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【2025秋冬】秋冬アウトドアに欠かせない化繊インサレーション約200モデルから選んだ、用途・こだわり別ベストモデルと失敗しない選び方のポイント

冬のアウトドアウェアのレイヤリング(重ね着)では、防寒と汗の放出の役割を担うミッドレイヤー(中間着)の選択が快適さのカギとなってきます。

そのミッドレイヤーには季節や役割などによってさまざまな種類が存在していますが、中でも登山やウィンタースポーツに数十年親しんできた自分が、なんだかんだこれまで最も長くお世話になってきているのが「化繊中綿を使ったインサレーションジャケット」です。

確かに軽さと暖かさだけならばダウンジャケットの方が優れているといえますが、蒸れにくさや濡れに対する強さでいえば化繊インサレーションが上。あるいはフリースは蒸れにくく濡れにも強いですが、今度は軽量コンパクトさや保温力で化繊インサレーションに及びません。そうした総合的な観点からみれば、やはり化繊インサレーションジャケットは寒い季節のさまざまなアウトドア・アクティビティにとって欠かせないウェアといえます。

そこで今回は、現在市場で手に入れられる化繊インサレーションジャケット約200モデルをOutdoor Gearzine独自の視点で多角的に比較検討し、さまざまな用途やシチュエーション、こだわりに合わせてベスト・モデルを選定してみました。さらに後半では自分にピッタリの一着をチョイスするために何をどういう基準で選べばよいかということについてのポイントをご紹介します。

なお、ここでは各部門で1着ないし2着しか紹介していませんが、その他のベスト候補やそれらを含めた全196着の比較一覧表はメンバーシップになっていただくことで閲覧することができます

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目次

シーン・目的・こだわり別ベスト・化繊インサレーションジャケット

1.ベスト万能化繊インサレーション(初めての一着)

milestone Heatwave Titanium Hoody

まずは「防寒着」という化繊インサレーション本来の役割をしっかりと果たしつつ、利用目的やアクティビティ、シチュエーションが細分化された現在でも高い汎用性を備えた「万能防寒着」といえるモデルを。多くのモデルは定番のロングセラーでありながら、その間現代にもフィットするようにコツコツと進化を続けています。そんななか、「milestone Heatwave Titanium Hoody」は期待のニューフェイス。軽さと断熱性が高いレベルで両立したClimashield®中綿とチタンスパッタリングの裏地という、軽量ながら保温性を最大化する工夫がニクイ。

2.秋のハイキング・登山向けベスト

Arc’teryx デルタ フーディ

寒い時期でも行動着として不快感を軽減するように、通気性と汗処理能力を高めた、いわゆるアクティブインサレーションはハイキングや登山での行動着として最適。ただその中でも秋の登山では、そこまで保温性が高くなく、だからといって中綿が剥き出しすぎて風がスースーでは寒いので通気性がありながら適度な防風性を備え、そして動きやすいストレッチ性を備え、なるべく薄手で軽い方がいい。そんな基準で選んだおすすめが以下。特に「Arc’teryx デルタ フーディ」のOCTAとデルタピークの組み合わせ、「Rab Evolute Hoody」のPrimaLoft Active EvolveとMotiv Aeroの組み合わせは絶妙。少し防風強めが良ければ「patagonia ナノエア・ウルトラライト・フルジップ・フーディ」も通年使えて便利。

3.冬のハイキング・登山向けベスト

Rab Xenair Alpine Flex Jacket

上記の特徴を基本としたアクティブインサレーションで、より低温下、雪山にも対応できそうなモデルを選んでみた。風抜けの良さは2に及ばないものの、逆に風や冷気をワンクッションする程度に耐風性があります。そのうえで、いずれも中綿の通気速乾性が高く、衣服内の蒸れや汗を外に排出してくれます。動きやすさもストレッチ素材やサイドストレッチパネルなどを採用してしっかり。冬の冷気を適度に受け止めてくれるのでアウターとしてもOK。これらの特徴を最もバランスよく備えているおすすめはというと、ずばり「Rab Xenair Alpine Flex Jacket」。防風性と通気性、ストレッチ性を備えたPertex Quantum Air表地に呼吸する中綿Primaloft Gold Insulation Active+、そしてストレッチフリースのサイドパネルと細かい点まで隙がありません。

