もう迷わない。登山向け防寒着(ミドルレイヤー)の選び方とタイプ別おすすめアイテム

ミドルレイヤー = 防寒着?

登山やアウトドアでの服装選びを考えるとき、大切なのは「レイヤリング(重ね着)」を意識することであるといいます。

基本的には「ベース」「ミドル」「シェル」という3レイヤー(層)で異なる機能をもった衣服を重ねて着ることを意味し、こうすることで環境変化の激しい過酷な状況でも安全・快適に行動することが可能となります。

今回はそのレイヤリングのなかでも、ちょっぴり込み入った役割を担っている「ミドルレイヤー」についてまとめました。

ミドルレイヤーとはいわゆる肌着(ベースレイヤー)とアウター(シェルレイヤー)の中間に着る衣服のこと。

山を登りはじめた頃は、単純に「防寒着?」くらいにしか考えていませんでしたが、ただ暖かくしてくれればそれで快適か、というとそんな簡単な話ではありません。あらゆる状況で最適な保温と快適さを作り出すためには、さまざまな要素と機能が必要になってきます。その証拠に実際のところミドルレイヤーと一言でいっても、生地の素材や形状・厚みなどによって、季節や用途、効果など最適な着方はさまざまです。

より長く山に登るようになってくると、状況によっては寒すぎたり暑すぎたり、湿気がこもったり通気性がありすぎたり、重すぎ、かさばりすぎなど、1種類のミドルレイヤーでは対処できないケースは多々出てきます。その意味でミドルレイヤーは実に奥が深い、というか、素人泣かせのやっかいな山ウェアなんです。

このため、単なる防寒具という認識ではなく、多様なシチュエーションに合わせて最適なミドルレイヤーをチョイスするために、何をどういう基準で選べばよいか、あらためて自分なりに整理してみました。

目次

失敗しない防寒着選び STEP1:レイヤリングについて知る

このまま話を進めていく前に一度レイヤリングという考え方についてざっくりとおさらいしておきます(分っている方は読み飛ばしていただいて構いません)。

アウトドアでの「レイヤリング」とは、過酷な自然環境の中で少しでも安全・快適に過ごすための着こなし方のセオリーを意味しています。レイヤリングによって、主に発汗等による衣服内の水分を素早く排出し、身体をドライに保つ機能や体温を一定に保つ機能(保温)、さらに外気や雨雪からの遮断といった、1着では共存できない高度な機能を兼ね備えることができます。レイヤリングは何でもただ重ね着すればいいというわけではなく、大まかにいって以下の3つの機能をもったレイヤー(衣服)を肌面から順に重ね着することで完成します。

ベースレイヤー:汗を吸い上げ、外側に受け渡す

肌の上に直接着るレイヤーをベースレイヤーといいます。身体から出る汗を肌に残さないように吸い上げて外に逃がす(上のレイヤーに受け渡す)ことで、肌面をドライに、そして体温を一定に保ちやすくしてくれ、汗で濡れた衣服の不快感も軽減してくれます。このため生地の素材は吸湿・速乾性能の優れた化学繊維やウールが鉄板。暑い時期ならばこれ1枚で行動することが多く、年間を通じて最も着用するシーンの多い服であると言えます。

ミドルレイヤー:保温(&湿気の排出)

ミドルレイヤーの役割は端的にいうと保温(断熱)。外部の冷気と体温との間に、中綿を詰めたウェアを挟むことによって「空気の壁」をつくります。それによって体表面近くの暖かい空気を閉じ込め、暖かさ・快適さを保ってくれます。また、ベースレイヤーから排出された湿気(水蒸気)が抜けていくだけの透湿性も重要な役割のひとつです。ただ、どんな季節やアクティビティでも常に快適な製品というものは残念ながらまだ存在しません。だからこそミドルレイヤーは賢くチョイスすることが必要なのですが、詳細についてはこのあと説明していきます。

シェルレイヤー:風・雨・雪・外気を遮断(&湿気の排出)

ベース・ミドルレイヤーが主に衣服内部を快適に保つ役割であったのに対し、シェルレイヤーの役割は主に外の環境から内部を守る役割といえます。冷気をはじめ雨・風・雪といった、快適さを脅かす可能性のある外部からの刺激を遮断し、衣服内の安全を保ちます。具体的にはGORE-TEXなどの防水透湿素材を使ったジャケットを羽織ることで、外からの風や浸水を防ぎつつ、内側の湿気を外に逃すように機能します。想定する気象条件によって、薄手の風よけ程度のものから厚手の防水・防風・断熱性の高いタイプまでさまざまです。

