今年欲しいハードシェルジャケット 2021-2022

2021年、着るなら「ザクザク抜けて、ビュンビュン伸びる」やつ

冬、始まってきましたね。

冬山の厳しい寒さと風から身を守るには、アウターとしてハードシェルが何よりも安心。数あるジャケットの中でも飛び切り頑丈で、飛び切り高機能、そしてもちろん飛び切り高価なこのレイヤーについては、このサイトでも開設当初から常に研究と新作チェックを続けてきました。

コロナでしばらく間が空いてしまいましたが、今回は久々に昨年~今年に出たなかで注目の新作をチェックしてみたいと思います。

個人的にここ最近のハードシェルをめぐるトピックとして特にインパクトの強かった出来事は大きく言って2つです。

まずはなんと言ってもハードシェルに採用される防水透湿素材としてはトップクラスの知名度と実力を誇る「GORE-TEX® PRO」が、昨シーズン完全リニューアルしたこと。それによって「頑丈」「高透湿」「ストレッチ」という3つの特徴をもった3種類の生地を、デザイナーが自由に選んで服作りできるようになりました。

もう一つは、THE NORTH FACEが2年ほど前に発表した独自防水通気素材「FUTURE LIGHT」の登場によって確定的となった「通気(極度に高い汗抜け)」と「生地の伸縮」機能重視という大きな流れ。

各ブランドをラインナップを俯瞰してみると、今年はこれらの大きなトレンドが本格的に加速して、多くの主要ブランドが雪崩を打って「新GORE-TEX® PROを採用した様々なモデル」や「高通気」「ストレッチ」といった特徴を備えた独自素材のモデルを主力ラインに投入してきている、そんな雰囲気が見て取れます。

個人的にもここ1~2年で出てきた新製品に触れてしまうと、もう高透湿性でストレッチが効いていないモデルには戻れなくなっている自分がいます。やはりこれからハードシェルを選ぶとなると、それらの特徴は外せない。それくらいにここ数年のハードシェルにおける快適さの進化には目を見張るものがあります。

ということで、今年も新作ハードシェルをできる限り実際にお店でチェックしたりしながら、特にびびびときたモデルをピックアップしてみました。例によって大まかな特徴を示す★★★はあくまでも目安程度です。これから冬本番に向けて、ぜひ頼れるアウター選びの参考にしてみてください。

今年欲しいハードシェルジャケット 2021-2022

HAGLOFS ロック ノルディック GTX プロジャケット

耐候性★★★ 透湿性★★☆ 機動性★★★ ポケット類★☆☆ 雪山登山★★★ BCスキー★★☆

いきなりですが、欲しすぎて買っちまったモデル。上質でデザインもいいハードシェルを作らせたら世界トップクラスと信じて疑わないホグロフスのプレミアムハードシェルは、新しいGORE-TEX® PROファブリックの「頑丈」「高透湿」「ストレッチ」すべての種類を、厚すぎず、薄すぎずのボリュームで適材適所にマッピングしたモデル。個人的には(価格を考えなければ)現在最も弱点のない生地構成だと思う。

無駄のないシルエットにもかかわらず肩回りの動きはスムーズ、フード周りのフィット感なども相変わらず上手。脇下のベンチレーションも2つに分かれていて快適だったり細かいところまで配慮が行き届いています。500g前後の重量も文句なし。

唯一バックカントリーをやる自分にとってはポケット類がやや少ないのがマイナスですが、それを差し引いても現在市場に出ているハードシェルの中で一二を争うおすすめモデル。

MAMMUT Nordwand Pro HS Hooded Jacket Men

耐候性★★★ 透湿性★☆☆ 機動性★★★ ポケット類★★☆ 雪山登山★★★ BCスキー★★★

アクティブなアルパイン向けハードシェルといえばこのブランド。分厚く頑丈なGORE-TEX® PROをベースとしている分やや重めですが、こちらも関節の要所にストレッチタイプのGORE-TEX® PROファブリックを配置しているので機動性も抜群です。

しかも意外にも内ポケットやスノースカート、ICカードポケットなどスキー関連の利便性も高かったり。ハイブランド、マムート最高峰のシリーズ「Eiger Extreme」だから当たり前といえば当たり前ですが、その名に恥じないクオリティ(&高価格)です。

