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バックカントリースキーでの今シーズンレギュラー装備リストを晒してみる 後編【無謀な行動と言われないために】

前回に引き続き、現時点でぼくがバックカントリースキーを楽しむときにスタメン装備として携行している装備リスト(1~2月の本州の山ハイシーズン日帰り用)について書きます。

前回同様念のため補足しておくと、このリストはあくまでも現時点で自分がバックカントリーで携行しているリアルなラインナップであり、完璧な理想のラインナップとは違います。目的や季節、その人の実力やスタイルによって変わる可能性は十分にありますし、まだぼくの知らないもっといい装備や不足のアイテムがあるかもしれないことはご理解ください。実際にバックカントリーをするにはこんな道具を持っていくのかといったイメージを持ってもらうための、考え方を含めた参考として読んでもらえれば幸いです。

選定基準(再掲)

道具を選んでいくにあたって特に意識したのは、高い順に以下の3点です。

  1. より安全・・・雪山の中でもエスケープしにくく雪崩の危険も多い谷や沢筋に入っていくのだから、普段以上に慎重になるのは当然
  2. より軽量・・・余計な体力を消耗しないこと、万が一の際に機動力を発揮できることが大事
  3. よりパウダー・・・自分のスキー技術・経験ではカリカリ斜面の登攀よりもパウダー急斜面の滑降サポート優先

やはり1~2月の最も危険な季節に危険なエリアに入っていくのだから、雪崩・遭難への備えは最優先。お金で解決できるリスクはできる限り最善を尽くしたうえで、余力を「楽」の部分に費やします。

2023年シーズンレギュラー装備リストとコメント(スキー・雪山登山ギア)

スキー板:RMU Butterknife SR126 / ATOMIC BENT CHETLER 120(雪湿や山によって使い分け)

22-23 スキー板 RMU アールエムユー SR126Butterknife SR126バターナイフ 板のみモデル 希少モデルスキー

基本的には1~2月のパウダーを気持ちよく滑るという基準である程度ウェスト幅の太い板を選んでいます。自分の好みはやはり軽くて柔らかく扱いやすい(いってしまえばスピードよりも安全性優先の)スキーということでは、2020シーズンから使っている ATOMIC BENT CHETLER 120 が相変わらず現役。パウダーに対応した幅広のウェストとロッカー形状、硬さも程々で扱いやすく、キャンバーも入っているためターンの感覚も120とは思えないほど自然です。これさえあればバックカントリーは基本どこでも楽しめます(その分、オンピステでは板がバタつきまくって楽しめない)。

ですが、今シーズンは特に「北海道でのバフバフのパウダー林間コースの小回りターンを楽しみたい」というテーマで、とにかく太さの限界に挑戦ということで新たに RMU Butterknife SR126 を導入してみたところ、こちらも違った個性をもった乗りやすい板でした!スキーにサーフィンの要素を詰め込んだ左右非対称、サーフボードを縦に切ったような形状はまるでスプリットボードのよう。ウェストは圧巻の126cm。長さは自分の身長よりやや低い短め176cmの1択しかないのですが、幸運なことに自分がバックカントリーで使うにはちょうど良いサイズ感です。軽い、柔らかい、ロッカー&キャンバーで自分好みの回しやすい板、さらにイン側のエッジのラディウスが17mと小さく、深いパウダーでもクルックル板が回ってくれるので、2月の旭川・ニセコ遠征では大活躍してくれました。また里山の難しい林間斜面でもコケる回数が激減です。またこれは期待していなかったことですが、スキー板なのに沢筋のボウル状地形で結構遊べてしまうのも収穫。スピードを求める人や、ビッグマウンテンで大回りの高速ターンを決めたい人には向いていないかもしれませんが、ぼくのようなビギナーがパウダーの醍醐味である浮遊感とターンの楽しさを味わうにはある意味もってこいです。

なお注意したいのが、この板にピッタリと合うクライミングスキンが存在していないということ。スキー用のスキンではたいてい幅が足りず(140mmでも不十分)、スプリットボード用のスキンではたいてい長さが足りない(長くても160cm台なんだよね)。。。これには一瞬困りました。ネットを探したけれども誰も答えを書いておらず、情報によるとたいていスプリットボード用のスキンをそれぞれ何とか長く引き伸ばして使っているよう。。そこで店員さんとも相談していろいろと合わせてみたところ、最も上手くフィットしたのはPOMOCA クライム 2.0のスプリットボード用でした。この板を選ぶ場合には気をつけましょう。

