雪シーズン到来。今シーズン注目のハードシェルジャケット【2017-2018】

冬の厳しい環境から身を守り、ハードな使用にも耐えてくれるハードシェルは冬のアクティビティには欠かせません。この「どれだけ過酷な環境で安全・快適に過ごせるか」という特性は何だかんだいって山道具にとってのアイデンティティの源泉のひとつであるわけで。その意味でハードシェルは各ブランドが己の存在を誇示するべく常に研ぎ澄まされた最先端技術が投入される、アウトドアウェアの中でも特に競争が激しい分野であるといって大きく間違いはないと思ってます。つまり毎年新作の動向からは眼が離せないのです。

今年の新作を俯瞰してまずいえるのは、カテゴリ全体に影響を及ぼすような画期的な新素材や革新的なイノベーションこそ少なく、全体としてはやや成熟しつつあるなということ。ただその代わり、それぞれにあった弱点や不足部分といった点について細かい進歩や改善が加えられ、そして登山やBCなど、モデルによって各用途への最適化も進みより完成度が高まっている。つまりどのモデルも総じて出来が良く、ますます甲乙付けがたい状況になっているようです。ああ悩ましい。

ということで今年も新作ハードシェルを実際にお店でチェックしてビリビリときたモデルをピックアップし、この冬に向けた妄想をあれこれと書きたいと思います。例によって表示している重量は基本実測値、大まかな特徴を示す★★★はあくまでも目安程度に。これから冬本番に向けて、頼れるアウター選びの参考にしてみてください。

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目次

2017-2018シーズンに編集部が注目するハードシェル

finetrack エバーブレスグライドジャケット

耐候性★★☆ 透湿性★★★ 機動性★★★ 雪山登山★★☆ BCスキー★★★

耐水圧が長持ちする独自素材「エバーブレス」を採用したハードシェル。昨年までファイントラックのバックカントリー(以下BC)向けハードシェルはエバーブレスアルマという名前でしたが、今回の全面リニューアルに伴って名称も一新。あらゆる部分で快適性と使い勝手が向上した新モデルは個人的には今シーズン一番の注目度です。

新設計生地は50D(全体でも520g)と軽量ながらもより強度を高めることに成功しているだけでなく、縦・横両方に伸縮する機動性抜群のストレッチ性を備えています。横ストレッチだけだったこれまででもある意味十分なのに、今回のモデルチェンジによってその動きやすさはさらに磨きがかかったもんだからもはや手に負えません。裏地も地味に昔からニット地を採用していて肌触りしなやか。さらに今回のモデルチェンジでは、やや少なめだったポケット類も充実しました。左右のハンドウォーマーポケットに加えて左胸ポケット、左袖ポケット、内ポケットと、これだけあればまず安心です。ちなみにこれだけパーツが増えたにも関わらず重量がほとんど前モデルと変わらずという点はもっと評価されていいポイント。

上留めで突っ張りにくいパウダースカートなど含めてBCスキー用途としてはもちろん死角なしですが、特に太めでもなく、丈も特段長めなわけでもないのでアルパイン向けとしても十分守備範囲でしょう。価格的に見ても優秀で、ファイントラックのもうひとつのハードシェル、エバーブレスアクロと比べても汎用性の高さ、使い勝手ではこちらの方が上のような気がします。

Arc’teryx ベータ LT ジャケット

耐候性★★☆ 透湿性★★☆ 機動性★★★ 雪山登山★★★ BCスキー★☆☆

アークテリクスでこの秋モデルチェンジした新作ベータLTは、いわゆる本格的な雪山専用のハードシェルというよりも、オールシーズン対応可能な防水透湿アウターという趣が強いです。ただそこはさすがのアークテリクス。ありがちな「どっちつかず」では決してなく、「いつでもどこでもいける」と十分に感じさせる性能を備えています。

まずは注目は何といっても345gという軽さ。夏のレインウェアとしても十分軽い。そこにはベンチレーションを省略したことだけでなく、8mmシームテープや軽量かつ凍結しないジッパーなどこのブランド独自の技術がなせるワザが活きています。40DのGORE-TEX® Pro素材とマイクログリッドバッカーの裏地は、耐久性・透湿性・軽量性を両立させており、冬山用の標準的なハードシェルとして十分な強度を備えているといえます。もはや驚きも薄れてしまいましたが、綿密に設計された立体裁断は相変わらずシルエットの良さ、動きやすさともに文句なし。