失敗しない防寒着選び STEP2:代表的なミドルレイヤーの種類とそれぞれの特徴を知る

一通りレイヤリングの役割が分かったところで、ここからようやくミドルレイヤー選びの核心に迫っていきます。先述の通りミドルレイヤーの主な役割としては「断熱・保温」ですが、じゃあとりあえず保温性の高い上着を選べばいいかというと、これがそんなに単純な話ではありません。

山登りではじっとしている時もあれば激しく活動しているときもあるし、ちょっと肌寒い程度の時もあれば、凍てつくような寒さの時もある。すべての場面でちょうどよい快適さを提供するような1着は未だ存在していないのです。

保温が必要なあらゆる場面でちょうどよい快適さを実現するためには、さまざまな得意分野の異なる複数のミドルレイヤーを使い分けるのが、単純ですが最も賢い方法です。そのためにはまず山で着るミドルレイヤーの代表的な種類について知っておく必要があります。

代表的なミドルレイヤーその1:ダウンインサレーション

まずアウトドア用の防寒着といえば、おそらくほとんどの人がまず思い浮かぶであろう防寒着の代表格、それがダウンインサレーション(ジャケット)です。水鳥から採取される羽毛を中綿として、それを防風性に優れた表裏生地で封じ込める構造になっています。軽さに対しての断熱性にかけては世界中の素材を探してみてもいまだ右に出るものはいないでしょう。

ただし飛び抜けた断熱性の一方、加減を知らずに暖めて続けてしまうので、暑すぎて衣服内が蒸れて不快になりがちなのが弱点。また濡れてしまうと保温力は著しく低下してしまうところも注意が必要。ただ近年ではこうした弱点を克服する最新技術を駆使したダウン製品も多く現れてきてもいます。何れにせよ、極寒の場所でじっとしている時や運動量の少ない状況で暖まりたいときには間違いなく最強の防寒着です。

代表的なミドルレイヤーその2:化繊インサレーション(保温重視タイプ)

次にメジャーな中間着といえば、羽毛に代わる中綿素材として人類が開発した、主にポリエステル繊維などで人工的に作られた中綿を封入したジャケット、化繊インサレーションです。特徴は羽毛に迫る重量当たりの断熱性を備えながら、濡れに対する強さを備えていること。アウトドアでは汗や雨雪などでぐしょぐしょに濡れても保温力を失わないそのタフさは重要なメリットで、ハードなアクティビティである程、化繊インサレーションが活躍する場面が広いといえます。また洗濯しやすいという手入れの簡単さも大きな魅力。代表的な中綿素材にはシンサレート、プリマロフト、コアロフト、エクセロフトなどがあります。

どこまでいってもダウンには追いつけなかった保温性の高さも、近年では「エアロゲル」といったハイテク素材などによって着実に向上していることから、その性能・使い勝手は益々高まってきていることは間違いありません。

ちなみに厳密にいうと、最近ではウールの繊維による中綿など、ダウンでも化繊でもない中綿も現れていますが、それらは今のところこのカテゴリにまとめてしまってよいかと思います。

代表的なミドルレイヤーその3:アクティブインサレーション(行動中着用タイプ)

もうひとつは上記の化繊インサレーションの派生製品として生まれ、ここ数年ですっかり定着してきたのが、次世代のミドルレイヤー「アクティブインサレーション」ジャケットです。

素材的にはこれまでの化繊中綿なのですが、重量当たりの保温力では上のタイプに及ばないものの、より高い速乾性と通気性を備え、万が一汗をかいても常に衣服内をドライな状態に保つような特性があります。

さらにストレッチ性を備えてよりアクティブシーンに対応しているモデルも多く、低温下で汗をかきながら激しく行動しても驚くほど快適なため、行動中でもずっと着続けていられます。

アクティブインサレーションジャケットはいわば「動ける防寒着」。冬の行動中に着っぱなしでも常に快適でいられるため、今では冬山登山はもちろん、脱ぎ着がしずらいバックカントリー等では欠かせないといえるほど便利な中間着です。

