
【2025秋冬】今すぐ欲しいバックカントリースキー・スノーボード向けバックパックのこだわり別ベストモデルと後悔しない選び方のポイント
バックカントリースキーに最適なバックパックって?
危険だけど最高の気分になれる白い粉が大好きな人たちにとって、どれだけ安全で快適なギアを装備するかはいつだって切実な話です。ましてや登山において最も重要な道具といっても過言ではない、バックパックについてのこととなればなおさら。
確かに普通の登山向けザックでもバックカントリースキー(スキーツアー)ができるとはいえ、やはり万全の態勢で挑むにはそのために作られた専用のバックパックで臨みたいものですよね。
もちろんそれは単なる気分の問題などではありません。同じ登山用のバックパックとはいえ、登山とスキーツアーでは身体の使い方も、収納・携行する道具も、危険の種類も大きく違うことから、バックカントリースキーのために作られたザックは背負い心地や使い勝手など、総合的な快適さが大きく違います。
そこで今回は、バックカントリースキー・スノーボードを存分に楽しみたい人々のために、前半でバックカントリースキー・スノーボード向けのバックパックのおすすめモデル、そして後半で選び方のコツについて書きます。一通り調べてみて分かったのですが、このスキーツアー向けバックパック、メーカーや人によってこだわりが実に多彩です。なのでここで書く選び方も、どうしてもぼく個人のこだわり・クセが反映されているので、玄人の皆さんと意見が違ってくる部分が多いかもしれません。今回はそんな気分で読み進めていただければ幸いです。
なお、ここでのおすすめモデル紹介は各部門で1点ないし2点しか紹介していませんが、その他の雪山向けバックパックを含めたさまざまなベスト候補全169点の比較一覧表はメンバーシップになっていただくことで閲覧することができます。
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目次
【用途・こだわり別】今すぐ欲しいバックカントリースキー・スノーボード向けバックパック
オールラウンドバックカントリースキー向けバックパック:bca STASH 35

今回最も選出が難しかったのがこのバックカントリー向けバックパックの最優秀モデルでした。なぜって、今回挙げたモデルのどれもが快適で便利で、甲乙つけがたくほんとによくできているからなのですが、「全部おすすめ」ではさすがに芸が無いので、客観的な性能だけでなく、自分のスタイルに合っているかどうかという点も含めて「個人的に推したい」バックパックを2つ選ばせてもらいました。
僕が基本的にバックカントリー向けバックパックに求めているのは、もちろん背負いやすさは大前提としてあるけれど、やはり大きく差が出てくる「収納面での利便性」です。スキーの取り付け、アバランチギア、スキーアイゼンとアイゼン、ヘルメットにシールに、ゴーグルにグローブにバラクラバにと、バックカントリースキーはとにかく荷物の出し入れが忙しい(個人的にいろいろと荷物が多くなってしまう性分もありますが)。しかも迅速な行動が求められる。そんなわけで、バックカントリー向けのバックパックには煩雑で多様な荷物を、できる限りシンプルな方法でスマートに解決してくれるモデルを選びたい。
ということでまず一つ目に挙げるのは、今シーズンめでたくアップデートした「BCA STASH」の35リットルモデルです。BCAのこのシリーズ、快適性といい収納性といい昔から非常にお気に入りです。スキーの複数スタイルでの取り付け、アバランチツール収納はもちろんのこと、背面のジッパーによって大きく開くメインコンパートメントには通常のスペースに加えてハイドレーションやトランシーバー用のスペース、キー クリップ付きの小さなメッシュポケットなどもあり、もちろんヘルメットホルダーにフリース裏地のゴーグルポケットも完備。何ならクランポンの外付けも可能なデイジーチェーンもあると、収納に関しては隙が無さすぎる。その分やや重いのが難点といえば難点か。
ベスト・収納性抜群バックカントリースキー向けバックパック:Haglofs センセイト プロ 32

