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【どこを使って走っている?】短距離、長距離、歩きでも違うことをゼロドロップのアルトラ「TIMP 5」&「ALTRAFWD EXPERIENCE」で自己認識できた

ジョギング好きなのに、ちっとも速くならない筆者。原因もわからずにいたのですが、ゼロドロップでナチュラルランニングを標榜するALTRA(アルトラ)の「TIMP 5」&「ALTRAFWD EXPERIENCE」で走ってみて原因が腹落ち。その理由とアルトラでのランニングの心地よさについて報告します。

ゼロドロップの「ALTRA(アルトラ)」シューズとは

今回試してみたアルトラの「TIMP 5」(写真:左)と「ALTRAFWD EXPERIENCE」(写真:右)。足を締めつけず、自然な立ち方で走れます。

かかとがなく、つま先が広く、柔軟なソールをもつアルトラのシューズ

ハイヒールは極端ですが、一般的な靴はつま先側よりもかかと側のほうが厚みがあったりして高くなっているのが一般的でしょう。これはランニングシューズなどでも普通で、シューズを履いていない素足の状態に比べて前傾しているわけです。

アルトラランニング共同創業者であるゴールデン・ハーパーは、この当たり前に疑問を持ち、市販のランニングシューズのヒールを切りとって、つま先とかかとで高さの差がないゼロドロップのシューズを作り出し、実際に使用しました。その結果「ゴールデンは生まれて初めてランニングシューズを履いて、走ることを邪魔されないと感じたのです」というのです。これが現在も自然な走りを目指すアルトラブランドが生まれた原点。

また、アルトラのシューズのもう1つの大きな特徴は、5本の指を締めつけないゆとりのあるつま先部分のデザイン。足の5本の指がそれぞれしっかりと広がり、ベアフット=アルトラでは足の自然な状態が保てるようにデザインされています。この結果、足のアーチ構造が十分に機能し、衝撃の吸収、反発、安定性を得ることができるようにデザインされているのです。

さらにゼロドロップでありながらも、しっかりとしたクッション性を確保したソールは非常に柔軟で足の動きに合わせて、フレキシブルに屈曲するのも、その特徴だといいます。

そんなよいことだらけに聞こえるアルトラのシューズを、実際に試してみる機会を得たので、筆者は、普通にシューズからゼロドロップシューズへの移行をスムーズにしてくれるという「ALTRAFWD EXPERIENCE(アルトラフォワード エクスペリエンス)」と完全なゼロドロップでトレイルランニングはもちろん、ハイキングにも最適だという「TIMP 5(ティンプ 5)」を実際に試してみました。

注意点としては、日本人ランナーに多いランニング時かかとから足を着くヒールストライク走法の方などは、いままでのシューズからアルトラのシューズに移行する際に違和感などを感じる方もいるそうです。この場合、徐々に慣れていく必要があるといいます。

おすすめのポイント

  • 自分がどう走って、どう歩いているのかを意識できる
  • つま先や足の指がおさえつけられないのでラク
  • 走りの強度によって変わるソールの印象
  • 人によってはランニングの速度が上がるかも

気になったポイント

  • ヒールストライク走法の方には違和感があるかも

主なスペックと評価

項目ALTRA ALTRAFWD EXPERIENCEALTRA TIMP 5
重量(片足)240g(US10.5 / 28.5cm)277g(Mens US10.5 / 28.5cm)
ミッドソール圧縮成型EVAフォームAltra EGO™ MAX
アウトソールRubberVibram® Megagrip
スタックハイト28 mm/32 mm(ドロップ4mm)29mm(ゼロドロップ)
アッパーエンジニアードメッシュQuick-Dry Air Mesh
価格20,350円22,000円
Outdoor Gearzine 評価
快適さ★★★★☆
クッション性★★★★☆
好みの別れやすさ★★★★★
コストパフォーマンス★★★☆☆

自分の実際の走り方に気付いてから、ゼロドロップシューズにどハマり

足の運び方が筆者には2種類しかないことを発見した

筆者お気に入りの「TIMP 5」。トレイル向けのモデルでトレイルランニングはもちろん、ハイキングにも対応。日々のランニングだけなく、撮影散策の際にも活躍しています。

みなさんはどんな風に歩いて、もしくは走っていますか? アルトラのシューズを履くまで、筆者は、ほとんど自分の歩き方、走り方を意識したことがありませんでした。子どものときから、歩くときはそれこそ、かかとを地面に叩きつけるように、いわゆるヒールストライク走法、走るときは短距離でも、長距離でも足のつま先側で大地を蹴る、フォアフット走法の2種類で、室内など足音を控えめにしたいときには、つま先歩き、いわゆるフォアフット走法で歩くことはあっても、ヒールストライク走法で走ることはありませんでした。

