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KATADYN(カタダイン)「ビーフリーAC 0.5L」レビュー:浄水スピードがさらに早く!水筒のように使える実用性の高い浄水ボトルの大本命

フィールドでの水分補給。水資源に恵まれた日本では、持ち込み飲料が無くても登山道のそばに流れる沢の水や湧き水などにアクセスできることが少なくないため、フィールドで水に困る心配は比較的少ないといえます。ただ昔に比べれば「どこの沢水・湧き水でも絶対に安全」とは一概に言えなくなっているのも事実です。

一見きれいに見える川でも汚染状況は分かりにくく、フィールドでの判断は難しいでしょう。大腸菌やピロリ菌、エキノコックス(北海道地域)など目には見えない危険も潜んでいます。万が一にも水の確保に困ることがないよう、携帯型の浄水器があると安心です。

アウトドア用の携帯浄水器は市場に多くありますが、今回はリニューアルした「KATADYN ビーフリーAC 0.5L」を使用する機会をいただけたためレビューします。旧モデルも手元にあるため、リニューアルされた違いも含めてお伝えします。ビーフリーAC0.5は浄水スピードが早く、片手で取り扱いができることで登山でも行動中に積極的に使える実用性の高い浄水ボトルでした。「飲める水」だけでなく、「飲めるおいしい水」を求める人にとっておすすめのアイテムです。

ビーフリーAC 0.5L ブルーの主な特徴

KATADYN(カタダイン)は1928年にスイスで誕生した浄水器の専門ブランド。世界各国の軍隊や公的機関で採用され、日本でも陸海空の三自衛隊が導入するなど信頼性の高い浄水器ブランドです。

ビーフリーAC 0.5Lは携帯に便利なコンパクトなモデルで登山やハイキング、キャンプなどアウトドアアクティビティに最適な浄水器。ホロファイバーフィルターと活性炭フィルターの2段階浄水システムが採用されており、ホロファイバーフィルターは0.1ミクロン(0.0001㎜)の無数の微細孔をもつマカロニ状のホロファイバー膜が、水に含まれる微生物を99.9%、バクテリアを99.9999%除去し安全な水を精製、活性炭フィルターが気になる水の臭いや塩素を軽減します。ハイドラパックのソフトフラスクが使用され、しなやかな材質で軽量性が重視されており、使用後は折りたためるため持ち運びもかさばりません。

片手で開閉できるフリップキャップは操作性が高く、飲み口がシリコン性になっていることで口当たりのよい使い心地で、各パーツは分解できるためメンテナンスがしやすい浄水ボトルです。

お気に入りポイント

気になるポイント

主なスペックと評価

アイテム名 ビーフリーAC 0.5L ブルー
サイズ 8.5×5.4×27.3cm
素材 ソフトフラスク材質 TPU(ハイドラパックソフトフラスク使用)/目盛り付き
重量 72g
出力 最大2ℓ/分
洗浄能力
  • ホロファイバーフィルター:最大1,000L
  • 活性炭フィルター:最大200Lまたは使用開始より3か月(水質によって異なります。)
Outdoor Gearzine評価
浄水性能 ★★★★☆
重量&携帯性 ★★★★★
ろ過スピード ★★★★★
手入れのしやすさ ★★★★☆
1回あたりのろ過容量 ★★☆☆☆
耐久性&使い勝手 ★★★★☆
適したアクティビティ ソロや少人数での日帰りトレイルランニングや、ハイキング・登山をはじめとした長期のテント泊

詳細レビュー

2種類のフィルターが水中の原生動物や細菌を99.9999%除去&臭い軽減

ビーフリーAC 0.5Lはマカロニ状になっているホロファイバーフィルターと、マクロ孔 メソ孔 ミクロ孔のあいた活性炭フィルターの2段階構造により浄水します。ホロファイバーフィルターは0.1μm(0.0001mm)の無数の細孔を持ち、水中のアメーバやミジンコなどの原生動物や、大腸菌などの細菌(バクテリア)を99.9999%除去してくれます。そして活性炭フィルターが水の臭いや塩素を軽減し、確保した水をよりおいしくしてくれます。

市場にある浄水器の多くがホロファイバーフィルターだけの構造のモデルが多く、飲み水を確保するだけであればホロファイバーフィルターだけでも十分ですが、ビーフリーAC 0.5Lは活性炭フィルター付きにアップデートされたことで水質だけでなく、水の味にもこだわっています。川の水は一見きれいでも独特の臭いがあることも少なくありませんがビーフリーAC 0.5Lで浄水した水は臭いが抑えられ、飲みやすかったです。活性炭フィルターは約200L、ホロファイバーは1000Lの安全な水を精製する浄水能力を備えており、1000Lという量は、飲料水の他に調理用として1日3Lを必要とした場合、333日分の水を浄水できる能力があります。