代表的な素材に、東レ 3DeFX+、Patagonia フルレンジ、Polartec® Alpha®、THE NORTH FACE Ventrix™、Primaloft® Gold Activeなど、各メーカーから続々と新素材が登場しています。

代表的なミドルレイヤーその4:フリースウェア

70年代後半、暖かいのに水分は吸わない(速乾性がある)理想の山岳用セーターとして開発され、またたく間にアウトドア向け防寒着の主役に躍り出たフリースウェアも、まだまだ私たちにとってなくてはならない存在です。

軽くて暖かく、動きやすくて速乾性があり、濡れても保温性を失わないフリースはとてもバランスの取れたアウトドア向け防寒着ですが、大勢でみると最近では他素材の猛追にあっているのが現状。ダウンに比べれば重量や収納性、保温性は劣り、またアクティブインサレーションに比べれば速乾・通気性は劣るようになってしまっているためです。

ただ長年の進化の過程で防風性を付加したものや、かさ張りを抑えたもの、よりストレッチ性を高めたものなど、技術の進歩とともに多様なニーズに合わせてさまざまなフリースが誕生し続けており、まだまだ終わったものとして片付けるには惜しい存在です。

失敗しない防寒着選び STEP3:自分にピッタリのミドルレイヤーを選ぶための2つの質問

以下に今挙げた代表的なミドルレイヤーと一般的な特徴の比較を表にまとめてみました。

もちろん個々の製品の個性や生地の厚み、中綿の質・量によって性能は大きく上下するので、あくまでも目安として考えてください。

種類ダウンインサレーション化繊インサレーション(保温重視タイプ)アクティブインサレーション(行動中着用タイプ)フリースウェア
保温素材ダウン化学繊維など化学繊維化学繊維
重量当たりの断熱性
コンパクトさ
通気性・速乾性×
濡れに対する強さ×
着心地の良さ
動きやすさ
防風性
手入れの簡単さ

上の比較表を参考にすることで、自分が求めている防寒着の種類を絞り込むことができます。ここで分かるように、それぞれの防寒着は機能的には大きく言って相互補完的になっており、どれか1つですべてOKというものではありません。このため最高の安全と快適さを得るにはシーンによって使い分けることができるのがベストであり、常にダウンジャケットとアクティブインサレーションを2つ持っていくことが現時点では最高の選択と言えます。ただもちろん予算や物理的な関係でそれが毎回できるという保証はなく、それぞれのコースによって重視することを見極め、着用・携行するウェアを選択することが重要です。アウトドアの道具選びはそこが難しいところであり、楽しいところでもあるわけです。

とはいえ、もっと簡単に答えが知りたいという方のために、少し乱暴ではありますが最適なミドルレイヤーを選ぶための質問を以下の2つにまとめてみました。もちろん、各カテゴリでも多くの機能を兼ね備えた万能モデルが存在していますので、一概には線引できないことはご留意ください。

質問その1:着るタイミングは?

まず最初にする質問は、その中間着を「止まっているとき(じっとしているとき)に着るのか、それとも行動中にも着るのか」ということです。

自分は防寒着を着るときには動かない(汗をかかない)ということが前提の人には、「ダウンインサレーション」か「化繊インサレーション(保温重視タイプ)」の二択になります。一方冬のアウトドアなどで止まってても動いてても肌寒い、だから行動中にも着ていたいという場合には、「アクティブインサレーション(行動中着用タイプ)」か「フリースウェア」の二択です。

質問その2:着用時の不安要素は?

止まっているときに活躍するミドルレイヤーを選んだ場合、その際次に考えるべき質問は「濡れの心配が少ないケースでの着用なのか、濡れる心配もある山行で着るのか」です。それぞれによって、以下のような種類が導き出されます。

 止まっているときに着る
濡れの心配は少ないダウンインサレーション
濡れる可能性がある化繊インサレーション(保温重視タイプ)

行動中に着て活躍するミドルレイヤーを選んだ場合、ここからは微妙な差異ですが、より通気・速乾性を重視するのか、もしくはバランスや着心地を重視するのかを気にするといいでしょう。それぞれで以下のようなタイプを選ぶことがおすすめです。

