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「本当に良いテント」って何だろう?の答えがここに。最高峰の安心をまとうMSRの新作山岳テント「ハバハバHD」を兄弟モデル「LT」と合わせて徹底レビュー

登山向けテント含んだ、世界中に数あるバックパッキングテントの中でも、多くのテントメーカーがベンチマークとしてそのクオリティの高さを認めている「業界標準」のテントといえば、MSR(マウンテン セーフティ リサーチ)の「ハバハバ」シリーズです。重量、携帯性、居住性、耐久性、使いやすさと、どれをとっても隙がない絶妙さバランスと完成度の高さは、2004年の発売以来世界中の山岳愛好家たちから愛されてきました。

そのハバハバシリーズが2026年、2つの異なる個性を纏った2つのモデルへとアップデート。

一方は昨シーズンここでもレビューしました、信頼性を損なわない水準の耐久性を保ちながら軽さと通気性を極限まで追求した「ハバハバLT(ライト)」。そしてもう一方が今回紹介する新作、日本のような過酷な山岳環境にピッタリの高プロテクション仕様の「ハバハバHD(ヘビーデューティ)」です。

今回はこの新作を、兄弟モデル「LT」と両方を実際に張り比べてみて比較しながら、強みと弱みを多角的に評価し、そして適した人やシチュエーションについてレビューしてみたいと思います。

ハバハバシリーズ共通の主な特徴

厳しい自然での野営に必要な耐久性と快適性、軽量性のすべてをバランスよく兼ね備えた、MSR を代表するオールラウンド・山岳テントである「ハバハバ」シリーズの最大の魅力は、ポールとハブを徹底した研究によって絶妙な角度で組み合わせた自立式フレーム構造です。これによって場所を選ばず短時間で組み立てられ、風などにも強い自立式ドーム構造でありながら、広大な室内空間を可能にしています。広いフロアスペースは幅広サイズのスリーピングマット「サーマレスト ネオロフト ラージサイズ」を入れても余裕のある幅で、フライの両端に配置された大きなベンチレーションによって高い通気性も確保。インナーテント内には多数のポケットと物干しロープなど荷物の整理に便利なギア収納を装備し、軽量ながら高耐久・耐候性ファブリックやDAC製ポールなどの素材使いも妥協ありません。ゆったりと楽しみたい時はもちろん、タフな環境で信頼性を求める時でも、さまざまなシチュエーションで幅広い要求に応えてくれます。

主なスペックと評価

ハバハバHDシリーズは、ソロ向けの1Pからグループ用の3Pまでラインナップされていますが、今回は「HD 1P」をベース評価しています。

項目MSR ハバハバHD 1人用MSR ハバハバLT 1人用
就寝人数1名1名
最小重量約1200 g(インナーテント・レインフライ・ポールのみの重量)約1070 g(インナーテント・フライシート・ポールのみの重量)
総重量約1360 g(ガイライン・ペグ・収納袋含めての重量)約1230 g(ガイライン・ペグ・収納袋含めての重量)
フライ素材ソリューションダイ20Dリップストップナイロン3000mm ポリエーテルウレタン&PFASフリーシリコンソリューションダイ20Dリップストップナイロン1200mm ポリエーテルウレタン&PFASフリーシリコン
インナー(キャノピー)素材ソリューションダイ20Dポリエステルマイクロメッシュ/20Dリップストップナイロン&PFASフリーDWRソリューションダイ20Dポリエステルマイクロメッシュ/20Dリップストップナイロン&PFASフリーDWR
インナー(フロア)素材ソリューションダイ30Dリップストップナイロン6000mmポリエーテルウレタン&PFASフリーDWRソリューションダイ20Dリップストップナイロン1800mmポリエーテルウレタン&PFASフリーDWR
ポール素材DAC NFL 8.7mmDAC NFL 8.7mm
サイズ間口224×奥行81×高さ99 cm間口224×奥行81×高さ99 cm
ドアの数11
収納サイズ51 x 13 cm46 x 13 cm
フロア面積1.82 ㎡1.82 ㎡
   前室面積0.79 ㎡0.74 ㎡
付属品
  • フライシート
  • インナー テント
  • ポール
  • ペグ
  • ガイコード
  • フライシート
  • インナー テント
  • ポール
  • ペグ
  • ガイコード
Outdoor Gearzine評価
居住快適性★★★★★★★★★★
設営・撤収の容易さ★★★★★★★★★★
通気(換気)性★★★☆☆★★★★☆
耐候性★★★★★★★★★☆
耐久性★★★★☆★★★☆☆
重量★★★☆☆★★★☆☆
携帯性★★★☆☆★★★☆☆
汎用性★★★★★★★★★☆

ハバハバHD 詳細レビュー ~LTモデルと比較しながら~

ハバハバHD は、シリーズ共通の特徴である「設営のシンプルさと広く快適な居住空間」を維持しながら、風雨に対する耐候性を(重量を抑えながら)極限まで高めた、高プロテクションモデル。ここからはその性能面での各要素についてみていきたいと思います。

居住快適性:シリーズ共通の「圧倒的な室内の広さ」は健在。さらにギア整理のための収納がアップ!