子どものときは、比較的運動好きでしたし、小柄で体重も軽かったせいか、走るときはフォアフット走法だけで十分だったのでしょう。実際に短距離も、長距離も結構速かったのです。しかし、40代で走りはじめ、運動不足で体重は人並み以上のおじさんである現在の筆者にかかとをほとんど地面につかないフォアフット走法はかなりきつい。そのため、うまく体重の移動ができていない、まるで足踏みのようなフォームを自分のなかでは足の裏全体を使ったミッドフット走法だと思って走っていたわけです。これがとても遅い。

ちなみに筆者はランニング中にかかとから足を着くヒールストライク走法がうまくできず、いまだに時折練習してます。トップレベルのランナーを別にすれば、筆者のようにストレス解消レベルでゆったりと走っているライナーにとってはヒールストライク走法は、多くのメリットがあるので、ふくらはぎの肉離れを起こした際に通ったリハビリの先生にすすめられ、ちょっと憧れている部分があるのです。

しっかりとクッションの効いたゼロドロップシューズにどハマり

「ALTRAFWD EXPERIENCE」。いきなりゼロドロップは不安、走りづらいのでは? という方向けに用意された4mmの低ドロップモデル。

ダイエットと運動不足解消になんとなく走りはじめた筆者は、自分がどのように走っているかすら知らなかったのですが、今回テストした2足のアルトラのシューズ「ALTRAFWD EXPERIENCE」と「TIMP 5」にどハマりしました。

実は一般的なランニングシューズ、おそらくドロップが10mm近くあったと思われるシューズから、本サイトでもレビューしたSALOMONの「Thundercross」に履き替えたとき、筆者はとても走りやすくて、びっくりしました。このときには気付いていなかったのですが、ミッドフット走法からフォアフット走法気味の筆者にとっては、ドロップが4mmしかないSALOMON 「Thundercross」は無意識レベルで走りやすかったようです。

そして、ドロップゼロのアルトラシューズへの入門モデルとして用意されている「ALTRAFWD EXPERIENCE」はドロップが4mmとたまたまですが、まったく同じでした。当たり前ですが、まったく違和感もなく、すごく走りやすい。さらに筆者は足の幅が広いため、つま先が細めのデザインのシューズだと普段よりもワンサイズ大きなものを選ばないといけないほどです。しかし、アルトラのシューズはつま先部分が膨らんだような、足の5本の指がナチュラルな状態になるベアフットデザインなので、とても楽。これも非常に走りやすい原因になっています。

ですが、よりどハマりしたのが、ドロップゼロの「TIMP 5」。この「TIMP 5」に履き替えたときには、自分の走り方がミッドフット走法からフォアフット走法気味なことにも気付いていなかったのです。すごく走りやすい。なんといったらよいのでしょう。走っていると足が勝手に前に出るような気持ちよさなのです。筆者にとってランニングシューズのかかとはいらなかったのだ! と感動したほど。

気持ちよすぎて、調子に乗って、やってしまった!

一般的なシューズが先に向かって細くなっているのに対して、アルトラのシューズは足先の5本の指を締めつけず自然な状態に保つように少し膨らんでから細くなっています。

アルトラがいうところのベアフット、足先の5本の指が自然な状態になるため、締め付けがなく、とても気持ちいいのは「ALTRAFWD EXPERIENCE」も「TIMP 5」も同様。「ALTRAFWD EXPERIENCE」は4mmドロップですが、「TIMP 5」はゼロドロップです。ミッドフット走法を意識しながらのややフォアフット気味の筆者の走り方だとゼロドロップの「TIMP 5」のほうが履きやすいのですが、さらなる違いがソールにありました。

感じ方に個人差はあると思いますが、ケガをすることなく多くの方がドロップのあるシューズからゼロドロップのアルトラのシューズに移行するために開発された「ALTRAFWD EXPERIENCE」のソールがやわらかめ、これに比べて「TIMP 5」のほうがソールがやや硬く、高反発なのです。

この硬さが、北海道の雪道ランニングに飽き飽きして、雪が溶けて徐々にランニングのペースを上げていた筆者の要望にベストフィット。1km6分台のペースから10kmでは5分台、5kmのランニングでは4分台にペースを上げていたのですが、スピードを上げて踏み込みを強くするほど、しっかりとした反発でより気持ちよく走れる印象なのです。

「TIMP 5」で走るたびにタイムが上がってくる印象で、おそらく、体重の増加と筋力の低下からくる故障を恐れて、できるだけ足の裏全体で着地するミッドフット走法を意識していたのが、無意識により速く走りやすいフォアフット気味になっていたのでしょう。

10kmで55分を切りはじめ、5kmが25分前後となってきたある日、かなり調子に乗っていた筆者は早朝10kmの自己新を更新したあと、息子と4kmのウォーキング、なぜか5kmの自己新も更新できるような気がして1km4分台のペースで、さらに5km走ったのです。確かに5kmの自己新は更新したものの、ふくらはぎに強い痛みが……、次の日から片足をかばうように歩く日々がはじまりました。

