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パタゴニア「パウダー・タウン・ジャケット&ビブ」レビュー:バックカントリーのパウダーランからゲレンデクルージングまでOKなオールラウンドウェア!

いよいよ2025-2026年のウィンターシーズンがスタートします。昨シーズンは豊富な降雪だったため今年も期待は高まるばかり。ゲレンデ通いがメインですが、BC(バックカントリー)やサイドカントリーへも足を踏み入れるようになった自分にとってまさにうってつけのオールラウンドウェア、「パタゴニア メンズ・パウダー・タウン・ジャケット&ビブ」を試す機会を得たので本格的なシーズンが到来する前にいち早くフィールドへと出かけ、たっぷりと使わせてもらってきました。

この記事ではスノーリゾートでリラックスしたゲレンデクルージングから山岳地帯の本格的なパウダーランまで幅広く対応できるメンズ・パウダー・タウン・ジャケット&ビブをたっぷりと紹介させていただきます。

まだ雪が降っている地域が少ない中、標高の高い過酷な山岳地帯でテストしてきました

パウダー・タウン・ジャケット&ビブの主な特徴

オールマウンテンやリゾートのスキーやスノーボード向けに設計されたパウダー・タウン・シリーズは、スキル・レベルや経験に関わらず対応できるスノーウェアです。
シェルには150デニールの丈夫な2層構造のH2No®パフォーマンススタンダードシェルを採用し、防水性と通気性を備え、耐久性撥水(DWR)加工が施されています。裏地は滑らかなメッシュが配置されていることで吸湿発散、保温性、レイヤリングのしやすい仕様になっており、生地はリサイクルポリエステルが採用され、メンブレンのDWR(耐久性撥水)加工もPFASを意図的に添加せずに製造されていることで環境にも配慮されたウェアです。

ルーズすぎずタイトすぎないシルエット、フィット感のパウダー・タウン・シリーズはスノースポーツを楽しむ上で必要な機能が備わっており、アクティビティのジャンルを問わず幅広く使用可能なオールラウンドウェアになっています。

お気に入りポイント

  • タイトすぎずルーズすぎないシルエットとフィット感
  • ゲレンデクルージングからBCまで対応できる機能を備えている
  • 裏地のメッシュがベタつきをなくし、快適な着心地
  • 立体裁断による動きやすさ
  • タフに使ってもビクともしない頑丈さ、耐摩耗性

気になるポイント

  • 重量がやや重い
  • パフォーマンスが求められるテクニカルなシーンには向かない
  • ビブパンツは腹部周りがややタイト
  • ビブパンツのポケットがもう少し大きいとよかった

主なスペックと評価

項目メンズ・パウダー・タウン・ジャケットメンズ・パウダー・タウン・ビブ(レギュラー)
重量880g750g 
カラーDried Vanilla、Smolder Blue、Black、Cascade Green、Clement BlueMarlow Brown、Black、Clement Blue、 Cascade Green
サイズXS / S / M / L / XL / XXL XS / S / M / L / XL / XXL
レディースモデルありあり
防水透湿機能PFASを意図的に添加していない、H2Noパフォーマンス・スタンダード・シェル(2層構造)PFASを意図的に添加していない、H2Noパフォーマンス・スタンダード・シェル(2層構造)
生地

シェル:2層構造の5.5オンス・150デニール・ポストコンシューマーリサイクル・ポリエステル100%。DWR(耐久性撥水)加工済み

裏地:胴部は3.8オンス・リサイクル・ポリエステル100%のトリコット・メッシュ、フードとパウダースカートはDWR加工済みの2.2オンス・リサイクル・ポリエステル100%のタフタ。

生地にもメンブレンにもDWR加工にもPFASを意図的に添加せずに製造。

2層構造の5.5オンス・150デニール・ポストコンシューマーリサイクル・ポリエステル100%。DWR(耐久性撥水)加工済み

裏地:フロントと下部は3.8オンス・リサイクル・ポリエステル100%のトリコット・メッシュ。ヒップパネルはDWR加工済みの5.3オンス・リサイクル・ポリエステル100%の起毛トリコット。

