賢く揃えたい!1年を通して最適なベースレイヤーの選び方

寒い季節を迎える前にあらためて考えたい、ベースレイヤーのこと

以前このサイトでおこなったベースレイヤー比較テストは、具体的な製品を、主にメリノウールの実力と使いどころに重点を置いて評価したものでしたた。今回ぼくらがあらためて考えたいのは、肌に直接触れるウェアであるベースレイヤーは、製品によっていったいどんな違いがあって、それらをどのように考えて選べばよいのかということ。というのも、この夏を乗り越えて気づいたんです。ベースレイヤーも他のアウトドア・ギア同様、機能がより高度化・多様化していくことによって、昔のように1着をやりくりするよりもっと賢い使い方があるのだということを(もちろん、それはより最適を目指した場合での話しであり、そうでなければアウトドア楽しめないわけでは決してないのですが)。

ということで、最近ますます細分化されつつある素材、厚みをはじめとしたさまざまなバリエーションのそれぞれがどういう特徴をもっているのかをここで1度整理してみることで、今揃えておくべきベースレイヤーのベストセレクトを考えてみたいと思います。それではいってみましょう。

主なベースレイヤーの比較レポートについてはこちら

目次

レイヤリングの基本とベースレイヤーの役割

チェックポイント1:素材

チェックポイント2:生地の厚さ

チェックポイント3:タイプ・形状

チェックポイント4:細かい機能(フィット・UVプロテクション・防臭機能など)

まとめ:賢く揃えて使い分けよう

レイヤリングの基本とベースレイヤーの役割

まずはじめに先ほどから何気なく使っているベースレイヤーという言葉について、少し基本的なところから確認していきたいと思います。そのためにはまず、アウトドアを最大限安全に楽しむためにウェアについての超基本的な考え方である「レイヤリング・システム」という概念について知っておく必要があります。

レイヤリング・システムとは一言でいうならば「天候や気温などの外部環境によってもたらされるあらゆる不快感を解消し、常に身体を快適かつ安全に保つための衣服の着方・仕組み」ということができます。正しいレイヤリングをしていれば、夏の激しい発汗時も、突然の雷雨も、そして頬を刺すような凍てつく寒さも、まるで穏やかな日中のように平然と行動することができ、切なく惨めな思い出にならずにすむ。そんな夢のような状態は、ちょっと小難しいですが理論的には以下の4つが機能している必要があります。

  • 身体表面の水分(汗)を吸い上げ・発散させる
  • 身体表面の熱を逃がさない
  • 外側の冷気を遮断する
  • 雨・雪・風などの天候から守る

このような完璧な状態を1枚のウェアで作り出すことはもちろん、不可能です。そこで異なる役割を分担したウェアをレイヤリング(重ね着)することによって、こうした状態に限りなく近づけることがレイヤリングの肝となります。

各レイヤーの役割

以下に、レイヤリングにおける、上に挙げたような4つの役割を担う基本的なレイヤーをリストアップします。厳密にいうと各役割は分断されるわけではなく、ウェアによっては多様な役割をこなすものありますが、これらのレイヤーそれぞれに何をチョイスするかによって、季節やエリア、そしてアクティビティ毎に理想的な効果を発揮させるレイヤリングが完成されるというわけです。

レイヤー ベースレイヤー ミドルレイヤー シェルレイヤー
イメージ (パタゴニア)patagonia M\'s Cap LW Crew 45641 UWTB L (マウンテンハードウェア)Mountain HARD WEAR Monkey Man Jacket OM5381-F13 015 SHARK / BLACK M (マウンテンハードウェア)Mountain HARD WEAR Seraction Jacket OM5524-F13 015 SHARK / STATE S
主な役割
  • 吸汗
  • 排出・発散
  • 調温(保温)
  • 断熱
  • 保温
  • 透湿
  • 遮断

 

説明
  • 皮膚に触れる、皮膚に最も近い位置にある層。つまり最も多くの汗が集まることを意味します。ベースレイヤーの役割は、その汗や湿気を即座に、効率的に外へ逃がし、体表面をドライに保つことで、体温を維持すること。この結果暑いときにはクールに、寒いときには暖かくいることができる。素材としては綿のように水分を保持しがちな生地は適さず、逆に水分をまったく貯めない化学繊維が多く使われる
  • ベースレイヤーとシェルレイヤーの中間にあたる層。ここでの役割は、体表面付近の暖かい空気を保持し、外の冷気を遮断(断熱)することで、衣服の内側の暖気を閉じ込めること。また、ベースレイヤーから排出された湿気(水蒸気)が抜けていくだけの透湿性も重要な役割のひとつ。

