
【実践レビュー】重量わずか345gで衝撃のR値5.5。さらに進化して軽さと暖かさが限界突破したRab「Ultrasphere 5」はスリーピングパッドの新たな最適解【実践レビュー】
かつてはテント泊登山での「睡眠時の暖かさ」と「荷物の軽さ」はトレードオフと言われていました。でもここ数年、軽くて断熱性の高いハイエンドなエアマットレスが各メーカーから次々と登場し、ひと昔前に比べると私たちは山の中でもずいぶんと簡単に暖かく快適な睡眠がとれるようになってきたといえます。
そんな「スリーピングパッド戦国時代」の昨今、わずか3年前にスリーピングパッドに初参入したかと思うと、目の肥えた登山愛好家たちの心をまたたく間に鷲掴みにしてしまったのがRabのエアマットレス。
その代表モデルである「Ultrasphere 4.5」が、2年という速さで今シーズン「Ultrasphere 5」としてアップデート。前モデル登場時にはそのパフォーマンスの高さに誰もが驚いたものですが、今回も相変わらず度肝を抜く進化を遂げていました。
今回は、この今季「絶対買い」の1点と言える傑作マットの真価をいち早く春先の低山テント泊でそのパフォーマンスをチェックすることができましたので、フィールドでの実践テストを交えて徹底的に解剖していきたいと思います。

目次
Rab Ultrasphere 5 の主な特徴
Rab Ultrasphere 5 は軽量コンパクトさと高い断熱性を兼ね備えたオールシーズン対応・エアー注入式スリーピングパッド。わずか 345 グラムの重量でありながら、マット内部の空気室を交互に配置して冷気の対流を物理的に遮断するオフセットされたエアチャンバー構造と、熱反射を利用した高断熱構造のTILTテクノロジーにより、「5.5」という年間通じたアウトドアに対応する高いR値(保温性能)を実現。また8センチという厚みとフラットな横バッフル構造、寝返り時の摩擦音も少ない静音設計などが、不整地でもストレスを感じることなく快適な眠りをサポート。薄型の2ウェイバルブは付属のポンプサックを使用して短時間・簡単に空気の注入が可能。これだけの高機能ながら驚きのコストパフォーマンスも相変わらず魅力です。前モデルよりさらに暖かく、軽くなってますます隙が無くなった登山用エアマットレスの決定版。
お気に入りポイント
- 積雪期までカバーする「R値5.5」の高断熱性
- 高断熱性からは考えられない軽さとナルゲンボトル以下のコンパクトさ
- 地面の凸凹を吸収する十分な厚み
- 就寝時のノイズ(カサカサ音)が少ない静穏性
- 便利な2WAYバルブシステムと専用ポンプサック
- 競合のハイエンドモデルに勝る圧倒的なコストパフォーマンス
気になるポイント
- 重量を極限までそぎ落とした20デニール生地の強度
- 滑り落ちやすい横バッフル構造
- 摩擦抵抗が少なくやや滑りやすい表面
主なスペックと評価
| アイテム名 | Rab Ultrasphere 5 |
|---|---|
| サイズ | 183×51cm(レギュラーサイズ) 183×64cm(ワイド) |
| 収納サイズ | 18×9cm (レギュラーサイズ)19 x 9cm (ワイド) |
| 厚み | 8.0cm |
| 表面素材 | 20デニール リサイクル ポリエステル85%・ナイロン15% |
| 断熱素材 | 2層のTILT反射フィルム |
| 公式重量(本体のみ) | 345g(レギュラーサイズ) |
| R値 | 5.5 |
| 対応季節(参考) | 4シーズン |
| 付属品 |
|
| Outdoor Gearzine評価 | |
| 快適性 | ★★★★☆ |
| 断熱性 | ★★★★★ |
| 重量 | ★★★★★ |
| 収納性 | ★★★★★ |
| 使い勝手 | ★★★★☆ |
| 耐久性 | ★★★☆☆ |
| お買い得度 | ★★★★★ |
詳細レビュー
断熱性・重量・収納性:冬場も安心の「R値5.5」にもかかわらず驚きの軽さとコンパクトさ
まず目に飛び込んでくるのはその収納サイズ。前モデルでも驚かされたそのコンパクトさは本作でも健在で、パッキング時にはナルゲンボトルよりはるかにコンパクト(18×9cm)に収まります。30Lクラスの小型バックパックでも、パッキング時の空いたスペースにスッと滑り込ませることが可能なほど。これだけ小さければもう持っていくのを躊躇するということはまずなくなります。

