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快適なハイキングには欠かせない縁の下の力もち
この十数年の間でトレッキングポールは快適な山歩きになくてはならないものになったといえるでしょう。その理由については以前書いた「後悔しないトレッキングポールの選び方」で触れたとおりですが、登りでの手がかりから下りでの衝撃緩和、そして渡渉時のバランス維持など、行動中のさまざまな面で歩行をサポートしてくれる縁の下の力もちがトレッキングポールです。
基本的にある程度の太さと長さをもった「杖」でありさえすれば何かしら助けにはなるわけですが、性能と機能を突き詰めていくと、想定されるアクティビティや荷重の大きさ、使用する地形などによって求められる性能はどんどん複雑に。たかが杖とはいえ、たちまち奥の深い世界が広がっていきます。
今回はそんなトレッキングポールを徹底比較。人気・性能・価格などの点から目立ったモデルをピックアップし、いつものように実際の登山で突き比べ、さまざまな角度から性能を評価・比較してみます。それでは早速みていきましょう。
目次
今回比較したトレッキングポールについて
比較候補の選定にあたっては、大まかに以下のような基準を考慮しました。
- 登山・トレッキングが可能なモデル
- ウォーキングやラン専用モデルは除く
- 長さは120cm前後を中心に調節が可能なモデル
- 日本の正規代理店から購入可能
- 登山者の間で人気のブランドを中心に選出(ヤマケイオンライン「ブランドイメージ&登山用具購買動向調査2016」参考)
とはいえ人気モデルを単純に選ぶとどうしてもメーカー・種類が偏ってきてしまうため、今回は以上の条件のほかポールの材質・ロック方式・連結方式・価格帯などでバリエーションが生まれるように配慮しながら候補モデルを絞り込んでいきました。さらにお店で実際のモデルを見た上で今回の比較候補である9点を絞り込みました。もちろん個人的な興味や好みがまったくないわけではありませんが、少なくともここに挙げた候補はその時点で一定の水準を満たしたおすすめモデルであることには違いないということは念のためお伝えしておきます。
テスト環境
テスト期間は2016年夏~2017年8月までの約1年にかけて、横一線ではなく徐々に購入していって、手元にあるものから使い続けていきました。すべてのポールを同じ条件で使うテストも何度か行い、その際は筆者本人、その他知人の登山中~初級者数名に一通り比べてもらい評価してもらうなどして精度を高めています。東京近郊や奥秩父・八ヶ岳・上信越の山(1,000~2,500m前後)で、無雪期・一部のモデルは雪山でも使用しました。
今回の比較テストでは、以下の6つ項目を指標として評価しています。各項目の重要性については「トレッキングポールの選び方」にある程度書いていますのでより詳しく知りたい方はこちらも参考にしてみてください。
- グリップの握りやすさ、歩行時ストレスの少なさといった「快適性」と「重量」
- 使いやすさと安全性を左右する「固定&調節」と「収納性」
- 長く安心して使う上で欠かせない「耐久性」
- 幅広い季節・地形・アクティビティに使えるかどうかという「汎用性」
なお、テスト結果の評価数値はあくまでもテストを行った評価者の判断によるものです。できる限り納得性の高い、客観的な評価を目指してはいますが、それでも快適さやフィット感など主観による評価を無くすことは不可能であり、その点についての異論は当然あり得るということを踏まえたうえで参考にしてみてください。
テスト結果&スペック比較表
価格は2017年8月時点での公式オンラインストア価格等から参考として表示してます。
評価結果 ~タイプ別おすすめトレッキングポール~
LEKI マイクロバリオ カーボンAS
総合1位:妥協という文字が見当たらない、どこからどう見ても一流の1本
トレッキングをはじめウィンタースポーツでも世界有数のポールメーカーであるLEKIのフラッグシップモデル、マイクロバリオ カーボンASが今回の総合評価で1位を獲得しました。
驚くほど軽い、という分けでないことは確かです。ただ、カーボン製のシャフトにアルミ製の連結部分という組み合わせは、軽量性を保ちつつ強度と柔軟性という双方の弱点を補い合う隙の無い構造。人間工学に基づいた握りやすいフォルムと滑り難い素材を使った快適なグリップは、登りでも下りでもトップクラスの握り心地を提供してくれました。特にグリップ上端、上から掌で被せるように握れるLEKI独特のグリップ形状は、その快適さに中毒者が続出したほどでした。