ミドルレイヤーについて詳しい解説はこちら

  • アウターとも呼び、文字通り身体全体を覆う「殻」のように、雨・風・雪などあらゆる天候による外部変化から身を守る。一般的にゴアテックスなどの防水透湿素材によって、内部から排出されてきた湿気(水蒸気)を外に逃がす機能も備えている。想定する気象条件によって、薄手の単なる風よけ程度のものから、厳冬期での厚手の完全防水・防風・保温のタイプまでさまざま。

シェルレイヤーについて詳しい解説はこちら

主なウェア
  • ベースレイヤー
  • Tシャツやブリーフ、スポーツ・ブラ、タイツなどのいわゆる「アンダーウェア」「インナー」も
  • フリース
  • セーター
  • インサレーション
  • ダウンジャケット
  • レインウェア
  • ウィンドシェル
  • ソフトシェル
  • ハードシェル

ベースレイヤーに求められる機能とは

上記のように、ベースレイヤーに求められる基本的な機能は「汗を吸いとり、外に排出」することです。世の中に流通するベースレイヤーは、基本的にはこの機能をベースとして、さまざまな季節・エリア・アクティビティによって「あったらいいな」と思われる特性が負荷されることによって違いが生じているものだと考えると、少し整理しやすくなるのではないでしょうか。そんな視点を前提に、次から(ようやく)ベースレイヤー選びの5つのチェックポイントを解説していきます。

チェックポイント1:素材

ベースレイヤー選びで最も重要なポイントともいえるのは、それがどんな素材でつくられているかという点です。素材についてはベースレイヤー比較テストでも簡単に説明しましたが、今回はあらためてもう少し広い範囲からまとめてみます。

素材 夏向け化学繊維 秋冬(or オールシーズン)向け化学繊維 メリノウール ハイブリッド
イメージ Mountain Hardwear(マウンテンハードウェア) トレッキング アウトドア ウェア エステロロングスリーブジップT メンズ Python Green OE6943-363 マムート(MAMMUT) Atacazo Zip Pull AF Men メンズ 4488-amazon-mango 1041-06340 S スマートウール SW64024 M\'s NTSマイクロ150パターンクルー カデットブルー ネイビー M【Mens】 patagonia(パタゴニア) Men\'s Merino 3 Midweight Zip-Neck メンズ・メリノ3・ミッドウェイト・ジップネック 37121 WAX 417 M
特徴
  • 速乾
  • 吸汗
  • 通気
  • 速乾
  • 吸汗
  • 保温
  • 吸汗
  • 保温・調温
  • 快適(着心地)
  • 速乾
  • 吸汗
  • 保温
  • 快適(着心地)
機能
  • ベースレイヤーに採用される化学繊維とは、主にポリエステル、もしくはそれに加え摩耗に対する強度を高めるためのポリウレタン等が混合されたものをいう。
  • 高温・多湿な夏での使用に最適となるように、吸汗速乾性を重視し、メッシュなどの通気性に富んだ編み方、UVプロテクション等の工夫がされることが多い。
  • 肌寒さの残る春先や秋冬向けのベースレイヤーは、夏向けの素材に比べ、例えば肌に触れる部分が起毛して空気の層をつくるようにできていたりするような、より保温性の高い素材を採用する。ただその分夏向けに比べれば速乾性は落ちる場合が多い。
  • メリノウールは、従来のウールよりも繊維が格段に細く、弱点であった快適さと耐久性が強化された、高品質で最新の自然素材。
  • 基本的にはメリノウールの特性を活かしながら、その弱点を補うためにポリエステルなどの化学繊維を混紡することで、目的に適った特性になるようにアレンジしたもの。このため、メーカー・アイテムによってその特徴は千差万別。
メリット
  • 最軽量
  • 汗冷えしない
  • 最も吸湿速乾
  • 摩耗、しわに強い
  • 洗濯機で普通に洗っても問題なし
  • 通気性が高くて涼しい
  • ウールに比べれば軽量
  • 汗冷えしない
  • 吸湿速乾
  • 摩耗、しわに強い
  • 洗濯機で普通に洗っても問題なし
  • 夏向け化繊に比べてより保温力がある
  • 軽量でチクチクしない優しい着心地
  • 特に冬暖かく、夏でも涼しい調温機能
  • 汚れ・しわに強い
  • 天然の抗菌・防臭効果
  • 洗濯機で洗濯可能
  • 時期と目的をマッチさせられれば、ウール・化繊のメリットをどちらも備えることができる
デメリット
  • 何日も着続けると臭いがつきやすい
  • 相対的に汚れ・シミがつきやすい
  • 石油加工品の素材
  • 保温能力が低い
  • 何日も着続けると臭いがつきやすい
  • 相対的に汚れ・シミがつきやすい
  • 石油加工品の素材
  • 保温能力はウールに比べると弱い
  • 吸湿速乾性があるとはいえ真夏に着るには暑すぎる
  • 相対的に乾きにくい
  • 化繊よりも重く、水も含みやすい
  • 生地が弱いので摩耗・穴があきやすい
  • 洗濯などで丁寧に扱わないと縮みやすい
  • 中途半端ともなりかねず、時期と目的が合わなければウール・化繊のメリットを最大限活かすことができない

