いまやワークマンを代表するといってもいいほどの大ベストセラーとなって売れ続けている「エアロストレッチクライミングパンツ」。このパンツに初めて出会った2017年当時、まだワークマンは知る人ぞ知るメーカー。当然まったく話題にもなっていませんでした。しかしOutdoor Gearzineではその頃からその群を抜いたコストパフォーマンスの高さに気づき、山道具としての魅力をいち早く伝えてきました。軽くて動きやすく、山岳パンツとしてシルエットがきれいで、しかも手頃な価格で買えるというコストパフォーマンスの異次元の高さから、現在に至るまで愛用し続けているお気に入りの一本です。
その一方で、オリジナルモデルは薄手のポリエステル生地をベースとしているため、春から夏にかけては涼しく快適である反面、冷たい風が吹く秋以降の山や岩場が多いトレイルでは、生地の薄さや耐摩耗性に物足りなさを感じる場面もありました。かといって、以前から展開されている裏起毛のウォームタイプでは、停滞時は暖かいものの、歩き始めると冬場でも暑くなりすぎてしまい、運動量の多い登山にはやや扱いにくかったことも否めませんでした。
それがついに解消される時が来た。今シーズン、オリジナルモデルの秋冬版ともいうべき位置づけとして2026年秋冬に登場したのがこの「エアロストレッチハイパークライミングパンツ(商品番号:AS001 / 管理番号:32367)」 です。オリジナルの魅力はそのままに、中厚手のナイロン素材を採用して耐久性と防風・保温バランスを高めたという本作を、大きな期待とともに秋のフィールドでテストしました。
ワークマン「エアロストレッチハイパークライミングパンツ」の主な特徴
エアロストレッチハイパークライミングパンツは、ワークマンのロングセラーである「エアロストレッチクライミングパンツ」の機動性と細身の美しいシルエットを継承しつつ、素材と耐久性を秋冬のトレッキング向けにアップデートしたモデル。最大の変更点は、生地素材にナイロン90%・ポリウレタン10%を採用し、適度な厚みとコシを持たせたことによって秋冬や通年でのトレッキング用途に最適化されたこと。これにより、摩耗強度の指標であるマーチンデール法で100万回をクリアする高い耐摩耗性を獲得しました。股を大きく広げても突っ張りにくい180度クライミングカットや膝の3D立体パターン、2WAYストレッチによる優れた運動性も健在です。さらに、従来より強化された撥水・撥油・防汚加工や、スマートフォンを分けて収納できる左側の2層構造ポケット、左右のファスナー付きポケットなどの機能を備えながら、価格は税込1,990円に抑えられています。
おすすめポイント
- オリジナルモデル譲りの軽快な足上げと、裾に向かってテーパードしたダボつかないきれいなシルエットをそのまま継承
- ナイロン90%・ポリウレタン10%の中厚手生地への変更により、ストレッチ感を保ちつつ耐摩耗性などが大幅に向上
- 裏起毛に頼らない中厚手生地による、冷風を防ぎつつ登りでも暑くなりすぎない絶妙な保温・通気バランス
- 強化された撥水・撥油・防汚加工により、雨滴や朝露、泥汚れに強くなっている
- ファスナー付きの左右ポケットをはじめとした十分な収納類
気になったポイント
- ウエストはベルトがほぼ必須となっており、標準でウェビングベルトやウエスト調節機構が備わっていればさらに良かった
- 細身のスリムスタイル設計のため、体型や下にタイツを重ねる前提によってはサイズ選びに配慮が必要
主なスペックと評価
| 項目 | エアロストレッチハイパークライミングパンツ |
|---|---|
| 重量 | 341g(Lサイズ実測) |
| カラー | アイガーブラック/アルパインネイビー/キャニオン/マウンテングリーン |
| サイズ | S/M/L/LL/3L/4L |
| 生地 | ナイロン90%・ポリウレタン10% |
| 主な機能 | 2WAYストレッチ、耐摩耗(100万回)、撥水・撥油・防汚、抗菌防臭、180°クライミングカット、3Dムービングカット(立体裁断)、UVカット、イージーケア、右膝リフレクター |
| 収納 | ・(前面)左右ジップポケット(内側メッシュ) ・右太ももに2層スマホ用ジップポケット ・左太ももに隠しループ ・(背面)右ジップポケット左ポケット(内側メッシュ) |
| 参考価格(税込) | 1,990円 |
