって、袖を丸々開放することができ、これによってハイクアップ時の不快感は相当解消することができます。ラブらしい細身でスタイリッシュなシルエットも素晴らしく、行動派の暑がりクライマーはこちらのモデルをチェックすべし。

Teton Bros. TB Jacket

耐候性★★☆ 機動性★★★ 透湿性★★★ 耐久性★★☆ 機能性★★☆

着実に知名度を高めつつある日本発のアウトドアブランドは、その革新的なアイデアとユーザーフレンドリーな使用感からバックカントリースキーの分野では非常に高い信頼を寄せています。そのマスターピースともいえるTB Jacketは早くから透湿性・着心地抜群の新素材Polartec Neoshellを採用し、その垢抜けたカラーリングデザインなど日本では珍しく見ていてわくわくするようなジャケットです。

ミリタリージャケットにも使用される対摩擦性能の高いサープレックスナイロン、脇下ではなく脇腹に備えられたベンチレーション、首下2カ所だけのフード調節など細かい点でセオリーにとらわれない挑戦的な作りが非常に興味をそそります。バックカントリー向けモデルということでは若干身頃はゆったり目ですが太すぎず気になりません。なにより十分な強度を備えながらゴワつかずしなやかで動きやすい着心地はこの素材の良さを十分に活かしているといえ、非GORE-TEX勢のなかでもトップクラスにおすすめです。

finetrack エバーブレス アクロ

耐候性★★☆ 機動性★★★ 透湿性★★☆ 耐久性★★☆ 機能性★★★

昨年までまったくノーマークだったことを悔やむくらいに良くできているのが、こちらも日本発ブランドであるfinetrackのハードシェル。

独自メンブレンのエバーブレスはウレタン系のメンブレンにありがちな劣化の早さをある程度克服し、なおかつ伸縮性を備えることができる個性的な特徴をもった素材。それを用いたハードシェルはあり得ないほど動きやすい。そしてNeoshellに負けないくらいしなやかで快適な肌触り。対して表地はザラッとしていて雪面にも滑りにくくて安全。雪の侵入を防ぐ裾口のダブルカフ、音の遮断を防ぐ音抜き穴、ジャケットのずり上がりを抑えるハーネスなどこのモデルにしか見られない、まさに日本の雪山を知るからこそできる工夫が満載。最後に極めつけはこの価格。日本のブランドがこれくらいがんばってくれると本当にありがたい(お財布的に)。

Mountain Hardwear Seraction Jacket

耐候性★★☆ 機動性★★★ 透湿性★★★ 耐久性★☆☆ 機能性★★☆

世界的に有名なアイスクライマーであるティム・エメットと共同開発したというアイスクライミングに最適化されたモデルはここ数年カラーリングの変更のみのようですが、その完成度からするとそれも問題なし、相変わらず使いやすいハードシェル。ここで採用されている独自素材ドライQエリートは確かな耐久性だけでなく高い通気性もそなえ、ハードでアクティブなウィンタースポーツには最適。さらに脇や頭などの動く部分ではストレッチパネルをマッピングし、着てみてびっくりの動きやすさ。極限のシーンで最高の機動性を提供してくれる、やはりMHWはこうでなくちゃいけません。

まとめ

なるべく客観的な指標でピックアップするように心がけたつもりですが、見た目や実際に着たときの印象も少なからず基準に含まれてしまっているので、あくまでもこういうチョイスもあるのだな、位に考えてください。感触としてはスペック:主観が7:3ぐらいです。また実際にはまだまだ候補はたくさんあり、10着に絞るのも大変だったのですが、同じような機能・価格で着心地や色のバリエーションなどが違うだけアイテムはなかなか文章では伝えにくいところもあり、やむなく削っているものもあったりします。悩みは尽きませんが、みなさんのギア選びの参考になれば幸いです。それでは素晴らしい冬のアウトドアをお過ごしください!

2015/2/6追記 おすすめハードシェルから3着をピックアップして、比較テストしました

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