参考までにその他、雪湿や山によって使い分けているラインナップ

  • K2 COOMBA(ウェスト104、長さ177)・・・春のツアースキー用。超軽量でちょうどよいウェスト幅、バランスの良さから春スキーにピッタリ。
  • Black Crows Skis BLACKCROWS CAMOX(ウェスト97、長さ180)・・・ゲレンデ、ゲレンデパウダー用。整地を一番安定して滑れる。
  • 4FRNT Hoji(ウェスト112、長さ187)・・・オールラウンドパウダー(フルロッカーが乗ってみたかったので、、滑りは楽しいけど急傾斜のハイクアップは苦労します)

ビンディング:G3 ION 12

バックカントリー用のいわゆるテックピン対応ビンディングについては、まずは基本の Dynafit ST ROTATION から入り、そこから何より滑走性重視という視点から MARKER KINGPIN M-WERKS SALOMON S/LAB SHIFT MNC などに移行し、その後今年に入ってその他の人気モデルである FRITSCHI TECTON G3 IONなど、メジャーどころのメーカーの人気モデルを一通り試してみました。どれも基本的には満足で、優れた長所はそれぞれに会ったのですが、総合的にみて現時点で行き着いたのが G3 ION です。

もちろん滑走性に優れたモデル(KINGPINやSIFT)の安定感・安全性は素晴らしいものがあります。ただその分重量はかさみ、どうしてもせっかくの軽い板のメリットが活かせない。そしてこの滑走性の安定感は高速ターンでのハードなエッジングでより有効ですが、僕のような安全な滑りにはまだそこまでシビアに必要でもない。それよりも軽さと、ハイクアップを含めた全体的な扱いやすさ、使い勝手といったバランスの良さの方がうれしいわけで。

その点このG3 IONは、上記のニーズをすべて満たして相対的にもっともバランスよく優れたビンディングでした。そこまで激軽、ということはありませんが、丈夫で粗雑に扱っても壊れにくいボディ、スキーブーツのセットしやすいつま先部分、2段階あって操作しやすいヒールリフター、スキーを脱がずに素早く着脱できるスキークランポン、スキーブレーキも標準付属など、使いやすさの面では他モデルより頭一つも二つも抜きん出ています。もちろん滑走時のホールド感は前出の KINGPINやSIFT、TECTON には劣るものの、自分レベルの滑りであれば滑走面でそこまで気になるほど不安定感はありませんでした。

スキーブーツ:K2 DISPATCH PRO

スキーブーツ 22-23 K2 ケーツー DISPATCH PRO ディスパッチプロスキーブーツ 22-23 兼用靴 フリーライド バックカントリー 希少モデルブーツ

バックカントリー向けのスキーブーツについても、この3~4年で自分の中での好みの変遷がありました。まず真っ先に購入したブーツ超軽量ツアーブーツ SCARPA F1 EVO で白馬での滑りを楽しめず、そこから一気にほとんどフリーライドブーツの滑り重視モデル TECNICA COCHISE 120(17/18モデル)へ。これでようやく滑りを楽しめるようになり、さらにその路線を推し進めて導入したのがのが昨年の SALOMON SHIFT PRO 130 AT 。フィット感といい、ホールド感といい、そしてクッションの快適さといい、滑り部分では文字通り最高峰レベルでした。

ただ、なぜかハイクアップでの相性が悪く、2時間歩くと必ずといっていいほど内くるぶしの下の皮膚が剥けてきます。熱成型も靴下も、インソールも、パッドもすべて試してみましたが根本的な改善には至らず。

そこで今シーズン新たな路線を模索すべく「これだ」と試してみたところ大満足だったのがこのK2の本格ツアーブーツ DISPATCH PRO です。何といってもインナーブーツに搭載された TourFit BOA ライナーによって抜群のフィット感とともに靴擦れが完全に解消しただけでなく、1500gの軽さとVibram アウトソールと60度の可動域を備えたウォークモードが驚くほど快適なハイクアップを可能にしてくれました。一方で滑走モードもかなり優秀。4バックルでしっかりと固定でき、フレックスも130と硬いので、しっかりと板に力が伝わってくれます。これを超えるブーツは早々ないかもしれないと思えるほど、今のところ欠点が見当たりません。

スキーポール:Black Diamond カーボンウィペットポール(2本)