選ぶときのポイント

  • 真夏のアウトドアや、激しい発汗を伴うアクティビティには汗処理能力の高い化繊ベースレイヤーがおすすめ。
  • 冬のアクティビティを考慮する場合にはメリノウール(100%・混紡)がおすすめ。
  • 特徴と用途がマッチすれば、ハイブリッド素材も十分おすすめ。

チェックポイント2:生地の厚さ

ベースレイヤーの各モデルには、異なる厚さが用意されていることがほとんどです。同じ素材のベースレイヤーでも生地を厚くすることによって、基本的な吸汗・排出機能に”保温力”を高めることができるためです。当然厚手(ヘヴィーウェイト)のものは1着でかなりの寒さに対応できますが、暑い時期には対応できないというデメリットもあります。一方薄手(ライトウェイト)はそれ自体では保温力は無いものの、薄手2着を重ね着したり、ミドルレイヤーにより厚手のウェアを着たりすることで、1年中活躍してくれるという使い方ができます。このため編集部の好きな使い方としては、以下のようなチョイスおすすめします。

選ぶときのポイント

  • 1着目はライトウェイトから購入するのがおすすめ。ただ万が一のための予備下着はあった方がいいので、最初のおすすめとしてはライトウェイト2着。これで予備としても、冬対策としても対応できる。
  • 本格的に冬のアウトドアにチャレンジするようになったらミドルウェイトまたはヘヴィーウェイトを検討。とはいえ正直ヘヴィーウェイトが必要になるケースは、日本での経験上、厳冬期くらい。

チェックポイント3:タイプ・形状

今回この記事をつくるにあたりあらためて調べてみると、最近のベースレイヤーの形状は大きく4つのタイプであることが分かります。それぞれには向いている季節やアクティビティがありますので、以下にまとめたそれぞれの長所・短所(一般論ですが)を意識して選択するとよいでしょう。

タイプ ショートスリーブ ロングスリーブ ジップアップタイプ フーディタイプ
イメージ (パタゴニア)patagonia M\\\'s Cap LW T-Shirt 45651 FGE M (パタゴニア)patagonia M\'s Cap LW Crew 45641 UWTB L Mountain Hardwear(マウンテンハードウェア) トレッキング アウトドア ウェア エステロロングスリーブジップT メンズ Python Green OE6943-363 Houdini(フーディニ) M\'s Alpha Houdi 2015SS 233414 Solar Orange S
通気性
速乾性
保温性 ×
温度調節範囲 × ×
適した季節※ 夏のみ 真夏を除くオールシーズン オールシーズン 晩秋~冬

※当然ですが、素材・厚さによっても適するシーズンは変わります。

選ぶときのポイント

  • 編集部のおすすめはジッパーによって温度調節がしやすく、直射日光から肌を守ることもできるジップアップタイプのロングスリーブ
  • 気温と場所によっては、ショートスリーブやフーディタイプが最適な場合も。

チェックポイント4:細かい機能の違い

着心地・フィット

身体から汗を吸収し、外に排出することが求められるベースレイヤーは、その役割から一般的にはピッタリと身体にフィットするようなシルエットで、生地はストレッチ性の高い繊維や編み方をしていることが主流です。それ自体は吸汗・保温という点で理に適っており問題ないのですが、人によっては密着感が強すぎて、着心地が悪いように感じる場合があります(個人的にはあまりタイトなストレッチは好みではないんです・・)。一方、真夏向けモデルのなかには逆に身体にピッタリと密着せず、いわゆるTシャツのようにタイトすぎないシルエットである場合も多いです。これは通常のベースレイヤーが身体に密着することで体表面付近の暖かい空気を保持するようにつくられるのに対し、夏向けは逆に体表面付近の通気性を増すことで暖かい空気を保持しないようにできているためです。こうしたシルエットの違いはメーカーHP等に記載された「スタンダード」や「スリム」などの表示を手がかりにするのがまず第一歩ですが、最終的には試着してみて、自分の体型にフィットするか個々人の感覚で判断するしかありません。