それでいて、断熱力を表す基準であるR値は「5.5」と、数年前ならばトップレベルといえるほどの断熱性の高さを実現しています。今回、気温が一桁前半台に落ち込む環境下で使用しましたが、地面からの冷気が感じられるような底冷え感は皆無で、むしろマットに乗った瞬間から体温による熱がマットから反射してくるような温もりすら感じました。初冬までのアルプスや、厳冬期の低山〜中級山岳であれば、これ1点で十分すぎるほどの安心感を得られるでしょう。
この「R値5オーバー」のマットが300g台半ば(レギュラーサイズで345g)で手に入る時代が来たことは純粋に驚きです。手の平に載せた瞬間、その軽さに思わずにんまり。グラム単位での軽量化にコストを惜しまないハイカーにとってこの重量対断熱比はこれ以上ない魅力でしょう。
この高次元のパフォーマンスの秘密は前作でも言及しましたが、Rabにしかできない最先端の素材と効率的な構造の組み合わせにあります。独自技術「TILT (Thermo Ionic Lining Technology) 」を使用した熱反射フィルムが自分の身体が発する熱をパッド内部で反射させて輻射熱の損失を極限まで減らし、互い違いにオフセットされたエアチャンバー構造が、暖められた空気の対流を防ぐことで、マット内部には身体の熱で暖められた空気が逃げずにマット内部で留まりやすくなっているという仕組みです。

「TILT」フィルムと「オフセットバッフル構造」の合わせ技による軽量・高断熱構造は健在。

エアマット断面(側壁)を俯瞰的に眺めたイメージ図。オフセットされたエアチャンバー構造が空気の対流を妨げている

内部に挿入された2層のTILTフイルムが空気孔から若干見える。
これによって重量とかさばりを極限まで抑えながら、トップクラスの高い重量対断熱比を可能にしているわけです。
快適性:8cmの厚みと静音性、へこみが少なくフラットな水平バッフルで快適な寝心地
高クッションによるエアマット特有の寝心地の良さも相変わらず優秀です。8cmという十分な厚みがあるため、横向きに寝返りを打っても腰や肩が底付きすることはなく、そして何より特筆すべきはマットの上で動いても音が気にならない「静音性」の高さです。かつての反射フィルム入りマットでは避けられなかった、寝返りを打つたびに鳴る「カサカサ」「バリバリ」というノイズが、前作同様本作でもしっかりと抑えられています。

地面の硬さをまったく感じさせない8cmという十分な厚み。
横方向のチューブが並んだ水平(横)型のバッフル構造は、縦型バッフル構造に比べて凹凸が少なくフラットなので、横になったり座ったりしてもより自然で快適に過ごすことができます。ただしマット左右のサイドもフラットなので、人によっては(寝返りの際などに)横方向に身体が滑り落ちやすいと感じる人もいるかもしれません。

マットのフォルムは足元に向かってややテーパードされたマミー形状ですが、足先はそこまで細くなっていません(下写真)。

Ultrasphere 5 には「注入・排出」二重構造による2WAYバルブが搭載され、空気注入時は入れた空気が逆戻りしないようになっています。出っ張りが比較的少なくマット面に対してフラットなので、寝るときにも収納時にも邪魔にならない作り。壊れにくくもあり安心です。

直接バルブに口から空気を注入できますが、そうすると呼気の水分がマット内部に入り込み、劣化の原因になってしまうため、基本的には付属の専用「象さんポンプサック(下写真)」で素早く簡単にマットを膨らませられるようになっています(下写真)。

容量の大きなポンプサックは個人的にお気に入りで、めいっぱい空気を溜めれば3~4回ほど吹き込むだけでほぼMAXまで注入できます。
耐久性:ギリギリの強度は軽さゆえの(唯一の)トレードオフではあるものの、前作に比べて進化
この完璧なエアマットにして唯一の懸念点は耐久性でしょう。圧倒的な軽さと引き換えに、表地・裏地ともに20デニールの薄手の素材が採用されています。岩がゴツゴツした場所や、小枝が散乱する場所での直敷きは、パンクのリスクを考えると用心しなければなりません。テント内での使用を基本とし、心配な場合は薄手のクローズドセルマットやタイベック等のグランドシートとの併用を推奨します。ただ、今作の素材はポリエステルだけでなくナイロンを15%混紡した素材へと変更されており、前作の「ポリエステル100%(TPUコーティング)」に比べて引き裂き強度やしなやかさが進化していることは見逃せません。