生地にもメンブレンにもDWR加工にもPFASを意図的に添加せずに製造。

ポケット
  • ジッパー式ハンドウォーマーポケット(起毛トリコットの裏地付き)
  • ジッパー式チェストポケット
  • 前腕にジッパー式ポケット
  • ジッパー式内ポケット
  • ドロップイン型内ポケット
  • 両腿のジッパー式ポケット
  • チェストポケット
その他機能
  • RECCOリフレクター内蔵
  • つばを備えた調節可能なヘルメット対応フード
  • 2通りの方法で調節可能なフード
  • 調節可能なドローコード付きの裾
  • アクセスしやすいピットジッパー
  • パウダースカート(背部中央のウェビングのループでパウダー・タウン・パンツ製品に取り付け可能)
  • RECCOリフレクター内蔵
  • ドロップシート採用の調節可能なビブ
  • 雪の浸入を防ぐゲイター、エッジガード付き
  • ジッパー式フライとベルトループ付き
  • 脚部のベンチレーション
Outdoor Gearzine 評価
対候性(防水・防風性・断熱性)★★★★☆
透湿性・ムレにくさ★★★☆☆
快適性・動きやすさ★★★★★
重量★★★☆☆
機能性★★★★☆
耐久性★★★★☆
多用途性★★★★★

使用インプレッション

タイトすぎずルーズすぎないシルエットとフィット感で快適な着心地

ルーズに着たいか、タイトに着たいかの好みは人によって分かれるところですが、フィット感はサイズ選択だけでなく、そのウェアのシルエットによっても大きく異なります。パウダー・タウン・シリーズはタイトすぎずルーズすぎない絶妙なシルエットでした。フィールドテストで約2時間のハイクアップに滑走をし、その間パウダー・タウン・ジャケットを着用していましたが、動きが多くなる肘や膝は立体裁断されており、体を動かす際に妨げになるようなこともなく非常に動きやすかったです。

立体裁断により動きを妨げないパターンになっている

スノーウェアにおいてはどちらかといえば少しルーズな方が好みの自分、パタゴニアのスノーウェアはいつもMサイズかLサイズを試着し、どちらにするかを決めています。パウダー・タウン・ジャケットはMサイズを選択しましたが必要以上にダボダボすることもなく、かといってタイトで動きにくいこともなくぴったりでした。

身長185cmで上下Mサイズを選択

パンツに関してもMサイズかLサイズを選ぶことが多いですが、今回はジャケットと同様にMを選択しました。サイズ感としてはこちらもちょうどよく、動きにくさはありませんでしたが、強いて言えば脚部のサイズ感はバッチリだったもののお腹周りが若干タイトに感じられたこと。苦しいほどではありませんがパウダー・タウン・ビブのお腹周りは雪の侵入を防げるようややタイトな作りになっていることから体型によっては1サイズ上げたほうがリラックスして着用できそうです。

裏地のメッシュがベタつきをなくし、快適な着心地

パウダー・タウン・シリーズは裏地がなめらかなメッシュ仕様になっていることで発汗時のベタつきを軽減、吸湿発散してくれることでウェア内部を快適な状態にしてくれ、ハイクアップによる連続した運動やアクティブに滑走する際も不快感を感じにくかったです。

メッシュそのものには保温力はないかもしれませんが、メッシュだとしても一枚の層があることでウェアのもつ保温力は向上していると感じました。高いパフォーマンスが求められるようなシビアなシーンではレイヤリングにより保温をするのが望ましく、そのような状況でパウダー・タウ・シリーズをチョイスすることはないかもしれませんが、そこまでシビアではないシーンではこのメッシュ地が快適性を高めてくれます。

