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今シーズンお世話になりまくっているバックカントリースキーの装備リストを晒す【前編】

3年ほど前に再び手を染めてからというもの、ここ数年、個人的に冬のアクティビティのメインとしてすっかり定着してしまったバックカントリースキー(以下BC)。BCで遊び始めたばかりの20年前には「山スキー」なんて野暮ったい名前で呼ばれていましたが、今やその当時とは真逆の、桁違いにカッコよく、えげつないくらい便利な道具がたくさん出ていることを知り、ここ数年せっせと道具を揃え直してきました。

その結果、個人的には今シーズン完璧とはいわないまでも、自分の中で一通り納得するラインナップは揃えられたという気がしたので、今回は現時点でのレギュラー装備となっているバックカントリースキー装備リスト(1~2月のハイシーズン日帰り用)を共有します。

一応念のため言っておくと、このチョイスについては自分の中で納得しているもののあくまでも個人的な見解であり、好みであり、今この時点で持っている装備でしかありません。より年季の入った滑り屋からすればけしからんというチョイスや足りないブツもあるでしょうし、またすぐチョイスが変わる可能性もあります。

その辺、スキー系の道具はなかなか試す機会が限られているという環境要因に加え、まだまだ自分でもリサーチ不足の点は否めないと感じてもいるので、あまり構えず、あくまでも考え方を中心に読んでもらえればと思います。またもっといい選択があればFacebookページなどからコメントくれるなりしてくれるとありがたい。

道具を揃えるときに意識したこと

ここにたどり着くまで道具を選んでいくにあたって、特に意識したのは次の3つの要素です。

  1. 下手なりにバフバフのパウダーを楽しみたい。
  2. より安全に。
  3. より軽量に。

この3点にスパッと割り切った背景には、久々にBC再開ということで3年前に行ったルート「八方尾根 無名沢~ガラガラ沢」で何もできずボロボロになりながら雪だるまのように落ちていくしかなかった苦い経験があります。あれは今考えてもひどかった。

原因としてはスキー技術が足りなかったのはもちろんですが、20年前自分が嗜んでいたクラシカルな山スキー(春山・尾根縦走主体・テント泊前提、滑りは「転ばなければ良し」なスキーツーリング)感覚の装備で臨んだことが多分に大きかった。その時「これは今までとは別のコンセプトで道具を選んでいかなければならん!」と痛感しました。つまりは安定してパウダーを滑るための足回り、より厚い雪崩・遭難への備え、そのために荷物が増えていっても負担になりにくい(カメラもたくさん持ちたいので)軽さの3点です。また自己評価的としては「滑降技術<体力&登りの技術」なので、足りない技術を積極的に体力とお金でカバーしていくスタンスです。

あんな切ない思いはもう二度とすまいという怨念と決意の上に、これから説明する装備リストが成り立っているということをはじめに書き添えておきます。

装備リスト

前置きはこのくらいにして、早速現在バックカントリースキーで携行している装備の一覧を晒します(下写真クリックで拡大)。

ちなみにここに入れ忘れたものとしてはアンダーウェアパンツ、ソックス、スポーツドリンクなどの冷たい飲料、カメラ類全般(一眼レフカメラ・360度カメラ・GOPRO)、予備のグローブ(持っていくときと持っていかない時がある)。

それから写真の左端にまとまっている登攀具系(ロープ類・カラビナ・エイト環・ハーネス・クランポン・アックス)および無線についても、ルート次第で判断しています(多分登攀具含めたらこのザックでは全部入り切らないな…)。

各アイテムについてのコメント

ここからは上に紹介した装備一覧について、できる範囲でコメントしていきます。

アンダーウェア・ベースレイヤー(トップス・ボトムス):MILLET ドライナミック メッシュ&メリノウール素材のベースレイヤー

基本はメリノウール系の薄すぎないものがいい(上下とも)。最近はミレー ドライナミック メッシュを地肌にまず着るため、その上のベースレイヤーの種類・モデルについてはあまりこだわらなくても快適に過ごせるようになりました。ポイントは、なるべく肌にぴたっと生地がくっつかないような化繊を肌に合わせることで、汗をかいたときの蒸れと不快感を回避してくれます。その他、1~2月のハイシーズンにはバラクラバフード付きのベースレイヤー、例えばパタゴニア キャプリーン・エアーなどが首元を温めてくれるのでおすすめ。