OUTDOOR RESEARCH Archangel GORE-TEX Jacket

耐候性★★★ 透湿性★☆☆ 機動性★★★ ポケット類★★☆ 雪山登山★★★ BCスキー★★☆

実は今シーズン初めに狙っていたモデル。コロナかあるいは輸入代理店の事情か、日本では通常入手が不可能なので泣く泣く諦めました…。

自分が当初から目をつけていた素材構成である「新GORE-TEX® PRO」の、高透湿とストレッチのハイブリッド。ストレッチパネルを背中全体に贅沢に使い、堅牢性と機動性を両立しながら立体裁断による抜群の機動性を実現。色使いやデザインが相変わらず素敵。ここ数年、海外でも評価の高いハードシェル製品を連発しているアウトドアリサーチだけに楽しみにしていたのですけど残念ながら試着は叶わなさそうです。

THE NORTH FACE フューチャーライト ジャケット

耐候性★☆☆ 透湿性★★★ 機動性★★★ ポケット類★★☆ 雪山登山★★☆ BCスキー★★☆

2年前に鳴り物入りで登場したノースフェイスのオリジナル防水通気素材、FUTURELIGHTによる、厳しい冬山アクティビティ全般向けに作られたハードシェル。

確かにもっと昔から通気する防水透湿素材は存在していましたが、ここ数年の高透湿・ストレッチブームを作ったのは間違いなくこのFUTURELIGHTです。個人的に気に入っているのは異次元の汗処理性能というよりも、70Dという厚手になっても変わらず常にしなやかで適度に伸縮する動きやすい快適な生地感です。GORE-TEX®などのどちらかというとゴワゴワした(それでも近年はかなりしなやかになっている)アウターに比べると明らかに着心地が軽やかでストレスが少ない。その上高い通気性によって脇下のベンチレーションも省略されており、ゴワゴワ感はますます薄くなっています。好き嫌いはあるけど、ハードシェルとは思えない自然な着用感が味わえます。あと誰も言わないけど、ノースフェイスのスムーズなフロントジッパーはいつも大好き。

一方で、FUTURE LIGHTのような爆速通気生地は動いているときは超快適なものの、うっかり中の衣服をいつもの感覚で薄着でいると止まった時に寒さを感じることもしばしば。特徴を知ったうえで慣れれば問題ないんですけどね。

Teton Bros. TB JACKET SE

耐候性★★☆ 透湿性★★★ 機動性★★★ ポケット類★★★ 雪山登山★☆☆ BCスキー★★★

毎年のように新素材・新機構にチャレンジする「攻めの姿勢」を今年も崩さなかったティートンブロス。今年はついに長年の蜜月関係であったポーラテックネオシェルと袂を分かち、東レと共同で新たな防水通気生地「Täsmä」を採用。最初に説明した、耐久性を保ちつつ非常に高い汗処理能力とストレッチ性を備えるという近年のトレンドを全部盛りしたこの素材、期待しないわけにはいかないでしょう。

素材説明には通気性を損なわずに生地の耐久性と防水性を強化したとありますが、それ以上に興味があるのは最高の耐久撥水性を実現したとある点。個人的な経験からしなやかな生地の場合、すぐに撥水力が低下して生地表面が水を吸ってベチャベチャになりがちなのでここは期待ですね。

個々のパーツの作りやポケット類などはこれまでのTBジャケットの実績から満足のいくものであることは予想されます。インナーメッシュポケットのボリューム増加など、細かい仕様調整が今から楽しみ。コロナでかなり入荷が遅れていましたが、ようやくもうすぐ入手できそう。ていうか必ずや入手して、今年きちんとレビューしたいと思います。

NORRONA lyngen Gore-Tex Jacket

耐候性★☆☆ 透湿性★★★ 機動性★☆☆ ポケット類★☆☆ 雪山登山☆☆☆ BCスキー★★★

山ブランドとしては(実力はあれど)そこそこの知名度ですが、バックカントリースキーブランドの中では押しも押されぬ存在として知られるNORRONA。その多様なハードシェルラインナップといえば、これまでバックカントリーにlofotenシリーズ、雪山登山にtrollveggenシリーズがありました。もちろんそれらは定番として今年もいいのですが、今年はこのlyngenが面白い。