手に取りやすい価格”なのに”ゲレンデクルージングからBCまで対応できる機能を備えている

パウダー・タウン・シリーズはパタゴニアがラインナップしているスノーウェアの中で最も手頃な価格で手に取りやすいシリーズです。カラーバリエーションも豊富で、パンツに至ってはビブタイプとパンツタイプが選択できる上、パンツタイプは体格に合わせてショート、レギュラーを選ぶことができるため、好みの配色を見つけ、ぴったりなサイズを選びやすくなっています。

しかし、パウダー・タウン・シリーズは手頃な価格で豊富なカラーバリエーションだけでなく、しっかりとした機能が備わっていることが魅力です。

パウダー・タウン・ジャケットのパウダースカートは雪の侵入を防ぎ、背部中央のウェビングのループを使えばパウダー・タウン・シリーズのパンツに接続することが可能です。スキー、スノーボードを楽しむ上でウェア内部に雪の侵入を許さない機能はバッチリ備えています。

スノースカートが雪の侵入を防いでくれる

フードはヘルメットにも対応できるように大型になっていて、後頭部で調節可能。さらに悪天候にも対応できるようについているツバはフォームが入っていることでしっかりと役割を果たしてくれました。

収納も豊富です。左右のハンドウォーマーポケットに加え、左胸のチェストポケットに左腕の先にはリフトのICチケットを収納するのに便利な小型ポケット。内ポケットも左右にポケットが配置され、左側には貴重品などを入れておくのに便利なジッパー式なのに対し、右側にはグローブなどを放り込める大型のドロップイン型のポケットを備えていることでゲレンデクルージングをするときなど身につけておきたい必要なものは全て収納することができました。外部のチェストポケットはウェア内部へ通せる穴が空いているため有線のイヤフォンやヘッドフォンを愛用している人にとってありがたい機能です。

パウダー・タウン・ビブも左右にポケットを有し、右ポケットにはビーコンや鍵などを取り付けておけるループ付き、胸の大型のチェストポケットは低温環境で冷やしたくないスマートフォンやデバイスを入れておくのに重宝してくれました。

体温で保温できるためスマートフォンやデバイスを入れておくのに便利

強いていうならパウダー・タウン・ビブの左右ポケットは小ぶりで、グローブなどを入れておくのは難しい大きさ。あと少し大きいポケットだとグローブやバラクラバ、ネックウォーマーなど少しかさばるものを入れやすいのにと欲がでてしまいます。

パウダー・タウン・ジャケット、ビブ共にオーバーヒートを起こさないためのベンチレーションを備え、開放することで効率よく換気をすることができました。パウダー・タウン・ビブのベンチレーションはメッシュになっているため、開放したまま滑走してとしても雪が侵入しにくくなっていて、気温が高い晴れた日などは滑走時も開放することで強制的にガンガン新鮮な空気を取り込めることで麓に降りてくるころにはクールダウンできました。パンツの裾は雪の侵入を防ぐゲイターとアイゼンやスノーシューなどを装着したときにウェアが破れるのを防ぐエッジガードもついているため安心です。

ビブパンツで困ると思われがちなのがトイレ問題ですが、パウダー・タウン・ビブは右側のジッパーが膝あたりまで開放できることでわざわざ脱がなくてもトイレに入ることができます。パンツタイプに比べ手間がかかるのは事実ですが、トイレ問題により敬遠している人にとってはこの機能はありがたいでしょう。右のジッパーはダブルジッパーになっているのでベンチレーションにもなります(左側と違い、右側はメッシュにはなっていません)

吹雪の中、4時間以上の活動にも問題なく耐え抜いてくれた撥水性

パウダー・タウン・シリーズはDWR(耐久性撥水)加工されていることで高い撥水性を備えています。フィールドテストでは吹雪の中を1時間ほどあるき、その後にテント設営、強風に耐えるために雪で壁を立てたりとトータルで4時間以上の活動し、ずっと吹雪にさらされていましたが、ジャケット、パンツ共に生地表面はドライな状態をキープし、水分が染み込むというようなことはありませんでした。