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バックカントリーでも、森林限界を超える標高の高い山や急斜面の登攀、スキーを担いで岩場を歩くことが想定される場合、あるいは馴染みのない未知のルートを行く場合にはアイスアックスが必携装備です。ただ、そうはいっても冬山登山のようにしっかり石突きを刺しながら歩くことはほとんどなく、支点として使えるほどの大きさや重量までは不要なケースが多く、どちらかというとちょっとした急斜面のトラバースなどでホールドとして使ったり、スキーを履いてバランスを崩した際に滑り止めとして使える方が便利だったりします。

これまではアルミ製の軽量なアイスアックス(ペツル ライド)を携行していましたが、山仲間が使っているのを見て、今シーズンからついに「ウィペットポール」を導入しました。ウィペットポールとはいわゆるアックスのヘッド部分(ピック)が付ついたスキーポールのことで、ストックの便利さとアックスの安全性といういい所どりをしたようなポールです。

これならいちいち危険地帯に入ってから慌ててアックスを取り出して、終わったらしまって、、、というようなことをしなくても済むため、現場での安心感と機動力は爆上がりです。アックスに比べれば軽くてコンパクトなので、アックスを持つほどでもないなぁという場面でも躊躇なく持ち出せますし、ちょっと不安な場面ですぐに便利なホールドとして使えるので結果的に安全性は向上します。1本持ちでもダメではないと思いますが、自分はバランスを重視して常に左右2本持ちで使用しています。ただあえて難を言えば便利な反面、やや重くて肩が疲れる。。。でも万が一アックスを持ってなかった人に片方を貸すということもできるため、なんだかんだ2本持ちが安心です。ちなみにピック部分は取り外し可能のため、ゲレンデその他不要であれば通常のポールとしても利用することができます。

スキーシール(クライミングスキン):POMOCA FREE PRO 2.0/クライム 2.0

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クライミングスキンもいろいろな選択肢がありながら、高価だったり実際に試しづらいこともあり、なかなか「これ」というモデルに出会い難い道具のひとつではないでしょうか。自分も1本目のcolltex クラリデンから始まりそこから長いベストモデル探しの旅をここ数年続けていました。例によってこちらも各メーカーで一長一短あり、どれも一定の満足感は得られるも、すべてにおいて満足できるモデルは残念ながらまだありません。

ただ、それでも「ほぼ間違いない」と確信しつつあるメーカーがPOMOCAです。基本的な登り・滑りのパフォーマンスは良いし、シールの粘着力も強くて長持ち。濡れや凍結にもあまり致命的な劣化は経験なし。前後のアタッチメントも固定力・汎用性ともに優れているので安心。さらに軽量・コンパクトで携行もしやすいと、まさに欠点が少ないのが選定の理由です。特にFREE PRO 2.0はその中でも薄くて扱いやすく、登りも滑りもバランスがよくて一番のお気に入り。ATOMICの板にはこちらを使用している。ただ残念ながらこのモデルの145mm幅がどこを探しても入手できないため、RMUの板には仕方なく「クライム 2.0」の145mmサイズを使用しているが、こちらも少しかさばる以外ではほとんど不満はありません。

ちなみに、シールの折りたたみの際には「キャラバン イージースキンセーバー」が個人的にほぼ必須便利アイテムです。これがあれば強風のなか、登りから滑走まで素早いトランジションが求められる稜線上でもスムーズな収納(&再貼り付け)が可能。ぜひ要チェックです。

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バックパック:Osprey ソールデンプロ 32/THE NORTH FACE チュガッチガイド45

【お取寄せ】 オスプレー ソールデンプロ E2 32 レッドマウンテン 【2/24現在メーカー在庫数】 OS52380001

谷状地形のパウダーを滑る最近のバックカントリースキーにはなるべくアバランチエアバッグが搭載されたバックパックで入るようにしています。このバックパックについては以前のレビューでたっぷりと書かせてもらいましたが、とにかくこれまでのアバランチエアバッグの常識を覆すほど快適な背負心地が病みつき。しっかりと腰に荷重が乗るし、ウェストのバックルも締めやすく、背面パネルの硬さもショルダーハーネスのクッションも良好。収納性も及第点。スーパーキャパシタを動力とした最新鋭のエアバッグシステムも信頼性高くて使い勝手も良く、ほぼ言うことなしの優等生。さらに2022-23モデルでは最新のエアバッグシステムにアップデートされ、重量がさらに軽くなりました(その代わり価格も爆上がり…)。唯一惜しい点があるとすれば、もう1周り大きいサイズ(40L)が欲しいといったところ。また、1年みっちり使ったことで分かったのですが、荷物をパンパンに詰めるとエアバッグを収納しているジッパー部分が度々はち切れるようになりました(そのたびにジッパー締め直し汗)。ただこの辺はこのパックだけでなく結構アバランチエアバッグあるあるのようなので、メーカー側には改善を切望します。

