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【豚に真珠!俺にカーボンと思ったけど……】ゼロドロップのALTRA「MONT BLANC CARBON」と「Correct Toes」を試してみた結果

毎日走るのが習慣化してきた筆者ですが、タイムはジョギングレベルです。それでもカーボンプレート内蔵シューズを試したいと思うのは筆者だけではないでしょう。今回アルトラの「MONT BLANC CARBON」と「Correct Toes」を試す機会を得たので、その結果をお伝えします。

「ALTRA(アルトラ)」の「MONT BLANC CARBON」と「Correct Toes」とは

アルトラの「MONT BLANC CARBON」。ゼロドロップでベアフットのカーボンプレート内蔵シューズになっています。期待大。

ゼロドロップでつま先を締め付けないアルトラのカーボンプレート内蔵シューズ

アルトラ(ALTRA)については、OUTDOOR GEARZINEの読者のみなさんに改めてご紹介する必要はないかもしれません。筆者はすでに「【どこを使って走っている?】短距離、長距離、歩きでも違うことをゼロドロップのアルトラ「TIMP 5」&「ALTRAFWD EXPERIENCE」で自己認識できた」などの記事で実際にテストして超お気に入りのブランドです。

そんなアルトラの基本コンセプトは「自然な走り方」ができる究極のシューズ。そのために無理な前傾姿勢を作らないかかとのないゼロドロップ、そして、足の指が自然な状態になるようにゆとりを持ってデザインされたつま先部分、さらにしっかりとクッション性を確保しながら、足の動きに合わせて柔軟に屈曲するソールがアルトラシューズの大きな特徴になっているといいます。

フォアフットからミドルフットで走るクセのある筆者は、このアルトラのシューズで走るといままでになく気持ちよく走れるので、アルトラシューズのファンといってもいいのですが、今回はアルトラのトレイルランニング向けモデルのハイエンドといえる超反発ミッドソールとフルレングスカーボンファイバープレートを搭載した「MONT BLANC CARBON」を試してみました。

超高反発力と快適性・耐久性を備えたミッドソールに、グリップ性の高いアウトソールを備えた「MONT BLANC CARBON」はフルレングスのCarbitex™ Monoflexカーボンプレートを追加することで、適正な推進力と足裏の保護、そしてあらゆる地形での安定性を実現したといいます。

足の指を解剖学的に正常な自然な位置に戻すという「Correct Toes」

足の指を解剖学的に正常な位置に戻すのに役立つという「Correct Toes」。寝指(ねゆび)や内反小趾(ないはんしょうし)の傾向がある筆者はとても気になっていました。

実はアルトラのWEBサイトでみかけて、ずっと気になっていたのが「Correct Toes」。レイ・マクラナハン博士がデザインした「Correct Toes」は、やわらかで柔軟性に富んだシリコン製で、足指を解剖学的に正常な位置、すなわち自然な位置に戻すのに役立つといいます。

筆者は足の小指がやや横を向き、薬指に密着するような、寝指(ねゆび)や内反小趾(ないはんしょうし)の傾向があり、これがちょっと気になっています。そのため、装着することで足の指を自然な位置に戻すのに役立つという「Correct Toes」が気になっていたのです。

なお「Correct Toes」は体重をかけて使用することで足と足指が健康的な姿勢になり、足本来の位置と機能を取り戻すことができるといいます。また、裸足でも靴下をはいても、トゥボックスが足形になっているアルトラのシューズの中でも着用でき、ランニングやウォーキング時、通勤時や仕事中、睡眠中も使うことができ、これが足指の位置を戻す近道だといいます。この「Correct Toes」も試してみました。

おすすめのポイント

  • カーボンプレート内蔵シューズというだけでテンションが上がる(MONT BLANC CARBON)
  • 着地時の反発が強いので跳ねるように走れるイメージ(MONT BLANC CARBON)
  • 実際にタイムが速くなる印象を受ける(MONT BLANC CARBON)
  • 足の指の間が広がって結構気持ちいい(Correct Toes)

気になったポイント

  • ふくらはぎへの負荷がやや強いので注意が必要(MONT BLANC CARBON)
  • 長時間装着して活動しているとちょっと痛いことがある(Correct Toes)

