観光シーズン真っ只中の北海道ですが、今年は天候が安定しません。北海道在住の筆者ですら、思ったように晴天に出会えないことも。そこで富良野・美瑛と思っていたのに「天気が……」に備えて、覚えておきたい「オロロライン」をOM SYSTEM大三元レンズと巡ってきたので、その様子を報告します。
目次
道民も絶賛のドライブコース「オロロンライン」とは
小樽市・石狩市から宗谷岬までの日本海沿いを走るルート
「オロロライン」といっても、ほとんどの方がご存じないでしょう。しかし、道民なら多くの方が「夏のオロロンラインのドライブは最高だよね!」といってくれる北海道有数のドライブコースです。
具体的には道南部分を除いた北海道をざっくりひし形と考えるなら、左上の辺の部分を走っているのが「オロロンライン」です。札幌市のちょい北側、小樽市もしくは石狩市から北海道本島の最北端、稚内市の宗谷岬までを日本海沿いに走るルートになっています。
この「オロロンライン」は日本海沿いに約350km前後美しい海岸沿いを走るルートで、普段北海道を走り慣れている道民ですら「夏の晴天のオロロンラインをドライブしていると北海道の自然の豊かさと広大さを痛感する」という雄大なドライブルートになっています。
筆者が、この「オロロンライン」をぜひ覚えておいてほしいと思う理由が、最近全国的? 全世界的に? 天候が不安定なようで、2024年の北海道の天気も安定しないのです。しかし、ヨーロッパの小国よりも広いといわれる北海道なら道内で目的地を変更すれば、天気のよい場所に移動も可能。そんなときの選択肢として日本海側の道北のドライブルートとして「オロロンライン」を覚えておくのがおすすめです。
OM SYSTEM大三元レンズがなぜおすすめなのか?
14mm相当から600mm相当をカバーするフル装備で3kgを切る超軽量コンパクト
フォトグラファーライターである筆者が機動力という点では、圧倒的に信頼しているのがOM SYSTEMのカメラ&レンズシステムです。ちなみにOM SYSTEMは、2021年OLYMPUSから映像部門が独立してできたOLYMPUSのDNAを引き継いでいるブランド。そして、一般的に多くのプロカメラマンが自身のカメラ&レンズシステムの基本としているのが、大三元レンズ。F2.8通しという明るいズームレンズで15mm〜35mm相当前後の広角ズーム、24mm〜70mm相当前後の標準ズーム、70mm〜200mm相当前後の望遠ズームの3本を指して大三元レンズと呼んでいます。これにマクロレンズであったり、超望遠レンズをプラスしてカメラ&レンズシステムの基本としていることが、カメラメーカーやシステムに関わらずプロカメラマンやハイアマチュアには多いのです。
筆者も当然、撮影旅行やロケなどに出かける際には、このプロ向けのカメラボディ+大三元レンズを基本にカメラシステムを選定します。しかし、実際のところ、かなり重いのです。35mm判フルサイズのプロ向けハイエンドカメラボディは1kgオーバーが普通、さらに大三元レンズそれぞれが1kg前後あるので、これだけで約4kg。さらにレンズキャップやレンズフード、三脚座などのアクセサリーがあるので5kg前後の重量になります。
これに対してOM SYSTEMのハイエンドカメラボディ「OM-1 Mark II」(599g)、広角ズズームの「M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO」(534g)、標準ズーム「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II」(382g)、望遠ズームの「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO」(760g)と2kgちょっと重量で広角端14mm相当〜300mm相当までをF2.8でカバーしてくれます。この点が背負って歩くことを考えると非常に重要。
また、北海道では野鳥や野生動物を撮影することを考えると、望遠は200mmはもちろん、300mm相当でも、かなり物足りません。ですが「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO」は「M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20」(150g)を使うと望遠端を600mm相当まで延長するとができ、2段暗くなっても600mm相当F5.6と非常に高いアドバンテージを得ることができます。