水を入れやすい大きめの口径・しなやかで耐久性の高いソフトフラスク

フィルターを外すと、ソフトフラスクの口径は約33mmあり、ペットボトルなどの口径よりも大きいため水を汲みやすく、水場では素早く補給することが可能です。ペットボトルに対応できる浄水器は汎用性の面においてメリットがありますが、容器に水を入れる際の効率が悪いのがデメリット。さらにボトル型の容器は耐久性が高い反面、形状を変化させることができないため、浅い水場などでは水を汲むのにも苦労することがありますがビーフリーAC 0.5はしなやかなソフトフラスクなため、チョロチョロとしか出ていない水場であっても水が汲みやすかったです。

ソフトフラスクには目盛りもあるため残量が一目でわかる

ゴムのような弾力性と硬質プラスチックのような強度を兼ね備えた素材TPUが使用され、ハイドラパックのソフトフラスクを採用することで耐久性も高く、加えて柔軟性も備えているため、使わないときはクルクルと丸めて収納することも可能です。

交換用のカートリッジがやや高価

気になった点としてはカートリッジ交換のランニングコストです。ビーフリーAC 0.5L用の交換用のホロファイバーフィルターは8,580円、活性炭フィルターは3個入りで6,380円(1つ2,126円)。浄水能力が高いため、そこまで頻繁に交換する必要はないにせよ、市場の浄水器と比較するとやや高め。活性炭フィルターが付いていることで水の品質が向上し、おいしい水が飲めることは何よりのメリットではありますが、長く使うことを考えるとランニングコストは少し気になるところです。

軽量で早い浄水スピード、マチのない形状で行動中に使いやすい実用性の高さ

逆さにするだけで浄水された水がでてくる

ビーフリーAC 0.5Lは逆さにした状態にするとすぐさま浄水が始まります。口で吸引した時の浄水スピードはさらに早くなり、普通にストローを使って飲んでいるのと変わらないくらいの感覚で飲むことができます。フリップキャップ構造になっていて片手で開閉可能で、飲み口シリコンのマウスピースが採用されていることで口当たりがよく飲みやすくなっています。

片手での操作が可能

浄水器と容器を合わせて72gですから非常に軽量で、底部にマチがなく、サイドポケットやボトルホルダーに入れやすい形状は行動中に使うウォーターボトルとして積極的に使うことができました。容量は500mlで、底マチがあった旧モデルと比べると一回り小型です。小型になったことで容量が約100ml少なくなりましたが、それはコンパクトになっということ、これがメリットと捉えるかは使い手によりますが、少なくとも筆者にとっては小型になったことはストレスにはならず、マチがないことでサイドポケットなどに差し込みやすく使いやすかったです。

旧モデルとの大きさ比較。マチがある分、旧モデルの方が大きく容量は600ml

ホロファイバーフィルター部にはループがあるため、カラビナなどを使うことでボトルホルダーなど使わずにバックパックに取り付けることもできます。この使い方はランニングなど激しい行動時においてはボトルがブラブラと動いてしまうため邪魔になりますが、ハイキングなどであればさほど気にならず、カラビナ操作も含め全てを片手で行えるため使いやすかったです。ループがついた分、旧モデルと比べ約13g重たくなりましたが、汎用性が高くなったことで使い方の幅は広がっています。

カラビナを使ってバックパックに引っかけることも可能

メンテナンスのしやすいシンプルな構造

浄水器で心配になるのが保管です。浄水器は一度使うと水分を含んだフィルター部は完全に乾かなくなってしまう構造になっているものも多く、保管中の衛生面は気になるところ。ビーフリーAC 0.5Lはシンプルな構造ながらも2つのフィルターを取り外すことができるため、しっかりと乾かすことができます。そのため使用後は容器とフィルターを外し、しっかりと乾燥させてから保管することで衛生面も気になりません。

まとめ:「軽さ」と「快適さ」を求めるハイカーにとってはまさに待望の一台!

KATADYN ビーフリーAC 0.5Lを紹介しました。

ろ過するために労力を必要としないビーフリーAC 0.5Lなら登山やハイキングだけに関わらず、幅広いアウトドアアクティビティにおいてストレスなくおいしい水を確保することができます。人間は体の半分以上が水分でできているといわれています。そんな重要な「水」をいつでもおいしく摂取できるよう、ビーフリーAC 0.5Lを相棒にフィールドへと出かけてみてはどうでしょうか。

Yosuke(ヨウスケ)

不便にならない程度に「できるだけ軽く」をモットーにバックパックひとつで行動する人。

春から秋にかけては山奥のイワナを追いかけて渓流へ釣りに。 地上からは見ることのできない絶景を求めて山を歩き。 焚火に癒されたくてキャンプ。 白銀の山で浮遊感を味わいにスノーボード。

20年以上アウトドアを嗜み、一年中アウトドアを自分流に楽しむフリーランスのライター。数十以上のアウトドア系WEB媒体での記事執筆経験をもとに、自身の経験や使ってみて良かった道具を発信していきます。

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