他にも地面からの衝撃を緩和させる「ダイナミック・サスペンションシステム」の適度な突き心地の良さや、操作性・固定力・調整力を兼ね備えたレバーロック「スピードロック2システム」の使いやすさ、ポールを連結しているワイヤー部分の作りの丈夫さなど、1位になるべき理由を挙げればキリがありません。もちろん雪面でも使える雪用バスケットもオプションで用意されていますので、汎用性についても問題なしです。
唯一のネックとなるのは価格。この価格からすれば性能は予想通りといってしまえばそれまでかもしれません。ただ世の中にはデザインやステータスといったいわゆる主観的な側面が価格に現われるアイテムもあるなかで、このモデルに関しては「性能・機能面がどこをとっても一流である」とはっきり言える点で、誰に対しても自信をもってNo.1とおすすめできるアイテムです。
Black Diamond アルパインカーボンコルク
快適さNo.1、過酷な登山でも安全に長く使いたい人に最適
アウトドア・ポールメーカーとしてはLEKIと双璧をなすメジャーブランドBlack Diamondのカーボン製オールラウンドモデルである、アルパインカーボンコルクは総合評価では1位に及ばなかったものの、今回の比較で間違いなくお気に入りのポールのひとつでした。
イチオシは何といってもコルク製グリップによる快適なストックワークが楽しめる点です。現在主流のグリップ素材であるEVAフォーム製グリップも最近ではかなり快適ではありますが、乾いている時はともかく、汗や雨で濡れている時でも安定して滑りにくかったのはコルクです。また適度な弾力性、そしてほのかな温かみと自然な風合いなど、コルクにしか出せない良さもあります。グリップの形状自体はそこまで極端にエルゴノミカルではないものの、太すぎず細すぎず微妙にカーブしたグリップは通常の使用では非常に握りやすくてよく考えられていると感じました。
その他で特筆すべきは歩行時にポールを突いたときの安定感。シャフト直径の細いポールやアルミなどのしなりやすい素材のポールの場合、地面を突いたときのポールのビビりが気になる場合がありますが、このモデルはカーボン製でなおかつ今回比較した中でも最も太い部類に入る最大直径18mmのシャフトをもち、安定感は抜群。こうした行動中の突き心地の良さも、このモデルが快適性No.1である大きなポイントの一つです。一方このためカーボンの割には重量があるため、カーボン製だからといって軽さを求める人、トレランなどにも使いたいと考えている人にとっては向かないかもしれません。
Black Diamond ディスタンスカーボンFLZ
トップクラスの軽快さでスピードハイキング御用達
道具の重さが持ち手を通じてダイレクトに伝わってくるトレッキングポールは、他の山道具に比べても微妙な重さの違いが快適性に大きく影響しやすい道具です。とはいえあまりに軽くし過ぎると荷物を背負った登山には使えないため、トレッキングにも快適に使えてなおかつ軽いというバランスが求められます。その観点から、Black Diamond ディスタンスカーボンFLZは今回の比較で「快適性+重量」の項目で最も高いポイントを獲得したモデル。
2本合わせても300グラム台というトップクラスの軽さに加えて握りやすいグリップ周り、登山にも十分な耐久性を備えたシャフト、操作も簡単で長さ調節もできるレバーロック方式など、軽さだけでなく使いやすさにも妥協していないところは他の超軽量モデルにない大きな魅力です。それを貫くために細部まで詰められた丁寧な作りと工夫の数々には恐れ入ります。
こうした高次元の軽さと収納性からトレイルランやファストパッキングには最適、本格登山でも問題なく使えて言うこと無しのモデルですが、ただひとつ悩ましいのは、先端のバスケットが固定式のため雪面用のバスケットに交換が不可能なことでしょう。つまり残念ながら雪山には使えません。雪のないシーンで思いっきり使うと割り切る覚悟が必要ですが、それに応えてくれるだけのクオリティは確かです。ちなみにレースでの利用や極限までの軽量化を目指す人には、ほぼ同じ仕様で長さ調節ができないモデルであるディスタンスカーボンZならばさらなる軽量化が可能です。
SINANO フォールダーFREE 125
冬山も含めたオールシーズンで高い軽量・コンパクト性を実現