夏の北海道の風景を撮影しつつ、最終的には大雪山系の山に登ってナキウサギを撮影しようと考えていた筆者にとって、圧倒的に軽く、600mm相当F5.6という単焦点超望遠レンズのような撮影を容易に可能にしてくれるOM SYSTEMの「OM-1 Mark II」+大三元レンズは非常に魅力的なカメラ&レンズシステムになっています。カメラ・レンズ・テレコンバーターのすべてがIP53相当の防塵防滴であるなど非常にタフで、北海道での撮影はもちろん、アウトドア、大人の冒険シーンのパートナーとして、とても有能です。そして、ハイエンドのカメラボディのみで100万円オーバーという時代にカメラボディ+大三元レンズにテレコンバーターを購入しても70万円前後といった価格もかなり良心的といえるでしょう。
ちなみにOM SYSTEMは2024年「夏のレンズフェア」を8月28日までの日程で開催しており、対象商品購入で1商品あたり最大で40,000円相当のキャッシュバックキャンペーンを行っています。詳細はこちらのキャンペーンページでご確認ください。
OM SYSTEM「OM-1 Mark II」と大三元レンズのおすすめのポイント
- 炎天下を15km程度トレッキング可能な軽量コンパクト
- システム重量実質3kg以下で14mm相当〜600mm相当までをカバー
- カメラ・レンズ・テレコンバーターのすべてがIP53相当の防塵防滴
- M.ZUIKO DIGITAL PROシリーズならではの高画質
- 常識の範囲内といえるリーズナブルな価格と性能満足度の高さ
OM SYSTEM「OM-1 Mark II」と大三元レンズの気になったポイント
- AFとMFを切り替える「MFクラッチ機構」が時折勝手に動く
主なスペックと評価
項目 | OM-1 Mark II |
---|---|
有効画素数 | 約2,037万画素 |
静音連写SH1 | 約120コマ/秒 |
AI被写体認識AF | 人物/車、オートバイ/飛行機、ヘリコプター/電車、汽車/鳥/動物 (犬、猫) |
大きさ・質量 | 約134.8mm×91.6mm×72.7mm・511g(本体のみ) |
項目 | M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO |
焦点距離 | 7-14mm(35mm判換算14-28mm相当) |
レンズ構成 | 11群14枚 |
最大撮影倍率 | 0.12倍(35mm判換算0.24倍相当) |
大きさ・質量 | Φ78.9×105.8mm・534g |
項目 | M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II |
焦点距離 | 12-40mm(35mm判換算24-80mm相当) |
レンズ構成 | 9群14枚 |
最大撮影倍率 | 0.3倍(35mm判換算0.6倍相当) |
大きさ・質量 | Φ69.9×84mm・382g |
項目 | M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO |
焦点距離 | 40-150mm(35mm判換算80-300mm相当) |
レンズ構成 | 10群16枚 |
最大撮影倍率 | 0.21倍(35mm判換算0.42倍相当) |
大きさ・質量 | Φ79.4×160mm・760g(三脚座除く) |
項目 | M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20 |
レンズ構成 | 4群9枚 |
倍率 | 2倍 |
大きさ・質量 | Φ59.8×25.90mm・150g(三脚座除く) |
OM SYSTEM「OM-1 Mark II」と大三元レンズの評価 | |
軽さと携帯性 | ★★★★★ |
カバー焦点距離 | ★★★★☆ |
AF性能 | ★★★★☆ |
タフさ | ★★★★★ |
高感度ノイズ | ★★★☆☆ |
コストパフォーマンス | ★★★★☆ |
富良野・美瑛→ナキウサギの撮影を予定していた
山歩きを考慮するとOM SYSTEM「OM-1 Mark II」と大三元レンズは最高
