
パタゴニア「メンズ・エアシェッド・プロ・プルオーバー」レビュー:防風・保温と通気性の「いいとこ取り」が生む絶妙さ。下山まで着っぱなしできるプルオーバー・ウィンドシェルの実力
通気性が高く、稜線で風を防いでくれるハイキング用のウェアが欲しい。着たままで行動し続けたい。そんな希望を叶えてくれる一枚
「行動中に着続けられるウェアがないか」、「風を防ぎながらも通気性の高いウェアがないか」
状況に応じてこまめなウェアの脱ぎ着をおこなうことが快適に過ごせることは分かりつつも、レイヤリングを簡素化し、山を歩く上で必要な防風と通気の機能がほしいと思っていた欲張りな自分にとってこれ以上にないウェアだったのが「パタゴニア メンズ・エアシェッド・プロ・プルオーバー」です。
トレイルランニングカテゴリーに属するメンズ・エアシェッド・プロ・プルオーバーは場所によって違う素材を使うことで一枚で防風と通気をバランスよく担ってくれる、寒い季節のハイキングにぴったりのウィンドシェルでした。まだ雪の降る前から雪混じりの氷点下のハイク、日頃のランニングまでじっくりと使ってみて、メンズ・エアシェッド・プロ・プルオーバーのポテンシャルの高さを実感することができましたのでこの記事でたっぷりとお伝えしていきます。
目次
メンズ・エアシェッド・プロ・プルオーバーの主な特徴

身長185cm、普通体型でLサイズを着用
メンズ・エアシェッド・プロ・プルオーバーは速乾性、透湿性に優れ、撥水加工が施されたウィンドシャツです。非常に軽量で、左胸のポケットはパッカブル仕様になっており容易に持ち運びすることができます。
胴部から肘にかけてはリサイクル・ポリエステル100%の超軽量ストレッチ織りリップストップが使用され、PFASを意図的に添加せずに製造されたDWR(耐久性撥水)加工済みにより防風性と撥水性が高く、多少の雨からプロテクトしてくれます。フードと袖には通気性の高いストレッチニットを採用し、フィット感の高いフードは視界を妨げることなく適度な保温性とプロテクションを提供してくれ、袖口はたくしあげやすくなっていることにより体温調節を容易におこなうことが可能です。
長めに設けられたジッパーはレイヤリングの際の着脱をより簡単にし、ダブルジッパーになっていることで通気性を高めてくれます。風を防ぎ撥水するシェル素材と、通気性、ストレッチ性を備え適度な保温力を持つストレッチニット素材がハイブリッドされたことで高負荷の運動時に防風性と通気性をバランスよく提供してくれるプルオーバージャケットです。
お気に入りポイント
- 適度な防風性と通気性のバランス
- 下山時まで着用し続けられる着心地
- ぴったりとフィットするフード
- 換気が容易におこなえるダブルジッパー
気になるポイント
- ウィンドシェルジャケットと比べると防風性は低い
- しなやかな質感のフードはランニング時にバタつく
パタゴニア メンズ・エアシェッド・プロ・プルオーバーの主なスペックと評価
| アイテム名 | メンズ・エアシェッド・プロ・プルオーバー |
|---|---|
| 重量 | 105g |
| カラー | Bobcat Brown 、Clement Blue 、Black |
| サイズ | XS / S / M / L / XL |
| 素材 | 本体:1.2オンス・リサイクル・ポリエステル100%のリップストップ。PFASを意図的に使用せずに製造されたDWR(耐久性撥水)加工済み フードと袖の下部:2.3オンス・リサイクル・ポリエステル100%のダブルニット。 |
| レディースモデル | あり |
| ポケット | 左胸ポケット(中に収納可能) |
| 参考価格 | ¥19,800税込 |
| Outdoor Gearzine評価 | |
| 快適性 | ★★★★☆ |
| 保温性 | ★★☆☆☆ |
| ムレにくさ | ★★★★☆ |
| 動きやすさ | ★★★★★ |
| 機能性 | ★★★☆☆ |
| 重量 | ★★★★★ |
| 携帯性 | ★★★★★ |
| 耐久性 | ★★★☆☆ |
| 汎用性 | ★★★★☆ |
メンズ・エアシェッド・プロ・プルオーバーの詳細レビュー
防風性と通気性のバランスの良さは秀逸。適度なプロテクト力と快適さで下山時まで着用し続けられる
メンズ・エアシェッド・プロ・プルオーバーは胴部から肩にかけては防風性のあるシェル素材が使われ、袖口とフードにストレッチニット素材が使われていることにより適度な通気性があることで発汗時もオーバーヒートしにくく、下山時まで着用し続けることができました。