テント設営、強風に耐えるため雪で高く壁を作った

ただし、現代のウェアは製造や加工において環境に配慮することを優先するため、パタゴニアのウェアはPFASを意図的に添加していないで製造しており、撥水性を持続するためには定期的なメンテナンスが欠かせなくなっています。高い撥水性を維持、継続させるためにはこまめなメンテナンスが必須といえるでしょう。

少なくとも数日間のフィールドテスト中に撥水が効かなくなることはありませんでしたのですぐに撥水しなくなるという心配はありませんが、長く使うためには使用後のメンテナンスはできるようになっておいたほうがいいと感じました。

細かな仕様を見るとやはり危険の少ないゲレンデやサイドカントリー向け

バックカントリーに対応できる機能は一通り揃っているパウダー・タウン・シリーズですが、過酷な環境を想定し設計されているハイエンドモデルとの違いもあります。例えばジッパー。極寒の山岳地帯で使用することを目的とされたハードシェルをはじめとするウェアは軽くて凍結しにくいビスロンジッパーを採用しているモデルが多いのに対し、パウダー・タウン・シリーズは止水ジッパーが使われていることで、水を通しにくくはなっていますが、低温環境においては凍結してしまう懸念もあります。

左が止水ジッパー、右がビスロンジッパー

細かなところまでみていくと、パウダー・タウン・シリーズは、ゲレンデでの滑走を楽しむ人や、サイドカントリーなど比較的安全な場所でのアクティビティを楽しむ人向けのウェアだと感じました。

ゲレンデクルージングやサイドカントリーなどではストレスを感じることなかったものの、重たい荷物を背負って何時間も歩くような状況ではやはり3層構造のハードシェルの方に軍配があがります。オールラウンドに使えるパウダー・タウン・シリーズですが、やはり本格的なバックカントリーやアルパインスキーなどハードな環境においては向かないと感じました。

手荒に使ってもビクともしない頑丈さ、耐摩耗性

パウダー・タウン・シリーズは生地が75デニールから150デニールにアップデートされたことによりより高い摩耗性を備えています。ちょっとやそっとでは破れる心配はないため、どうしても転倒回数が多くなる初心者や初級者から、スピードを上げて滑走し、木の枝を避けながらツリーランを楽しむ上級者も安心の耐久性です。

いつもゲレンデコンディションがいいとは限りません。アイスバーンのような状況では転倒した際の摩擦は大きくなりますから軽さを重視した軽量モデルよりも安心してガシガシとプッシュすることができるでしょう。

しっかりとした150デニールの生地を使用

生地が厚手になっていることでウェアそのものの重量が重くなっているのはデメリットにもなり得ますが、その分、手荒に使用したとしても壊れない頑丈さで、ハイクアップ中にスノーシューを何度がウェアに当ててしまいましたが、生地には傷一つ付いてませんでした。

パンツの裾はゲイターやヘッジガードも備えているので安心です

まとめ:お手頃な価格なのに大満足!高い品質を誇るパウダー・タウン・シリーズで雪山を遊び尽くそう

パタゴニアのメンズ・パウダー・タウン・ジャケット&ビブを紹介しました。

リゾートでのゲレンデクルージングを楽しみつつ、天候やコンディションに合わせてサイドカントリーに出かけたり、日帰りのバックカントリーを楽しむようなスキーヤー、スノーボーダーにとっては間違いなくおすすめできるウェアでした。2025-26シーズンはパウダー・タウン・シリーズがあれば雪山を遊び尽くせるでしょう!

執筆:Yosuke.C(ヨウスケ)

不便にならない程度に「できるだけ軽く」をモットーにバックパックひとつで行動する人。

春から秋にかけては山奥のイワナを追いかけて渓流へ釣りに。 地上からは見ることのできない絶景を求めて山を歩き。 焚火に癒されたくてキャンプ。 白銀の山で浮遊感を味わいにスノーボード。

20年以上アウトドアを嗜み、一年中アウトドアを自分流に楽しむフリーランスのライター。数十以上のアウトドア系WEB媒体での記事執筆経験をもとに、自身の経験や使ってみて良かった道具を発信していきます。

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