 行動中も着る
激しく汗をかくアクティブインサレーション
汗はそこそこフリースウェア

その他にチェックしておきたい、防寒着選びの重要ポイント

個人的にこれまでの経験から、中間着を選ぶ際に注意しておいた方がいいポイントは以下。

ポケット

アウターとして使う場合には左右のハンドウォーマーポケットがあると便利だが、中間着として中に着るのであれば不要。むしろその時は胸ポケットが便利。

フード

フードのあるなしで頭まで防寒できるかできないかという違いが出てきます。当然単体で考えればフードがあった方が防寒力は向上すると考えてよいのですが、ここはできればレイヤリング全体で考えた方がよいでしょう。例えばベースレイヤーにもフード、ミッドレイヤーにもフード、そしてアウターにもフードが付いていた場合、それはそれで結構首周りが大渋滞を起こしてしまい、逆に暑苦しい、かさばって息苦しいといったことになってしまうからです。最低限アウターにフードがあって、バラクラバなどで首元が保温できればそれで充分と考えることもできます。その場合は中間着はフード無しのジャケットで十分です。実際ぼくはそのパターンが結構気に入っています。

ストレッチ素材で頭のサイズにフィットするようになっているもの、もしくはドローコードで調節できるものが主流。そのどちらでもないパターンでは、自分のサイズに合っていないと被ったときに空気が漏れる・視界が遮られるなどで不快です。またアウター前提の防寒着の場合、ヘルメットの上から被ることを想定して大きめに作られている場合が多いので、その辺は好みが分かれるでしょう。

表生地(アウターとして着るかどうか)

山でのレイヤリングにおいては、基本的に防寒着はシェルの下に着る中間着として考えられていますが、セーターやフリースのように断熱素材のみで構成されている服の場合は軽くて通気性が高く汗抜けしやすい分、山でアウターとしては使いにくいというデメリットがあります。一方防風・撥水性等を備えたシェル生地で中綿を挟み込んだタイプはアウターとしても利用可能ですが、中間着として使うと通気性といった面でシェル生地1枚分の無駄が生じてしまいます。どちらが優れているということではなく、用途に合わせて使い分けられるのがベスト。

一度使ったら手放せない、おすすめミドルレイヤー7着

最後に、長年ミドルレイヤーの進化を見続けている筆者が、実際に愛用している現時点で「これはいい」とお墨付きをあげたいモデルを、それぞれ薄・厚手別で選んでみました。個人的な好みが多分に含まれていますので、あくまでも参考に。

ダウンインサレーション(春~秋)
Mountain Hardwear ゴーストウィスパラーULジャケット

重量・機能・そしてスタイル、すべてにおいて世界屈指のレベルを備えた、まさに山岳用ダウンジャケットのマスターピース、ゴーストウィスパラー。最近このシリーズでラインナップが増えたようですが、こちらはその中でも超軽量のフラッグシップモデル。街でも山でも最高の快適さと満足をくれる逸品です。

中綿にはついに1000フィルパワーの撥水ダウン「Qシールド」となり、ダウンの弱点である湿気による嵩つぶれが起きにくい仕様。原料である水鳥を人道的に適正に扱っている証であるRDS認証も付加されています。

薄くて高密度、撥水性のあるリップストップナイロンの表地は非常に繊細かつ高耐久。重量はなんと189g(Mサイズ)と、ついに200gを切ってしまいました。唯一、これまであった右ポケットを裏返して収納できるパッカブル仕様はなくなりましたが、ジッパーが付いていないだけでまとめることはこれまで通りできるので、重量を切り詰めたと考えれば納得できます。立体裁断で動きやすさもばっちり。

薄手なので真冬の防寒にはならないかもしれませんが、天候による気温の変化が激しく、装備が読めない春~初冬までの登山には最高のお守りとなってくれるでしょう。

ダウンインサレーション(冬)
THE NORTH FACE L3 50/50 ダウン フーディ

2021シーズンの初登場時から使っていますが、期待以上のパフォーマンスに冬の登山には手放せなくなっています。一言でいうと、これまでのダウンのいいところをそのままに、弱点である蒸れやすさをも克服した次世代のダウンジャケット。 羽毛に直接撥水加工が施された800フィルパワーのダウンは軽量かつ十分な羽毛量もあり、厳冬期の防寒着として十分なボリュームです。加えて内側には独自開発のチューブバッフル構造によって通気性が向上し、ダウン特有の熱のこもりや蒸れ感を軽減してくれます。バックカントリースキーなどでは滑降時、ハードシェルの上から羽織って余裕で行動中に着ていられるくらいの快適さ。もちろん厳冬期登山やアルパインクライミングにも最適。