まずはハバハバシリーズ共通の魅力である「居住快適性」から見ていきます。

ガイライン(張り綱)とペグなどを張らなくても建てられる「自立式」のテントでありながら、一般的な自立式テントに比べて圧倒的にストレスの少ない快適な居住空間を備えたハバハバシリーズの魅力は今モデルでも健在です。それもそのはずで、ハバハバHD はフロアの形状からポールの長さまで、昨年レビューした LT とまったく同じ。つまり居住性に関しては相変わらず非常に快適の一言。

大人1人が横になっても、十分なゆとりがある縦横幅。

サーマレストの革新的スリーピングマット「ネオロフト」のラージサイズを基準に設計されたというフロア面積は、長方形のワイドタイプのスリーピングマットでも十分な余裕があります。ノーマル幅のマットであれば室内にバックパックを苦も無く入れることすらできました。

そして従来の軽量テントにありがちだった足元に向かって狭くなるようなテーパー形状でない、左右対称の綺麗な長方形フロアのクセのない快適さの威力も絶大です。

以前のモデルから二股に分かれたポールのハブの位置が高めに変更されたことで、側壁が垂直近くまで立ち上がり、ヘッドクリアランス(頭上空間)も大幅に進化。

高さが約12cmもあるエアマット(ネオロフト)を敷いても176cmの自分の頭がまったく天井につかず、室内で伸びもし放題、着替えや荷物の整理をしてもストレスありませんでした。仮にこれがもし従来までの広さを切り詰めた自立式テントであったなら、天井に頭がついてしまって窮屈感を感じずにはいられなかったでしょう。

山岳用であったとしても、厚みのあるより快適さを向上させたエアマットレスはここ最近多くのブランドで主流になりつつあり、この余裕をもった居住空間の作りは単に快適さの向上というだけでなく、そうした山岳スリープシステム全体の大きな変化を見据えて設計されたサイズ感といえます。

また、前室スペースも不満のない広さで、前室にバックパックや登山靴をスマートに収納できます。なお、ハバハバHD の前室は、非常に微妙ですが LT よりも少しだけ広くなっていました。

驚くほど多くて便利な室内収納スペース

ここが今回見つけた HD の嬉しいポイント。内部には両短辺に大型のメッシュポケット(USBケーブルを通せるポートまでついて)が何とそれぞれに2段、天井にも2つのメッシュギアロフトと極めつけに物干し用の細引きが標準搭載されており、テント内での生活をよりストレスフリーにするための工夫がこれでもかと詰まっていました。ちなみに LT の方の両短辺メッシュポケットは1つずつです(これでも十分便利でしたが)。

メッシュ範囲は減ったものの、大きなベンチレーションによる万全の結露対策

ハバハバHD はインナーテントがほぼ全面的にソリッドなナイロン生地で覆われています(下写真左)。これは上部がマイクロメッシュ生地であった LT(下写真右)と比べると大きな違いです。

メッシュが少なくなれば、それだけ空気の移動が妨げられるので、雨や寒さに対してはより安心です。変わりやすく過酷な天候で張ることが多い日本の山岳では、このほぼ全面ファブリックという作りは個人的には歓迎すべきものと言えます。

とはいえ、昨今の気温上昇による夏の低山や湿度が高い梅雨時期の登山では、メッシュ地が減ることはデメリットにもなり得ます。

やはり通気性を重視した LT に比べると空気がこもりやすく、室内が蒸し暑く感じられることがないとはいえず、真夏の晴天、あるいは標高の低いキャンプ場での快適性を最優先する場合には LT に分があるといえるでしょう。

また、ソリッドな生地を多用したテントでは「室内の蒸れや結露」しやすさも懸念されがちですが、これに対しては実際に一夜を明かしてみた限りでは、心配には及びませんでした。レインフライの短辺上部には、キックスタンド付きの「大型ベンチレーション」が配置され、インナーテントにもメッシュの通気孔がその位置に対応しており、自然な空気の流れが生まれています。もちろんそもそもダブルウォールという構造自体も結露を防いでくれていますし、これによって雨天時のフルクローズ状態でも内壁の結露は気になりませんでした。この卒のない換気システムは、今年のジメジメした梅雨の夜でも優れた快適性を実現しています。

