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NEWS:アウトドア・ギアの未来がここに。『OutDoor Industry Award 2017』受賞アイテムまとめ

アウトドア文化・産業の中心地の一つであるヨーロッパはドイツ国境近くのボーデン湖に面した静かな街、フリードリヒスハーフェンにて毎夏に行われる、欧州市場の流通事業者・メディア向けアウトドア用品総合展示イベント『The OutDoor Show Friedrichshafen』。

イベントの概要については以前の記事でお話ししたとおりですが、二十数年前小さな登山用具見本市からはじまったこの展示会は、サッカー場12個分の会場に登山からクライミング、キャンプ、ランニング、フィットネス、バイク、ウォータースポーツなど、拡大・多様化するアウトドア市場に伴い大小合わせて1,000近くのブランドが集結するまでに発展。アウトドア・カルチャーの「今」が見渡せる、今や欧州中の関係者が注目するモンスターイベントです。

そんなアウトドア好きにとって見逃せないイベントの取材も今回で2回目。今年も数え切れないくらいたくさんの驚きに出会いました。それらをこれから何回かに分けてじっくりお伝えしていきます。まずはこのイベントで毎年選出されている『OutDoor Industry Award 2017』受賞アイテムから。330もの候補から選ばれた9つのゴールド受賞作や、革新的な製品に送られるスタートアップ賞などから興味深いアイテムをピックアップしてお届けします。

なお、これらの記事で紹介する製品は大前提としてヨーロッパ市場向けの製品であり、必ずしも日本市場で同じように発売されるという保証はありませんので、何卒ご了承ください。

1. Patagonia Micro Puff Hoody

今年おそらく文句なしに注目を集めていたパタゴニアの新しい化繊ジャケットがめでたくゴールド受賞。ここ数年多くの新素材・新製品が目白押しの防寒ジャケットですが、これには衝撃を受けました。化繊にもかかわらずめちゃくちゃ軽くてフカフカ、そしてユニークなタイル状のバッフル構造が見事です。

2. Ternua Ride On Pant

ライド・オン・パンツがゴールドを受賞したのはパンツとしての快適性やデザイン性の高さだけではありません。最も大きな理由は環境への負荷に対する先進的な対応、その持続可能性にあります。素材となる繊維はバスクの漁港から収集された12トンの漁船網からリサイクルされ、bluesign認証を得て品質を損なうことなく原材料へと再生されました。こうした環境問題への取り組みは、今年も引き続き欧州のアウトドア製品全体の大きなトレンドとして変わりありません。

3. Primus Primetech Stove Set 1,3L

ガスストーブのトレンドは、単体で軽量化するか、もしくは効率・利便性を追求するかの二つの方向性が見られますが、今年ゴールドを受賞したプリムスの最新一体型ストーブセットは効果的な燃料効率と軽量性・使いやすさをバランス良く実現した完成度の高い製品です。風防・着火装置付きのバーナー、2つのポット、1つのフタおよびグリップ、断熱もできる収納袋のセット。

4. Gregory Baltoro 65

世界中のトレッカーから愛されるグレゴリー大型バックパックのフラッグシップ、バルトロの最新モデルがまるで指定席に座るかのようにゴールドを受賞。優れた荷重管理を実現する完成度の高い背面システムを基本的に引き継ぎながら、素材やつくりを見直してより軽量性と通気性を高め、快適性と利便性をさらに向上させているといいます。これ以上良くなってどうするよ。

5. Helinox Chair Zero

軽量キャンピングチェアに快適性をあきらめていたのはもう過去のことになるのかも。ゴールドを受賞したヘリノックスの最新モデル、チェアゼロの重さはわずか460グラム。これならばキャンプだけでなく、ちょっとした贅沢品としてバックパックに詰め込んでもいいかなと思えてきます。

6. Exped Downmat TT 9

エアマットの保温性を飛躍的に高める方法として、寝袋と同じ原理で内部にダウンを封入するアプローチを採っているエクスペド。一度使ってみるとその保温力には驚かされますが、最新モデル「TT 9」は快適に加えて非常に耐久性があり、なおかつ個々のチューブが独立しているためどこかに穴が空いてもすべてが使用不能になることは無いという素晴らしい機構を備えています。

7. Katadyn BeFree Water Filtration System 1.0 L

昨年デビューした画期的なフィルター付きフラスクボトル「BeFree」が進化。新たに1.0L、3.0Lといった大容量のソフトボトルがラインナップに加わりました。スイスに拠点を置く国際的な浄水ソリューション企業が誇る高性能「EZ-Clean Membrane」フィルター、軽量・パッカブル・高耐久でクリーンなボトルは、トレイルランからロングハイキングまで幅広い用途に応えてくれます。

8. FISION Size Advisor

優れた革新的技術やアイデアに対して送られるスタートアップ賞に選ばれたのは、チューリッヒで2015年に立ち上がったスタートアップ、Fision社による素晴らしいEコマース支援技術(サービス)。紹介によればこのシステムは人の正面・側面2枚の写真に基づいて3Dボディ・モデルを作成。バーチャル上で実際の体型に適切なサイズを測定し、ユーザーに提供することができます。単純な議論はできませんが既にシューズの分野でも3Dスキャナによるフィッティングシステムが進んでおり、「アウトドア製品はやはり実店舗で試してから買わないと」なんて言っていられない日はもうすぐそこまできているかもしれません。

9. tex-lock

もうひとつのスタートアップ賞のコンセプトはいたってシンプル。tex-lockは革新的なハイテク素材のテキスタイル(繊維)ベースの自転車用鍵で、堅牢性・柔軟性・軽量化を実現しています。従来の金属製のロックにあった、重くて、硬くて使いにくいといった弱点が見事に克服されているだけでなく、耐火性、耐切削性においてもまったく引けをとりません。これは発売まで待てない。

10. Archroma “Earthcolors” Technology

最後に紹介するゴールド受賞は製品ではなく”染料技術”です。色染色は通常多くの化学物質を必要としますが、アースカラーの高性能染料は特許を取得した最新技術により、アーモンドの殻のような天然の残された製品から温かみのある三元色を作り出す新しい技術。たとえユーザーから見えていないとしても、こうした持続可能性を高めるためのさまざまな仕組みやアイデアが重要なイノベーションとして認められることは、こうした業界向け展示会の特徴でもあり、大切な役割だといえます。

まとめ:まだまだ未来のアウトドア・ギアはこんなもんじゃない

以上、ゴールドとスタートアップ賞を中心に紹介しましたが、このほかにも合わせて38製品あるアワード受賞アイテムはこれらに負けず劣らず興味深い機能やデザイン、コンセプト等を備えた素晴らしいギアがズラリと並んでいます。次回からはそれらの受賞アイテムも含めてイベントで目撃した期待の新作、初対面の良ブランドなど、アウトドア・ギアの未来の一面をぼくなりの視点で切り取って紹介していきたいと思います。

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