
PAAGO WORKS ZENNがオプションの追加で冬のBCツアーでも使える万能バックパックに!「ZENN BC ギア スリーブ」「ZENN BC ギアストラップ」「ZENN スノーハーネス」実践レビュー
一つのバックパックで夏の縦走から冬のBCツアーまで使えるバックパックがあったら
2025年に発売したパーゴワークスのバックパック「ZENN」シリーズ。ZENNはモジュール設計のためオプションの変更によりさまざまなアクティビティに対応することができます。
このサイトで以前にZENN 35をレビューをさせてもらいましたが、BCスキー/スノーボードに対応するオプションが加わっていたため、これは是非試さずにはいられないと早速フィールドで使用してきましたのでその時の使用感をレビューさせていただきます。
目次
ZENN BC ギア スリーブ、ZENN BC ギアストラップ、ZENN スノーハーネスの主な特徴

左からZENN BC ギアスリーブ、ZENN BC ギアストラップ、ZENN スノーハーネス
ZENN BC ギアスリーブはアバランチギア専用のインナーバッグです。バックカントリーを安全に楽しむために必携装備のスノーショベルやプローブ(ゾンデ棒)の収納に適した縦長で薄型のシンプルな構造で、素材は傷みにくく濡れにも強い X-Pacを採用しています。大きめのスリーブがついており、バックパック内から引き抜くだけで素早く取り出すことが できます。重量は132gで、サイズは500mm×260mm×20mmの縦長構造、ZENNシリーズだけでなく他のバックパックでも使用可能な汎用性の高いバックです。
ZENN BC ギアストラップはZENNシリーズにスノーボードやスノーシューを取り付けるための専用ストラップです。滑り止めとエッジガードを兼ねたハイパロン素材により、スノーボードやスノーシューをしっかりと固定できます。サイドコンプレッションベルトにDリングを通すシンプルな構造ですが、サイドベルトをしっかりと締めることで身体側に重心を寄せることでスノーボードを取り付けてハイクアップする際にブレにくくなっています。
ZENN スノーハーネスはフラットで撥水性のある生地を使用することで雪が付着しにくく、雪山登山の使用を想定した専用ハーネスです。ZENNシリーズの全サイズに使用可能で、通常モデルのZENNよりも厚く、強靭な素材を使用したハーネスになっており、重たい雪山装備を背負った際の負担を軽減するとともに安定した背負い心地を保ちます。左右にダイニーマグリット入りの生地をメインに使用したポケットがついており、右側のポケットにはトランシーバーを留めるバンドが、左側のポケットには小物を収納しておくのに便利なインナーポケットが備わり、行動食やデバイスなどを収納しやすくなっています。
お気に入りポイントと気になったところ

ZENN BC ギアスリーブ
お気に入りポイント
- 必要なアバランチギアをひとつに収納可能
- バック内で偏らないようバンド付き
- どんなバックパックにも使用可能な汎用性
- 自宅でもそのまま収納しておくことができる
気になったところ
- 大きめのショベルは入らないためあらかじめ確認が必要
ZENN BC ギアストラップ
お気に入りポイント
- サイドコンプレッションを利用することでブレにくい
- 滑り止め機能のついたバンドでしっかりと固定できる
- ファットボードにも対応可能
気になったところ
- サイドコンプレッションをしっかりと活用しないとブレが多く不安定になる
ZENN スノーハーネス
お気に入りポイント
- 幅広のショルダーパッドが荷重を分散してくれる
- 雪が付きにくい素材
- スタンダードハーネスよりもしっかりとしたパッド
- 左右の大型ポケット(500mlボトル収納可能)
気になったところ
- ヒップハーネスも同素材のオプションがほしい
詳細レビュー
ZENN BC ギアスリーブ:汎用性抜群、必要な装備を素早く取り出せる扱いやすさ

スノーショベルやプロープ(ゾンデ棒)は雪山でも特にBCスキー/スノーボードで必携品とされる装備ですが、BC用として設計されたバックパックは取り出しやすいようバックパックの外側に専用のポケットが配置され収納できるようになっています。BC ギアスリーブはアバランチギアをバックパックの外に取り付けるのではなく、バックパック内に収容するというこれまで多くの専用バックパックが採用してきたデザインとは異なる方法で携帯します。すごくシンプルなバックですが、シンプル故に使いやすく、懸念していたところを見事に克服してました。
慣れれば数秒、引き抜けば必要な装備が取り出せる