ミドルレイヤー:MILLET トリロジー エッジ アルファ フーディ

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ベースレイヤーとアウターの間に羽織るミドルレイヤーは、基本は身体の熱を閉じ込め保温しつつ、同時に肌面の汗を素早く発散させて冷えと不快感を和らげてくれるポーラテック アルファ ダイレクト素材が依然として1番使いやすい。なかでもフリースと組み合わせて伸びもよく、フル&ダブルジップ仕様による調節しやすさ、フードや胸ポケットの使いやすさなどでミレー トリロジー エッジ アルファ フーディは昨年から重宝しています。これも状況によってはより厚手や薄手、防風性のあるものやフードが無いものにしたりと微調整を考えますが、最も汎用性の高いのはこの1着。

ハードシェル(トップス):Patagonia ストームストライド・ジャケット

これも選択肢が多く、1着に選ぶのは難しいですが、今年に限っていえばパタゴニア ストームストライド・ジャケットを推したい。元々丈長めなスキージャケットが苦手といった好みの問題もありますが、こいつは非常にシンプルでミニマルなかつ必要最低限の機能が揃った軽量なシェルであるところが今の自分にピッタリ。スリムなシルエットに加えて最小限のポケット・パーツ類。適度なストレッチ性と生地自体風抜けのよさ&脇下ピットジップによって軽くて動きやすくてムレにくいという、ハイクアップ上等のバックカントリーヤーにはうってつけなのです。ポケットの少なさは他の衣類やバッグでカバー。

ハードシェル(パンツ):THE NORTHFACE ピューリストビブ

こちらは昨年から引き続きノースフェイス ピューリストビブを着用しています。こちらはストレッチ性を備えた抜けのよい独自防水透湿素材「FUTURELIGHT™」を使用しているため、ハイクアップで下半身を大きく動かしてもストレス無く、さらに不快感とは無縁の快適さ。またビブタイプのため腹部をやんわりと保温してくれるし、ポケット類が豊富なので上のストームストライド・ジャケットの少なさをカバーしてくれます。ただ、やや冷気を通しやすいので、そこは季節や場所によって中に履くタイツの厚さを変えて対応します。

スキー板&ビンディング:ATOMIC BENT CHETLER 120 / MARKER KINGPIN M-WERKS 12

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そんなにたくさんの板やビンディングを滑り比べたわけでもない自分ですが、とにかくパウダーを気持ちよくという基準で選んだのが、まずスキーはATOMIC BENT CHETLER 120。パウダーに対応した幅広のウェストとロッカー形状、硬さも程々で扱いやすく、キャンバーも入っているためこれまでとターン時のエッジ感覚もさほど違いは感じられず、そして何よりファットスキーを感じさせない機動力抜群の軽さが気に入りました。

そしてビンディングのMARKER KINGPIN M-WERKS 12は、軽量なテックビンディングでなおかつ滑走性能に優れたモデル。この前まではDynafitのST ROTATION10というバランス重視の軽量テックビンディングを使用していましたが、こちらもとにかくより滑走性の優れたモデルはないか?ということでたどり着いたチョイスです。結果個人的には大正解で、まだまだそんなにアグレッシブな滑りではありませんが、どんなに荒れた斜面・急斜面でもカカトが浮く感覚などはまったくなく、ゲレンデ向けのビンディングと同じ感覚で滑れるほど安定しています。

さすがにスキーの幅と軽さゆえにカリカリのアイスバーンをスピード出して滑るときには怖いですが、それ以外であればどこでも不安なく滑り出すことができています。

スキーブーツ:TECNICA COCHISE 120

TECNICA テクニカスキーブーツ テックビンディング対応 TECNICA COCHISE 120 DYN GW(コーチス 120 DYN GW)(20-21 2021) 28.5cm
TECNICA(テクニカ)