レンズの記事の作例やフィルター、カメラのテストのために、道内のさまざまな場所に行くのですが、年に数回は数日をかけて撮影旅行に出かけることがあります。冬は道東が多いのですが、2024年、今年の夏は富良野・美瑛の風景を撮影してから、大雪山系の山でナキウサギを撮影しようと計画していたのです。
ですが、今年の夏はびっくりするくらい北海道の天気が安定しません。普段なら7月や8月なら3日程度なら晴天の予報が続く日も珍しくないのですが、今年は天気予報のほとんどがくもり、もしくはくもりときどき雨、晴れときどきくもりといったはっきりしない天気。仕事とのスケジュールの兼ね合いもあり、それでも比較的天気予報の晴れの確率が多い日に地元の千歳市から富良野に向かったのです。
撮影旅行では筆者は朝日や夕日のドラマチックな時間帯を撮影したいので、前日の夜から出かけます。移動は夜のうちに済ませて、ドラマチックな朝日の風景から撮影をはじめるわけです。今回は2泊3日、金曜の夜に空港のある千歳市を出発して日曜日の夜には千歳市に戻るようなイメージのスケジュールで出かけました。金曜の夜に新千歳空港着、そこからレンタカーで道内を周ろうという方にも参考になると思います。
ちなみに前日の夜の間に富良野周辺に移動して、上富良野町にある日の出公園ラベンダー園で朝日とラベンダー畑を撮影しようという計画です。撮影旅行の際には筆者はキャンピングカーを利用するので、車中泊でのクルマ旅になります。そのため、朝日の時間までの仮眠がとれる近くの道の駅をセレクトするのですが、ハイシーズンの道の駅 びえい「丘のくら」は個人的にはおすすめしません。もともと北海道の道の駅にしては駐車場が普通車21台、大型2台と小さめの施設なので、駐車場が埋まっていることも多く、仮眠には向いていないのです。そのため筆者は、隣接する芦別市にある道の駅 スタープラザ芦別で仮眠をしてから、日の出前に日の出公園ラベンダー園に移動しています。
なお、道の駅 スタープラザ芦別の駐車場は普通車114台、大型12台とかなり広いのでおすすめです。日の出の時間帯から富良野・美瑛に入らなくてもいいという方は、その手前になる道の駅 うたしないチロルの湯も温泉施設などが充実しており、個人的にはお気に入りの道の駅になっています。
上富良野町日の出公園ラベンダー園の朝日はくもり、天気予報も芳しくない
朝日に照らされたラベンダー畑の景色から撮影をはじめようと上富良野町にある日の出公園ラベンダー園に日の出前に到着したのですが、ほかにクルマは1台もおらず、ある意味に心配したとおりのくもり。実際のところ、場所がどこであろうと、くもり空の夏の北海道の写真作例など使い道がありません。
落胆しながら、今後の天気予報を再確認しても、富良野・美瑛方面はここ数日、晴れの時間帯はないようです。だからといって晴れ空を諦めるわけにもいかず、筆者は富良野・美瑛から移動して、どこか晴れる予定の場所はないか、探しました。ヨーロッパの小国よりも広いといわれる北海道は、地域によって天気が異なることがよくあるのです。結果、道北の日本海側は晴れるとの予報。富良野・美瑛に比べるとマイナーなのですが、この道北の日本海沿いを走るドライブルートはオロロンラインと呼ばれています。筆者も撮影のために何度も走っているのですが、夏の晴天のオロロンラインは道民ですら「オロロンラインのドライブは最高!」と絶賛するようなコースです。
実は富良野・美瑛からはもちろん、旭川からも北西方面に進めば、オロロンラインを楽しむことができるので天候次第ではありますが、今年のように天気の安定しないときは、富良野・美瑛の天気が悪いときの選択肢としてオロロンラインを覚えておくことをおすすめします。そして、今回、OM SYSTEM「OM-1 Mark II」と大三元レンズとのオロロンラインの旅の様子をご紹介していきます。
美しい風景のなか、道の駅も温泉もキャンプ場も充実したオロロンライン
留萌から宗谷岬までの約200kmに約10カ所の道の駅という充実ぶり
オロロンライン自体は札幌のわずかに北側、小樽や石狩から稚内・北海道の本島最北端の宗谷岬までの約320kmなのですが、旭川もしくは富良野・美瑛から北西の向かうと留萌(るもい)がスタートになります。