まず懸念した「取り出しにくさ」ですが、BC ギアスリーブは持ち手のループが大きめに設計されておりグローブをしたままでもしっかりと掴むことができます。バックパック内から一気に引き抜けば素早く取り出せました。装備をパッキングした状態でも引っかかることなく取り出すことができ、一刻を争うような時でも準備に手間取るようなことはないでしょう。
シンプルなデザイン、でも内部で偏りがでないよう必要な機能は問題なく備えている
BC ギアスリーブは内部で偏りがでないようバンドがついており、必要な装備を偏りなく収納しておくことができます。ジッパーは2つのスライダーが付いており、グローブをしたままでも扱えるよう大きめのループになっています。左右にガバッと開けるようになっているため必要なものを迷わずに取り出すことができました。

ショベルやプロープをバックパック内に入れることで得られるフレーム効果
スノーショベルやプロープをバックパック内に収納することで得られる想定外のメリットもありました。
スノーショベルやプロープを背中側に収納することでがフレームの役割をしてくれ、これが思った以上に効果が大きく、バック背負ったときの安定感が高くなったと感じました。フレームの入っていないバックパックを使う人にとっては大きなメリットになると思いました。
スノーボードを背負ってハイクアップしているときはトータルで10Kg以上の重荷になりますから効果は高かったと感じています。
ZENN BC ギアストラップ:約5cmの極太バンドがしっかりとボードを固定、ブレにくく快適にハイクアップできた

BCでソリッドボードを使うスノーボーダーにとってハイクアップ中に快適にスノーボードを背負うことは大きな課題です。ハイク中にズレてきてしまって足に当たっては歩きにくいですし、歩くたびにブレていては快適にハイクアップをすることはできません。そういった意味ではBC用のバックパックとして使うために最も気になったのがこのZENN BC ギアストラップでした。後付けのバンドでしっかりと固定できるのか、ハイクアップ中にブレてしまうのではないか懸念していましたが、取り付けてみるとブレを抑えてしっかりと固定してくれる仕組みになっていました。
Dリングをバックパックのサイドベルトに通し、コンプレッションを利用することで身体に寄せることができる
BC ギアストラップは裏面にDリングがついていて、そのDリングをバックパックのサイドベルトに通して使います。2本のストラップはそれぞれDリングの付いている幅が異なり、ZENNシリーズにフィットするよう上下が決まっています。

バックパックにボードを取り付ける際にまずはサイドコンプレッションをしっかりと締めておきます。これをやらないと行動中にボードがグラグラと動くので注意。サイドコンプレッションを活用し、バックパックを安定させた状態でボードを取り付けることでボードは最大限に体に寄るように配置され、またハイク中にストラップが動くこともないためブレは最小限に抑えてくれました。

Dリングをサイドコンプレッションベルトに通して使用する
そしてストラップの素材と太さ。滑り止めとエッジガードを兼ね備えたハイパロン素材の幅が約5cmのストラップがボードをしっかりと固定してくれます。ZENN BC ギアストラップはボーダーがスノーボードを背負って長時間歩くときのストレスや問題点をしっかりと考慮し、設計されていることを感じることができました。

幅5cmあるバンドはしっかりとボードを固定できる
全長800mm 、エッジガード長380mmあるストラップはパウダーを楽しむためのファットボードやビックフッターのための大きなボードにも対応することができます。

パウダー滑走用の太い板も固定可能
ZENN スノーハーネス:幅広のしっかりとしたパッドで荷重分散、長時間のハイクアップも快適

ZENNの特徴でもある幅広のショルダーハーネス。幅広になっていることで背負った時の荷重を分散してくれ、肩への負担を軽減してくれます。そのハーネスを雪山で使うのに適したアップデートをしたのがZENNスノーハーネスです。基本的な構造は購入時に付属するスタンダードハーネスと同様ですが、身体に設置する箇所をフラットで撥水性のある生地を採用することで雪が付着しにくくなっていました。

左がスノーハーネス、右がスタンダードハーネス
スタンダードハーネスは生地表面がメッシュになっているため通気性が高いのが特徴ですが、雪山で使用する際にはサラサラとしたパウダースノーはこのメッシュに詰まってしまいます。こうなると全てを除去するのは難しく、雪が付着したまま背負うことになりますが、ハーネスについた雪は体の冷えに繋がったり、ウェアを濡らしてしまう原因になるため、雪が付着しないよう注意が必要です。スノーハーネスに取り替えておけばたとえ雪が付着したとしても手で払うか叩けばあっという間に雪を落とすことができるためハーネスに付着した雪に悩まされることはないでしょう。
自分がこのスノーハーネスを使用した時点ではショルダーハーネスのみで、ヒップハーネスはスタンダードしかないため、ヒップハーネスには雪が付着すると取れにくく気になるところでしたが、ここはスノーヒップハーネスのオプションを待ちたいところです。

