インテリアや日常雑貨といったプロダクトデザイン由来の、アウトドアのメインストリーム的発想からは絶対に生まれてこない個性的なコンセプトによって、ユニークかつ実用的な野外道具を届けてくれる静岡のアウトドアブランド「FIELD RECORD」から、また新しい便りが届きました。
フレームに3本のカーボンポールを使用した超軽量の折り畳み式チェア「FR-chair carbon triangle (high / low)」は、その驚きの軽量・コンパクトさからこれまで以上にどこでも好きな場所に椅子を持ち運び、とっておきの時間を快適に過ごすことができるようになります。
キャンプやフェスではもちろん、COVID-19の流行拡大によってにわかに注目を集めつつあるチェアリングや自宅アウトドアなど、これからもこうしたコンパクトなアウトドアチェアの利用シーンはますます増えていくでしょう。それどころか、これまで「椅子を持っていくなんて贅沢な!」と思われていたハイカー・登山者にとっても、新たなスタイルとして十分選択肢になるような可能性を秘めていると思います。
そんな、ゆるキャンパーからガチの登山者まで、すべてのアウトドア愛好家にとって要注目の最新チェアを実際に使ってみたので、早速レビューしてみます。
目次
FR-chair carbon triangleのお気に入りポイント
- 驚くほどの軽量さ
- 座面の高さがLOW・HIGHと選べる2サイズ展開
- コンパクトに収納でき、持ち運びも楽々
- シンプルな構造なので、組み立ても簡単
- ミニマルなパーツにもかかわらず、しっかりと重みにも耐えられる堅牢性
- カーボンの弾力性による座り心地の良さ
- 小物も留めておける便利なループ
トップクラスの軽量・コンパクトさにもかかわらず優れた耐荷重
この新しいキャンプチェアは、座面の高さが44cmのHIGHモデルと、25cmのLOWモデルの2サイズ展開。座面の高さ(=重量)以外は同じ構造です。
いずれにせよ、この椅子を語る上ではまずなんといっても重量に触れないわけにはいきません。
各パーツをざっと俯瞰してみると、カーボンポール3本のほか、連結箇所や座面素材なども徹底して軽量化を意識して作られています。収納袋を除いた重量をチェックしてみたところ、LOWモデルで実測300gちょっと、HIGHモデルで350gちょっとでした。ペットボトルよりもだいぶ軽いです。
もちろん、巷にはもっと軽いキャンプチェアも無いわけではありません。ただ、驚くのはこの最軽量クラスの軽さでありながら、耐荷重は100kgという安心の堅牢性を実現しているところです。ブランドのコンセプトである軽量性と耐久性を両立させた高い品質バランスを達成するため、日本国内での生産にこだわり、さらに軽さを理由にして座り心地に手を抜くようなこともない。そのあたりに作り手の心意気やこだわりが伝わってきます。
収納サイズですが、付属のスタッフサックに入れるとペットボトルより少し長辺が飛び出るくらいの高さ(HIGHモデルで長辺34cm)。
フレームのカーボンポールが折りたたみ式のため高さも気になるほどには出っ張らず、日帰り用のデイパックにも収納できるサイズです。
ベルトを締めるだけで組み立てられるシンプル設計
組立方法はとてもシンプル。3本のフレームはあらかじめ両端が接着されており、わざわざ刺したりする必要はありません。まずは何も考えず、折りたたまれたそれぞれのカーボンのフレームを伸ばすことから始まります。
カーボンフレーム伸ばすとそれらは自然に交差し、鼓(つづみ)のような形になりますので、あとはその周りにある3点のベルトを締め上げていくだけ。この締め上げ動作に関しては、当然ですが多少の力が必要。厳選されたパーツで構成されている以上ある程度のアナログ感はしょうがないところでしょうか。
しっかりと3点が平均的に締め上げられると、カーボンフレームがジョイント部分あたりでちょうど重なり(支え)合うようになっているはずです。
フレームの両端(上下)には、三角形をした柔軟で耐久性抜群のコーデュラナイロン製生地が張ってあり、面積の大きい方が座面にあたります。
組立完成。こうなればあとは座るだけです。
HIGHモデルは座面の高さ44cmと、ちょっとしたベンチ並みの余裕のある高さ。対してLOWモデルは25cmで、長時間座るにはちょっとキツい(特に腰が悪い人)かもしれないですが、どこまでも軽さを求めるのであれば十分許容範囲といえるでしょう。
カーボンと生地による絶妙なクッション性が心地いい
座ってみると、カーボンフレームと接続部のナイロン素材による、自然の”しなり”に一瞬不安を感じたものの、いろいろと使ってみてもちろん壊れるわけではなく、それは素材による特性だと分かります。逆にこのちょっとしたクッションはアルミや他の素材には無い座り心地の良さ伴っているようです。
最軽量クラスのアウトドアチェアということで背もたれの快適さや4本足の安定感は残念ながらありません。三角形の座面も、もちろん大きな面積の方がいいに越したことはありませんが、総じてこのクラスでは十分すぎるほどの安定性と快適さはあると思います。
LOWモデルに座るとこんな感じ。好みにもよりますが、やはりHIGHに比べると座り心地は窮屈になるものの、座面周りの感触は同じく良好です。
細かく行き届いたプラスアルファの使いやすさ
どちらのモデルも、座面の各頂点(6ケ所)には、スタッフバッグ等様々な物がハンギング可能なループが配置されています。コンパクトチェアに携行性と組み立て、快適さ以上多くを求める人はいないとは思いますが、それ以上に細かい部分で使いやすさを追求してくれるところがニクい。
スタッフサックの他、キャップやトレッキンググローブなど、たくさん掛けられます。物を無くしやすいおっちょこちょいにおすすめです。
まとめ:軽さも、座り心地も妥協したくないというこだわり派キャンパー・ハイカーに教えてあげたい1脚。
軽量でシンプルな作りながら、このクラスでは上出来の耐荷重と快適さを持ち合わせた超軽量アウトドア・チェアでした。組み立てもコツなどは不要、誰でも迷うことはまずありません。これさえあれば、つらさ・不便さ当たり前だった登山もちょっとだけ快適になり、気持ちの良い場所での大休止や、テント場での炊事では今までなかった贅沢が味わえます。もちろんキャンプやフェスなどで、ちょっとした椅子が必要になるときにもこれまで以上に手軽に持ち歩きができるようになるでしょう。
これまで同ブランドではトレッキングポールをフレームとして使用する「FR-chair carbon」がありましたが、これはそもそもトレッキングポールを使用する人を前提としているため、ユーザーはハイカーなどに限られていました。一方今回のFR-chair carbon triangleではフレーム一体型デザインによって、これ単体を持っていけば誰でも、どこでも気軽にチェアの利用が可能とあって、より幅広い層がその軽さと使い勝手を体験することができます。
機能を形状に落とし込んだかのようなミニマルなデザインによって、最小限の構成で最大限の実用性を表現したコンパクトチェアは、決して限られた人のためにあるのではありません。きっと多くの人にとってのさまざまなシーンと目的に応えてくれるでしょう。