留萌から北上すると小平(おびら)−苫前(とままえ)−羽幌(はぼろ)−初山別(しょさんべつ)−遠別(えんべつ)−天塩(てしお)−幌延(ほろのべ)−豊富(とよとみ)−稚内(わっかない)の10市町村を通るのですが、ややルートから外れる道の駅 わっかないと24時間トイレと無料駐車場を完備していますが道の駅ではない宗谷岬以外に8カ所の道の駅があるのです。
留萌〜宗谷岬間が約200kmなので、約20kmに1カ所道の駅に相当するトイレや駐車、休憩スペースが完備されているのは、北海道のドライブコースとしてはかなり充実ぶりとなっています。そのため車中泊の仮眠スペースやトイレに困ることはほぼありません。
また、各市町村ごとペースで日帰り入浴可能な温泉、さらにはキャンプ場も充実しているのも特徴です。キャンプ場については夏季シーズンが基本。冬はほとんどがお休みとなっています。なお夏季シーズンは海水浴場もかなり数あるので、北海道の短い夏の海を楽しむのもありでしょう。
オロロンラインの必見ポイント
苫前「三毛別羆事件復元地」7人が死亡する日本史上最悪の獣害事件の跡地
筆者がオロロンラインを走るときに立ち寄ることをおすすめするいくつかのポイントを紹介します。最初は苫前町にある「三毛別羆事件復元地」です。吉村 昭氏のドキュメンタリー『羆嵐』でご存じ方も多いかもしれませんが、大正4年(1915年)に発生した日本史上最悪の獣害事件で、ヒグマに引きずり出された胎児を含む7名が死亡、負傷者が3名という痛ましい惨事がありました。
すでに100年以上歳月がたっていますが、この痛ましい事件を風化させず、苫前町のWEBによると「開拓の悲話を通して不屈の開拓精神と先人の偉業を後世に伝えようと三渓地区住民の強い熱意で復元された」という「三毛別羆事件復元地」。開設期間は5月1日〜10月末までで開設時間の設定はないが、現地ではヒグマが出没する可能性があるので夜間の見学は危険なのでやめるように警告されています。
筆者は何度か訪れているのですが、道路の舗装はなくなり、携帯電話の電波も入らない「三毛別羆事件復元地」は、なぜかハチも多く、なんともいえない恐怖を感じるスポットになっています。そして北海道の雄大な自然のもう1つの顔として危険性があることを訪れる度に再認識するのです。
初山別「金比羅神社」昼間も、日没も、星の時間も美しい鳥居がおすすめ
美しい風景の続くオロロンラインですが、写真好きなら必ず寄るオロロンラインのフォトスポットの1つといえば初山別村の「金比羅神社」にある海中鳥居でしょう。今回掲載した写真は昼間の様子を撮影したものになってます。
天気さえよければ、昼間の風景でも十分に絵になる「金比羅神社」の海中鳥居ですが、西向きの海岸にあるため、当然日没の時間帯は、さらにドラマチックな光景が繰り広げられます。日没の時間帯に合わせて訪れると多くのカメラマンが並んでいることも。
また、近隣には道の駅 ☆ロマン街道しょさんべつ、温泉施設岬の湯、しょさんべつ展望台、金比羅灯台、キャンプ場、ゴーカートコースなどもあるので、初山別に宿泊というパターンなら昼、日没、星空を背景にした「金比羅神社」海中鳥居を楽しむこともできます。星空もすばらしくキレイに写るので星景写真のおすすめポイントでもあります。
稚内「宗谷岬」北海道本島最北端の岬
北海道本島最北端である宗谷岬は、稚内まで行ったなら必ず行っておきたいポイントです。当たり前ですが、事実上の日本最北端である宗谷岬で記念写真を撮影するのも忘れてはいけないイベントといえます。
筆者は何度も訪れているのですが、何度訪れても、ここが日本の最北端という感慨はなかなかのものです。夏季は観光バスも含めて、ひっきりなしに観光客が訪れるので、モニュメントの前には記念撮影のための行列ができることも。筆者はフォトストックとして撮影しているので、ほかの人々がなるべく写らないようにNDフィルターを使った長時間露光で撮影しています。
また、宗谷岬まで来る筆者の目的の1つが隣接する宗谷丘陵で風車の立ち並ぶ風景や白い道、できることなら、ここでの星景写真を撮影したいからです。ただし、今回も夕方以降から天候が崩れ、思ったような風景を撮影することはできませんでした。
稚内「北防波堤ドーム」の夜景は幻想的な雰囲気がお気に入り
稚内市内に到着して、夜に筆者が必ず撮影するのが「北防波堤ドーム」です。昭和6年(1931年)から昭和11年(1936年)にかけて建設された防波堤で、古代ローマの建築物を思わせる太い円柱となだらかな曲線を描いた回廊が特徴的な美しい建築物になっています。