ヒップハーネスはスノータイプがないため雪が付着すると取れにくく注意
同じ厚さでもしっかりとしたパッドは背負いやすかった
公式サイトで確認すると、スタンダードハーネスとスノーハーネスはどちらもパッド厚は1cmとなっていますが、実際に触ってみると使っている素材には大きな違いがありました。
通気性重視でメッシュ生地を使い、パッドが薄いスタンダードハーネスに対し、しっかりとした反発力を持ち、重たい雪山装備を背負ったときの負担を軽減してくれる厚めのパッドが入ったスノーハーネス。実際にスノーボードにアバランチギア、撮影機材に行動食に飲料水、その他の防寒着やファーストエイド、調理器具など含めると装備の重さは大体15kgほど。この装備を背負って5時間ほど行動したフィールドテストではしっかりとしたパッド厚さが肩の負担を軽減してくれることを体験できました。
大きめの左右のポケットはトランシーバーやスマートフォン、その他行動中に必要なものを入れておける

500mlのボトルが入るポケットを左右に配置
スノーハーネスにも左右に大型のポケットを配置しています。素材はダイニーマグリッド入りの伸縮性がある生地が使われており、どちらも500mlのボトルが収容可能なサイズです。左ポケットにはインナーポケットがあり、すぐに使いたい細かいものを入れておくのに便利。自分はスクレーパーや簡易工具、ホイッスルなど滑走準備にあると便利なものを入れて使いました。右ポケットにはシンプルにバンドが通っていて、トランシーバーを留めることができます。

スノーボードを背負うBCツアーではアルミフレームの入ったZENN45は背負い心地抜群

BC ギア スリーブ、BC ギアストラップ、スノーハーネス を追加することで雪山登山はもちろん、BCスノーボードでも遜色なく使えることが分かりましたが、最後にバックパックのサイズについても感じたことを補足させていただきます。
BC ギア スリーブはどんなバックパックでもできますが、BC ギアストラップ、スノーハーネスはZENN専用です。ZENNシリーズは容量が25L、35L、45Lの3サイズをラインナップしていますが、どのサイズも装着することはできます。この記事を書くにあたって自分がテストさせてもらったのはZENN35と45の2モデル。どちらも使ってみましたが、少し使い心地が違った箇所をお伝えします。
結論から言うと、スノーボードを取り付けて快適に背負えたのはZENN 45でした。3サイズある中で、唯一アルミフレームが入っているZENN 45は15kgほどの重量を背負った状態でも荷重をバランスよく分散させてくれたことでストレスなく背負うことができました。

ZENN45にはアルミフレームとフォームパッドが入っている。ZENN35はフォームパッドのみ
ZENN35はアルミフレームは入っておらずフォームパッドがフレームとして入っており、フレームレスバックパックに近い状態。スノーショベルやプロープの入ったBC ギア スリーブを背中側に入れることでフレームの役割をしてくれ、安定はしてくれますし使用にあたって問題は全く感じませんでしたが、ZENN35と45で比較してみるとより高いレベルで背負い心地が良かったのがZENN45でした。
日帰りのBCツアーにおいてサイドカントリーや行動時間の短いショートツアーを楽しむような人や日帰りの雪山の使用を考えている人ならZENN35を。極上の一本のために1日歩き、標高を1000m以上登りロングクルージングを楽しむようならZENN45の方がマッチすると思います。
まとめ:一年中遊び尽くす人なら持っていて損はない!オールラウンドバックパック「ZENN」

バックパックには明確に「夏用」とか「冬用」という区別は存在しませんが、用途によって必要な機能が変わるため、楽しむアクティビティに合わせて最適なバックパックを使うことが基本でしたが、ZENNシリーズは夏の縦走から冬のBCツアーまでカバーできる万能バックパックへと成長を遂げていました。
ZENNシリーズに採用されているモジュール設計はまだまだポテンシャルがあるように感じています。この先もユーザーのニーズに合わせてより拡張性の高いバックパックへと進化を続けていくかもしれません。今後も非常に楽しみなZENNシリーズです。
執筆:Yosuke.C(ヨウスケ)

不便にならない程度に「できるだけ軽く」をモットーにバックパックひとつで行動する人。
春から秋にかけては山奥のイワナを追いかけて渓流へ釣りに。 地上からは見ることのできない絶景を求めて山を歩き。 焚火に癒されたくてキャンプ。 白銀の山で浮遊感を味わいにスノーボード。
20年以上アウトドアを嗜み、一年中アウトドアを自分流に楽しむフリーランスのライター。数十以上のアウトドア系WEB媒体での記事執筆経験をもとに、自身の経験や使ってみて良かった道具を発信していきます。
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