これもスノー系のアイテムでは個人的に信頼度の高いブランドのひとつ、ホグロフスから「センセイト プロ 32」。同じように平均以上の快適性と軽量性・耐久性を備えながら、収納性が抜群。特にメインコンパートメント下部には、サイドからアクセスできるクランポン用のポケットが素敵。スペース的にはここにクランポンだけでなくクライミングスキンやスキーアイゼンなんかも入れられるので、モードチェンジ時の素早い出し入れが可能です。
低価格バックカントリースキー向けバックパック:ARVA RESCUER 32 PRO

ハイエンドなBC用バックパックと同じように高機能ながら、執筆時点で30リットル以上のサイズで2万円を切る驚きのコストパフォーマンス(ヘルメットホルダーは別売り)を見せているのが「ARVA RESCUER 32 PRO」。1kgちょっとという軽さも見逃せない。
軽量バックカントリースキー向けバックパック:ORTOVOX スイッチバック27

自分のような収納厨とは違って、バックカントリースキーでもできる限り最小限の装備で身軽にツーリングしたい人もいるでしょう。あるいは3月以降の天候が落ち着いてきた時期ならばがっつり完全装備でなくてもいい場合もあります。そんな時には最小限の重量で高機能かつ快適なBC用バックパックがおすすめです。この分類の中では「ORTOVOX スイッチバック27」が極めて優秀でした。できる限り軽くするため、ともすればいろいろな機能を削らざるを得ないところを、耐久性十分な生地を使い、スキーの取り付けもAフレーム、ダイアゴナル、スノボもOK、背面ジップオープンアクセスもできて、ヘルメットホルダーまで付属と、ワンデイサイズで1kgを切る重量ながら十分多彩な機能性を備えています。
大型バックカントリースキー向けバックパック:Osprey ソールデン45

尾根と谷を何度もハイクアップと滑走をしながらつなぐ、複数日でのスキーツーリングは一つの憧れです。そうした長い滑走旅を送るにはバックパックの大きさも十分になければなりません。この部門の選択肢は決して多いとは言えませんが、それでも(今では珍しい)バックパック専門ブランド、Osprey が手掛ける「ソールデン」シリーズの45リットルモデルはやはり相変わらず素晴らしい。何よりも間違いないのはその重荷でもしっかりと荷重を分散して無理なく背負える疲れにくくて快適な背負い心地は、ややもすると背負い心地が軽視されがちなBC向けバックパックにあって貴重な存在であるといえます。
バックカントリースキー向けアバランチエアバッグ:bca FLOAT E2 35L

BCスキーで雪崩に遭遇した際の埋没を防ぐアバランチエアバッグを搭載したバックパックは、自分の中ではもはや1~2月のBCでは欠かせないギアとなっています。価格が価格のため万人に勧められるという訳ではありませんが、命の値段と考えればぜひとも持っておきたいバックパックです。
そのアバランチエアバッグに、今シーズン新たな注目モデルが登場しました。先ほどのSTASHでもふれましたが、高品質なBC用バックパックに定評のあるbca から、軽量で使い勝手の良い「Alpride E2」を搭載した「FLOAT E2 35L」。背面構造や収納面を見てもSTASHがベースとなっていることから、バックパックとしての質の高さは折り紙付き。そして前世代からさらに軽量コンパクトになったエアバッグと、これは間違いない。
上記のほかにピックアップしたすべてのおすすめモデルと、雪山向けバックパックを含めた全169モデルの比較リストは有料メンバーシップ記事で読むことができます
選び方:バックカントリースキー向けバックパックとは?普通のザックと何が違う?
一般的にバックカントリースキーやスノーボード向けに開発されたバックパックは、構造的な面や収納・アタッチメントの面で、無雪期用のバックパックと比べて異なる特徴を多く備えています。
すぐ分かる点からいうと収納面。例えば雪崩救助対策用の道具であるショベルとプローブの出し入れが容易な専用のコンパートメントが設けられています(もう一つの雪崩必需品であるビーコンはパックの中ではなく、身体に身につけて使用します)。あるいは雪山でも荷物の出し入れがしやすいように背面が大きく開くようになっていたり。
また、これらのパックには、スキーやスプリットボード、スノーボードをバックパックに固定しやすくするためのキャリー用パーツが付いていることも大きな特徴です。もちろん一般的なバックパックでもサイドコンプレッションストラップなどを使えば取り付け可能ですが、専用パックの方はさまざまな取り付け方で、しっかりと固定できるようになっています。