| Outdoor Gearzine評価 | |
| 快適性 | ★★★★☆ |
| 動きやすさ | ★★★★★ |
| 保温性 | ★★★☆☆ |
| 通気性(蒸れにくさ) | ★★★★☆ |
| 耐候性(風・雨への強さ) | ★★★★☆ |
| 機能性 | ★★★★☆ |
| 重量 | ★★★☆☆ |
| 耐久性 | ★★★★☆ |
| コストパフォーマンス | ★★★★★ |
詳細レビュー
快適性:しなやかでサラサラとした肌触りで季節を選ばず快適に穿ける
今回は気温15〜20℃くらいの涼しい秋の風が軽く吹く晴れた稜線と、寒波の来た日、冷たい風が吹く登山の両方で、下にタイツ等は履かず素肌に単体で着用してテストを行いました。
足を通してまず感じるのは、裏地のサラサラとした心地よい風合いです。ナイロン90%・ポリウレタン10%の中厚手生地へと変更されたことで、薄手のオリジナルモデルにあったペラペラとした頼りなさがなくなり、かといってゴワついた感じもなく、山岳用トレッキングパンツらしい安心感のある質感に仕上がっています。それでいて生地が硬くなったような違和感もなく、素肌に直接触れてもサラサラで、歩き始めから下山まで終始快適な履き心地を提供してくれました。
サイズ感については、身長176cm・体重64kg・ウエスト80cmの体型でLサイズを着用したところ、全体のシルエットはジャストフィットでした。スリムスタイル設計ではありますが、脚に張り付くほどタイトすぎないスタンダードな太さで、裾に向かってややテーパードしているため、歩行中に裾がバタつかず足さばきが非常に軽快です。股下の長さもオリジナルモデルと変わらず、違和感なく移行できました。ただし、厳冬期に厚手のタイツを下に重ね履きするのには向いておらず、それが前提の方や、太もも周りががっしりした体型の方は、試着してゆとりを確認しておくと安心です。
動きやすさ:ストレスなく足上げが可能な立体裁断 + 2WAYストレッチは健在
クライミングパンツとしての要である動きやすさに関しては、中厚手化によるデメリットを一切感じさせない完成度です。
股部分の180度クライミングカットと膝の3D立体裁断に加え、ナイロンとポリウレタンの混紡によるコシのあるストレッチ性が効いており、急登での大きな足上げや膝の深い曲げ伸ばしでも生地が突っ張る感覚はほぼありません。むしろ生地のストレッチ感と復元力はオリジナル以上に小気味よく感じられます。
保温性:中厚手になって冷たい風をシャットアウトしつつ、衣服内を暖め過ぎないバランスの良さ
今回のテストで期待以上に気に入ったのが、秋冬の無雪期登山にぴったりとハマる絶妙な保温バランスです。
ワークマンの冬向けラインナップには、裏地が起毛したウォームタイプのクライミングパンツも存在します。そうした裏起毛モデルは停滞時やキャンプでは非常に暖かいのですが、登山で着用すると歩き始めてすぐに脚が暑くなりすぎてしまい、汗冷えやオーバーヒートの原因になりがちでした。
その点、本作は裏起毛を持たない中厚手のナイロン1枚生地を採用しているため、15〜20℃の穏やかな秋山はもちろん、10℃以下でも風雪のない低山であれば、冷気を適度に遮断してちょうどいい暖かさを保ってくれます。行動中に発熱する登山において、この暑くなりすぎない中厚手生地のバランスは、裏起毛モデルよりもはるかに実用的です。
蒸れにくさ:乾きやすい化繊生地は空気の通りを妨げず、速乾性も高し
適度な保温性を備えながらも、通気性と速乾性がしっかりと確保されている点も優秀です。
風が通りにくい樹林帯の登りなどで汗をかいた場面でも、衣服内の湿気がスムーズに外側へと抜けていき、生地が汗で肌にベタつくような不快感がありませんでした。常にサラサラとした肌離れの良さが持続するため、標高差のあるルートで気温や運動強度が変化しても、蒸れによるストレスをほとんど感じずに歩き続けることができます。
耐候性(風・雨への強さ):防風性・撥水性ともにまずまず
空気の通りは確保されつつ、同時に防風性もまずまず備わっており、厳冬期の寒風に耐えられるかどうかは微妙なものの、11月の冷たい風に吹かれても脚の体温が奪われる感覚をしっかりと抑えてくれていました。
さらに大きな進化と感じたのが、撥水性・撥油性・防汚性の向上です。