蒸れやすい、濡れに弱いといったダウンの弱点をカバーしつつ軽量・防寒性といったダウンの利点も確保したこのジャケットの完成度の高さは、この先これ以上快適なダウンジャケットはそうそう現れないのではないかと思うほどです。

保温重視の化繊インサレーション(春~秋)
Patagonia ナノ・パフ・ジャケット

ナノ・パフといえば、ここであらためて言及する必要もないほど世界中に愛用者を抱える人気・知名度トップクラスの山岳向けインサレーションジャケットです。ええ、自分もなんだかんだ言ってお世話になっています。

このジャケットの魅力を一言で表すのはどうも難しい。(初登場当時は知りませんが)何か飛び抜けた特徴があるわけではないのですが、なぜか山に連れていく相棒を選ぶときには、最終的に手に持っている。あえて言うならば「すべてがちょうどいい」ジャケット。中綿のプリマロフト・ゴールドは高い保温力と軽さ・コンパクトさを兼ね備えているので、防寒着としての信頼性は言うに及ばず。さらに、それにもかかわらず丈夫で耐久性もしっかりでパッカブル仕様だから、ザックの底に気兼ねなくポイっと入れておける使い勝手の良さもありがたい。そして上質な着心地と動きやすさ、デザインの良さも抜け目なし。つまりどれをとっても合格点なのです。

自分は春~秋メインで考えていて、コンパクトさやレインウェアとの干渉を考えてフード無しタイプが好き。沢登りなど、濡れの心配がある山行には欠かせません。

保温重視の化繊インサレーション(冬)
NORRONA trollveggen Primaloft100 Zip Hood

ノローナ トロールヴェゲン プリマロフト100Zipフード Norrona trollveggen Primaloft100 Zip Hood メンズ 1620-19 アウター 中綿ジャケット インサレーション キャンプ アウトドア 【正規品】

北欧系のハードコアブランド、ノローナの極暖化繊インサレーションジャケットは、噂の次世代断熱素材「エアロゲル」を内蔵した革新的モデル。

PrimaLoft Gold Insulation with Cross Core Technologyを採用し、その断熱力はダウンに迫るとも言われています。中綿のボリュームもたっぷりで、極寒のなかで袖を通せば、ふっくらとパフィーでモコモコした感触と、すぐに訪れる温もりには頼もしさすら感じます。その高い保温性のわりに、これまででは考えられなかった軽さを備えていることも特徴です(収納性は多少我慢が必要)。立体裁断によるフィット感と快適な動きやすさはさすが。積雪期の縦走や冬期バリエーションルートではビレイ用に、冬のタフなアウトドアで安心できるインサレーションジャケットです。

アクティブインサレーション(薄手)
Rab Alpha Flash / NORRONA lyngen Alpha90 Jacket

どちらも捨てがたい完成度の高さなので2つ紹介。どちらにも共通しているのは、断熱素材にPOLATEC®Alpha™を採用している点です。

米軍特殊部隊のために開発されたという高機能断熱素材、POLATEC®Alpha™は最低限の保温性を備えつつ、行動中でも快適に過ごすために必要な通気性・速乾性・軽量性を確保している点。近年アクティブインサレーションが流行ったことで競合素材がたくさん出ましたが、そのたびに結局この「アルファ」に帰ってきてしまいます。その理由はやはり断熱性・速乾性・快適性すべてが満足のいく高いレベルでのバランスの良さで、これまで多くのブランドがこの生地を採用した製品を開発していることもうなずけます。

さてこの2アイテムはどちらもアルファ中綿素材を(シェル生地でサンドイッチせず)むき出しのまま使うPOLATEC®Alpha™ダイレクトを薄手で使っています。このためアウターとして使うことは難しいですが、中間着としては威力抜群。風をビュンビュン通す高い通気性によって吸い上げられた汗は即座に服の外側に発散されていき汗抜けの良さはいうことなしです。

