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バックカントリースキーでの今シーズンレギュラー装備リストを晒してみる 前編【無謀な行動と言われないために】

手つかずの雪山を登り、まっさらなパウダーの斜面をスキーあるいはスノーボードで滑降して下りてくる「バックカントリースキー(以下、BC)」は、雪山登山とスキー技術の両方のスキルが求められるハイレベルなアクティビティです。ただそれだけに、日常では決っして見ることのできない絶景に出会えたときの充実感や、狙い通りのラインを滑り下りることができたときの達成感はといった感動は格別であり、せっかくBC天国ともいえる日本という絶好の環境に住んでいて、バックカントリースキーをしないなんて、もったいないと思ってしまいます。

今回は、そんなバックカントリースキーに憑りつかれたぼく(冬山登山そこそこ、スキーへろへろ)が、今シーズン実際に携行しているレギュラー装備リスト(「1~2月の本州での日帰りバックカントリー」という条件)をシェアします。前回から数えて2年ぶりの更新です。

もちろんこれはあくまでもの個人の好みや個人的な経験に基づくチョイスが多分に含まれているので、基本からやや逸脱する部分もあるでしょう。また当然来シーズンには変わっている可能性もあります。その辺は補足を加えているので、それらを踏まえながらあくまでも参考として読んでもらえればと思います。またもっといい選択肢があるよ、という場合も教えてくれるとありがたいです。

選定基準

道具を選んでいくにあたって特に意識したのは、高い順に以下の3点です。

  1. より安全・・・雪山の中でもエスケープしにくく雪崩の危険も多い谷や沢筋に入っていくのだから、普段以上に慎重になるのは当然
  2. より軽量・・・余計な体力を消耗しないこと、万が一の際に機動力を発揮できることが大事
  3. よりパウダー・・・自分のスキー技術・経験ではカリカリ斜面の登攀よりもパウダー急斜面の滑降サポート優先

やはり1~2月の最も危険な季節に危険なエリアに入っていくのだから、雪崩・遭難への備えは最優先。お金で解決できるリスクはできる限り最善を尽くしたうえで、余力を「楽」の部分に費やします。

2023年シーズンレギュラー装備リストとコメント(ウェア・身に着けるもの)

アンダーウェア:MILLET ドライナミック メッシュ

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ベースレイヤーの汗処理能力をサポートし、さらに地肌に感じる冷えを軽減させるために、厳冬期はベースレイヤーの下、肌に直接触れるレイヤーにミレー ドライナミック メッシュがここ数年の鉄板。天気にもよりますが基本は(着心地的に)ノースリーブで落ち着きました。

ベースレイヤー(トップス):Black Diamond ソリューション150 メリノベースレイヤークルー(その他メリノウールと化繊の混紡ベースレイヤー)

ベースレイヤーの種類・モデルについてはメリノウール素材がベースのものであれば、そこまで厳密にこだわらなくてもいいと思いますが、個人的にここ数年のお気に入りは「メリノウール × 化繊」を高度にブレンドしたモデル。

その他、1~2月のハイシーズンにはバラクラバフード付きのベースレイヤー、例えばパタゴニア キャプリーン・エアーなどが首元を温めてくれるのでおすすめ。

ベースレイヤー(ボトムス):MILLET ワッフル ウール タイツ

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特に下半身のベースレイヤーではメリノウールによる保温性や着心地はもちろんですが、動きやすさや蒸れにくさも大事になってきます。今シーズン新登場のこのタイツはワッフルウールの程よい伸縮性に加えて通気性に優れているため、これまでのメリノウール製品では味わえなかったフィット感の高さがあり、長時間の上り下りでもずっと快適に穿きこなすことができました。