ただ2つのハンドウォーマーポケットと左胸インナーポケット以外には収納もなく、スノースカートなどのスキー向け機能もありません。軽量化と引き換えにそれらの機能は省略されましたが、どんな季節のアクティビティにも使えるというシンプルさと汎用性を手に入れました。削ぎ落とされて残った部分、開け閉めがスムーズなフロントのジッパー、手袋でも容易に調整が可能なフードのドローコードなど、ここまでシンプルにしても上質感を失わない確かな作り込みには相変わらず脱帽です。

Mountain Hardwear バウンダリーシーカージャケット

耐候性★★☆ 透湿性★★★ 機動性★★☆ 雪山登山★☆☆ BCスキー★★★

防寒着からインナーまで多方面に鼻息の荒い世界的な素材メーカーPolartecのアウター向け素材Neoshellが今シーズン一段と攻勢をかけています。MHWと包括的なパートナーシップを組んで送り出したBC向け防水透湿アウターは、数多くの快適・便利なギミックを搭載した非常に興味深いモデル。

40DとBCスキー用途としては標準的な厚みのNeoshellは適度にストレッチし、まるでソフトシェルのような柔らかさと表面のザラ感で、裏地のしなやかさも含めて着心地・動きやすさは良好。丈の長さもあってその分ちょっとシルエットはルーズ。この辺は好みの分かれるところではありますが、基本的な裁断は相変わらずMHWらしくスタイリッシュなので問題なしと感じました。

何より特筆すべきはその機能性。ハンドウォーマーポケット、胸ポケット、大きな内ポケットはそれぞれ左右に着いており収納性は抜群。特に右の胸ポケットは内ポケットにダイレクトでアクセスできるベンチレーション兼用ポケットになっています。さらに左袖にはパス用ポケットの他、ゴーグル拭きが予め装備されたジッパーポケットがあり、地味に便利です。ヘルメットの有無に合わせて巧みにサイズ調節が可能なフードの作りもよく考えられており、細部にわたってこのモデルにしかない快適性と利便性を兼ね備えたモデルでした。正直まったく期待していなかったところから新鮮な驚きを多数与えてくれたという意味で、今シーズン要注目です。

THE NORTH FACE GTXプロジャケット

耐候性★★☆ 透湿性★★★ 機動性★★★ 雪山登山★★★ BCスキー★★☆

TNFにおけるハイエンドクラスのラインナップ群である「SUMMIT SERIES」は今年全面的にリニューアル。そのなかでも雪山登山から氷壁登攀といったアルパイン向けの最上位モデルとして今シーズン生まれたのがこのGTXプロジャケット。パッと見、なんだか原点に戻ったようなデザイン・カラーリング、嫌いじゃない。

登攀向けとしては強度的に信頼性抜群のGORE-TEX® Proを採用。40Dという耐久性と機動性のバランスが最もいいライン。そして氷壁登攀で想定される人の動きをモーションキャプチャーで研究し、裁断パターンとして再現したという立体裁断は確かに完成度が高く、腕上げによる突っ張り感は皆無です。特筆すべきはYKKと共同開発したフロントファスナーで、生地に直接ファスナーの歯が配置されとにかくそのデザイン性の高さは素晴らしいの一言。おまけに滑るような軽い操作感。冷静に考えてそこまでこだわる部分ではないのは確かですが、一方でこれだけでも欲しくなっている自分がいることも確か。フロントのファスナーポケットは大きさも十分で、スノースカートを備えているためスキー的な使い方でも満足できそうです。

mont-bell ストリームパーカ

耐候性★★★ 透湿性★★☆ 機動性★☆☆ 雪山登山★★★ BCスキー★☆☆

モンベルの定番雪山用ハードシェルも今季モデルチェンジ。名前も変更されました。ただ特徴としては前モデルから変わらずで、何といっても70Dで耐久性万全のGORE-TEX Proを用いて、一通りの機能をしっかり踏まえて、それでこの価格というコスパの高さに尽きます。

前モデルからの変更点で注目なのは、重量が494g→435gと大幅に軽量化されたことです。フード部分を軽量なGORE-TEX パックライトにするなど細かい点で重量を削ぎ落とした結果でしょう。ただおそらくは素材を変えたことで同じ色を保つことが難しくなったからでしょうが、もうちょっとこの色遣いはどうにかならなかったのかと言いたくなります。デザインと快適性、使い勝手については最高級とはいえないものの、とにかく安全性に関しては間違いありません。間違いのない性能をできる限り低価格で手に入れたい人にはこの選択。

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