LT 同様、雨を出入口に溜めないドアジッパー上のガター(追加のフラップ素材による「雨どい」)システムが、雨水を出入口に溜めないようにしてくれます。

https://outdoorgearzine.com/wp-content/uploads/hubbaHD_rain.mp4

 

片手で簡単に操作できる直線的な出入り口のジッパーも、地味に出入りのわずらわしさを軽減してくれました。

設営と撤収のしやすさ:左右対称のフォルムに一体型のハブ&ポールシステム、フライとの固定も楽々で設営時の難しさやストレスはまったくなし

ハバハバの印象的なシルエットと確かな機能性を形成するポールシステムは、素材も作りもLT と同じで相変わらず上手く機能しています。

自立式でなおかつ頂点の横ポールとの組み合わせながら、すべてのポールがあらかじめハブで繋がっており、さらには左右対称デザインなのでポールの先端をどちらをどちらに挿せばいいかなど迷うことなく、直感的にポールをグロメットに差し込むことができます。

これもシリーズ共通ですが、フライシートの固定には一般的なプラスチック製のバックルではなく、耐久性の高いT字型の金属製タブを採用(下写真)。スリットに差し込むだけでカチッとロックされ、強風下でも手袋をしたままスムーズかつスピーディにテンションを調節することができました。

素早い設営が可能なハバハバは撤収時もスムーズ。その大きな要因のひとつは、出し入れ口が大きく、圧縮しやすいオリジナル形状のスタッフサックにあります。

いわゆる「ロールトップ型」の口をしているため、大きく開く収納口には緩く畳んでポイと入れるだけでよく、小さなスタッフサックに入るようにキッチキチにたたむ必要がありません。そしてパーツを収納した後は入口をクルクルと巻くことで簡単に圧縮でき、最後にバックルで留めればきっちりと圧縮パッキングが可能です。

耐候性:「HD」の真骨頂。より耐水性と耐風性がアップした素材と耐候性の高い構造

HD=ヘビーデューティ」の名を冠しているだけあって、悪天候に対するプロテクションの高さはこれだけ軽量なのにもかかわらず、3シーズン用テントとしてトップレベルの性能を誇ります。

フライシートには 20D の緊密に織られたナイロンリップストップを採用し 、フロアには LT で採用していた薄手生地ではなく 30D の肉厚リップストップナイロンを配置し、万全の強度を確保しています。

さらに安心なのは生地の耐水圧で、フライシートはLT の耐水圧 1,200mm から 3,000mm へ、フロア生地は LT の耐水圧 1,800mm からなんと 6,000mm へと向上。このレベルの耐水圧であれば、終日の大雨や水分を含んだぐちゃぐちゃの泥地の上でも、浸水の不安はかなり和らげてくれます。

防水性の高いフロア生地は短辺・長辺ともにを高い位置まで立ち上げられ、肉厚のマットレスを敷いた時でも、雨天時の雨水の跳ね上がりなどに対して万全のプロテクションと言えます。

重量と収納時のコンパクトさ:いわゆる「軽量テント」には及ばないものの、ここまでタフネスの安心テントとしては十分及第点の重さ・コンパクトさ

HD 1人用 のパッケージ総重量は約1360gと、LT モデルに比べると130gほどの重量増となっています。

ただ、これは「別売りのフットプリント(グランドシート)が198g」であることと「HD の高いフロア強度(30D / 6,000mm)」を考慮すれば、十分に相殺できる、むしろ賢いトレードオフと考えられなくもないと思うのは僕だけでしょうか。

収納サイズは、2人用で約58×13cm。独自の収納しやすいスタッフサックのおかげで、筒状に細長いだけでなく、パーツをバラしてバックパックの隙間に滑り込ませることもできるため、デッドスペースを作らず実際には意外なほどコンパクトにパッキングが可能です。耐久性重視のテントにありがちな「かさばってザックを圧迫する」というストレスは最小限に抑えられており、細かい実用性まで行き届いた配慮にはさすがと言わざるを得ません。

万全な国内サポート体制:他の海外ブランドとは一線を画す安心感の高さ

山岳用テントにおいて、物理的なスペックと同じくらい重要なのが「壊れたときにどうなるか」というアフターケアです。その点、ハバハバHDは他の海外ブランドとは一線を画す優れた安心感を備えています。

MSRの国内正規総代理店である「株式会社モチヅキ」は、社内に専用の修理部門(リペアルーム)を常備しており、製品の構造や特性を熟知したプロフェッショナルが常駐しています。さらに驚きなのは、日本国内の正規取扱店で購入されたMSRテントは、テントポールが「永久保証」となります。山の上の厳しい突風や強い衝撃によって万が一ポールが曲がったり折れたりするようなトラブルに見舞われても、無償で迅速にポールの該当セクションを交換・修理してくれるとのこと。