快適さや耐久性はある程度主観的なものではあるけれど、重量と収納サイズはそれらに比べればいっそうシビアな世界です。もう10gの軽さや、あと1cmの短さがあれば世界が変わるということは決して言い過ぎでは無く、それにこだわる人の気持ちはとてもよく分かります。そんな軽量・コンパクトを追求する人におすすめなのがこのSINANO フォールダーFREE 125。
約400グラムの超軽量に加えて36cmという収納性の高さが大きなアドバンテージで、ギリギリの耐久性を保ちながら極限まで軽量化したカーボンシャフトは本格的な登山にも耐える安心の強度を誇り、固定方式がレバーロックではなくスクリューロックであることから横にも出っ張りが少なくスリムなため、バックパックのなかに驚くほどコンパクトに収まります。
雪面用バスケットへの交換も可能で、急傾斜でも短く持ってハイクアップできるエクステンショングリップを備え、雪山での使用もバッチリ。舗装道路や植生に影響を与える可能性のある木道などに使う石突き用キャップも滑り難く落ちにくい設計で、季節や地形を選ばずオールラウンドな用途・目的で活躍してくれます。
連結するワイヤーの痛みやすさやスクリューロックの故障しやすさ等、所々耐久面で不安がないわけではありませんが、この使い勝手の良さはさまざまなシーンでハマりやすく、非常に出番が多かったのが事実です。大きな視点でコストパフォーマンスの高いモデルといえるでしょう。
KOMPERDELL ワイルドランブラー
最低限の機能ながら快適さ十分のコスパNo.1
コストパフォーマンスNo.1にはKOMPERDELL ワイルドランブラーを選出しました。ネットなどを見ると巷には千円台という激安のトレッキングポールが溢れていますが、はっきりいって舐めきった作りなのであっという間に壊れたとしても文句は言えません。あまりお金をかけられないとしても、せめてしっかりとした登山ブランドの製品を選びたいもの。
そのなかでこの世界的なポール専門メーカーであり別ブランドのOEMも行っているKOMPERDELL製のベーシックモデルは、作りこそシンプルで各パーツもはっきり言って粗末なものではあるのですが、行動時の最低限の快適性と安定感はさすが。ポリエチレン製グリップは素手で握ると若干滑りますが、グローブをしてあげればあまり気になりません。その辺の工夫さえ意識すればこの価格は十分に魅力的ではないでしょうか(実際にはもっと安売りしていたりします)。今回の比較でいえば、もし自分がはじめてトレッキングポールを選ぶとするなら、多少の握りやすさと調節しやすさのために倍の値段を払う(KOMPERDELL エクスプローラー コンパクト パワーロック)くらいならば、正直まずはこのモデルで十分だと感じてしまいました。
これからポールを使ってみようという人、どれがいいかまだ自信が無いという場合には、大抵の人のニーズを満たしてくれるであろう快適性・耐久性・汎用性を備えたこのモデルはおすすめです。
各項目詳細レビュー
快適性・重量
トレッキングポールにとって「より快適に歩けること」が最も重視すべきポイントであることに異論がある人はまずいないでしょう。ただポールの何をもって快適とするかについては、すべての人の意見が一致するということは難しいかもしれません。
編集部ではトレッキングポールの快適性を構成する要素をまずグリップの素材・形状(握りやすさ)、ストラップ、ポールの地面への付き具合という3つの視点に分解し、それぞれについての評価を総合して快適性の項目としてくくりました。そしてもう一つ快適さを構成する特に重要な要素である「重量」については、独立した評価項目として立てています。
Black Diamond アルパインカーボンコルクは滑りにくく手の収まりもよいコルクグリップに、あたりのソフトなストラップ、しっかり安定した突き心地から、使っていて最も気持ちの良いと感じるポールでした。その他Black Diamond ディスタンスカーボンFLZはグリップ周りの芸の細かさもさることながら、何よりも約350gという軽さが歩行のストレスを極限まで抑えてくれます。LEKI マイクロバリオ カーボンASはエルゴノミクスを駆使して最高に握りやすい快適なグリップと全体的な軽さ、そのどちらもがバランスのとれたモデル。これら3モデルは便宜上優劣がついていますが、全体的な快適さという意味ではいずれも甲乙つけがたく、実際には使い方や趣向によって人それぞれ好き嫌いが出てくるでしょう。