さらにゴーグル用の裏地付きポケット、ハイドレーションやトランシーバー(無線機)用のスリーブやカバー、ヘルメットホルダーなど、バックカントリーでよく使う道具を効率的に収納するポケットやアタッチメントを数多く備えています。こうした細かい収納は各メーカーのモデル毎に有り無しがあり、またこうした余計な収納は不要という人のためのシンプルなモデルもあったりとさまざまなので、ここは自分の好みによって選ぶところです。
一方で素材やパーツの作りでも、丈夫な生地を採用していたり、バックルなども操作がしやすい仕様になっていたり、パーツは凍結に強い素材を使用していたり……などなど「低温下でグローブをはめて使う」ということを前提とした作りになっています。

バックカントリー向けバックパックを選ぶときにチェックしたい10のポイント
最終的に自分にピッタリのバックパックを選ぶには、自分がどんなタイプのスキーツアーに使いたいかという目的を決めることが必要です。スキー場の裏手でちょっとした上り坂を登るだけなのか、登山口から丸1日かけて山頂を目指すのか、頂上付近はアイゼン・ピッケルの世界なのか、ベースキャンプでテント泊するのかなど、今の質問はほんの一例ですが、バックカントリーにも細かな用途によって最適なモデルは変わってきます。
ただいずれにせよ、そうした最適モデルを選ぶために必要な「どの視点で選べばよいか」というポイントについてはある程度のセオリーがあります。それらを実際の経験のなかから、以下の10個にまとめてみました。
ポイント1:サイズ(容量)

1~2月のハイシーズンにパウダーを滑るようなバックカントリーの場合、多くの人は半日~日帰りでのアクティビティが中心になるでしょう。
そうした半日程度のバックカントリーツアーがほとんど、という場合、ザックに詰める主な荷物は必需品(ショベル、プローブ、水分、防寒着、予備ゴーグルやグローブ、シール・クトー、行動食)と、ルートによってはピッケルアイゼンなどです。このためザックのサイズはそれらが収まる程度の容量がちょうどよく、経験上、大体25L~35Lのサイズがちょうどよいです。20L以下は軽めのコースやスキーモレース用、あるいはよほどパッキング自信がある人以外、できれば避けた方がいい。
一方、慣れてきて少し困難なルートや1日目いっぱいのコースなど、多様なルートを目指すようになると、ロープやハーネスをはじめたくさんのギア、水筒も大き目になるなど装備も多くなります。これらもカバーするサイズと考えると、より余裕のある40L以上のサイズが欲しくなります。また大きなカメラやドローンなど普通とは違う荷物を持っていく人もこれだけの容量があれば安心です。かくいう自分の場合、一眼レフのカメラも持ち歩く都合上なんだかんだと最終的には40L前後がベストになっています。そうした余計な荷物を抜きにすれば、いろいろな可能性を考慮して平均的なサイズは35L前後でしょうか。
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なお、40L以上の容量からはバックカントリーでの泊まりの旅(小屋泊まりなど)も視野に入ってきますが、本格的な雪山テント泊でのスキーツアーを考えるのであれば、バックカントリー専用のモデルよりは70Lクラスの、雪山もいけるオールラウンドモデルを検討するのが賢明です。
ポイント2:アバランチエアバッグ搭載か、非搭載か?