4.シェルレイヤーとセットで大活躍するベスト・アクティブインサレーション

Houdini Lykan Half Zip

中綿に本来あるべき表地と裏地を排したいわゆる「中綿剥き出し」系のアクティブインサレーションは、めちゃくちゃ軽いということに加えて、非常に高い保温力と通気性を併せ持ったいわば諸刃の剣。実際に使ってみると、ハマれば最高だけど、風がスースー寒いときにはアウターと合わせたり、汗ばむときには逆に脱いで直接風を当ててと、シーンに合わせてちょうどよい快適さを保つために他の衣類との組み合わせが重要になことが分かります。

そうしたレイヤリングを前提として使いこなすのなら、アクティブインサレーションの剥き出しスタイルは非常に理にかなってます。自分の場合は厳冬期のバックカントリースキーでこのタイプをシェルの下にミッドレイヤーとして合わせ、シェル着たままで行動することが多いです。

ここでは、ただ単にAlpha DirectやOCTAを使っただけに止まらず、動きやすさをしっかりと考えているものや、厚みや耐久性をしっかり考えているモデルを候補として考えたい。

その意味で今シーズン最も注目したのは今シーズン新登場の「Houdini Lykan Half Zip」です。あの一部界隈で評価の高い帝人「Waveron™」と「Deltapeak™」の糸を、これまた数年前から業界を席巻中の島精機製作所の3Dニット技術と融合させて生まれたニット生地「Airweb Knit™」を採用。非常に柔らかく、軽量で、伸縮性に富んだ起毛感があり、縫い目を排したホールガーメントで肌触りも抜群。機能的にも断熱性、透湿性、吸湿性に優れているため行動着として十分すぎる高い性能を備えています。

5.秋冬のランニング向けベスト

NORRONA senja Alpha90 Zip Hood

ランニングには、アクティブインサレーションであるだけでなく、特に優れた運動性とフィット感、そして汗抜けの良さが重要、そして寒さが増せば、そこに身頃や前面の防風性の高さが求められます。

NORRONA senja Alpha90 Zip Hood」は僕が最近大のお気に入りであるノローナのトレイルランニングライン「senja」シリーズのミッドレイヤー。寒い季節に熱を逃さない部分と逃す部分のメリハリをきちんとつけたり、伸縮性の高いフリースを充てたりと非常に緻密な計算で軽量かつ効果的な保温・通気・耐久性をバランスしています。

6.ハイシーズン・バックカントリースキー向けベスト

Teton Bros. Sub Hoody

冬のBCスキー向け行動着でイメージしているのは、樹林帯をハイクアップしているときの汗抜けを考慮して、中綿は断熱性と通気速乾性が両立したアクティブインサレーションが基本。そのうえで稜線に上がったりした際にも適度に風を防いでくれる防風撥水性のある表生地を使っていると直良し。さらに肩や肘周りの可動性が十分に高いものが最高。ちなみに昨年まで使っていて、今でもお気に入りのジャケットは「Teton Bros. Sub Hoody」のフード無しタイプ。あるいはこちらもお気に入りのナノエアシリーズから、今シーズンBC用にアレンジされた「patagonia ナノエア・ウルトラライト・フリーライド・ジャケット」も、流石パタゴニアと言わんばかりで防風性と通気性、保温性(生地厚)と動きやすさのバランスがこれまた絶妙です。

patagonia ナノエア・ウルトラライト・フリーライド・ジャケット

7.春夏用には防寒着として、秋冬には行動着として年間使えるマルチプレイヤー系ベスト

STATIC AFTERBURNER HYBRID HOODY

春夏には薄手の防寒着としてザックに入れておけるほど軽量コンパクトながら、保温性は高で秋冬にも行動着としてつかえる、つまり1年中お世話になれる実用性の高いモデル。中でも化繊ダウンで850FPという「かさ高性」が特徴の軽量中綿「AIR FLAKE®」とチタンコーディング裏地によって、限られた重量の中に最大限のパフォーマンスを実現した「STATIC AFTERBURNER HYBRID HOODY」がベスト。裾から脇下にかけてのサイドパネルはPolartec® Power Grid™も抜かりなしです。

