失敗しない登山用バックパックの選び方と初心者におすすめの10選

バックパックは最も難しく大切な相棒選び

アウトドア愛好家にとって、待ちに待った新しい季節がやってきました。今年こそ山登りでもはじめてみようかと思っている方もたくさんいると思いますが、20年以上アウトドアを続けていて思うことのひとつに、アウトドアビギナーにとって何よりも大切で難しいことのひとつは自分にとって最適なバックパックに出会うことなんじゃないかということです。なぜならバックパックとは、重い荷物を最小限の負担で運ぶための最先端の技術と人間工学が集積した実に精密でデリケートな道具であり、さらに1度買ったらその後長く使い続けるものであるということが大きな理由です。(ちなみに”バックパック”は英語での呼び方で、ドイツ語由来の”リュックサック”や、”ザック”という呼び方も日本では一般的です)。

そんなバックパックですが、現在では容量・サイズ・機能(目的)などによって数え切れない程の選択肢が存在しています。そして困ったことに、バックパックは長時間、実地で背負って歩いてみないと本当の意味での使い心地が見えて来ません。スペックを見て、お店で試着してと、どれだけ慎重に選んだつもりでも失敗を完全に避けることはできないのがパック選びの難しいところ(それは歩きやすい靴を選ぶのとまったく変わりません)。長時間背負っていると肩や腰が痛くなったり、荷物を入れて歩き続けるとバランスがすぐ崩れやすいなど、使えないパックを引いてしまったときの残念感といったら!そこで今回は、間違いないパック選びのための大切なポイントや選び方をどこよりも分かりやすくご紹介します。

ちなみにこの記事は昨年からのアップデートとなります。今回更新したのは後半のおすすめ部分。前置きはすっ飛ばしておすすめだけ見たいという方はこちらから次ページへどうぞ。

目次

最適なバックパックを選ぶための、たったひとつの大切なこと

チェックポイント1:フィット

チェックポイント2:アクティビティ

チェックポイント3:容量

チェックポイント4:その他細かい点

はじめての人でも安心のおすすめ入門バックパック10選(Page:2)

最適なバックパックを選ぶための、たったひとつの大切なこと

100年以上の歴史を誇るドイツのパックメーカー、ドイター(deuter)のスポークスマンである Todd Walton は

まずは一番フィットするパックを見つけること。サイズとアクティビティはその後に選ぶ。

と語っています。パックを選ぶときに気にするべきことは多くのガイドや雑誌で語られてきていますが、はじめてのパック選ぶ人が絶対に忘れてはいけないことはたったひとつ、最終的には自分にフィットしているかどうかが最も重要であるということです。なぜならはじめて山を始める人にとっては、重い荷物で長時間歩くというのはまったくの未経験。そんな人が合わないパックを背負って歩いたとき、何が起こるか想像ができません。想像以上に疲れたり、痛んだりして万が一動けなくなったり、時間が無くなったりして大きな危険にさらされるのが登山のようなアウトドアの宿命ですから、初心者にとっては特に快適なパックを選ぶということが最も大切になってきます。逆に言うとサイズや便利さというのは慣れてきて自分のスタイルが確立してきたときに”次のパック”で選べば十分なのです。

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最適なバックパックを選ぶためのチェックポイント1:フィット

お店で実際に気になるパックを試着してみます。フィッティングはお店の人に合わせてもらうようにして間違いの無いように。こちらのページも参考になります。その上で、背負った感じどうなっていればフィットしているのか、以下のポイントをチェックしましょう。

背面長(トルソー)の長さが合っているか?

最適なバックパックのサイズを合わせる第一歩は背面長(トルソー)を合わせることが基本中の基本です。背面長とは第七頸椎(俯いたときに首の裏に突起した大きな部分)から垂直に下りた腰骨の末端までの長さ。中型以上のザックでは同じ容量のパックでもS/M/Lなど異なる背面長のモデルがあるものや、背面長が調整可能なモデルがほとんどなので、購入前には必ず自分の背面長に合わせてフィット感を確認することが重要です。

ヒップベルト(ウェストハーネス)は合っているか?

多くの登山用のバックパックには、腰回りを覆うようにヒップベルトが付いています(もし付いていないモデルであったらそれはおすすめしません)。これは荷重を肩だけで無く腰にも分散させるための重要な部分で、万が一短すぎて締められない、長すぎて締めても緩いなどの問題がある場合にはそのパックはフィットしていませんので注意しましょう。また正しく締めたとしても、薄い・細い・固いなど、お店で試した時点で既にフィット感・快適さに不安がある場合も要注意。その不快感は歩き始めるとより強く感じるはずです。

バックパネルとショルダーハーネスが身体に隙間なくフィットしているか?