アバランチエアバッグとは、雪崩発生時にスキーヤーが埋没するのを防ぐために瞬時に膨らむ大きなエアバッグです。雪崩事故の死因で最も多いのは窒息なので、エアバッグによって身体が雪の上に浮いていてくれることで、生存率を大幅に高めることができます(100%安全というわけではありません)。
近年各メーカーから雪崩用エアバッグが搭載されたバックパックが数多く登場しており、なるべくならばそのモデルを使いたいところですが、なにせまだ高価です。またBCエリアも地形や天候次第では、これがなければ絶対に行ってはいけないという場所ばかりではありませんので、(個人的には推奨しますが)各自での必要性と予算に応じて決めればよいと思います。
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ポイント3:背負ったときの快適性・安定性

日帰り程度の荷物が中心とはいえ、ある程度の重量を背負って登り滑降する以上、バックパックの背負い心地が悪かったり、安定感が悪くて左右にブレるようでは危険だし、なにより楽しくありません。
30L以上の比較的大き目クラスのバックパックで10kg程度の荷物を背負っていれば、長時間行動しているとかなりの疲労がたまってくるはずです。このためなるべく疲れにくく、肩や腰などが痛みにくい快適な背負い心地のモデルを選ぶのがおすすめですが、そのときに必要なのは、しっかりとした背面構造を備えていることです。
背面構造とは、背面フレーム(パネル)とショルダーストラップ・ヒップベルト全体の作りを指しています。快適な背面構造には荷重や圧力で歪んでしまわない硬質の背面パネルやフレームが入っていることが重要で、そこがしっかりと備わっているモデルをおすすめします。そうでないと、パックが背中にピッタリと沿わず、重さが分散されなかったり、荷重に偏りが生じてしまいます。
ショルダーストラップやヒップベルトも荷重に耐えるためにはなるべく堅牢でクッション性の高いものがベストですが、あまりボリューミーになりすぎると今度は激しい動きが生まれる滑降時などに邪魔になります。その点を念頭に、軽さ・動きやすさを損なわない範囲でなるべく幅広でクッション性の高いモデルを選ぶべし。
ポイント4:スキー・スノーボードの取り付け方式
スキーツアー向けバックパックが他と違う大きな特徴のひとつが、スキー(スノーボード)を運ぶための仕組み・パーツが搭載されていることです。
一般的にスキー(またはスプリットボード)は、Aフレーム方式(下写真)か、

またはダイアゴナル(斜め掛け)方式でスキーパックに取り付けることができます(下写真)。

一方スノーボーダーの場合は、スノーボードやスノーシューをバックパックのフロント部分に垂直または水平に取り付ける仕組みがあるかどうかが重要です(下写真)。

バックパックによってはこれらすべてのスタイルを用意しているものもあれば、Aフレームのみでしかスキーを固定できないモデル、あるいはスノーボードの取り付けが想定されていないモデルなどさまざまなりますので、選ぶ際にはどのスタイルで取り付けが可能なのかをチェックしましょう。
ちなみにほとんどの場合ではスキーをどのように取り付けるかは個人の好みですが、強いて言えばAフレームはザックの側面にしっかり固定されるので安定感があるが取り付けには相対的に時間がかかる、ダイアゴナルの場合、ザックへの固定は楽でスピーディにできますが風に振られやすく安定感は相対的に低い、などの違いがあります。
いずれにせよバックカントリーに出かける前に、スキーやスプリットボード、スノーボードをバッグに装着する練習をして、ストラップの配置がどのように機能するかを確認しておくことが大切。いざという時にもたもたすると大きな危険に繋がりかねないのが雪山です。
ポイント5:アバランチツール専用収納

BCスキー・スノーボードパックが持つ大きな特徴のもうひとつは、雪崩対策用の道具(ショベルとプローブ)を入れるコンパートメントがあることです。
ひとたび雪崩事故が発生するとまじめな話1分1秒を争うことになるため、これらの道具が「安全に収納できるかどうか」「万が一の際に素早くアクセスできるかどうか」はバックパックにとって必要不可欠な要素です。細かいギミックがどうかというよりも、上記2点がしっかりと意識されているかどうかだけはしっかりと確認しましょう。
ポイント6:メイン収納へのアクセス