さらに、リペアルームには廃番となった過去の古いモデルの修理パーツにいたるまで膨大な部材がストックされているため、長年使った大切なテントでも、「パーツがないから買い替え」という残念な事態を避けることができます。

過酷な山岳フィールドで優れたパフォーマンスを発揮するプレミアムなテントを、トラブルを気にせず何年も使い続けられる信頼のサポート体制は、そこらの競合テントには真似できない、MSRユーザーだけが享受できる最大の価値のひとつといっても過言ではないでしょう。

ハバハバHDの評価まとめ

お気に入りポイント

気になるポイント

ハバハバHD & LT 比較まとめ

ハバハバHDと兄弟モデルであるLT(ライト)の大きな違いは、素材の「厚み」と「通気(メッシュ)の量」に集約されますが、それ以外の細かな部分も含めた両モデルの違いについて以下にまとめてみました。

項目MSR ハバハバHD 1人用MSR ハバハバLT 1人用
コンセプト高耐久・高耐候・保温軽量・高通気・換気
インナーテントファブリック主体(風を遮り保温)マイクロメッシュ主体(通気性抜群)
フロア耐久性30D / 耐水圧 6,000mm20D / 耐水圧 1,800mm
フライ耐水圧3,000mm(長雨・豪雨に対応)1,200mm(必要十分な軽量仕様)
総重量(パック重)約1360 g(ガイライン・ペグ・収納袋含めての重量)約1230 g(ガイライン・ペグ・収納袋含めての重量)
テント内収納スペースポケット×6、物干しロープポケット×4、物干しロープ
前室広さ0.79 ㎡0.74 ㎡
サイズ間口224×奥行81×高さ99 cm間口224×奥行81×高さ99 cm
ガイコードポイント84
ふさわしい用途・季節・スタイル
  • 春・夏・秋~初冬までの3シーズンで、荒れた天候でも快適に泊まりたい人
  • アルプスなどペグのうちにくいガレ場でも安心して設営したい耐久性重視の人
  • 過酷な山岳環境において、安心感と深い安眠を何よりも優先したい人
  • 品質の確かなギアを長く愛用したい本物志向
  • 夏の晴天を狙った数日間のアルプス縦走
  • 暑さが気になる中~低山のハイキング
  • ファストパッキングなど軽量スタイルを目指す軽量派ビギナー
  • 泊まりは夏山メインで、軽さは重要だがどんな環境でも快適さを諦めたくない人
  • 品質の確かなギアを長く愛用したい本物志向

 

フライはHDの短辺側にガイコードポイントが追加され、より強固に固定することが可能に。

まとめ:日本の山岳にも安心の強さを実現したホンモノの「プレミアムテント」は、軽さ・広さ・使いやすさと全方位に死角なし

今回 HD をレビューしたことで分かったのは、従来のハバハバシリーズのメリットを踏襲しつつ、重量の増加を最小限にとどめながらより安心のプロテクションを付加するという 絶妙なチューニングでした。はじめは「ヘビーデューティー」という名前からずいぶんと重くかさばるモデルを想像してしまいましたが、そんな印象はほとんど感じられず、軽快さの上に強さを纏ったような「モダンかつタフネスなテント」というのがテストして感じた全体としての結論です。

昨シーズン登場の「 LT」モデルは、幅広・肉厚のマットレスにも対応するより快適な広さを確保しながら重量を抑えるという点での進化を遂げていましたが、四季を通じた湿気や雨、寒さや強風に悩まされがちな日本の山岳環境から考えると、1年中使いたいタフな日本の登山者にとってはより高いプロテクションを求める声がなかったとも言えません。それに対するMSR の回答は、LT モデルを改訂するのではなく「HD」という別の新しいモデルを揃えるという決断でした。今のところその結果は、良い面しか見当たりません。HD の登場によってハバハバシリーズは、「より暖かい時期や軽快に行きたい人のための LT」と、「寒い時期や過酷なシチュエーションで使用したい人のための HD」という、より幅広い2つのそれぞれの層に対して最適な選択肢を届けることに成功しています。

軽さも、強さも、快適さも、使いやすさも、あらゆる点で不満になる要素がほとんど見られず、なおかつ洗練されたシルエットと色気を携えたこのテントシリーズは、(極端な軽さを目指す人や積雪期の登山などごく一部のスタイルにとっては別の選択肢があり得るかもしれませんが)初心者からベテランまで、縦走登山からファストパッキングまで、幅広いハイカーにとって間違いなくフィットするはずです。

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