一方、雪崩の危険性が極端に少ないルートの場合であれば、やはり通常のバックカントリー用スノーパックの方が何かと楽です。この場合は多くのメーカーからたくさんの選択肢が用意されていますが、やはり自分は持ち物が多いため大きめのバックパックが好きなので、特にTHE NORTH FACE チュガッチガイド45を重宝しています。最低限の重量で大容量(容量の調節も幅広い)かつ収納性も高く、出し入れも容易なうえに背面のフィット感も高い。非常に安定した背負い心地もかなり気に入っています。

ノースフェイス チュガッチガイド45 NM62250 ザック Chugach Guide 45 2022年秋冬

アバランチビーコン:PIEPS マイクロBT

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PIEPS(ピープス)
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スノーセーフティギアの老舗ブランド、PIEPSのラインナップの中でも最小、最軽量の3アンテナ・アバランチビーコン。雪崩時に埋没者を捜索するために不可欠なビーコンは、現在多くのメーカーから選ぶことができますが、フィールドで使い比べてみることなどがほぼ不可能なため、高い値段の割に実際のところどれが良いのか分かりにくいのが現状です(今年こそこのサイトで比較レビューしたい!)。しかしその実、アンテナの受信感度や操作性、細かい使い勝手などには結構差があり、思った以上にクセの強いモデルも無くはないということはあまり知られていない事実。そんな中で個人的におすすめしたいのがこのPIEPSマイクロBTです(ちなみにこの前まで使用していたのはMAMMUT Barryvox)。

大きな魅力はまず軽量であること、また受信範囲も、最長とはいかないものの十分に広い(長い)。加えて捜索範囲の形状がクセのない球形のため、埋没者探索が他メーカーよりもスムーズに(短時間に)探せる可能性が高いといった点も見逃せません。さらにbluetooth接続のスマホアプリによってデバイスの状態チェックや、実践練習のためのトレーニングモード、さらには本体のソフトウェアアップデートが瞬時にできてしまう点など、アバランチギアの世界でも通常の電子機器と変わらぬ利便性を感じることができます。

スノーショベル&プローブ:ARVA ACCESS TS/MAMMUT Probe 240

積極的に使うならともかく、ピットチェック(雪崩の危険度チェック)以外に通常ではほぼ使う機会のないというギアについては、優先度的に極力重量を削減することを念頭に入れています(もちろん万が一の際には超重要なので、最低限の性能は必要です)。こうして選んだのは530gと超軽量でコンパクトに収納可能なARVA ACCESS TS。これで今回のケースのように万が一に備えて携行するという場合には不満もありませんが、一方で雪山でのテント設営など、本気で長時間にわたり雪を掘ったり固めたりすることが確実な場合には、もっとしっかりした作業性の高いモデルが必要でしょう。

プローブについては正直そこまでこだわっておらず。本来であれば3mあった方がいいのですが、初めて買ったMAMMUT Probe 240をいまだずっと使っています。

保温ボトル:SOTO チタンボトル300

こんなのを待っていた!SOTOから昨秋登場の、保温性はトップクラスではないものの、その代わり極限まで軽量コンパクトなサーモボトル。どうしてもアバランチエアバッグは容量が小さくて重いため、極力軽量コンパクトなサーモボトルが重宝するのですが、まさにこれがドンピシャです。もし厳冬期冬山テント泊であればこの保温力と容量はちょっと心許ないのですが、日帰りバックカントリーならばこれくらいでも十分なのです。

クランポン&ハーネス: BLUE ICE ハーファング ツアー & BLUE ICE コーカスライト

今回の想定では、岩稜帯の長時間歩行や懸垂下降などは前提としてはいません。このため万が一使うかもしれないというレベルで携行する登攀系のアイテムに関しては「機能は最低限・軽さ最優先」という先程のスコップと同様の基準で選んでいます。またとりあえずアイスアックスについては先ほど書いた通り、今ではウィペットポールに置き換わったため基本もっていっていません。

そこで残った登攀道具であるクランポンとハーネスについて。個人的にここ最近ではBLUE ICEが熱いです。ここはフランスのクライミング系専門ブランドとしてとてもミニマルな、軽くて機能的な製品を作っている気鋭のブランド。特にクランポンのハーファングシリーズは創意工夫にあふれた革新的な構造で他の軽量クランポンと比べて特に収納性に優れ、着脱も容易であるところが素晴らしい。BC用の軽量クランポンといえばこれまでPETZL レオパードが最有力でしたが、正直今後はわずかな差でこちらに置き換わる勢いです。ハーネスについてもこのコーカスシリーズは夏の沢登りから冬のバックカントリーまで、万が一、あるいは一時的な場面で使用するのに最適な超軽量仕様が自分にはぴったりです。