8.厳冬期のハードな登山に持って行きたいベスト

Rab Cirrus Ultra Hoody

とにかく断熱性と耐久性重視、厳冬期の登山に持っていきたい暖かくて快適なかさ高性を備えたタフな防寒着がこちら。結果的には中綿に「PrimaLoft® ThermoPlume®」を採用したモデルが多くなりましたが、そのダウンのような軽さとふんわりした着心地、そして断熱性の高さはいよいよ化繊もダウンと遜色ないレベルまで来たかと実感させるのに十分なクオリティです。その高機能中綿をふんだんに使用しながら見事な保温・通気コントロールと実用的なポケットなどを備えた「Rab Cirrus Ultra Hoody」は、Rabの技術力がいかんなく発揮された、厳冬期での防寒着として幅広く使いやすい良モデルです。コンパクトに収納できるところも冬山に最適。

9.スキー場起点のライトなアクティビティ向けベスト

Klättermusen Urd Light Stretch Hood Jacket

極寒のなかスキー場でのんびり過ごすなら、そこそこ通気速乾性があって暖かい中綿、そして動きやすさを備えた防寒着がいい。その場合は、伸縮性のある中綿とシェル生地を組みわせたり、可動部にストレッチパネルを配置して動きやすさを兼ね備えていることが理想。そんな必要十分な機能性と日常・フィールドどちらにも映える洗練さが魅力なのが「Klättermusen Urd Light Stretch Hood Jacket」。

10.低価格ベスト・オールラウンド化繊インサレーション

Columbia ラビリンスキャニオンII ジャケット

ここからはコストパフォーマンスの高いモデルをピックアップ。汎用性の高いシンプルな化繊の防寒着では相変わらずモンベルが強いのですが、それを抑えて「Columbia ラビリンスキャニオンII ジャケット」が意外にもそれを上回る低価格でした。他にも驚きのブランドでお買い得なモデルも。探せばあるもんです。

11.低価格ベスト・アクティブインサレーション(中綿のみタイプ)

Karrimor octa mountain zip-up

雨後のタケノコのように沸いた剥き出し系のアクティブインサレーションの中で、現状最も入手しやすいものは?カリマー!マンハー!アクシーズクイン!いずれもOCTA採用の3トップでした。Mountain Hardwearのこのモデルはこの流行の初期からあったもので、自分もまだ裏地がツルツルになってますがまだ着ています。Polartec Alpha Directなら、台湾のULSUSがお買い得です。

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Karrimor(カリマー)
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12.低価格ベスト・アクティブインサレーション(シェルあり)

mont-bell EXライト サーマラップ パーカ

アクティブインサレーションという言葉がないころからずっと軽量で通気性の高い中綿「エクセロフト」を作ってきたモンベルは、価格も相変わらず全体的にお安くてうれしい。

13.ずば抜けた断熱性能と耐候性を備えたベスト・ビレイジャケット

Rab Generator Alpine Jacket

極寒の中、上から降ってくる雪をかぶりながらじっと確保姿勢を取り続けるビレイヤーのための、抜群の断熱力と対候性を備えたビレイジャケット。ここでは最高レベルの重量対断熱力を備えた「PrimaLoft® CROSS CORE」テクノロジーを採用するモデルが多数。極限で使用するモデルだけに、妥協はしたくない。ここでの注目は「Rab Generator Alpine Jacket」のコストパフォーマンスの高さ。ありえないくらい高い。

14.超軽量ベスト・化繊インサレーション

アクシーズクイン カルフワセーター

冬だって、少しでも軽くいきたい超軽量スタイルのハイカーのための一着を選ぶなら?まぁずっと身に着けているならそこまで気にする必要はないのですが、携行時にも気にならない軽さを備えたインサレーションの筆頭は「アクシーズクイン カルフワセーター」。やはり剥き出し系なので、風を防ぐためにはレインウェアなどと併用して使用したり、着こなすための工夫が必要です。

15.超軽量・保温重視のベスト・化繊インサレーション

ENLIGHTENED EQUIPMENT Torrid Jacket

こちらは稜線上や就寝時に役に立つ追加の防寒着での超軽量モデル。今シーズンになって日本中のガレージブランドショップが取り扱いを始めている「ENLIGHTENED EQUIPMENT Torrid Jacket」はやはり他と比べても圧倒的に軽い。一方軽量コンパクトさでは、ダウンライクな独自中綿を採用した「patagonia マイクロ・パフ・フーディ」も負けてない。