さらにタイトなフィットに脇下や袖など動きやすく発汗しやすい部分にストレッチ性の高いフリースが当ててあるためかなり動きやすく、年間通して発汗の多いアクティビティに着るのにはもってこいと来ています。春~秋、冬の低山ハイク、または肌寒いシーンでのランニングにはこれでもかというくらいに使いやすい。基本はベースレイヤーの上にこのジャケット・ハードシェルというスタイル。登りのきつい場面などで「ちょっと暑いな」と感じたとしても、着っぱなしでいればいつの間にか不快感はすぐに和らいでいき、結果脱ぎ着せずに1日を過ごすことができます。

ストップ&ゴーが頻繁なアウトドアで使う防寒着としては現状トップクラスに使い勝手のよい素材であることは間違いないので、今年こそぜひ一着検討してみてはいかがでしょうか。

アクティブインサレーション(厚手)
MILLET ブリーザー トイ アルファ ダイレクト フーディー

厳密にいうとそこまで「厚手」ではないのですが、真冬のアウトドアにまで使いやすいアクティブ・インサレーションということでは今シーズンアップデートしたMILLETのこちらが秀逸。

POLATEC®Alpha™ダイレクトを使用している点では多くの競合モデルと変わらないのですが、表地のシェル生地が独自の防風・超撥水・軽量・ストレッチ素材「ブリーザー」であるという点が他と大きく異なる魅力です。POLATEC®Alpha™自体の性能については言わずもがななのですが、これに高機能なシェルがついていることによってミドルレイヤーにも、アウターにも万全の力を発揮してくれます。特にちょっとした雨雪をものともしない撥水性の高さにはちょっとびっくりです。ほかにも袖口にはサムホールがついていてレイヤリングしやすい点や、胸ポケットがついている点、フードの裏地はナイロンタフタ地なので起毛素材よりも雪が払い落としやすいなど、細かいお気に入り点が多々あり、冬はもちろん、暑くない季節の中間着兼アウターとして、アクティビティを問わず幅広く使える、自分にとって非常に使い勝手の良い一着です。

フリースウェア(通年)
Patagonia R1 Air

パタゴニアにとってフリースは特別な存在。防寒着といえば獣毛のセーターしかなかったその昔に開発されたこの画期的な化繊の防寒着の生みの親は、40年以上にたった今でもより暖かく、より軽く、より使いやすい新しいフリースをアウトドアシーンにドロップし続けてくれています。そのパタゴニアの現在イチオシ最新フリースがR1 Air。R1シリーズといえば世界中の山岳アスリートが愛用するテクニカルフリースの代名詞ですが、その定番を大きく進化させたモデルといえます。

何が進化したのか。まず繊維に中空糸ポリエステル(100%リサイクル)を使用したことで軽さと保温性・吸湿性を手に入れます。さらに生地表面に細かいジグザグの溝を刻むことで空気の通り道を作り、通気性と速乾性を向上させました。言葉にすると簡単ですが、個人的に素晴らしいと思うのは、この進化によって逆に退化したという点が何一つ見当たらないことです。何か1点で突出したものを作ることよりも「何も引かずに何かを付加する」ということがどれだけむずかしいことかは、多くの残念なアップデートを見てきただけに、余計に刺さります。

今回選んだジップネックタイプには胸のジッパーポケットが1つですが、中間着としての利用を想定していれば必要十分です。寒空の下でミッドレイヤーとして使ってみると、期待以上に寒い中でも暑すぎず、そして冷すぎずと快適さを維持してくれます。その保温性と通気・速乾性のバランスの良さは正直、アクティブ・インサレーションといってもよいくらいです。うれしいことにクルーネックタイプ、ジャケットタイプといったバリエーションが用意されているので、好みに合わせて選べます。

パタゴニアらしい上品なデザインも手伝ってトレッキング、クライミング、バックカントリー、その気になれば日常でもと、冬のあらゆるアウトドアに問題なく使える幅広さは何といっても魅力です。個人的にはこの冬オン・オフ問わず24時間手放せそうにありません。

まとめ

ミドルレイヤーの選び方について自分なりのベストチョイスを考えてみました。もちろんこれはあくまでも理想型であり、限られた装備の中で工夫して自分のスタイルをつくるのが愉しいし、大切なのは言うまでもありません。「不快=危険」なアウトドアでは、例えば予想外の吹雪が適切な着こなしで素晴らしい体験になることも、間違った着こなしのために二度と味わいたくない恐怖の体験になることも紙一重であることを忘れずに、みなさんにとって理想のミドルレイヤーにめぐり逢えれば幸いです。

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