前モデル「Ultrasphere 4.5」との違い:より暖かく、より軽く、より強く
ここまででいったん「Ultrasphere 4.5」からの進化もまとめておきます。「2枚のTILT(熱反射フィルム)とオフセット・エアチャンバー構造」といった基本的な構造は継承していますが、細かなブラッシュアップによって全体としては大きな前進が見られます。
- R値の飛躍的な向上(R値4.3 → 5.5へ):前モデル「4.5」のR値は4.3であり、これでも3シーズン用としては非常に優秀と言えるレベルでした。それが今回の「5」では、内部構造をさらに洗練させたことで効率性をさらに推し進め、5.5という驚異的な数値を達成しています。
- さらなる軽量化(370g → 345gへ):R値が1.2も上がったにもかかわらず重量は前モデルの370gから345gへとさらに軽量化(レギュラーサイズ比較)。一般的に断熱性を高めるためにはフィルムや中綿を増したりして重くなるものですが、Rabは構造の最適化のみで「より暖かく、より軽く」を実現してしまいました。
- 生地素材のアップデート:前モデルの表地は20Dリサイクルポリエステル100%(+TPUコーティング)でしたが、Ultrasphere 5 では20Dのポリエステル85%・ナイロン15%の混紡素材へと変更され、極薄生地の軽さを維持したまま、引き裂き強度としなやかさが向上しています。

コストパフォーマンス:競合他社ハイエンドモデルと比して圧倒的に高いコストパフォーマンス
ここまでで山岳用エアマットレスとして性能的に申し分ないことが分かったと思いますが、極めつけは相変わらずのコストパフォーマンスの高さです。そこで以下に、現在市場を牽引する競合ハイエンドモデル3種と比較してみます。
すると下の表を見てもらうと分かる通り、今シーズンのアップデートによって多少価格は上がったとはいえ、それでもまだ Rab Ultrasphere 5 が断熱性・重量・価格と主要なスコアで最も優れているというバグみたいな状況が生まれてしまっています。他3種に比べると厚みや耐久性、マットの幅といった細かい点では譲る部分があるとしても、この総合的に見たときのコストパフォーマンスの高さは見逃せません。
オールシーズン対応マミー型エアーマットの主要モデル比較 2026
| アイテム名 | Rab Ultrasphere 5 | Therm-a-Rest ネオエアーXライトNXT | Nemo テンサーオールシーズン レギュラーマミー | Sea to Summit イーサーライトXR |
|---|---|---|---|---|
| 外寸 | 183×51cm | 183×51cm | 183×51cm | 183×55cm |
| 収納サイズ | 18×9cm | 23×10cm | 25.5×10cm | 20.5×11cm |
| 厚み | 8.0cm | 7.6cm | 9cm | 10cm |
| 表面素材(耐久性) | 20デニール リサイクル ポリエステル85%・ナイロン15% | 30D リップストップナイロン | 20 / 40D ナイロン | 30 / 40Dナイロン |
| 本体重量 | 345g | 370g | 400g | 470g |
| R値 | 5.5 | 4.5 | 5.4 | 4.1 |
| 通常税込価格 | ¥29,700 | ¥40,700 | ¥33,000 | ¥31,680 |
まとめ:こんな人におすすめ
軽さ・断熱性・快適性・使いやすさ・価格と、ほぼどこを切っても高いパフォーマンスを見せる Ultrasphere 5 は、現在のエアマット市場において間違いなくトップクラスの輝きを放っており、スピードを優先する登山家から、アルピニスト、バイクパッカーまで幅広いアクティビティでおすすめできる傑作であると断言できます。薄手軽量生地ゆえの取り扱いのデリケートさといったデメリットは確かに存在するものの、それは軽量ギアを愛用するハイカーであれば十分カバーできる範疇です。
前モデルの4.5が「3シーズン向けの優れたマット」であったのに対し、今回の5は「真冬まで戦えるオールシーズン対応の超軽量マット」へと一段ステージが上がったとも考えられ、その意味では Ultrasphere 4.5 をすでに愛用しているユーザーにとっても、「5」への買い替えは十分に検討する価値があるといえます。
Rab「Mythic」スリーピングバッグとの連携による「超軽量・高断熱スリープシステム」
なお、この Ultrasphere 5 のポテンシャルを最大限に引き出すなら、同社の新作ダウンスリーピングバッグ「Mythic 0C/32F」や「Mythic Ultra 120 Modular」とのセットアップ(スリープシステム)を強くおすすめします。これら最先端の超軽量シュラフとの組み合わせによる「マット+シュラフ総重量1キロ以下で0℃の夜までカバー」という超軽量・高断熱スリープシステムをチャレンジしない手はありません。同一ブランド、同一テクノロジー(TILT)で最適化されたメリットをダイレクトに感じられる至高の組み合わせです。
装備の軽量化に行き詰まりを感じているハイカーや、オールシーズンを見据えたスリープシステムのアップデートを考えている登山者の皆さんはぜひお店で手に取ってチェックしてみてください。

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