失敗しない化繊インサレーション選びのポイント

ポイント1(前提):レイヤリングについて知る

化繊インサレーションジャケットの話を進めていく前に、今一度山の着こなしの基本である「レイヤリング」という考え方についてざっくりとおさらいしておきます。

アウトドアでの「レイヤリング」とは、過酷な自然環境の中で少しでも安全・快適に過ごすために必要な「重ね着の仕方」のセオリーを意味しています。レイヤリングによって、主に発汗等による衣服内の水分を素早く排出し、身体をドライに保つ機能や体温を一定に保つ機能(保温)、さらに外気や雨雪からの遮断といった、1着では共存できない高度な機能を兼ね備えることができます。また、複数の服を重ね着することで、状況に応じて脱ぎ着して快適さを調節できるということもレイヤリングのメリットです。

ただ、何でもいいからただ重ね着すればいいというわけではなく、何をどう、どういう順に着るかが大切。大まかにいって、以下のそれぞれに重要な機能をもった3つのレイヤーを肌面から順に重ね着することで完成します。

ベースレイヤー:汗を吸い上げ、外側に受け渡す

肌の上に直接着るレイヤーをベースレイヤーといいます。身体から出る汗を肌に残さないように吸い上げて外に逃がす(上のレイヤーに受け渡す)ことで、肌面をドライに、そして体温を一定に保ちやすくしてくれ、汗で濡れた衣服の不快感も軽減してくれます。このため生地の素材は吸湿・速乾性能の優れた化学繊維やウールが鉄板。暑い時期ならばこれ1枚で行動することが多く、年間を通じて最も着用するシーンの多い服であると言えます。

ミッドレイヤー:調温・調湿(衣服内を一定の温湿度に保つ)

ミッドレイヤーの役割は端的にいうと保温(断熱)ですが、より正確な意味でいうと、衣服内の温度と湿度を一定の快適さに保つことです。外気と体表面との間に、ミッドレイヤーによる「空気の壁」をつくることで、体温によって温められた空気を肌面付近に閉じ込め、快適さを保ってくれます。一方で汗をかいたときには、肌からベースレイヤー、そしてミッドレイヤーへと受け渡された水分(水蒸気)が外に排出されるのを助ける「透放湿機能」も重要な役割のひとつです。

ミッドレイヤーはつまりこれら「閉じ込める」と「排出する」という2つの相反する機能を両立しなければならないわけで、必然的にどちらかが強い・弱いが出てくるもので「両面において完璧な製品」というものは残念ながらまだ存在していません。だからこそミッドレイヤーは賢くチョイスすることが必要なのですが、それについてはこのあと説明していきます。

シェルレイヤー:風・雨・雪・冷気を遮断(&湿気の排出)

ベース・ミッドレイヤーが主に衣服内部を快適に保つ役割であったのに対し、シェルレイヤーの役割は主に外の環境から衣服内を守るのが主な役割です。

冷気をはじめ雨・風・雪といった、快適さを脅かす可能性のある外部からの刺激を遮断し、着用者の身体を守ります。誰もが知っているように、アウトドアでは「GORE-TEX」に代表されるような防水透湿生地を使ったジャケットが代表ですが、雨まで防ぐ必要が無ければ防水機能がない「ウィンドシェル」、防水でなくてもいいから動きやすさを重視する場合は「ソフトシェル」など、目的によってシェルレイヤーにもいくつかの種類があります(それについては下記のハードシェルについての記事で解説しています)。防水透湿機能を備えたシェルレイヤーによって、外からは風や浸水を防ぎつつ、同時に内側の湿気は外へと放出するように機能します。

ポイント2:化繊インサレーションのタイプ(種類)とそれぞれの特徴を知る

一通りレイヤリングの役割が分かったところで、ここからようやくミッドレイヤー選びの核心に迫っていきます。先述の通りミッドレイヤーの主な役割としては「断熱・保温」ですが、じゃあとりあえず保温性が高ければ高いほどよいのかというと、もちろんそんな単純な話ではありません。

