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重い荷物も、長い距離もどんどこい。テント泊縦走に最適な大型バックパックの今シーズンおすすめ9モデル

山登りを始めたばかりの時は日帰りのルートが精いっぱいだったとしても、しばらく経験を積んでいけば、誰もがいずれは2日以上の長い距離のコースに憧れを抱くものです。そんなとき、これまで使っていたバックパックでは物足りず、50L前後以上の容量が欲しくなってきます。

このクラスになると、荷物全体の重さは10キログラムを優に超えてくるため、バックパックは重さをしっかりと身体全体に分散させて受け止めるためのサスペンションや、ダメージを蓄積させないための十分なクッション性などがより重要になってきます。さらにはかいた汗をすばやく発散させる通気速乾性などの快適性、そしてたくさんの荷物も出し入れしやすくするための収納類など、タフな山旅で快適に行動するためには、これまで以上に多くの機能が欠かせません。

そこで今回は数日以上のテント泊などに最適な50リットル以上の大型バックパックについて、綺羅星のように並んだ今シーズンの各モデルを片っ端から調査し、目的やシーン、こだわりに合わせた部門別ベスト・モデルを選んでみましたので、さっそく紹介します。

【部門別】今シーズンのベスト・長期縦走向け(50リットル以上)バックパック

総合部門(ビギナーにおすすめ):GREGORY バルトロ 65 / Osprey イーサープラス 60

総合部門で紹介するのは、これぞ登山用バックパックともいえる、王道にして高性能、オールラウンドに活躍するザックです。大型バックパックに必要な耐荷重性能、快適性、利便性といったさまざまな面を高いレベルでもれなく兼ね備え、トレッキングからアルパイン、沢登り、冬山など幅広いアクティビティで、ビギナーも心配なく使うことできるのが魅力。以下2モデルはどちらも基本的には汎用性の高いモデルで、背負い心地に関しては甲乙つけがたいくらいの完成度。どちらが優れているというよりも身体との相性、好みの問題といえそうです。ただ機能やパーツについては若干指向性が異なっていて、バルトロの方がやや「山歩き・旅」向け、イーサーの方がより「山岳・登山」向けといえそうです。

GREGORY バルトロ 65(女性モデルはディバ)

お気に入りポイント
  • より肌当たりが優しく、通気性も良くなって快適性の向上した背負い心地
  • サイズ調節可能な背面とヒップベルトなど、体型に細かく合わせてくれるフィット感
  • 大きく開閉して荷物の出し入れ簡単なフロントのU字ジップアクセス
  • 豊富で使いやすい収納、アタッチメント類
  • 使用しないときは収納可能、背負ったまま出し入れ可能なサイドのウォーターボトルホルスター

Osprey イーサープラス 60(女性モデルはエーリエル)

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OSPREY(オスプレー)
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お気に入りポイント
  • 背面長からショルダーベルトまで、実際に荷物を入れて背負った状態からワンアクションで細かくフィッティング可能な調節機構
  • 取り外して軽量デイパックに変形可能なトップリッド(雨蓋)
  • 通気性とクッション性、重心の安定感を両立させた快適な背負い心地
  • ハイキングだけでなくアルパイン系のアクティビティや冬山などにも使いやすいシンプルかつ使いやすいポケット・アタッチメント類
  • 優れた耐久性とかなりの重荷にまで対応する堅牢性

ベスト・軽量バックパック部門:Granite Gear CROWN3 60 / Osprey エクソス58

たくさんの荷物でも快適にいられるためには、どうしても強くて丈夫な作りにする必要があり、バックパック自体の重量も重くなりがちです。そんな中でも「十分な快適性をぎりぎりで損なうことなくできる限り軽くしたい」というニーズに応えてくれる軽量大型バックパックをお探しの人におすすめなのがこちらの2点。

どちらも15キログラム前後までの耐荷重性能は備え、一般的な2~3泊のトレッキングに十分利用可能であるにも関わらず、バックパックの重量は1,300グラム前後と他モデルに比べて半分近くの軽さなのです。軽くて丈夫な素材の採用や、ありとあらゆるパーツを見直して削れるところはとことん削るというスタンスで、徹底的な軽量化が図られています。