設計者は北海道大学を卒業してわずか3年目の北海道庁の技師、当時26歳の土屋実氏。稚内北埠頭が旧樺太航路の発着場として使われていたときに、四季を通じて強い風が吹く、この場所に通じる鉄道や道路に波の飛沫などがかかるのを防ぐ目的で建設されました。
現在の「北防波堤ドーム」は昭和53年(1978年)からの3年を掛けて改修が行われたあとのものになっています。平成13年(2001年)に北海道遺産に指定されました。筆者は、この「北防波堤ドーム」を夜景で撮影するのが好きです。総数70本の柱や総延長427mの独特の景観が幻想的な雰囲気で撮影できるフォトスポットといえます。
稚内「宗谷岬」の日没と日の出、その両方を楽しみたい
ある意味、オロロンラインのゴールともいえる宗谷岬に着くと、だいたいそこで日没を撮影し、宗谷丘陵で星景写真に挑戦してから、稚内市街地にある「北防波堤ドーム」を撮影したあと、道の駅 わっかないで仮眠をとって、翌朝は稚内港や野寒布岬あたりから日の出を撮影することが多いのです。
しかし、今回は北海道本島最北端の岬というメリットを生かして、夕景を撮影した宗谷岬で、そのまま日の出も撮影するという作戦に出ました。夕景を撮影した後は、宗谷丘陵で星景写真に挑戦したり、稚内港で「北防波堤ドーム」を撮影したりしたので、ずっと宗谷岬にいたわけではありませんが……。
ちなみに7月、8月の日の出は3時台から4時台なので仮眠できる時間もほとんどありません。そのため、筆者はすべての撮影が終了したあと、数時間、24時間トイレのある宗谷岬で仮眠をして、そのまま朝日の撮影を行いました。
なお、北海道とはいえ、最近は非常に暑いので、筆者はOUTDOOR GEARZINEの記事でも紹介したATEXの「快眠マット SOYO シングル AX-BS632」に別売りの専用接触冷感ボックスシーツをプラスして暑さをしのいで寝ています。詳細は別記事でご覧いただけると幸いですが、寝具に湿気がこもらないだけで非常に快適です。非常にぐっすり眠れたのですが、翌日の朝日は天候に恵まれず、不発であったのは残念でした。
北海道の離島・野鳥の楽園といわれる「天売島」にも行ってみた
野鳥の楽園・北海道の離島天売島に行ってみた
小樽や石狩から稚内・宗谷岬までノンストップなら約6〜7時間。多少、道の駅などで休憩しても10時間前後あれば走破可能です。この間のドライブは道の空き具合といい美しい風景といい、道民ですら道内屈指と呼んでいるレベルになっています。ぜひ体験してほしい。
とはいえ、筆者はかなりの回数、このオロロンラインを走っており、今回の目的は撮影旅行。富良野や美瑛で風景を撮影して、大雪山系でナキウサギを撮影するつもりでした。そして、日本海沿いを走るオロロンラインの風景も十分に美しく、広角や標準ズームでの撮影はそれなりに成果があったのです。
ですが、「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO」に2倍のテレコンバーター「M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20」を取り付けて行う超望遠撮影が十分とはいえない状況でした。「OM-1 Mark II」の大きな特徴の1つといえるAI被写体認識AFでの鳥や動物の撮影は時間を忘れるほど楽しいですし、大雪山系での山歩きも楽しみにしていました。
そんななか実行したのが北海道の離島である天売島(てうりとう)への訪問です。羽幌町から30kmの沖合、日本海に浮かぶ天売島は人口が約250人、そして8種類100万羽の海鳥が繁殖地として利用する世界のバードウォッチャーが憧れる島です。周囲12kmと歩いての周回も可能だといいます。
2等のフェリーなら片道2,500円程度で羽幌から離島に行ける
世界でも北海道およびオホーツク海沿岸にしか生息しないケイマフリや、その鳴き声がオロロンラインという名称の由来にもなっているウミガラス(絶滅危惧種)、天売島が世界最大の繁殖数を誇るウトウといった珍しい海鳥たちが観察できるという天売島。実はオロロンラインにある羽幌の羽幌沿海フェリーでけっこう簡単に行くことができます。