中間着(トップス):Patagonia ナノエア・ライト・ハイブリッド・フーディ

2023年早々にリリースされた最新のミドルレイヤーは、パタゴニアの先進的なアクティブインサレーション「フルレンジ」とこれまたハイテクフリースである「R1エア」のニットフリースを適材適所にマッピングしたモデル。肩から腕と身ごろは適度に暖かく、背中と脇は抜けが良い。まさに今自分が欲っしていた、保温と汗の拡散の「ちょうどよいバランス」をピンポイントについてきた。これであればハイクアップでも、滑降でも脱がずに快適に着続けていられます。

もちろん、これまで通りポーラテック アルファ ダイレクト素材を使った製品も依然として使いやすいことには変わりないけど。

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中間着(ボトムス):mont-bell U.L.サーマラップ ニーロングパンツ

下半身の保温はベースレイヤーだけでは心もとないので、何かしら保温を足してくれる中間着が欲しいところ。ただバックカントリーの場合スキーブーツが大きいため、中綿入りでもロングパンツではなく七分丈くらいがちょうどいい。モンベル独自の軽量・ストレッチ中綿「エクセロフト®」は実際にはとても優秀で使い勝手がよく、このような見えない部分の着用にはもってこちなのです。あとはフロントジッパーがついているのも地味に◎。

ハードシェル(トップス&ボトムス):Teton Bros. TB Jacket / Teton Bros. TB Pant

このハードシェルに出会ったことで、昨シーズンと今年は迷うことはなくなりました。東レと共同で開発された防水通気生地「Täsmä」は実際に使ってみて、その宣伝文句通りの高いパフォーマンスを実感。しなやかでストレッチの効いた生地は着心地抜群。また高い防水・撥水性と汗処理能力を両立し、暑すぎる・寒すぎるということもありません。ちなみに今年になって周りのメンバーにも評判が波及し、文字通りのティトン兄弟が増殖中です。

ボトムスのビブの方ももちろん愛用しています。動きの中でもストレス無い素材使いとデザインは見事で、ベンチレーションや裾の補強など必要な要素はもちろんそろっており、さらに腹部もやんわり暖かくポケットも便利。あえて言えばGORE-TEX Proの厚手に比べれば生地の引き裂きに対しては弱いので、クランポンやピッケルなどのひっかけは注意。

ソックス:YAMAtune メリノスキーソックス フリーライド パイル

スキー用のソックスということでは長めの丈が好ましく、そして厳冬期のアウトドアなのでやはりメリノウールベースで、ある程度の厚みがあるモデルが候補になるかと思います。このソックスは今シーズン初登場、元々夏用のソックスでも大好きなブランドだったので迷わず食いついたところ、やはり期待通りの使いやすさでした。基本的にYAMAtuneのソックスはサポート感(着圧)の高さとフィット感(ズレにくさ)が魅力。スネやつま先、かかと部などの必要部位はパイル地で補強してあり安定感と耐久性もあって非常に満足しています。スキーのエッジングは想像以上に強い負荷がかかるらしく、2本指モデルを履いたら指の間にやや食い込みすぎるきらいがあったため、個人的にはこの先丸タイプの方が好みです。ちなみにここに落ち着く前はスマートウールのメリノウールスキーソックスが一番でした。こちらも十分おすすめです。

スノーグローブ:Black Diamond ソラノ / HESTRA 3-Finger Full Leather Short

スノーグローブは予算さえ許せばBDの電熱グローブが最高に快適ですが、さすがにこれはクセが強すぎるということでより万人におすすめできるお気に入りをとなると、やはり天下のヘストラさんです。何といってもはめた人にしか分からない極上の着用感。そしてまるで5本指グローブかと思うようなナチュラルな握り心地、それでいて3本指ならではの高い保温力。耐久性としなやかさを兼ね備えた高品質な牛皮革とゴートレザーのハイブリッド。手首の長さやフォルムは好みもありますが、しっかりとフィットしてハードシェルを被せるのにちょうどいい(しかも軽量コンパクトな)ショートカフが現在のお気に入りです。ただ、GORE-TEXモデルではないため完全防水ではありません。の湿雪や気温が高く水がしみこみやすい場面では別の選択肢を検討するのもアリです。※なお、いずれにせよグローブは万が一濡れて冷たくなった際のために、常に予備を携行しておくことをおすすめします。