ストレッチニットのフード部。光に透かしてみるとグリッド構造になっているのが分かる

腕の内側は脇からと、肘から袖口にかけてストレッチニットが使用され、適度な通気性がある
一般的なウィンドシェルジャケットは防風が目的であるため素材には耐風性の生地が使われており、発汗時は蒸れが生じます(モデルによって程度の差はありますが)。しかしメンズ・エアシェッド・プロ・プルオーバーはストレッチニットになっている箇所(フードと袖)が通気してくれるためウィンドシェルジャケットほど蒸れません。言い方を変えると一般的なウィンドシェルジャケットほどの風に対するプロテクト力はないものの、適度に風は防いでくれる。この「適度」が自分には使いやすいと感じるところでした。

ストレッチ素材が使われた袖口はたくし上げることも可能
気温に関わらず長時間の行動において汗のかきやすい自分は行動中のウェアはできる限り薄着を心掛けていますが、稜線など強風帯でアンダーウェアだけでは冷えてしまう。かといってウィンドシェルジャケットを着用すると暑い。そんなストレスを感じることが多かったのですが、メンズ・エアシェッド・プロ・プルオーバーは体のコアな部分(胴部)は風を防いでくれつつも袖口、フードから程よく風を通してくれるため非常に快適でした。

気温が低くても風をブロックしてくれることで薄着で行動でき、オーバーヒートしにくいレイヤリングができた
低温環境でもレイヤリング次第では快適に行動できる
かなり暑がりな自分の場合、テストしたときの気温はマイナス5℃ほどでしたが、稜線は風のある状況でも行動中はTシャツにメンズ・エアシェッド・プロ・プルオーバーというスタイルで快適に行動することができました。半袖Tシャツやタンクトップなど薄手のアンダーウェアの上に着ることで汗を吸い取りつつ適度にオーバーヒートを防いでくれるという、ちょうどいいバランスが生まれます。人によってはロングスリーブのアンダーウェアと組み合わせることで、より保温性の高い、なおかつ防風・通気のバランスを保ったレイヤリングが実現するでしょう。袖口がストレッチニット素材になっていることで暑ければ容易にたくしあげることができるのも使いやすかったです。

稜線でも体のコアな部分は風をブロックしてくれる
先述した通り、ウィンドシェルとしては中途半端なウェアともいえますが、冬季はハードシェルジャケットは必ず携帯しますし、夏季はレインウェアを携帯するため、メンズ・エアシェッド・プロ・プルオーバーでは対応できない天候や強風時にはシェルジャケットと併用することで悪天に対する問題はカバーできます。携帯するウェアとの相性を考えると、メンズ・エアシェッド・プロ・プルオーバーの持つ適度な防風性と通気性は自分のもつレイヤリングにプラスすることでメリットに働いてくれることが多かったです。
サイズ選びは悩んだところ。使い方を見極めてからサイズを選択するのがベター。素材をハイブリッドしていることで動きにくさは感じない

試着してみると、ジャストサイズはMサイズでしたが、スリムフィットでもあったことでしっくりときたのはLサイズ。ランニングに比べ運動量の少ないハイキングでは厚手のアンダーと組み合わせることも想定しワンサイズアップしましたが、メンズ・エアシェッド・プロ・プルオーバーの性能を最大限に発揮するにはジャストフィットするサイジングの方がベターだったと感じます。フードと袖口に伸縮性の高い素材が使われていることでフィット感が高くても動きにくさは全く感じませんでした。
フードのフィット感の高さは視界の妨げにならなず、ストレッチニット素材が程よい保温性を発揮してくれる
フィット感が高いフードもお気に入りポイントです。頭部にフィットすることで視界を邪魔することなくスピードが出ているときも視界を確保できます。ジッパーを閉じることでアゴ周りから口まで覆うことができるためバラクラバのように使うことができ、肌触りのいい適度な保温力を備えているため気温が低くい環境で頭部や耳が外気にさらされるのを防ぐことができました。生地は薄手のため、直接かぶってから上にキャップなどをかぶることもできますし、キャップの上にフードをかぶせることもできるためそこは好みで調節できます。