実はBCを再開したときに真っ先に購入したブーツはSCARPA F1 EVOでした。先述の通りはじめは何の迷いもなくツーリング志向でしたから、とにかく軽くて歩きやすいブーツがいいものだという考えだったんですね。この軽量ツーリング向きブーツで挑んだ八方尾根で無残にも跳ね返されたわけですから、それならとばかりに購入したのがこのTECNICA COCHISE 120(17/18モデル)

先程のブーツが極端に言うと「滑れる登山靴」だったのに対し、今回は「歩けるフリーライドブーツ」です。カフは4バックルで一気に深くなり、フレックスと呼ばれる靴の柔らかさも120と大幅に高くしたおかげで、下手っぴな自分が重荷でパウダーの急斜面を滑ってもかなり安定感が増し、それに関しては大満足。ただ覚悟はしていたもののその分、歩行時の快適さや軽さ、ソール形状となると兼用ブーツとしてはあまりイケてませんので、そこは歩行技術と体力でカバーする必要があります。

割と極端めに滑降性能に振り切っていることは否めない(それでもギリギリバランスのよさを保っているのがTECNICAの好きなところ)ため最近はもう少し歩行快適性を意識したバランスのものを検討し始めていたりします。

スキーシール(クライミングスキン):POMOCA FREE PRO 2.0

過去の経験上、とにかく粘着力が落ちたときのメンテナンスが面倒だという記憶があり、はじめはcolltex(コールテックス)のクラリデンというモデルを使っていました。これは粘着糊ではなくアクリルベースの粘着層であるのが特徴で、粘着力が落ちたら新しく粘着層を貼り直せばいいという使い勝手の良さが魅力でした。今でも使わないことはないですが、一つ問題が。BENT CHETLER 120のようなツインチップテールの場合、フックが外れやすく、歩いている最中にシールがほぼ毎回剥がれてしまうのです。

そこで新たにクライミングスキン探しがはじまり、このPOMOCA FREE PRO 2.0に落ち着きました。まず軽くて薄いので扱いやすい。登りも滑りもバランスがいい、そして何よりオプションの「ツインチップテールフック」を使えばBENT CHETLERでもしっかりとシールが固定できる。今のところ糊も剥がれにくく、すぐヘタることもなく、ベタベタに溶けたりもせず、現状ではまったく不満のない組み合わせです。

スノーグローブ:Mountain Hardwear エクスポージャー2 ゴアテックスグローブ

保温性と操作性、そして耐久性と三拍子揃ったMountain Hardwear エクスポージャー2 ゴアテックスグローブが使いやすい。GORE-TEXの完全防水は当然のこととして、エアロゲルを混ぜ合わせたPrimaloft Gold Insulation with Cross Core採用のため薄いのに保温性は確か。平ゴムのリーシュコードも使いやすい。耐摩耗性が高いフルレザーの手のひらは耐久性抜群で、これから長く使えそう。ただし手首のストラップを閉めない状態では手首が広く空いているため、脱いだ状態でブラブラさせていると雪が入りやすく、そのおかげで粉雪がよく指先まで入ってしまいなかなか取りにくく、そこだけは不満。

目出し帽(バラクラバ):ファイントラック メリノスピンバラクラバ

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冷たい風が吹きつける稜線では不可欠なバラクラバは、保温性とムレにくさはまず大前提で必要ですが、長く着用していることを想定した口元の作りが意外と重要。口がすっぽり覆われていると呼気等によって口周りがベチャベチャに濡れてしまいます。また、バックカントリースキーの場合ヘルメットとの相性を考えてあまり厚すぎないようにしたいものです。それらがすべて上手く作られているのがこのファイントラック メリノスピンバラクラバ。ネックウォーマーとしても着用可能と寒暖に対する調節もしやすく、何だかんだでこれが一番使いやすい。

続きは次回(後半)で!

以上あくまでもごく個人的なバックカントリースキー装備リスト(前半)でした。長くなりすぎたので今日はここまで。次回は後半、バックパックやアバランチギアといったその他残りのギアについて語っていきたいと思います(最後に全アイテムリストも掲載予定)。