多くのBC用バックパックでは、パックの背中側(またはサイド)から内部にアクセスできるようなジッパーが配置されています。
主な理由は足がスキーに固定された状態でバックパックを完全に下ろさないでも中身を出し入れできる、あるいはパックの奥底にある荷物も(細かい荷物を外にぶちまけないで)取り出しやすくするなど、いくつかありますが、確実に便利なのでBC用パックにとってこの機能は必須と考えていいでしょう。
問題はその構造です。バックパネルをU字型に開けることができるジッパーがショルダーストラップの下側を通っている構造であれば、何も考えず容易に背面パネルを開くことができるのですが、ジッパーがストラップの上側を通っている場合、ショルダーバックルを外してからでないとパネルを開くことができません(下写真)。ひと手間ですが、これがちょっとだけイラつくんです(笑。

まとめると、メイン収納へのアクセスで最もおすすめなのは、トップと背面からアクセスが可能であること。そして背面アクセスではジッパーがワンアクションで全開できること、の2点がベスト。もちろんこれ以外の仕様だったとしても妥協できないわけではありませんが。
ポイント7:ヘルメットホルダー

スキーでヘルメットを装着することがほぼ当たり前になってきた近年では、BC向けバックパックでもヘルメットをパックに取り付けるためのパーツが付くモデルが増えてきました。これらのキャリーシステムは通常収納・取り外しが可能なカバー生地が付いており、そこにヘルメットを挟んで指定の位置に取り付けることができます。選ぶ際にはあるかどうかチェックしてみましょう。もちろんなくても何らかの方法で固定することはできますので、自分でホルダーを購入するなり作るなりすれば問題ありません。
ポイント8:その他こだわり道具の収納
他にも必ず必要なわけではないけど、あると非常に便利な収納・機能がいくつか存在していますので、ここで上記の他に個人的にこだわりたい収納・アタッチメント類についてまとめて列挙してみます。
ゴーグル収納
BCスキー・スノーボードで必須のギアであるゴーグルの収納方法も、細かいですがチェックすべきポイントです。確かに無いからといって使い勝手が激変するものではありません。中には軽量化、あるいはポリシーとしてこのポケットがないモデルも当然あります。ただ、繊細なアイテムであるゴーグルを安全に収納できる場所があると、何かとパッキングは捗りやすいことも確かです。手厚いモデルの場合は生地が起毛フリースになっていたりして、ダイレクトに放り込めるものもあります。そんなパックには細やかな優しさを感じてしまいます。

ハイドレーション収納とホース孔
ザックを下ろしたりするのがいちいち億劫なバックカントリーでは、水分補給にハイドレーションを使うことがひょっとすると夏より便利なのかもしれません。このためハイドレーションに対応しているバックパックがあれば、行動中何かと便利になる可能性があります。
ただハイドレーションの容器やホースは冬の寒さで凍ってしまうこともありますので、保温性をいかに保つかが重要です。チューブや容器を保温ケースに入れる、あるいはショルダーストラップ部分にホースカバーが搭載されているバックパックを選びましょう。
トランシーバー(無線機)とスピーカーマイク収納