バックパネルとは内部にフレームが装着されたパックの背面部分を、ショルダーハーネスとはパックを背負う際に肩にあたる部分のことをいいます。

バックパックが身体にジャストフィットした状態は腰と背中・肩全体で荷重を受け止めている状態、つまりバックパネルとショルダーハーネスが身体に隙間なくフィットしている状態のことをいいます。バックパネル(フレーム)が身体に合っていなかったり、そもそも出来が悪いパックの場合、背中の当たりが一部分に集中してそこが擦れたり、圧迫されてしまいます。一方ショルダーハーネスは背面長が合っていないと食い込んだり、逆に浮いたりして、これも荷重のバランスを崩すことになります。ちなみに日帰り用のデイパックやウルトラライトバックパックでは軽量化等の理由でバックパネルにフレーム(パネル)が入っていないものが多くあり、その場合パックが背中に隙間無くフィットする快適さは諦めましょう。

(女性の場合)女性向けモデルがあるかどうか

最近のバックパックでは同じ機能の女性モデルがラインナップされていることが多く、その場合の違いについて触れておきます。一般的に女性モデルの場合、より短い背面長、横幅も狭いフレーム、女性の体型にフィットするよう成形されたヒップベルトやショルダーハーネスなど、より女性の体型にフィットするよう最適化されています。女性の場合は当然こちらの方がよりフィットすると思いますので、必ずバリエーションを確認するようにしましょう。

最適なバックパックを選ぶためのチェックポイント2:アクティビティ

登山用バックパックのなかでも用途に応じてさまざまな種類があり、目的が決まっていればそれに特化したモデルを選ぶのが最適なパックを選ぶ近道です。それぞれ何が違ってどんな特徴があるのか、以下の表にまとめてみました。ただ、はじめてのパックを選ぶというケースに限っていえば、縦走用(オールマイティ)のパックから選ぶのがほぼ間違いない選択となるはずです。

タイプ 縦走(全般)向け クライミング向け ウルトラライト向け バックカントリー向け
用途・特徴
  • 基本的に重い荷物を背負って登山道やトレイルを長距離歩くこと(縦走)を想定したモデル。
  • 初心者に最適。
  • パック内部にフレーム(あるいはパネル)が入っており、その他ハーネスやストラップを調整可能。
  • 寝袋やテントなど特定のアイテムのための2気室(セパレート)構造のモデルがある。
  • 岩稜、雪稜登攀(一部沢登り)等に最適化されたモデル。
  • アプローチ時よりも登攀時に役に立つ機能に特化している。
  • 容量は25~55L程度で1サイズが一般的。
  • 長距離トレイルをなるべく軽量でシンプルな装備で行動するこをと志向したモデル。
  • 経験豊かなウルトラライトハイカーに最適。
  • サイズは大きくても65L程度で、40L前後が一般的。
  • バックカントリースキー(スノーボード)で利用するために最適化されたモデル。
  • バックカントリー、スノーハイク冬山縦走などに最適。
  • 日帰り用の20Lから1泊40L前後までのサイズが一般的。
強み
  • 一般的に重い荷物を最も快適に背負うことができる。
  • ポケットやアタッチメントが他のパックに比べて多めに付いており、出し入れが容易。
  • ほとんどのパックでハイドレーションシステムを効率的に収納・設置できるようにできている。ウォーターボトル用のサイドポケットなど給水方法も好みに合わせて配置できる。
  • 日帰り~長期縦走までさまざまなサイズ(容量)バリエーションがある。
  • アイスアックスやピッケル、クランポン(アイゼン)・ロープの便利なアタッチメントがある。
  • 摩耗に強い生地素材
  • 天蓋やヒップベルト、バックパネルなどを好みに応じて取り外せる機能を持っているモデルがある。
  • 天蓋を含めて余計な部品が一切無く、とにかく軽量。
  • ほとんどのパックでハイドレーションシステムを効率的に収納・設置できるようにできている。
  • スコップ、プローブ、スキー(スノーボード)、ヘルメットを効率的に収納できる構造になっている。
  • 最近ではアバランチ(雪崩用)エアバッグシステムを設置されたモデルも。
弱み
  • 比較的重く、かさばる。
  • 登攀をはじめとしテクニカルな動き(手足を大きく動かしたり、ヘルメットを被って顔を上げたり)がしにくい。
  • 登攀時の性能を優先し、縦走時の快適さを犠牲にしている。
  • ポケットや中身へのアクセスしやすさなどの便利な機能も省略している場合が多い。
  • 極量重量を削っていることを前提としているためヒップベルト含めて快適な背負い心地は期待できない。
  • アタッチメントやポケットがほとんど無いため、計算されたパッキングとそのスキルが必要。
  • 生地素材も極限まで薄いため、摩耗耐久性も弱い。
  • スキーしなければ使わないアタッチメントがある。
  • 冬以外で使用するには余分な機能があるため、アイテムによっては他の用途と重複して使いづらいモデルがある。