補助ロープ&カラビナ・スリング類:6mmまたは8mm × 20mロープ、カラビナ・スリング類は適宜

最後にパーティで1つ持っておきたいのが20m程度のロープ。バックカントリースキーでは特に沢を滑って下りてくる場合、万が一沢が埋まっていないケースに遭遇することは珍しくありません。そんな時、場合によってはスキーを脱いでのクライムダウンや懸垂下降等が必要になってくることも大いにあり得ます。そんな時には8mm × 20mロープがあればひとまず安心です。

ただこれが実際には結構な重量になりますので、どんな山行にも携行するというのは正直しんどいと思います。そんなときとある山仲間が実践していたのが、ポリプロピレン等の強度がそこまで高くないけど軽い6mm × 20mというロープを携行するというもの。これが最低限持っていくロープとして意外にも便利であることが分かり、最近はもっぱらそれを試しています。これは懸垂下降は無理としても、トラバースやキックステップでの下降時に万が一足を滑らせても踏ん張れるような手がかり用としてなら十分使える強度で、万が一の際に持っていかないよりは大分まし、というか大いに助けになっています。あまり使いたくない道具ですが、万が一の際に持っておくといいかと。※当然のことながらこの使い方は正規の使用方法ではありませんので、それによって起こる結果については自己責任でお願いします。

その他小物類

  • スノーソーまたはワイヤーソー(雪崩の危険度を測るピットチェック用。パーティで1つ)
  • ワックス(スキーワックス、クライミングスキンワックス)
  • 修理道具(ドライバー、プライヤー、ハサミ、針金、ダクトテープなど)
  • ブラシ(クライミングスキンに付いた雪を落としたりするのに便利)
  • スキーストラップ(Aフレームでスキーを固定したり、その他万が一の際にあらゆるものの固定に使えるので、必ず2つ以上持っていく)
  • 無線・トランシーバー(小型のデジタル簡易無線などでも)
  • 替えグローブ
  • タオル
  • 行動食・飲料水
  • ヘッドランプ・予備バッテリー
  • ナイフ・マルチツール
  • コンパス・ホイッスル
  • 地図
  • 救急用品
  • ツェルトまたはエマージェンシーシート
  • スマートフォン
  • トイレ用品
  • ダクトテープ
  • 非常通信デバイス・ココヘリ
  • 日焼け止め・リップクリーム
  • 身分証明書・保険証・登山届

すべての着用装備と持ち物を一覧化したリストを作りました

前・後編と書いてきましたが、あらためてすべての持ち物リストを記載したGoogleスプレッドシートを作りました。コメントやリンクなどあったりなかったりして不格好ですが、よかったら使ってください。

【Outdoor Gearzine】日帰りバックカントリースキー装備リスト

まとめ

ここ数年、BC人気はますます高まっているようですが、それと同時に悲しい事故も多く眼にするようになりました。そのたびに何も知らない人々から無謀な行為とののしられることもしばしばで(そもそも全体像を知らずに批判している人のなんと多いことか)、一時に比べて肩身が狭い思いをしなければならい昨今の状況はなんとも切ないと言わざるを得ません。

もちろん大半の人はしっかりとした危機意識をもち、ルールを守って遊んでいることは間違いないとは思いますが、道具の進化や状況の変化とともに、携行すべき道具も変化していくこともまた事実です。特にアバランチセーフティ系のギアはテクノロジーによってどんどん進化しており、エアバッグなどは今後遠くない将来には、BCをやるうえで必須になるのではないかと思っています。その意味では旅慣れた人であっても、BCとは雪山でも特に危険なエリアに危険なタイミングで入っていく遊びなのだという意識で常に自分の装備を見直していくのもよいのではないでしょうか。

今まさにバックカントリーを楽しんでいる人々にとって、このリストがひとつの参考として役立ってくれると幸いであると同時に、初めてバックカントリーをやってみたいと考えている人にとってもどんな道具をそろえればよいのかをイメージしてもらえる手助けになればと思っています。

スノーシーズンはいよいよ折返し。これからは春のザラメ雪の季節になってきて、まだまだこの先もしばらくはバックカントリーの奥深い醍醐味を味わうことができるでしょう。それではお互いに気をつけて、よいシーズンを。