登山はシーズン最盛期。下界はまだまだ暑い日が続きますが山の上はもう秋の気配がしてくる頃です。
1gでも装備を軽量したい人にとって「軽さ」は正義。
快適さを犠牲にしてでも装備を軽くしたい人にとって今回紹介するギアは魅力的にうつるかもしれません。
「ドームテントよりは軽量にしたいけど、ツェルトはちょっと。。」なんて思っている人におすすめなのがモンベル「U.L.モノフレームシェルター」です。最小重量は552gと一般的なドームテントの半分!
U.L.モノフレームシェルターは1gでも軽くしたい人やトレイルランニング、スピードハイクする人で居住性の高さよりも眠るためのプライベートな空間を確保したい人にぴったりなアイテムでした!
そんなU.L.モノフレームシェルターの使ってみて感じたことをレビューします。
目次
モンベル U.L.モノフレームシェルターの主な特徴
モンベルは登山やキャンプ用品だけでなく、クライミングやカヌー、フィッシング、トラベル用品や、農業や漁業などのフィールドで働く人のためのウエアなど、幅広く取り扱うアウトドア総合ブランドですが、アメリカではモンベルが作るULアイテムに注目が集まり、人気を呼んでいます。
そんなモンベルが作っている「U.L.モノフレームシェルター」は一人が寝ることのできる空間を確保するためのシェルターです。
シングルウォールの非自立式のU.L.モノフレームシェルターは従来のクロスフレームのドームテントよりもフレームを少なくし、大幅な軽量化を実現させており、本体の生地には極薄の10D・バリスティックエアライトナイロン・リップストップをウレタンコーティングにより撥水加工、強度が必要なボトム部は生地を30Dに厚くすることで耐久性を高めています。
モノフレームで中央部に確保されたスペースはコンパクトながらも居住性が高められており、全部で4箇所あるベンチレーションで通気性を確保することで効率的な空気循環をしてます。
設営に必要なペグは最低2本で、ワンポールテントやツェルトよりも少ないペグで設営でき、追加で張り綱を張ることで山岳でも使用可能な耐候性を確保することができます。
フロアもあることで機密性も高く、プライベートな空間を確保することが可能です。
お気に入りポイント
- 超軽量で携帯性に優れる
- 全4箇所のベンチレーションで確保された通気性
- 非自立式だけど、ペグ2本で自立する簡単さ
気になるポイント
- 室内は広々快適とはいえない
- どうしても避けられない結露
- 専用フットプリントがない
- 出入り口に設けられたメッシュはテント内からの操作ができない
主なスペックと評価
アイテム名 | U.L.モノフレームシェルター |
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構造 | 非自立式・モノフレームシェルター |
就寝人数 | 1名 |
サイズ | 300 x 115 x 高さ105cm |
収納サイズ |
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本体重量 | 本体+ポールで552g、スタッフバッグを含む総重量で606g |
カラー | イエロー |
素材 |
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付属品 |
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Outdoor Gearzine評価 | |
快適性 | ★★☆☆☆ |
設営・撤収の容易さ | ★★★★☆ |
重量 | ★★★★★ |
携帯性 | ★★★★★ |
耐候性 | ★★★☆☆ |
耐久性 | ★★★☆☆ |
詳細レビュー
超軽量で携帯性に優れる
U.L.モノフレームシェルターは外気と隔てる生地が1枚しかないシングルウォール構造で、一本のフレームしか使用しないモノフレーム式のため、2本のポールを使用するクロスフレームのドームテントと比較すると驚くほど軽いです。
U.L.モノフレームシェルターは通常のテントとは用途が異なり、経験者向けのシェルターですが、本体、ポール、ペグ2本、スタッフサックを含めた総重量は実測値で576gと重量のアドバンテージは大きくなります。
昨今では技術の発展により、ダブルウォールのドームテントでも1kgを切るような軽量なテントがありますが、U.L.モノフレームシェルターと比べてみるとその差は一目瞭然(ドームテントでこの重量まで軽くすることはまだまだ難しいでしょう)
シングルウォールテントの利点は重量だけではありません。使っている生地が少ない分、収納時にはコンパクトになります。
500mlのペットボトルと比較してみるとコンパクトさを実感することができます。