主なスペックと評価

項目ALTRA MONT BLANC CARBON
重量(片足)309g(MENS US10.5 / 28.5cm)
ミッドソールAltra EGO™ PRO (core) & Altra EGO™ MAX (rim)
アウトソールVibram® Megagrip with Litebase
スタックハイト29 mm
アッパーUltra-lightweight, breathable
参考価格34,980円(税込)
Outdoor Gearzine 評価
個人的お気に入り度★★★★★
テンションが上がる度★★★★★
快適さ★★★★☆
クッション性★★★★☆
反発力★★★★★
グリップ★★★★★
コストパフォーマンス★★★☆☆

初心者の筆者には関係ないかと思ったが……

フォアフットで走っているなら初心者でもありだと考えた

いかにも速く走れそうな「MONT BLANC CARBON」。筆者はWHITE/CORALを選択しましたが、色違いのGRAY/LIMEもラインアップされています。

カーボンプレート内蔵シューズは、すでに多くの方がご存じでしょう。

ALTRAのそれは、強い反発力を発揮する超高反発素材「Altra EGO™ PRO」をコアに搭載しつつ、さらにカーボンファイバー製のプレートがその力を正しい方向へと導き、より効率的に推進力を活かせるという複合的な構造になっていると言われています(さらにリムに搭載される「Altra EGO™ MAX」によって快適さと耐久性が向上し柔らかく快適な履き心地を提供)。

いずれにせよ、履くだけで速く走れるかのようなシューズは、まさに夢のようなシューズなわけです。マラソンや駅伝などでは、多くのトップアスリートが各社のカーボンプレート内蔵シューズを履いて、素晴らしい記録を出しています。趣味でちょっと走る程度の筆者も履くだけで速くなると聞けば、それは気になるわけです。

実際にカーボンプレート内蔵シューズはどうなのだろうと思い、インターネットで調べてみると、かなりヒットするのが「初心者にはおすすめできない」とか「多くの人はランニングフォームを見直す必要がある」といった情報。多くのカーボンプレート内蔵シューズはミッドソールにスプーンやしゃもじ状のカーボンプレートが内蔵されており、このカーボンプレートが着地時に曲がって、反発力を生み出すしくみです。

そのため、一般的にカーボンプレート内蔵シューズで効率的に走るためには、短距離走と同じようにかかとをほとんど使わないフォアフットで走る必要があるといいます。現在アフリカ勢を筆頭に長距離のトップアスリートのほとんどが、このフォアフットで走っており、カーボンプレート内蔵シューズを履いているわけです。

しかし、初心者やジョギングレベルのランナーはかかとから着地するヒールストライク走法で走っているのが一般的だといわれています。ヒールストライク走法についてもメリット・デメリットがあり、フォアフット走法のほうが一概に優れているわけではないそうですが、カーボンプレート内蔵シューズで速く走るには向いていないようです。

結果、一般的な走り方(ヒールストライク走法)の初心者ランナーにはカーボンプレート内蔵シューズは向いていない、という話になるようです。しかし、ひざの負担を軽減しヒールストライクを最低限に抑え自然な走り方を実現することをコンセプトとしているアルトラのファンである筆者は、実はヒールストライク走法ができません。

短距離でも長距離でもフォアフットからミドルフットで走っているのです。ヒールストライクなのは歩いているときだけです。ということは、初心者の筆者でもカーボンプレート内蔵シューズの効果を味わうことができると考えたわけです。

びっくりするくらい跳ねるように足が前に出る!

カーボンプレートを内蔵しているのでソールはかなり硬いのではと思っていたのです。実際には片手でほぼ半分に折り曲げられるくらい柔軟な仕様になっています。

実際に「MONT BLANC CARBON」が手元に届いて、最初にやったことはソールを思いっきり折り曲げることでした。カーボンプレートを内蔵しているので、硬くてほとんど曲がらないのでは? と思ったのです。

しかし「MONT BLANC CARBON」はかなり柔軟に曲がります。グニュッとほぼ半分になるイメージで曲がるのですが、そこからの反発での戻り方がカーボンプレートを内蔵しないほかのモデルとは大きく異なります。強い反発でバシッといった感じで元に戻るのです。これこそが「超反発素材+カーボンプレート」の威力。

これなら足の動きを妨げることなく、十分な反発が得られるでしょう。履き心地については同じアルトラの「TIMP 5」に比べてややタイトな印象。筆者もカーボンプレートの反発が逃げないようにと思って、やや靴紐をきつめにしていることもあるのでしょう。

なお「MONT BLANC CARBON」が28.5cmで309gなのに対して「TIMP 5」が同サイズで277gなので、実は「MONT BLANC CARBON」のほうが少し重いのです。ただし、実際に走っているときの体感は筆者は「MONT BLANC CARBON」のほうが軽く感じます。