時期にもよりますが、1日1往復から6往復ほどの高速船もしくはフェリーが出ており、羽幌→焼尻島→天売島のルートで羽幌→焼尻島が約35分から60分、羽幌→天売島が約60分から100分程度となっています。運航ダイヤや運賃の詳細などは羽幌沿海フェリーで確認いただくのが確実です。
そして、注目のポイントはフェリーの片道2等席なら、なんと2,500円程度で天売島に行けること。筆者はハイシーズンの7、8月に行ったので2,520円でしたが、6〜9月の最安値は2,330円だそうです(2024年8月現在)。運航ダイヤにもよりますが、ハイシーズンなら朝一便で行き、最終便などで戻ってくれば日帰りも可能なのです。
1周約12kmの天売島をOM SYSTEM「OM-1 Mark II」+大三元レンズと歩く
海鳥の楽園ともいえる天売島ですが、一周すると約12kmあるそうです。多くのパンフレットには約3時間と書かれていますが、写真を撮りながら歩く筆者はだいたい倍の時間を想定していました。今回は、その機動力を圧倒的に信頼しているOM SYSTEM「OM-1 Mark II」+大三元レンズ、さらに2倍のテレコンバーターを持ってきているのですが、これらカメラとレンズで、レンズフードやキャップなども入れても3kg未満。
35mm判フルサイズのシステムで14mm〜600mm相当までをカバーする機材を用意すると、軽く5kgを超えてくるので、この重量的なアドバンテージは大きいのです。また、カメラやレンズだけでなく、三脚や写真用フィルターも入れると筆者の場合雨具や行動食なども入っていますがカメラバッグ全体で約8kg程度の重量になります。
8kgの荷物を背負って、真夏にトレッキングコースを12km以上と聞くとかなり大変そうな印象です。しかし、35mm判フルサイズのシステムなら、カメラバッグなどのサイズも大きくなり、軽々10kg、場合によっては12kgを超える荷物になるので、筆者としてはOM SYSTEM「OM-1 Mark II」+大三元レンズのシステムは歩く撮影においては圧倒的なアドバンテージを感じています。
どうも絶滅寸前のオロロン鳥(ウミガラス)も撮影できてしまった
海鳥の楽園ともいわれる天売島に今回は偵察程度と思って筆者は訪れたのですが、トレッキングの最中も鳥たちの多さに驚かされました。しかも天売島のハイライトの1つ赤岩を見下ろす展望台では、なんと国内では天売島が唯一の繁殖地であり、2010年には20羽以下しか観察されていない絶滅危惧種のオロロン鳥(ウミガラス)の撮影に成功。
たまたま赤岩展望台で撮影をしていると「見たことのない鳥がいるな〜、せっかくなので撮影しておこう」レベルで撮影したものがオロロン鳥(ウミガラス)だったようです。筆者にはオロロン鳥を同定する能力はないのですが、偶然居合わせたネイチャーガイドさんが同じ鳥の群をみて、オロロン鳥だと説明していたので、ほぼ間違いないかと思います。
筆者は7月の後半に天売島を訪れたので、シーズン的にはちょっと外れていたのですが、オロロン鳥やウミネコの幼鳥なども楽しむことができたのです。また、アマツバメやオオセグロカモメも多数観察でき、すばらしい環境でした。
楽しすぎて、来シーズンは6月くらいに泊まりで訪れたい
天売フェリーターミナルから約5kmの距離にある島の南西端近くにある赤岩展望台からの風景は本当にすばらしく、筆者は風景写真を撮影したあとに、びっくりするくらいの数が飛び交うカモメやアマツバメたちの撮影を楽しみました。
今回、使用したOM SYSTEM「OM-1 Mark II」は、AI被写体認識AFで鳥の瞳をターゲットにすることが可能であったり、今回持って行った「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO」などレンズを選びますが、AF、AE追従で50コマ/秒の高速連写でシャッターボタン半押しからシャッターボタン全押しまでの間を最大で99コマ分まで記録できるプロキャプチャー機能といった鳥や野生動物の撮影に非常に向いた機能を搭載しています。
たまたま撮影できたオロロン鳥とカモメなどがメイン被写体となりましたが、「OM-1 Mark II」+「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO」と「M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20」での撮影は決定的な瞬間を気持ちよく撮影させてくれました。