2モデルはどちらも軽量化という1点では共通していながら、どちらもブランドの哲学が反映されたそれぞれ異なる魅力を放っています。米国スルーハイカーたちに愛される軽量バックパックの雄、グラナイトギアのフラッグシップ「CROWN」シリーズの最新モデルは、豊富な収納と取り外し可能な雨蓋・ヒップベルト・背面パッドなどのカスタマイズ性はそのままに、より快適性を増した背面システムにアップデートされました。一方快適な背負い心地を失わずに軽量化を実現しようとするオスプレーの「エクソス」シリーズは、高い通気速乾性を備えながら背面調節を可能にすることでよりフィット感が向上した背面パネルが秀逸。多様な荷物を持ち運びしやすいアタッチメント類もありがたい。

Granite Gear CROWN3 60

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Granite Gear
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お気に入りポイント
  • 大容量バックパックとしては異次元の軽さ
  • 重荷でも安定性抜群なだけでなく、体型に合わせて調節可能な背面パネル
  • さまざまな荷物を運ぶことを想定した、余裕のある多彩なアタッチメント類
  • トップリッドを外してフロントパックやウェストバッグに可変可能

Osprey エクソス58(女性モデルはエイジャ)

お気に入りポイント
  • 大容量バックパックとしては異次元の軽さ
  • 長さ調節可能なウェストベルト
  • 外して軽量化するだけでなく、フロントパックやウェストバッグに可変可能な雨蓋・ウェストベルト
  • さまざまな荷物を収納・取り付け可能なポケット・アタッチメント類

    ベスト・コンフォート部門:Osprey アトモスAG 65 GREGORY カトマイ 65

    自分がもし大型バックパック選びで最も重要なポイントは何か?と問われれば、間違いなく「背負い心地」と答えるでしょう。利便性や快適性は何かで補うことはできますが、基本的な構造だけは後からどうしようもありません。その意味で「裏ベスト」といえなくもないのがこの部門、今シーズン選出したのは以下の2モデルです。

    まずアトモスAGシリーズは、背中からウェストまでシームレスでつながった柔らかいメッシュ地がまるで背中に吸い付くかのように自然と身体にフィットしてくる「アンチグラビティサスペンション」が何よりも素晴らしい。2015年に初登場して以来、多くの類似モデルを生み出してきた”元祖”全面メッシュ背面パネルは、今でも着実にアップデートを積み重ねています。グレゴリーのカトマイも同じように全面メッシュ背面パネルの極上の背負い心地を基本的な個性としながら、さらに上質なパーツ類と使いやすさ抜群の収納・アタッチメントで総合的な満足度が半端ないモデル。どちらも険しいルートでラフな使い方をするのにはやや不得意かもしれませんが、ハイキング用バックパックとしては甲乙つけがたい完成度を備えています。

    Osprey アトモスAG 65(女性モデルはオーラ)

    お気に入りポイント
    • 背中全体から腰に掛けて吸いつくようにフィットする唯一無二の背負い心地の良さ
    • 背面長・ショルダー・ヒップベルトと細かなサイズ調整が可能な「フィットオンザフライ」構造
    • 内部にアクセスしやすいジッパー、さまざまな道具を固定できるアタッチメント類、レインカバーなどトレッキングに最適な便利機能が充実

    GREGORY カトマイ 65(女性モデルはカルミア)

    お気に入りポイント
    • フィット感と通気性、クッション性抜群の背面パネル
    • ハイキングに便利で使いやすいポケット・アタッチメント類
    • フロントにもサイドにもジッパーアクセスがついて、出し入れしやすさ抜群メイン収納
    • 上質で使いやすいパーツ類

    ベスト・コストパフォーマンス部門:MILLET サースフェー 60+20

    【公式】 ミレー (Millet) サースフェー 60+20 SAAS FEE MIS0637 / リュック あす楽
    お気に入りポイント
    • 堅牢で快適な背負い心地を備えた確かな背面パネル
    • クセのない基本的な機能をしっかり押さえつつ、ところどこで独自の使い勝手の良さを備えた収納類
    • トップレベルの性能・機能性を備えながら低く抑えられた価格
    • アクティビティを選ばない、汎用性抜群でクセのない作り

    価格に対しての性能の高さや満足度といった観点で考えた時、つい昨年100周年を迎えた老舗アウトドアブランドのミレーが手掛けるロングセラーバックパック、サースフェーを外すわけにはいきません。確かに価格の低さだけで言うならばもっと安く買える大容量バックパックはあります。ただ、ともすればトップクラスの確かな作りと先端の機能を備えながら、他と比べて一段低く設定された価格を実現していることは、単なる安さということではない真の意味での高コスパバックパックといってよいでしょう。