まずはいつもどおり10kmほど走ってみたのですが、カーボンプレート内蔵シューズというだけでかなりテンションが上がります。また、1km7分程度のイメージで走っても6分台半ばくらいのタイムで走れる印象です。

着地すると、確かに普段の「TIMP 5」よりも反発が大きく、その反発力を利用して次の足が出ていくといった印象。極端な言い方をすれば、弾むように次の足が出ていくといった感じでしょうか。同じくらいの力の入れ方で走っても、カーボンプレートを内蔵していない「TIMP 5」よりも1kmあたりで20〜30秒速くなる感じなのです。

筆者は最近1kmあたり6〜7分のペースで走っていることが多いのですが、「MONT BLANC CARBON」での10kmジョギングではラスト1kmが5分台半ばになっていることもあります。確かに少ない労力で速く走れる気がするのです。すごい。

いいことだらけだが、注意も必要

「Vibram® Megagrip with Litebase」を採用しているためか、走行時のバランスを崩すこともなくカーボンプレート内蔵シューズで気持ちよくグリップすることができます。

「超高反発ミッドソール+カーボンプレート」の反発で同じ労力でも跳ねるように走れるイメージの「MONT BLANC CARBON」。実際にタイムもカーボンプレートなしのシューズに比べると伸びているのも確認できました。カーボンプレートすごい。

ですが、注意してほしい点もあります。筆者はあまり股関節を大きく動かさず、長距離はチマチマとフォアフットで走っているのですが、普段からそんなフォームの筆者でもカーボンプレートを内蔵した「MONT BLANC CARBON」で走った後のほうが、カーボンプレートなしの「TIMP 5」で走ったときよりもふくらはぎの筋肉に負荷を感じます。

当たり前なのですが、「MONT BLANC CARBON」でより強く踏み込むと反発もより強く返ってきます。そして、その衝撃を各筋肉などで吸収する必要があるわけです。

「超高反発ミッドソール+カーボンプレート」の反発でかなり気持ちよく走れるので、これがかなり危険だと思われます。しかも、速く走れば、走るほど強い反発が実感でき、楽しいのです。もっと強く踏み込みたいという誘惑に駆られます。そして、その誘惑に乗ると、より速く走れるわけです。そして、その反発と衝撃を吸収できなくなるのと故障が発生するでしょう。

普段はヒールストライク走法でカーボンプレート内臓シューズのときだけ、フォアフット走法といった方は特に注意する必要があるのでしょう。筆者は5月に故障して2カ月ほど走れなかったので、「MONT BLANC CARBON」の気持ちよさにかなりビビっています。しっかりと慣れてから、スピードを出すことをおすすめします。

また、筆者はカーボンプレート内蔵の「MONT BLANC CARBON」とそれ以外のカーボンプレートなしのシューズで交互に走るようにしています。「MONT BLANC CARBON」で走るのは超楽しいのですが、ややふくらはぎなどに負荷を感じるので、カーボンプレート内蔵シューズでばかり走らないようにしています。

足指の間が広がって気持ちいい「Correct Toes」

やわらかなシリコン製の「Correct Toes」。足の指にはめて、足指の間を広げるような効果が得られます。筆者は結構気持ちよいので仕事の時などにはめています。

今回「MONT BLANC CARBON」といっしょに試したのが「Correct Toes」です。アルトラのかかとのないゼロドロップシューズを履くようになって、意識したのが自分がどうやって走っているかでした。実はそれまで自分がフォアフットで長距離を走っていることも意識していなかったのです。

それがゼロドロップシューズを履くようになってから、自分がフォアフットで走っていることを意識するようになり、フォアフットで走っているとアルトラのゼロドロップシューズが気持ちがよいことに気付きました。

そして、もう1つ意識するようになったのが、足指の広がり方です。トゥボックスが広く、足型になっており、足の指がゆったり自然な位置にくるようにデザインされているアルトラのシューズを履いていると足指がしっかりと自然な形で立っているかが気になるようになったのです。

ですが、筆者の足指は外反母趾(がいはんぼし)ということはなさそうですが、足の小指がぴったりとほぼ隙間なく、薬指にくっついており、しかもちょっと横を向いています。調べてみると寝指(ねゆび)や内反小趾(ないはんしょうし)の傾向があるようです。