夏山ではさほど利用シーンはありませんが、冬山では仲間同士の通信用にトランシーバーや、緊急時に救助を要請することまでできる無線機等を携行することが多々あります。シンプルにジャケットのポケットに入れてもいいですがかなり嵩張るので、できればスマートに収納したい。そこで現時点で最もスマートなのは送受信機本体をバックパックに収納し、そこからマイクスピーカーを(ハイドレーションホース孔などを通じて)肩口にセットする方法です。これならば身の回りが嵩張らず、必要な時に素早く会話ができます。ここまでがきちんと想定されているモデルとなると限られてきますが、逆にここまでしっかり考えられているバックパックはトップクラスの使いやすさだといえます。
ピッケル・ストック・クランポン・ロープ収納
多くのバックパックは、ピッケルやストックをザックに固定するアタッチメントが備わっているはずです。今ビギナーだから不要だとしても、季節やルート次第で今後必ず使う可能性が出てくると思いますので、必ずこれらアイスツールが収納できる何らかの機構が備わっていることを確認しましょう。逆にそれが万が一ないモデルは本格的なBC用でない可能性が高いので注意です。
また氷河が多いヨーロッパ系のメーカーの中には、さらにクランポンやロープなどがスマートに収納できる仕組みを備えていたりします。
ポイント9:ショルダーストラップとウェストベルトの使い心地
これも好き好きな面が大きいかもしれませんが、自分にとってはショルダーストラップのフィット感や使い勝手は重要なポイントです。普段は荷物もそこまで重くないとしても、ひとたびスキーやボードをパックに取り付けようものならいつもよりもかなり重い荷物を持ち運ぶことになり、肩への食い込みも気になってくるはず。太くめで快適なショルダーストラップがあれば、そんな時少しでも楽に運ぶことができます。
またこだわりすぎかもしれませんが、ウエストストラップの締め方も意外と気になります。何よりも前にひいて締めるタイプ(下写真の上)の方が圧倒的に締めやすく、使いやすいので、後ろ(外側)に引くタイプ(下写真の下)だった場合はちょっと残念に思ってしまいます。

ポイント10:ジッパーやバックルの使いやすさ
BC向け、というよりも雪山用のバックパックに関して個人的にこだわっているのは、ジッパーのサイズや耐久性・操作性についてです。厚手の手袋やミトンを着用することが多いことを念頭に、大き目のタブが付いたジッパーであると、行動中のストレスは少なく、より快適に過ごすことができます。何度か開閉してみて、ジッパーが持ちやすいかどうか、スムーズに動くかどうか、妙に小さく弱そうでないかどうかなどを確認してください。

またバックルについても、グローブ装着時でも指の腹で操作できるスムーズな形状か、雪が詰まりにくいかどうか、ストラップがより緩みにくいパーツが付いているかなど、よく考えられているモデルにはその辺りまできめ細かく考慮されていたりしますので、できればその辺もチェックしてみましょう。
最後にここもチェック
最後にこれはBC向けに限ったことではありませんが、バックパックを選ぶうえで必ずチェックすべき点について補足しておきます。
背面長が合っていること
背面長とは首の後ろの一番とび出している骨(第7頸骨)から腰骨上端までの長さをいい、30L以上のザックではこのサイズが合っていないと背負い心地に大きく影響が出てきてしまいますので、購入前には必ず自分の背面長に合っているかどうかを確認することが重要です。同じモデルの中でS/M/Lなど背面長のバリエーションがある場合もありますので、忘れずにチェックして、自分に合ったサイズを選ぶようにしましょう。
→背面長についてはバックパックの選び方も参照
耐久性と重量
冬期用のバックパックは全般的に丈夫な生地であることが多く、一般的には生地の耐久性が高いほど、その分重量も増える傾向にあります。ただ、いくら軽い方が快適だといっても、冬山では軽さのメリットよりも物が壊れたり、機能不足によることのデメリット(危険性)の方がより深刻であることが多いので、初心者の方や明確に軽量化を目的としている人以外はあまり重量を気にする必要はなく、快適さや使い勝手をチェックすることに注力するのがよいかと思います。

まとめ
冒頭にも書きましたが、バックカントリー向けのバックパックはメーカーのコンセプトによってかなりクセの幅が広い傾向にあり、ユーザーの我がままをあれもこれも受け入れてくれる面倒見のいいお兄さんタイプから、自分のスタイル・主張に強い自信をもち、それ以外の使い方は認めない(させてくれない)こだわり職人タイプまで実に多彩です。それを踏まえてユーザーはどの姿勢が自分と合うかという視点で選んでみると、より気持ちよく道具を使い、愛せるようになるのではないかと思います。バックパックという何よりも身近な相棒探しはなかなか悩ましい問題ですが、本格的なスノーシーズンに向けていっしょに大いに悩んでいきましょう。



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