グリップの素材
グリップの素材についての評価はモデルによって多少の違いはあるものの、「コルク」「EVAフォーム」は概ねすべてのテスターが好意的に評価していました。繰り返しになりますがコルクの高いグリップ力と快適性は自然の素材にしか出せない唯一無二の魅力があります。また一般的にコルクの方がEVAよりも耐久性が高く長持ちするといわれいますが、1年ちょっとEVAのグリップを使い続けても綻びはそれほど見られていません。この点については使い方次第という気がします。一方ラバー(ゴム)については、その擦れやすさや濡れた時の不快感などからあまり評価しない人が多かった模様。ただ寒冷地では水を吸わない分、凍結の心配がないため他の素材に比べて有利という面はあります。最後にポリエチレン(プラスチック)は安価で衛生的(こちらも凍結の心配なし)ではあるものの、グローブをしない限りは基本的にかなり滑る、経年劣化するなど、激しい活動や長く使うには不向きです。
グリップの太さ
実際に比べてみるまで気になりませんでしたが、ポールはメーカーによって、あるいはモデルによってグリップの太さが微妙に違います。Black Diamond ディスタンスカーボンFLZ、SINANO フォールダーFREE 125、Helinox FL120の3モデルはどれもグリップが細め(23~24mm)で、逆にKOMPERDELLの2モデルは、手の小さい人にとってはややゴツいなと感じる太さ(29mm程度)でした。極端に評価に影響があったわけではありませんが、自分がちょっとしっくりこないと感じていたHelinox FL120を女性のテスターがとても評価していたことなどから、多少の影響はあると思われます。選ぶ際に注意してみるとよいでしょう。
重量
ほぼ300gというHelinox FL120が文句なしに軽量評価ではトップです。しかもこれまで軽量性ではカーボンの方が有利とされてきたのに、何とアルミでここまで軽いというのですから驚きです。軽量・コンパクト・高耐久・低価格の四拍子揃ったこのモデルは今回の比較ではトレイルラン的なアクティビティに最もマッチする1本でしょう。反面とても細くてシンプルなグリップ、極細シャフトによる突いたときの振動の大きさなど、全体的な快適性についてはやや難があるように感じられました。アクティビティを割り切った使い方をするのがこのポールの有効な使い方です。
全体的な印象ですが、400グラムを切るかどうかで「軽い!」と感じる境界線があるようです。その意味ではSINANO フォールダーFREE 125までが特に軽いポールとしての印象が強く、それ以上になってくると重量差は50グラム単位程度でしか差を感じなくなってきました。
固定・調節機能
用途や価格帯によってポールの固定・調節方法がさまざまあることは選び方で説明したとおりですが、今回のテストを通じて新ためて分かったのは「レバーロック方式」の使いやすさです。キツく締めるために毎回ある程度握力が必要なスクリューロック方式と違い、非力な人でも簡単にしっかりと固定できる。おまけに長さの調節も可能、故障しにくいと、最近の進化したレバーロックはどのメーカーのモデルも概ね優秀です。
さまざまなメーカーのレバーロック方式のなかでも、LEKI マイクロバリオ カーボンASに搭載されている「スピードロック2システム」は固定力・簡単さ・コンパクトさで抜きん出ていました。しかも折りたたみ式のため下部はワンタッチでピン留めでき、素早いセッティングが可能。ちなみに固定力の調節もドライバーなどを必要とせず、非常に使いやすいです。
スクリューロック方式は締める面倒さだけでなく、時々締まりすぎて動かなくなったり、ロックシステムが故障して固定できなくなったりと、何だかんだで不安定なところが評価としてはマイナス。唯一メリットと言えそうなのはポール全体的に凸凹がないため収納がしやすいという点ですが、これも最近のロックシステムのコンパクト化により気分の問題になってきているのが現実です。
収納性
ポールの収納性とは、ポールの連結方式とほぼイコールといっていいでしょう。その観点からすると、圧倒的に有利なのがSINANO フォールダーFREE 125、LEKI マイクロバリオ カーボンAS、Black Diamond ディスタンスカーボンFLZの3モデル。これらはどれも収納サイズが40cm以下で、安心してバックパックのなかに収納できます。特にSINANO フォールダーFREE 125は36cmと、ここまでコンパクトに収納できるポールは世界中見回してもなかなか見当たりません。