U.L.モノフレームシェルターは前室がないため、悪天候の時の調理だったり、脱いだ靴の置き場だったり、居住性はいいとは言えませんが、その代わりに得られるものは大きいです。
ちなみに、きちんと折りたたんで収納するのが苦手な筆者。U.L.モノフレームシェルターの収納バックには無造作に詰めんこんでも収納可能です(これはズボラな人にとっては結構重要)
快適性を捨てて「軽さ」に特化した「菱形」シェルター
先述した通り、U.L.モノフレームシェルターは重量が575.5gと超軽量ですが、その秘密は「形状」にもあります。上からみてみるとユニークな「菱形」になっていることが分かります。
ドームテントをはじめとする多くのテントが四角形のフロア構造になっていますが、U.L.モノフレームシェルターは「菱形」です。
一人が寝るスペースのほかに、少し荷物を置く分のスペースはありますが、バックパックなど大きな荷物は中には入れることができなかったので、ビニール袋に入れてテントの外に置きました。
前室がないのもそうですが、テント内のスペースも極限までカットすることにより軽く、コンパクトになっています。
ユニークな形状で困ったのがフットプリント
菱形のユニークな形状で、困ったのがフットプリントです。専用のフットプリントがないため、テントへのダメージを防ぐために筆者はタイベックシートをシェルターの形状に折りたたんで使用しました。
快適さも外せないキャンプやテント泊登山での使用となるとクセの強いU.L.モノフレームシェルター。万人に使いやすいように作られておらず、あくまでもエマージェンシー用かファストパッキングやスピードハイクなど軽さを最優先したい人向けに作られたシェルターだと感じます。
全4箇所のベンチレーションで確保された通気性
U.L.モノフレームシェルターはフロアがあるため、機密性が高く、プライベートな空間を確保することができます。
空間体積は小さいので、息苦しくなったりするのかと心配だったのですが、全部で4箇所のベンチレーションが確保されており、しっかりと通気してくれるため中で過ごしていても息苦しさなどは感じることなく過ごすことができました。
気になった点としては、出入り口に設けられたメッシュはテント内からの操作ができないこと。シングルウォール構造のため仕方のないことですが、、、ダブルウォールテントを使い慣れている筆者からすると少し気になってしまいました。
避けては通れない「結露問題」
シングルウォール構造のテントやシェルターだとどうしても回避することができないのが「結露」です。U.L.モノフレームシェルターには4箇所のベンチレーションが設けられていますが、テント内で過ごしていると結露してしまいました。
結露は外気とテント内との温度差や、人の吐く息が水蒸気となり結露します。ダブルウォールテントの場合、外気との間に空間が一つあることで温度差を少なくすることができ、結露の発生を抑えることができますが、シングルウォールテントの場合ではダイレクトに外気との温度差が発生し、結露してしまいます。
U.L.モノフレームシェルターを使うのであれば、結露を予防するというよりは「結露とどう付き合っていくか」を考える必要があります。例えばシュラフやウエアは濡らさないようにカバーをしたり、防水バックに収納するとか、吸水シートや手拭いなどで定期的に結露を拭き取るなど対策する必要があります。
非自立式だけど、ペグ2本で自立する簡単さ
U.L.モノフレームシェルターは非自立式です。自立式のテントは設営後に位置を移動したりすることもできますが、ペグダウンしないと設営できないU.L.モノフレームシェルターはキャンプ地での場所を決めたりする時は少しシビアになります。
とはいえ、フレームが一本あるおかげで自立させるのに必要なペグは2本でOK。一般的なモノポールテントは最低でも4本のペグが必要になるので、それに比べれば設営時の手間は少なくて済みます。
フレームが通っている部分もペグダウンすることができ、張り綱を張れるループも2箇所ついていて、全部で4箇所、追加でペグダウンすることにより耐候性も向上することができます(付属のペグは2本のみ、追加の4本のペグとロープは別で用意する必要があります)
まとめ:ツェルトとテントのいいところどり。非常用にも使える仕様
U.L.モノフレームシェルターは重量が575.5g(ペグ2本込み)と非常に軽量なのが魅力のシェルターです。これだけ軽さ・コンパクトさであれば、非常用のツェルトの代わりとして日帰り登山やハイキングでの装備に加えることもできます。
ツェルトとテントのいいところどりなハイブリットなシェルター・U.L.モノフレームシェルターは機能面や居住性を考えると積極的に使用するにはかなり尖ったアイテムですが、トレイルランやスピードハイク、ファストパッキングなどスピードを重視するようなシーンでの活躍の場はありそうです。
装備を1gでも軽量にしてトレイルへ出かけましょう!