当然ですが季節によって寒さも違いますので、ちょうどよい保温性(適切な厚み)を選ぶということはもちろんあります。

ただ、登山などのアウトドアでもっと重要なことは、歩き始めてから寝床に着くまでの多様なシチュエーションのそれぞれで、ちょうどよく暖める必要があるということです。

凍えるような寒さの中でじっとしているときにちょうどいい防寒着と、急坂を一生懸命登っているときに適した防寒着では、必要な機能がまったく異なります。先ほども書きましたが、フィールドで過ごすあらゆる場面で常にちょうどよい快適さを提供するような1着というのは未だ存在していないのです。

あらゆる低温下でちょうどよい快適さを実現するためには、さまざまな得意分野の異なる複数のミッドレイヤーを使い分けるのが、単純ですが最も賢い方法です。そのためにはまず山で着るミッドレイヤーの代表的な種類について知っておく必要があります。

タイプ1:保温重視の化繊インサレーション

まずは主にダウン(羽毛)と同じ役割を志向した、できる限り軽く、そして高い断熱性を目指した化繊インサレーションジャケットです。特徴は羽毛に迫る重量当たりの断熱性を備えながら、濡れに対する強さを備えていること。アウトドアでは汗や雨雪などでぐしょぐしょに濡れても保温力を失わないそのタフさは重要なメリットで、ハードなアクティビティである程、化繊インサレーションが活躍する場面が広いといえます。また洗濯しやすいという手入れの簡単さも大きな魅力。代表的な中綿素材には「PrimaLoft®」や「プルマフィル」「AIR FLAKE®」「Climashield®」「コアロフト」「エクセロフト」「シンサレート」など多種多様なブランドがあります。

従来までは「重量当たりの断熱力」でどこまでいってもなかなか天然ダウンには追いつけなかったのですが、それも近年登場した「エアロゲル」等のハイテク素材によってその性能・使い勝手は目覚ましく進化し、今ではかなり肉薄するようになってきていることは間違いありません。

ただ、この保温重視タイプの化繊インサレーションにも中綿の量(厚み)によって保温力の大小がありますので、どのくらい寒さで着るのかによってどの程度のウェイトがよいかを選ぶ必要があります。

タイプ2:行動着としての機能性を研ぎ澄ましたアクティブインサレーション

もうひとつは上記の化繊インサレーションの派生製品として生まれ、ここ数年ですっかり定着してきた次世代の高通気中綿「アクティブインサレーション」です。

素材的にはこれまでの化繊中綿なのですが、重量当たりの保温力では上のタイプに及ばないものの、より高い速乾性と通気性を備え、万が一汗をかいても常に衣服内をドライな状態に保つような特性があります。

さらにストレッチ性や吸汗性を備えてよりアクティブシーンに対応しているモデルも多く、低温下で汗をかきながら激しく行動しても驚くほど快適なため、行動中でもずっと着続けていられます。

アクティブインサレーションジャケットはいわば「動ける・着続けられる防寒着」。断熱力の最高値では前述した保温重視タイプに及ばないものの、体温が上がる行動中でも着っぱなしでいられるため、今では冬山登山はもちろん、脱ぎ着がしずらいバックカントリー等では欠かせないといえるほど便利な中間着です。

代表的な素材に、「Polartec® Alpha®」「帝人OCTA」「東レ 3DeFX+」「Patagonia フルレンジ」「THE NORTH FACE Ventrix™」「Primaloft® Gold Active Evolv」など、各メーカーから続々と新素材が登場しています。

タイプ3:バランス重視型

上記のどちらもバランスよく備えた「オールラウンド型」とでもいうべきタイプが3つ目です。アクティブインサレーションほどではないにしても適度な通気性を備え、保温性と軽量コンパクト性を備えたオールラウンドタイプは、迷ったときに間違いないという安心感で秋冬は行動着として、さらに春夏には防寒着として1年通して重宝します。

ポイント3:着用シーン(タイミング)に合わせて選ぶ

化繊インサレーションにも素材や構造によってさまざまな機能的特徴があることが分かったところで、最適な一着を選ぶには、その着用シーンによって使い分けることがベストであることが分かりました。