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最適なバックパックを選ぶためのチェックポイント3:容量

アクティビティや個人の趣向によって多少の違いはあるものの、大まかには以下のような分類ができると思います。はじめて登山を始める人は、最初はもちろん日帰りでしか使用しないと思いますが、本格的にやっていけばこのパックを使い古す前に必ず1泊以上の山行を計画するだろうという経験から、はじめてのパックとしてはズバリ35L前後(30~45L)が断然オススメです。日帰りのパックとしても決して大きすぎることはありませんので、さまざまなアクティビティに使える非常に汎用性の高いサイズといえます。

なお、日帰り登山用のデイパックはここで言及しているモデルとは構造が大きく異なるため、それについては別の場所で解説したいと思います。

日数 容量
日帰り ~30L
週末(1~2泊) 35~45L
数日(3~5泊) 50~80L
長旅(5泊以上) 70L以上

最適なバックパックを選ぶためのチェックポイント4:その他細かい点

レインカバーがあるかないか

万が一山の中で雨に降られた場合、バックパックが雨ざらしでは中のギアが濡れて使い物にならなくなってしまいますので、パックのレインカバーは必需品。そのカバーが標準装備されているモデルは機能的にも価格的にも間違いなくお得ですので、確認しておきましょう。ただしこのレインカバー、装着したとしても肩の裏側まではノーガード。そこからはどうしてもパック内部に水は浸入してきますので過信は禁物(パック内部でも濡れたらまずいギアの防水を忘れずに)。

トップリッド(天蓋)構造かどうか

トップリッド(天蓋)とはパックの上部で蓋状に取り付けられた部分で、多くの中型(以上)パックでは小物が入るポケットと共にこのトップリッドが付いています。ただ中には軽量化や出し入れのし易さのために省略されたモデルもあるので要注意。通常はここのポケットにはすぐに取り出したい小物を収納するのに非常に便利なのでトップローダーモデルを選んだ方が良いと思いますし、その意味で天蓋のポケットが大きく使いやすいパックは正直満足度も高いです。

内部へのアクセスは簡単か

トップリッドは基本的にバックルと紐でとじられているため、中の道具を取り出すのは以外と面倒です。そんなときに内部へのアクセスを簡単にしてくれるのがサイドやフロント部分に付けられたフロント(サイド)アクセスジッパー。これがあるとないとでは取り出しやすさが段違いに違います。

1気室か2気室か

パックの最下部の道具をパックから取り出しやすくするために上下で収納部を分ける仕切りが付いているのが2気室構造。確かに下部のギアが取り出しやすくなるのは便利だと思いますが、中型パック程度までであればそこまで下の荷物が取り出しにくいというわけでもなく、最近ではサイドやフロントが大きく開いて取り出しやすい構造も出てきているため、有用性は薄れてきています。

ハイドレーションポケット・アタッチメントは付いているか

行動中に水分補給できるハイドレーションシステムをパック内に収納できる内ポケット、チューブを外に通すためのホール、口元にチューブを固定するためのチューブアタッチメントが付いていると、ハイドレーション利用が捗ります。

フロント・サイド・ウェストポケットなど各種ポケットの使い勝手

すぐに取り出したい道具(暑くなって脱いだアウター、水筒、手袋など)は、外側に取り付けられたこれらのポケットに収納できると便利。特にサイドポケットに水筒などを入れる場合、歩きながら取り出せるような作りだと非常に楽です。ただポケットはたくさん付いていた方がパッキングが楽なことは間違いありませんが、実際にはほとんど使わないポケットもあったりしますので、そこまで厳しく考えなくてもよいでしょう。

アタッチメントやアックスループは付いているか

パックの外側に取り付けられた各種テープやバックルなどのアタッチメントや、ピッケル類を取り付けるアックスループには、アックスをはじめとしてトレッキングポールやテントポール、マット、ロープなど、さまざまなギアを取り付けることができます。はじめのうちはまったく必要がないとは思いますが、最低限何かしらは機能として付いているものを選びましょう。

生地の強度とパックの重量

一般的には厚ければ厚いほど強度が高いですが、その分重量もあります。よほどのことが無い限り縦走していて裂けることは無いでしょうから、正直生地の強度についてはあまり気にしなくていいと思います。また重量についても、確かに軽ければ軽いほど快適で安全ですが、登山を始めたばかりの人にとっては軽量化によって失われる機能的なデメリットの方がはるかに大きいので、この時点ではあまり神経質に考えなくてよいでしょう。

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