残念なことに希少なオロロン鳥、ケイマフリやウトウなどの繁殖期からは少し時期が外れてしまっていたこと、またウトウの帰巣はフェリーの最終便の後になるのでツアーに参加できなかったことが心残りでした。北海道在住の筆者は来シーズンの再チャレンジを考えていますが、道外などから訪れる方は希少な海鳥たちに出会うことのできるツアーに参加して泊まりで訪れるほうがいいかと思います。
筆者は来シーズンは家族も連れて泊まりで焼尻島も含めて、天売島に再チャレンジしようと考えています。北海道在住の筆者でもはじめて行った北海道の離島である天売島は完全に別世界だと思うほど感動しました。非常におすすめです。
まとめ:大人の冒険にOM SYSTEM「OM-1 Mark II」+大三元レンズはぴったり
背負って歩くことを考えると軽いは圧倒的な正義
個人差や経験の差などもあるのでしょうが、日帰りの登山やトレッキングの荷物で体重の10〜15%、60kgの人で6〜9kg、夏山の縦走登山をテント泊で楽しむ人の荷物で10〜15kgといわれています。三脚やフィルター類、カメラバッグ自体の重量を除いても、35mm判フルサイズのカメラシステムで14mmから600mmをカバーしようと考える大三元レンズといった高性能レンズを選択すると5kgを切るのはほぼ不可能でしょう。
しかし、今回筆者が持って行ったOM SYSTEM「OM-1 Mark II」+大三元レンズと2倍のテレコンバーターはレンズフードやキャップなどを入れても3kgを切り、しかも14mmから600mm相当までをカバーします。三脚やフィルター類、カメラバッグなどに、レインウェアや行動食、水など装備を入れても、快適に冒険、登山、トレッキングを楽しめる9kg以下に荷物全体を余裕で抑え込めます。この重量の荷物で600mm相当の超望遠までカバーしていなかったら、筆者の今回の旅は天売島には行かなかったでしょう。ある意味M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO+M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20にOM SYSTEM OM-1 Mark IIという組み合わせがあったら、未知の地である天売島行きを決定したともいえます。
普段の生活では10kgの米袋ですら重く感じるのですから、そのために鍛えているという方でもない限り、総重量が15kgを超えるであろう35mm判フルサイズの大三元レンズを含むカメラシステムを背負って、登山や長距離のトレッキングを行うのはやや無謀といえるでしょう。筆者は普段から体力作りのために走るようにしていますが、それでも天売島1周+αの15km越えを、約8kgの荷物を背負って歩くのは、それなりに体力を消耗しました。この荷物がさらに1.5倍の重さといわれると、仕事ですから歩きますが、自分の楽しみだとちょっと厳しいのが本音です。
また残念ながら、カメラやレンズも最近の物価上昇のあおりを受けて上がっており、そしてハイエンドのカメラやレンズの大型化も進んでいます。そんなおりに大人の冒険のパートナーとして、ほどよい大きさと重さ、そして価格設定の「OM-1 Mark II」を中心としたOM SYSTEMのカメラ・レンズシステムは非常に魅力的です。35mm判フルサイズ絶対論的な風潮も感じますが、カメラシステムの選択肢にマイクロフォーサーズのOM SYSTEMもぜひ加えてみてはどうでしょうか。大人の冒険の幅が大きく広がると思いますよ。
なお、天売島から最終のフェリーで羽幌に戻り、その後の予定を決定しようと天気予報を確認すると、残念ながら全道的にかなりの確率で雨の予報。筆者は、その夜のうちに千歳市に戻ったのですが、旅行であれば、戻りもゆっくりと各地の名物を道の駅などで味わうのもありでしょう。夏のオロロンラインはぜひ1度は経験してほしいドライブコースです。北海道を訪れるなら、ぜひ選択肢として覚えておいてください。
OM SYSTEMのカメラとレンズの詳細と購入について
製品の詳細についてはOM SYSTEMの公式サイトをご覧ください。
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齋藤千歳(サイトウ チトセ・Saito Titoce)