従来のモデル以上に水滴や汚れを弾く力が強くなっており、霧雨程度の水滴ならば生地に沁み込むことなく流れ落ちてくれました。朝露で濡れた草木に触れるトレイルや、泥はねが気になるぬかるんだ登山道でも、多少の濡れや汚れですむので、より積極的に足を踏み出しやすいでしょう。ただ勢い強めの水滴や、大量の水分に対してはさすがにしみ込んできますので、過信は禁物です。とはいえ、気温の低い環境では衣服の濡れは何よりも怖いので、ありがたいに越したことはありません。
機能性:山で使うことが意識された豊富な収納
ポケットの配置や収納力に関しては、オリジナルモデル同様に満足のいく使い勝手の良さをかんじました。
左右のメインポケットにはファスナーが備わっているため、岩場や屈んだ姿勢でも貴重品を落とす心配がありません。またタブが握りやすくなっているので、グローブをしていてもわずらわしさも感じません。
また右太ももにはスマートフォンを分けて収めることを意図したジップポケットが配置され、ヒップベルトを締めていても、行動中スムーズに出し入れができます。
一方で、機能面で唯一惜しいと感じたのがウエスト周りの仕様です。
ウエスト80cmでLサイズを履いた際、オリジナルモデルと比べてウエストがやや緩めの作りになっており、背面のゴムもキックバックが弱い。このためずり下がりを防ぐためにベルトの着用が必須でした。登山ではバックパックのヒップベルトを腰に巻くため、できれば外付けのベルトを使わずに済むよう、標準でウェビングベルトやドローコードなどのウエスト調節機構が備わっていれば、ヒップベルトとの干渉もなくさらに快適だったと感じます。
重量:決して軽量ではないものの、秋冬向けとしては十分な軽さ
薄手の春夏モデルと比べれば生地が中厚手になった分の重量差はあるものの、実際に履いて行動してみると重さを意識することはまったくありません。秋冬向けのトレッキングパンツとしては、341gという重量はむしろ軽い部類です。裾に向かってテーパードした立体的なパターンのおかげで、脚を振り出す際の軽快感はオリジナルモデルと遜色ないレベルに保たれています。
耐久性:ポリエステル → ナイロン混紡になったことで、より登山等のハードな使用にも耐えらえるように
秋冬のアウトドア用途として考えたときに、最も嬉しい進化ポイントといえるかもしれないのがこの耐久性の向上です。従来のポリエステル主体の生地からナイロン90%・ポリウレタン10%の生地へと刷新され、マーチンデール法による耐摩耗テストで100万回をクリアしている通り、生地の表面強度は非常に頼もしい仕上がりです。岩角や木の枝に擦れても毛羽立ちや引き連れが起きにくく、タフな登山道でも気兼ねなく使い倒せます。春夏の沢登りなんかにも使いやすくなったかも。
また、低価格なウェアではときに課題となる縫製面についても、本作に関しては縫い目のほつれやポケット裏地の弱さなどが気になる箇所は見当たらず、細部までしっかり丁寧に作られている印象を受けました。
まとめ:雪のない秋冬のトレイルから、春夏の高山や沢登りまで。通年のさまざまなアクティビティにフィットする新たな低価格ラインのマスターピースが誕生
久々に登場した新作「エアロストレッチハイパークライミングパンツ」は、オリジナルの良い部分はそのままに、新たに秋冬の寒さやタフなフィールドでの使いやすさを伸ばすという、元々のオリジナルモデルのファンである自分も納得の進化を遂げたモデルでした。
オリジナルのエアロストレッチクライミングパンツの動きやすさとシルエットが好きで、そのまま秋冬の登山でも使いたい人、なるべくコストを抑えつつ、冬の冷風を防いで激しい発汗でも蒸れない中厚手パンツや、岩場での擦れや、朝露・泥汚れに強いタフなトレッキングパンツを求めているという人にとって自信をもっておすすめできる傑作といえます。
ウエスト周りのわずらわしさだけは考慮しておく必要がありますが、それを補って余りあるほど、他の進化による恩恵は一度穿くと元に戻れない安心感があります。オリジナルモデルの長所である「軽くて動きやすく、シルエットがきれいで安い」という魅力をそのまま引き継ぎながら、秋冬の無雪期登山にこれ以上ないほどフィットしてくれた エアロストレッチハイパークライミングパンツ は、今シーズンの山歩きにおいて間違いなく手に入れておきたい一本です。
「エアロストレッチハイパークライミングパンツ」の詳細と購入について
店頭等では順次発売されているようですが、製品の詳細については公式通販サイト等をご確認ください。