それぞれの場面で重視する機能を見極め、そこに適したウェアを選択することが重要です。もちろん予算や物理的な関係でどうしても1着しか選べないという場合もありますが、そこでいかに工夫できるかがアウトドアの道具選びの難しいところであり、楽しいところでもあるわけです。

あまり動かない(汗をかかない)シチュエーションで防寒着を着るということが前提の人には、保温重視の化繊インサレーションを考えます。

逆に寒い季節の行動中に着たいという場合には、「アクティブインサレーション」か「バランス重視型」タイプを選ぶのがよいです。

テント泊等で動と静、どちらのシーンもある場合には行動中に「アクティブインサレーション」を、テント場に着いたら「保温重視化繊インサレーションか、ダウンジャケット」の組み合わせでいくのがベストです。もちろん、物によっては「バランス重視型」1本で押し切るということも可能でしょう。

ポイント4:アウターとしても着るかどうかで「表生地の有り無し」を選ぶ

最近の化繊インサレーションには、従来までのオーソドックスな「中綿 + 表裏生地」構造のジャケットの他に、「中綿のみ」の一見フリースかと思うようなインサレーションジャケットも存在しています(むしろこれらを「フリース」として分類いるブランドも最近は増えてきています)。

表裏のシェル生地に挟まれた従来タイプは風を防いでくれ、また引っ掻きにも強い耐摩耗性も備えているのでアウターとして普通に活躍してくれます。ただ一方で、シェル生地が風を通さない分、「中綿のみ」ほど飛び抜けた通気性は備わっていません。

逆に「中綿のみ」で構成されたジャケットの場合、風を容易に通してくれるため激しい運動によって身体が熱くなっているときにはかなり快適ですが、その代わりそれほど身体が発熱してない状況では服を通り抜ける風が寒すぎて、アウターとしては使いにくいです。もっともこの時シェルレイヤーと組み合わせればカバーできますので、このデメリットは絶対に回避できないわけではありません。

つまりそれぞれは優れているとか劣っているという問題ではなく、目的と自分の装備から、総合的に判断して使いこなすことが重要です。

ポイント5:その他にチェックしておきたい防寒着選びのポイント

どんな種類でどんなボリューム、どんな構造のジャケットかを選んだら、最後に個人的にこれまでの経験から、その他細かい部分で注意しておいた方がいいポイントを挙げておきます。

ポケットの位置・数

アウターとして使う場合には左右のハンドウォーマーポケットがあると便利ですが、中間着として中に着るのであれば個人的には必ずしも左右のポケットは必要でない気がしています。アウターでも中間着でも一番優先度の高いポケットは胸ポケット。スマホが入る大きさであると直良し。

フードの有り無しによるメリット・デメリット

フードのあるなしで頭まで防寒できるかできないかという違いが出てきます。当然単体で考えればフードがあった方が防寒性は向上すると考えてよいのですが、他のレイヤリングとの兼ね合いも重要です。いわゆる「フード渋滞」に気をつけましょう。

例えばベースレイヤーにもフード、ミッドレイヤーにもフード、そしてアウターにもフードが付いていた場合、それはそれで結構首周りが大渋滞を起こしてしまい、逆に暑苦しい、かさばって息苦しいといったことになってしまうからです。最低限アウターにフードがあって、バラクラバなどで首元が保温できればそれで充分と考えることもできます。その場合は中間着はフード無しのジャケットで十分です。実際ぼくはそのパターンが結構気に入っています。

ストレッチ素材で頭のサイズにフィットするようになっているもの、もしくはドローコードで調節できるものが主流。そのどちらでもないパターンでは、自分のサイズに合っていないと被ったときに空気が漏れる・視界が遮られるなどで不快です。またアウター前提の防寒着の場合、ヘルメットの上から被ることを想定して大きめに作られている場合が多いので、その辺は好みが分かれるでしょう。

まとめ

毎年のように新しい素材やギミックが登場する化繊インサレーションジャケットも、他のあらゆる山道具と同じで、大切なのはやはり製品の特徴(長所と短所)を理解したうえで、自分の利用シーンや好みに合わせて着用することです。この記事を参考に、みなさんにとって理想のインサレーションにめぐり逢えれば幸いです。