また最近では「機能性タイツ」のように、スポーツ医学的に計算された、よりタイトなフィットによる筋肉の動きをサポートする「コンプレッションレイヤー」も、主にボトムスを中心に登場してきています。これらのモデルは、ものによっては長時間の圧迫によって体調を悪化する可能性がありますので、長時間のハイキングや登山には注意が必要です。

UVプロテクション

夏向けのモデル限定ですが、モデルによっては生地自体にUVプロテクションの機能が付いているものがあります。これは文字通り日焼け効果を意味していますが、服を着ていても必要?と思うかも知れません。実際のところ、アウトドア・スポーツのような強い日差しでの活動では服の上からでも紫外線の影響は受けてしまうのです。このためどうしても日に焼けたくないという人は、特にこのような機能があるモデルを選択することは有効です。

抗菌防臭機能

ベースレイヤーでも特に化学繊維のそれはかつて2つの意味で臭いの問題からは逃れられませんでした。1つは一般的な登山が発汗量の多い活動で、場合によっては何日も続けて着なければならないという不可避な問題、そしてもう1つは当時の化学繊維の限界、大量に汗を排出するが故に繊維の中に汗の残留物や臭気物質が濃縮され、洗っても生地に残り続けてしまうという問題です。それが最近では各社独自の進化によって、例えば生地に練り込まれた銀イオンによる「制菌」機能(モンベル)や、天然の抗菌物質を利用したポリジン防臭加工(パタゴニア)などを実現した「抗菌防臭ウェア」が主流になりつつあります。逆に言うと、そういった機能が無いモデルについては、臭いの問題には気をつける必要があるということは覚えておいてもよいかもしれません。

縫い目の処理

肌に密着することが前提となるベースレイヤーは、盛り上がった縫い目によって擦れが生じ、身体を傷つけてしまうことがあります(例えばバックパックのショルダーハーネス部分など)。その縫い目による擦れに対するケアにきちんと対応しているかどうかは細かいですが重要。例えばスマートウールのNTSマイクロ150パターンクルーには縫い目が肌に触れないように平らになった「フラットロックシーム」、さらにショルダーベルトが当たる肩から縫い目を排除するような仕立てにするなど、細やかな対応がされています。

まとめ:賢く揃えて使い分けたい

最後に、以下にこれまで説明したチェックポイントをふまえて、各季節に最適なベースレイヤーをまとめてみました。

季節 評価
素材 ベスト
  • 化学繊維
  • 化学繊維
  • メリノウール
  • メリノウール
代替
  • メリノウール
  • ハイブリッド
  • ハイブリッド
  • メリノウール
  • 化学繊維
  • ハイブリッド
  • ハイブリッド
  • 化学繊維
厚さ ベスト
  • ライトウェイト
    (状況に応じて重ね着)
  • ライトウェイト
  • ライトウェイト
    (状況に応じて重ね着)
  • ヘヴィーウェイト
代替
  • ミドルウェイト
  • なし
  • ミドルウェイト
  • ライト・ミドルの重ね着
タイプ ベスト
  • ジップアップ
  • 半袖
  • ロングスリーブ
  • フーディタイプ
代替
  • ロングスリーブ
  • ジップアップ
  • ロングスリーブ
  • ジップアップ
  • ロングスリーブ
  • ジップアップ
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もちろん表のように春夏秋冬、さらにはアクティビティ毎にベストなウェアを揃えられるに越したことはないですが、せっかくのアウトドア好きならもっと賢く揃えたいものです。というわけで最後にまとめとして、編集部が1年を通じて活躍し、さらに最も着回しがきくベースレイヤーのフォーメーションとして実践している例をご紹介します。それはズバリ

化繊のライトウェイトジップアップ + メリノウールのライトウェイトロングスリーブ

です。春~夏にかけては汗抜けがよく温度調節もしやすい夏向けのクールな化繊・ジップアップで、肌寒くなったらウールを中心に。寒すぎるときには春夏のジップアップや他のレイヤーも含めて重ね着すれば、それでかなりのケース乗り切れます。これにもし真夏・真冬に力点をおく場合には、真夏・真冬を考慮して半袖Tシャツ、ウールのフーディタイプ(もしくはヘヴィーウェイト)等を適宜揃えるといいかと。

ベースレイヤーは外から見えないですが、身体に最も近い部分をケアするという意味で最重要ウェアという人もいるくらい。気温が下がっていくこれからのシーズンに向けて、この記事がみなさんの賢いベースレイヤー選びの助けになれば幸いです。それでは!

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