ジッパーを上まで閉めるとバラクラバのようになる
フリース素材など保温力の高いフードは行動中はどうしても暑くなってきてしまい、途中でフードを脱ぎたくなることが多く、かといってフードを脱ぐと今度は耳が冷えてしまいますが、メンズ・エアシェッド・プロ・プルオーバーに備わるフードはそんなストレスから解放してくれます。適度な保温力を備えると同時に通気性、速乾性もあるため、フードをかぶり続けることができました。
極薄の素材を使っているからこそダブルジッパーがいい仕事をしてくれる。着心地を妨げずに通気が可能
長時間の行動による発汗時に通気性を高めてくれるのが深めに設計されたジッパーです。1番下まで下ろすとみぞおち辺りまで達するほど長く、解放することで強制的に換気をすることができオーバーヒートを防ぐことができます。

深めのジッパーは解放することで大量の空気を取り込むことができる
メンズ・エアシェッド・プロ・プルオーバーはダブルジッパー仕様になっていることでさまざまなシチュエーションでも効率的に効果的に換気をおこなうことができます。メンズ・エアシェッド・プロ・プルオーバーは非常に薄い生地を採用しており軽く、バックパックを背負ったりせずにジッパーをおろした状態で走ってみるとウェアが肩からずり落ち、はだけてしまいウェアとしての機能を失ってしまいますが、ダブルジッパーになっていることでそれを防ぐことができました。

ダブルジッパーになっていることでベンチレーションの役割も担ってくれる
手のひらに収まるコンパクトさに重量108.1g(Lサイズ)の軽さ、これならいつだって忍ばせておける

左胸のポケットがパッカブル仕様になっており、持ち運びしやすいメンズ・エアシェッド・プロ・プルオーバー、収納時は手のひらに収まるほどコンパクトに。重量もLサイズで108.1g(実測値)なため使うか分からない時でも忍ばせておくことができます。
胸のポケットはスマホを収納することも可能なサイズですが、極薄の生地なため入れたまま走ったりすると引っ張られるような違和感がありました。登山やハイキングのように歩行メインの運動ならポケットにスマホなど重量のあるものを入れても使用できますが、ランニングなど運動時の衝撃が大きいシーンではポケットにはあまり重量のあるものを入れることはできないでしょう。

まとめ:「風は防ぎたい、でも蒸れたくない」そんな欲張りなハイカーやランナーにぴったりの、アクティブ・ウィンドシェル
メンズ・エアシェッド・プロ・プルオーバーを紹介しました。
防風性のある素材と通気、速乾性のある素材をハイブリッドさせたウェアは見方によっては中途半端なウェアと捉えることもできますが、少なくともメンズ・エアシェッド・プロ・プルオーバーを数ヶ月着用してみて感じたのはこの中途半端さの程度の良さでした。完璧なプロテクト力はないけど程よく風を防いでくれ、通気性や保温性を備えているメンズ・エアシェッド・プロ・プルオーバーをレイヤリングにプラスすることで着用したままより快適に、より長く行動することができるウェアでした。
執筆:Yosuke.C(ヨウスケ)

不便にならない程度に「できるだけ軽く」をモットーにバックパックひとつで行動する人。
春から秋にかけては山奥のイワナを追いかけて渓流へ釣りに。 地上からは見ることのできない絶景を求めて山を歩き。 焚火に癒されたくてキャンプ。 白銀の山で浮遊感を味わいにスノーボード。
20年以上アウトドアを嗜み、一年中アウトドアを自分流に楽しむフリーランスのライター。数十以上のアウトドア系WEB媒体での記事執筆経験をもとに、自身の経験や使ってみて良かった道具を発信していきます。

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