    快適かつクッション性の高い背面パネルに便利な収納、重い荷物を背負ってもへたらない堅固なサスペンションと耐久性の高い生地によって無雪期から冬山、縦走からバリエーションルートまでオールラウンドに対応できます。

    ベスト・ヘビーデューティ部門:Osprey アンリミテッドエアスケープ68

    お気に入りポイント
    • どれだけ重い荷物でも最高レベルの安定性と快適さを提供する強度とクッション性・通気性を兼ね備えた背面構造
    • 背面長からショルダーベルトまで、実際に荷物を入れて背負った状態からワンアクションで細かくフィッティング可能な調節機構
    • 軽量かつ高強度の独自素材
    • 使い心地の良さと軽量性・耐久性を両立した新たなパーツ類
    • 出し入れとパッキングのしやすさを兼ね備えた収納類

    2~3日程度であればあまり気にする必要はないかもしれませんが、1週間を超えるような長旅になると荷物はどんどん増えていきます。その時もし10数キロしか耐えられないようなバックパックでは、背面のサスペンションがその重さを支えきれず、身体もパックももち応えられません。どれだけの重さまで耐えられるかという耐荷重性能は大型バックパックの背負い心地にとって重要な要素です。その観点から、どんな重さにも耐えられる「強さ」の点から評価して飛び抜けているモデルがこちらです。最大27キログラムというとてつもない重量の荷物でも快適に背負えることを保証しており、この数値はあのグレゴリー バルトロですら及びません。

    ただこのモデルの図抜けた性能は、実は耐荷重性能だけではありません。オスプレー「アンリミテッド」シリーズは、現時点での最高品質素材と最先端技術を惜しげもなく投入された、2022シーズンに鳴り物入りで登場したフラッグシップモデル。メーカーが自ら「コスト度外視」と宣言してしまうことからも分かるように、あらゆる部分で一切妥協なし。どこを見ても「一番スゴイバックパックを作る」という単純明快なコンセプトでリミッターを外した、まさに「アンリミテッド」なバックパックです。アウトドア用バックパックの”てっぺん”を知りたい人はこれを体験しないわけにはいかないでしょう。

          ベスト・収納性部門:MYSTERYRANCH テラフレーム3ZIP 50

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          お気に入りポイント
          • 背負子のようにフレームを外側に配置することによってより安定した背負い心地と大量の荷物の持ち運びを可能に
          • 三方向に大きく開いてパッキングしやすいメイン収納と豊富なポケット類
          • 耐久性抜群の生地・パーツ類
          • 体型に合わせて調整可能な背面パネル

          どうしても荷物が多くなる大型バックパックでは、たくさんの荷物が入り、多様な荷物を整理して収納でき、そしてそれらを簡単に出し入れできるといった収納性の高さも重要です。しかし収納性を高くすればパーツ類が増えて重さが増えたり、収納がたくさんあっても使い勝手が悪かったりと、理想的な収納を備えることはなかなか簡単なことではありません。

          この収納部分での優秀さを備え、それでいてバックパックとしての完成度の高いモデルという観点では、やはり前回の中型バックパックでも紹介したミステリーランチから、独創的な構造で異次元の収納力を実現したテラフレーム3ZIP 50を挙げたいと思います。

          メイン収納は三方向に開く独自ジッパー仕様でパッキングのしやすさは抜群。両サイドにはストレッチポケット、コンプレッションストラップやデイジーチェーンによる柔軟性の高いアタッチメント、そして極めつけは背面フレームとメイン収納の間に追加の荷物を挟み込めるというユニークな「オーバーロード フィーチャー」機能。どれだけ大きい荷物も工夫次第でどんどんパッキングでき、その持ち運び方は自由自在。まさにDIY精神が爆発したアメリカらしさ満点のバックパックは、自分だけのスタイルを確立したい人にとってきっと満足のいく逸品でしょう。

          まとめ

          前回の中型バックパックの際にもお伝えしましたが、優秀なバックパックは数多くあれど、どれが一番自分にフィットするかどうかは、実際に背負ってみなければ分かりません。このため購入に際してはぜひ実際にお店でフィッティングしてみることをおすすめします。その候補を絞り込むまでのバックパックの選び方については、以下のこちらの解説記事を参考に↓。自分が最も愛着がもてて信頼できる相棒と一緒に、今日も素敵な山旅を。