肉離れから復帰しても「TIMP 5」でのんびりランニング

ミッドソールにAltra EGO™ MAX、アウトソールにはVibram® Megagripを採用する「TIMP 5」。それでも普通のシューズよりも柔軟で足の動きを阻害しません。

ミッドフット走法からややフォアフット走法気味に筆者にとってゼロドロップのアルトラのシューズはアルトラランニング共同創業者であるゴールデン・ハーパーが自作のゼロドロップシューズで「生まれて初めてランニングシューズを履いて、走ることを邪魔されないと感じた」という話と同じように、ちょっと驚くくらい足がスムーズに動く印象。感動的ですらありました。

ただし、必要な部分の筋力などが十分ではなく、体重の重いランナーには向かないフォアフット走法気味な走りになっているのに、気持ちよすぎて無理をしたのがふくらはぎの肉離れの原因といえるでしょう。まあ、完全に自業自得なのですが……。

ふくらはぎの肉離れからの復帰には約2カ月。しっかり運動をサボった筆者はさらに体重が増加しました。しかし、足が痛くて走れなかった期間にプールウォーキングや水泳、さらには生まれてはじめて病院のリハビリに数回通い、自分の歩き方や走り方について意識することもできたのは、よい経験だったと思います。

そして、肉離れから復帰した今、北海道でも30度を超える日が続きますが、あまり足に負担がかかるフォアフット走法気味にならないように意識しながら「TIMP 5」で走ることを楽しんでいます。残念ながら、増えた体重は戻らず、重い身体のままで踏み込むのは怖いので1km6分台のスローペースですが、ゼロドロップであるアルトラのシューズは筆者を気持ちよく走らせてくれています。

まとめ:どう走るかを意識することで、もっと走るのが楽しくなる

ゼロドロップが気に入ったから、逆にヒールストライク走法も試している

最大の特徴はかかとのないフラットなゼロドロップの靴底。筆者の走り方だと感動的にベストフィットですが、好みは別れるところでしょう。

かかと着地を意識すると、うまく走れなくなる筆者にとってはゼロドロップのアルトラのシューズは、ある意味ベストフィットともいえるシューズです。とても気持ちがいい。

しかし、それで調子に乗って距離を伸ばし、スピードを上げた結果がふくらはぎの肉離れでは、典型的なフォアフット走法の弊害といったところでしょうか。そのため、年齢や体重、ランニング初心者であることを考えると、リハビリの先生にはかかと着地を意識したヒールストライク走法を学ぶことを推奨されたほどです。

残念ながら筆者はゼロドロップのアルトラシューズ+ミッドフット走法からややフォアフット走法気味の今の走り方をやめるつもりはありません。だって、走っていて気持ちがいいのですから。ですが、逆に自分がかかと着地で上手に走れないことにも気付いていなかったヒールストライク走法にも興味が湧いたことも事実です。

毎日のように走るなら、今日はゼロドロップシューズでミッドフット走法、明日は1cmを超える高ドロップのシューズでヒールストライク走法といった楽しみ方もできそうです。また、「ALTRAFWD EXPERIENCE」のように約4mmとドロップの少ないシューズで走っている途中で意図的に走法を変えるのもおもしろいのではないでしょうか。

ちょっと走れば数万歩も同じ動作を繰り返すランニング、筆者は自分がどう走っているかも意識せずにゼロドロップが基本のアルトラのシューズを体験。自分はうまくヒールストライク走法ができないことに気付きましたが、普段はヒールストライク走法という方も、そうでない方もゼロドロップのアルトラシューズで走ることで気付くことがたくさんありそうです。1度ベアフット=ナチュラルフィットでゼロドロップのアルトラのシューズを試してみてはどうでしょうか。筆者個人は超おすすめです。

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Altra
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ALTRA「ALTRAFWD EXPERIENCE」と「TIMP 5」の詳細と購入について

製品の詳細についてはALTRAの公式サイトをご覧ください。

齋藤千歳(サイトウ チトセ・Saito Titoce)

元月間カメラ誌編集者。北海道の絶景や野生動物の姿を追い求めているうちに、キャンピングカー・車中泊でのアウトドアライフにどっぷりハマっていました。現在2歳の息子、そして妻と全道を巡っているうちにカメラ・レンズはもちろん、アウトドア・キャンプ、子育て、PCガジェット、料理に、ダイエットまで経験したすべてを撮影し、執筆するフォトグラファーライター。OUTDOOR GEARZINEではキャンプ及びキャンピングカーでの生活クオリティを上げる「QOCL(Quality of camping life)向上委員会」を中心にさまざまな記事を執筆していく予定です。

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