こちらが生地に採用した30DのGORE-TEX® Activeはとにかく薄くて軽い。大丈夫かと思うほどぺらぺらです。でもそこは大丈夫、ぼくも1シーズン冬にこの生地のシェルを使ったことがあるけど、さすがGORE-TEX®。しっかり防風性もあり、寒すぎるということはありません(ちなみに肩など擦れやすい部分はもう少し頑丈な生地にもなっています)。とにかくこの薄さからくる驚くほどの軽さ(402g)と汗抜けの良さは間違いなく今回選んだ中でもトップクラスです(一昨年、同じ生地を採用したNORRONAのlofotenで実感)。ゲレンデからBC、軽いスノーハイクまで幅広く使いやすいこと間違いなし(ちょっとポケットが少なめ?ハードな雪山登山に着るなら別のがいいかも)。

Patagonia ストームストライド・ジャケット

耐候性★★☆ 透湿性★★☆ 機動性★★★ ポケット類★★☆ 雪山登山★★☆ BCスキー★★★

パタゴニア独自のH2Noパフォーマンス・スタンダード・シェルを採用し、バックカントリーでの動きを考慮したパターンがウリの軽量・高機動・高通気ハードシェル。実は昨シーズンずっとこれ着てた。バックカントリー向けといいながら、とにかくバランスがいい。500gを切る軽量ジャケットながら生地自体はさほど薄かったり弱そうな感じがない。かといってゴワっとしているかというとそんなことはなく、しなやかでストレッチも効いて着心地がいい。おまけにデザイン・シルエットもいい。こういうのって何だかんだ、いつも着ちゃうんです。

ただし、ポケット類は両胸ポケットと内ポケットのみで、必要最低限。スノースカートもなし。だがこれがいい、と思える人にとってはめちゃくちゃ使いやすいはずです。

PeakPerformance Vertical Pro Jacket

耐候性★★★ 透湿性★★☆ 機動性★★☆ ポケット類★★★ 雪山登山★☆☆ BCスキー★★★

毎年欲しくなる、そして結局なぜか買わない(買えない)ブランドNo.1のピークパフォーマンス。FWT 2018年間チャンピオンのKristofer Turdell監修というだけあって、今旬素材のGORE-TEX® PROの高透湿とストレッチを巧みに使用した、なりふり構わぬ贅沢で高機能な作りは間違いなく垂涎もの。さらにこのモデルならではの独自機能として搭載された、口元を大きく覆う”マスク”によって強風・寒冷下でのプロテクションもばっちり。ポケットやガード類も万全と、いうことなしです。ただ、ちょっと盛りすぎて重くはないですかね?滑降だけを考えれば、最強スキージャケットでしょう。

MONTURA COSMO PRO JACKET

耐候性★★★ 透湿性★★☆ 機動性★★★ ポケット類★★☆ 雪山登山★★★ BCスキー★☆☆

ヨーロッパアルプスのハードコアなクライミングシーンを牽引するブランドだけに、彼らの作るハードシェルは硬派そのもの。身体のラインに沿ったスリムなシルエット。耐久性を犠牲にしない範囲で極限まで薄く、軽くした生地構成。軽さと耐久性、高負荷でも快適な透湿性をすべて妥協しないために採用したのはもちろん新GORE-TEX® PRO。余計なパーツを削ぎ落し、通常では考えにくいほどの重量(410g)を実現。袖周りとフード後頭部にはストレッチパネルが当てられ、フィット感は抜群。スムーズなジッパーも好感触。今シーズンのダークホースとして隠れ最強候補と見ています。

まとめ

あくまでもぼくの守備範囲のスタイルで「今年の1着を選ぶなら」という視点でピックアップしていますので、厳冬期の雪山で何泊もするようなスタイルに合うようなとにかく堅牢なモデルは今回の選定からは外れています。また相変わらず売れ続けている定番モデルが悪いという訳ではありません。きっとそれらのコストパフォーマンスの高さは間違いないはずです。ただ、日々進化するアウトドア・ギアの最先端を知りたい、感じたい、使いたいというのであれば、上に挙げたモデルは間違いなくその期待に応えてくれるでしょう。あー雪が待ち遠しい。それではみなさん、よい雪遊びを。

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