目出し帽(バラクラバ):ファイントラック メリノスピンバラクラバ

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冷たい風が吹きつける稜線では不可欠なバラクラバは、保温性とムレにくさはまず大前提で必要ですが、長く着用していることを想定した口元の作りが意外と重要。口がすっぽり覆われていると呼気等によって口周りがベチャベチャに濡れてしまいます。また、バックカントリースキーの場合ヘルメットとの相性を考えてあまり厚すぎないようにしたいものです。それらがすべて上手く作られているのがこのファイントラック メリノスピンバラクラバ。ネックウォーマーとしても着用可能と寒暖に対する調節もしやすく、何だかんだでこれが一番使いやすい。

ゴーグル:SMITH 4D MAG

かれこれ3シーズン目になるSMITH 4D MAGが、相変わらず現在のスタメンゴーグルです。以前から特に視界の快適さという点で歪みの少ない平面、ハイコントラストレンズ、視界はできる限り広くというモデルを探していましたところに、待ってましたとばかりにやってきたのがこの最先端スノーゴーグル。

このモデルは上記の点で高いレベルにあったのはもちろんですが、それに加えて眼の下側を湾曲にすることで、球面レンズのメリットである視界の広さまでも特徴として取り入れた、高い次元でバランスのとれたゴーグル。視認性の高いクロマポップレンズが2枚標準で付属しているため、晴れ~曇りまで幅広い環境で雪面の輪郭をくっきりと捉えてくれます。着脱も非常に簡単なマグネット方式、曇りにくくてASIAフィットと、いうことなし。

ヘルメット:SMITH Vantage

22-23 スミス ヘルメット Vantage [ASIA FIT] SMITH HELMET バンテージ スノーボード SNOW 日本正規品

ヘルメットは頭の形にフィットするかどうかやデザインももちろん気になりますが、経験上、ゴーグルのフィット感や曇りやすさ(通気性)とも非常に影響が大きいと感じています。換気性の悪いヘルメットではゴーグルが曇りやすいし、ヘルメットがゴーグルを押し下げて鼻が息苦しかったこともありました。このためいろいろ試してみたところ、やはりゴーグルとヘルメットは同ブランドで合わせるのが都合が良いという結論に。

そこでスミスのバンテージは、安全性もさることながら、Boaシステムによるフィット感の高さ、そしてSMITH独自のベンチレーションシステム「AirEvac構造」による換気性の高さで、これまでの悩みを全部見事に解決してくれました。あとはもう少し軽量コンパクトであってくれればなぁと思うのですが、それは欲しがりすぎでしょう。

防寒ウェア:Patagonia ナノ・パフ・ジャケット

予備防寒着のレギュラーは「一周回って」といえなくもない、パタゴニアの定番インサレーション。もちろんもっと高性能なモデルもあるでしょう。ただ正直日帰りのBCに限って言えば、通常のレイヤリングで細心の配慮をしていることもあってこういった予備防寒着を新たに着たという経験はほぼなく、その意味ではここは必要最低限の保温性と、何よりコンパクトさを優先するのが自分の今の判断、ということでザックの底に気兼ねなくポイっと入れておけるこいつにお世話になっています。

とはいえ、中綿のプリマロフト・ゴールドの高い保温力と軽さ・コンパクトさは確かなので、防寒着としての信頼性は十分ではないでしょうか。

まとめ:後編(スノーギア&登山ギア)へ続く

以上バックカントリースキー装備リスト2023(前半)でした。次回はいよいよ後半、バックパックやスキー・登山ギアといった道具について語っていきます。このギアリストがバックカントリーを始めたいけどどれをどこまでそろえればよいか分からないという人々に少しでも参考になれば幸いです。

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