あまり美しくない足で恐縮ですが、実際に装着したところです。このまま靴下をはいて、つま先に余裕のあるALTRAのシューズであればはいて行動することも可能です。

実際のところ、痛みなどがあるわけではないのですが、バランスを崩しやすくなるといったデメリットがあるといいます。また、筆者としてはアルトラのゼロドロップシューズを履くことで非常に気持ちよく走れるようになったこともあり、アルトラのいう足指を解剖学的に自然な位置になり、足と足指が健康的な姿勢になり、足本来の位置と機能を取り戻すことができるという状態がどのくらい気持ちがよいのかに興味があるのです。

そのために「Correct Toes」を試しているのですが、これが結構気持ちいい。筆者の足指は自然な状態といわれる位置よりもかなり各指の隙間が小さいようで、シリコン製の「Correct Toes」を装着すると指と指の間が広げられる形になります。この指と指の間が広げられる感じが意外といいのです。

特に筆者の場合、足の人さし指と中指、薬指と小指の間の隙間が狭く、ほぼ密着している状態なので、広げられると風通しがよくなったような、ちょっと開放された感じがします。そのため、家で仕事をしているときなどは「Correct Toes」を着けたまま、生活していることも珍しくありません。

「Correct Toes」の装着時間を長くして、そのまま、靴や靴下をはいて歩いたり、走ったりしたほうが効果的だということで試してみたのですが、さすがに装着したまま1日出歩くとちょっと足が痛くなるので、出掛ける際にはあまり使っていません。

さすがに1〜2カ月程度、可能なタイミングで使っただけでは、足指の形が変わってきたといった顕著な効果はありませんが、着けるとちょっと気持ちがいいですし、足指の使い方を意識するようになるので、今後の引き続き使ってきたいと思っています。

まとめ:カーボンプレート内蔵シューズは初心者も試してみるべき

足を意識すると走るのがもっと楽しくなるのでおすすめ

カーボンプレート内蔵シューズというだけで筆者はテンションが上がるので「MONT BLANC CARBON」はかなり気に入っています。

ジョギングレベルのスピードで走っているランニング初心者の筆者にカーボンプレート内蔵シューズは豚に真珠かと思ったのですが、実際に履いてみるとすごく楽しいのです。筆者の場合は元々フォアフット走法であることもあるのでしょうが、低速では低速なりに反発を感じながら走ることができました。

元々フォアフット走法だといっても「MONT BLANC CARBON」で効率的に走るにはコツがあるようで、カーボンプレートなしのアルトラのシューズとも少し違った走り方をしています。普段よりもかかとを使わない走りを意識するというか、ちょっとかかとを浮かせるような走り方のほうが筆者は「MONT BLANC CARBON」で気持ちよく走れるようです。

このときに靴の中の足指の動きも意識するようになったのは「Correct Toes」の効果ともいえるでしょう。足指でしっかりと地面を蹴って、ミッドソールをしならせて、その反動を生かして、前に進む力に変換するといった一歩一歩を意識して走るのは、漫然と走るよりも楽しく、毎回同じコースを走っていても飽きがこないのもうれしいところです。

「超高反発ミッドソール+カーボンプレート」搭載の「MONT BLANC CARBON」はフォアフットで速く走れる上級者向けというイメージでしたが、普段はヒールストライク走法という方でもカーボンプレートの反発を意識しながら、ゆったりとフォアフット走法で走ってみるのもありかもしれません。普段は使わない筋肉などを使うので、故障には十分な注意が必要ですが……。

なんにしても「MONT BLANC CARBON」は毎日のジョギングをとても楽しくしてくれます。ちょっと高価なのがネックですが、普段のジョギングに大きな刺激を与えてくれる魅力的なアイテムになっています。筆者のような初心者でも豚に真珠になることはないと思いますよ。興味をもったら、ぜひチャレンジしてみてください。かなりおすすめです。 

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ALTRA「MONT BLANC CARBON」と「Correct Toes」の詳細と購入について

製品の詳細についてはALTRAの公式サイトをご覧ください。

齋藤千歳(サイトウ チトセ・Saito Titoce)

元月間カメラ誌編集者。北海道の絶景や野生動物の姿を追い求めているうちに、キャンピングカー・車中泊でのアウトドアライフにどっぷりハマっていました。現在2歳の息子、そして妻と全道を巡っているうちにカメラ・レンズはもちろん、アウトドア・キャンプ、子育て、PCガジェット、料理に、ダイエットまで経験したすべてを撮影し、執筆するフォトグラファーライター。OUTDOOR GEARZINEではキャンプ及びキャンピングカーでの生活クオリティを上げる「QOCL(Quality of camping life)向上委員会」を中心にさまざまな記事を執筆していく予定です。

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