ただこの収納性に関しては1点だけ注意することがありました。折りたたみ式のポールはバックパックのメインコンパートメントや側面に収納するにはありがたいものの、バックパック前面に付いているようなポールアタッチメントや、オスプレーなどのパックに付属している行動中のポールアタッチメントなどには、そのコンパクトさが仇となって取り付けられない(あるいは取り付けにくい)という事態が発生します。この辺、そろそろバックパックメーカーには対応してほしいものですが、現状では注意が必要です。
耐久性
ポールの耐久性というとどうしてもシャフトの素材に目が行きがちです。ただ一般的にアルミは曲がりやすいが折れにいというクセがあったり、カーボンは折れやすいが曲がりにくいといった特徴があるものの、素材としてどちらの方が強いという単純な比較はできないのが実際です。このためここでは素材による強度の違いは細かく評価せず、主にシャフトの太さ(重量)・連結の構造、各パーツの壊れやすさ等といったアイテム全体の耐久性を比較しています。
比較の結果、KOMPERDELL エクスプローラー コンパクト パワーロックは他のポールに比べてシャフト径も太く、各パーツの作りも丈夫です。その分、あまり気の利いたパーツがなく至ってベーシックな作りではあります。その他Black Diamond アルパインカーボンコルクは同じく太いシャフト径とグリップにはコルクを使うなど、全体的にトップクラスの高い耐久性を持っていることが分かりました。ただその分、相対的に軽量なカーボンにもかかわらず約500gというカーボンの良さが消えてしまうほどの重量ではあるのですが。
汎用性
トレッキングポールはその重量や構造だけでなく、オプションパーツを装着(付け替え)することによって幅広いアクティビティ・季節・地形に対応することができ、その選択肢の多さを評価するのがこの項目です。具体的にはサイズ調節の有無、雪面用バスケットオプションの有無、舗装路・木道用の滑り止め付キャップの有無、急斜面用の延長グリップの有無など。
これらの豊富なオプションを備え、オールシーズン、幅広い体型、幅広い地形で使えるモデルはLEKI マイクロバリオ カーボンAS、Black Diamond アルパインカーボンコルク、SINANO フォールダーFREE 125の3モデルでした。これらはいずれも価格的に上位のモデルです。一方最も低価格のKOMPERDELL ワイルドランブラーにはサイズ調節と雪用バスケットのオプション以外はないため、一般的なコース以外では多少の使いにくさを感じるかもしれません。このことからも高級なモデルほどさまざまなオプションを備え、オールラウンドに使いやすいということが分かります。
まとめ
総合評価だけで判断すると、どうやらトレッキングポールに関してはかなりの程度で安かろう悪かろう、つまり価格と順位が概ね比例するということがテストを通してあらためて分かりました。アイテムの性質上、デザイン性などでの差異が出ないためどうしても機能(性能)と価格がダイレクトに結びつきやすいようです。
とはいえやはり自分の重視したい目的が決まっているのであれば、それに合わせて細かく使い分けるのがベスト。3シーズンのハイキングにはディスタンスカーボンFLZ、ランにはHelinox FL120、本格登山にはマイクロバリオ カーボンAS、雪山にはアルパインカーボンコルクなど、高価格モデルであっても特徴に合わせて最適な一本を選んでみてください。一方中価格帯のモデル同士であっても、グリップの種類や耐久性、使いやすさ等で、メーカーによる得意不得意があることも分かりました。快適さならLEKIやKOMPERDELL、重量ならHelinox、ロック機構ならLEKI、耐久性ならKOMPERDELL、コスパならモンベルなど、これらの傾向は自分の好みに合うモデルを選ぶ際の参考になるはずです。
なお今回テストは良くも悪くもトレッキングポールの王道モデルが中心。今回テストに含められなかったモデルのなかにもより優れた(尖った)モデルがたくさんあることは事実です。それらについても今後レビューなどで取り上げていきたいと思いますが、みなさんでもぜひ同じような視点で眺めてみると、自分に適したモデルかどうか判断する助けになると思いますので、ぜひ参考にしてみてください。