Outdoor Gearzine "アウトドアギアジン"

今シーズンお世話になりまくっているバックカントリースキーの装備リストを晒す【後編】

前回に引き続き、現時点でぼくがバックカントリースキーを楽しむときにスタメン装備として携行している装備リスト(1~2月のハイシーズン日帰り用)について書きます。

前回同様念のため、このチョイスはあくまでも現在の自分が納得している個人的なラインナップです。目的や季節、その人の実力や好みによって変わる可能性は十分にありますので「こんな考え方で選ぶのか」といった参考として読んでもらえれば幸いです。また道具のチョイスについての基本的な基準については前回の記事に書きましたので、そちらを参照してください。

装備リスト(再掲)

前回に引き続き、現在バックカントリースキーで携行している装備の一覧写真を再掲します(下写真クリックで拡大)。

ちなみにここに入れ忘れたものとしてはアンダーウェアパンツ、ソックス、スポーツドリンクなどの冷たい飲料、カメラ類全般(一眼レフカメラ・360度カメラ・GOPRO)、予備のグローブ(持っていくときと持っていかない時がある)。また写真の左端にまとまっている登攀具系(ロープ類・カラビナ・エイト環・ハーネス・クランポン・アックス)および無線については、ルート次第で持っていくかどうかを判断しています。

各アイテムについてのコメント(後編)

防寒ウェア:THE NORTH FACE L3 50/50 ダウン フーディ

◎ザノースフェイス(THE NORTH FACE) L3 50/50 ダウン フーディ(メンズ) ND52022-OB OB:フレアオレンジ/ブラック S
THE NORTH FACE(ザノースフェイス)

今シーズン購入。一言でいうと、ムレないダウンジャケット。 羽毛に直接撥水加工が施された800フィルパワーのダウンは超軽量な上に圧倒的に温かく、万が一の防寒着としては十分。それに加えて内側を独自開発の独立したチューブバッフル構造にすることによって驚くほどの通気性を実現。滑降時、ハードシェルの上から羽織って余裕で行動中に着ていられるくらいの快適さ。

蒸れやすい、濡れに弱いといったダウンの弱点をカバーしつつ軽量・防寒性といったダウンの利点も確保したこのジャケットの完成度の高さは、この先これ以上快適なダウンジャケットはそうそう現れないのではないかと思うほどです。

バックパック:Osprey ソールデンプロ 32

谷状地形のパウダーを滑る最近のバックカントリースキーにはなるべくアバランチエアバッグが搭載されたバックパックで入るようにしています。このバックパックについては以前のレビューでたっぷりと書かせてもらいましたが、とにかくこれまでのアバランチエアバッグの常識を覆すほど快適な背負心地が病みつき。しっかりと腰に荷重が乗るし、ウェストのバックルも締めやすく、背面パネルの硬さもショルダーハーネスのクッションも良好。収納性も及第点。スーパーキャパシタを動力とした最新鋭のエアバッグシステムも信頼性高くて使い勝手も良く、ほぼ言うことなしの優等生。唯一あるとすれば、もう1周り大きいサイズであれば一眼レフのカメラも収納できて完璧でした。

ただ、流石に短めで危険性の少ないルートの場合ではれば、アバランチエアバッグの搭載されていないスノーパックを選びます。その際の選択肢は好みによっても多くあり得ると思いますが、今の自分は今シーズン登場のPatagonia ディセンジョニスト・パック 32Lを重宝しています。とにかく軽く、必要最低限の仕様ながら収納性も高い上に背面のフィット感も高い、軽量バックパックとは思えない背負心地の良さが気に入っています。

ゴーグル:SMITH 4D MAG

昨シーズンに満を持して購入したSMITH 4D MAGが現在の個人的ベストゴーグル。以前から特に視界の快適さという点で歪みの少ない平面、ハイコントラストレンズ、視界はできる限り広くというモデルを探していましたところに、待ってましたとばかりにやってきたのがこの最先端スノーゴーグル。

このモデルは上記の点で高いレベルにあったのはもちろんですが、それに加えて眼の下側を湾曲にすることで、球面レンズのメリットである視界の広さまでも特徴として取り入れた、高い次元でバランスのとれたゴーグル。視認性の高いクロマポップレンズが2枚標準で付属しているため、晴れ~曇りまで幅広い環境で雪面の輪郭をくっきりと捉えてくれます。着脱も非常に簡単なマグネット方式、曇りにくくてASIAフィットと、いうことなし。

ヘルメット:Salomon MTN LAB

個人的に被ったときのフィット感以外でヘルメットを選ぶ際に気にしていることは、通気性の良さとゴーグルとの相性。通気性の悪いヘルメットではゴーグルが曇りやすいため、長時間装着していられなくなるし、また過去にヘルメットがゴーグルを押し下げて鼻が息苦しかったことがあってから、ヘルメットはゴーグルとセットでの被り心地を重要視していました。

同じブランドのゴーグルとヘルメットであればそれらがバランスよく考えられているはずなのですが、なかなかどちらも満足できるブランドには巡り会えません。そんななかこのSalomon MTN LABは、ライナーを外せば無雪期のクライミングにも使えるほど軽量性・通気性・安全性に優れたヘルメットであり、なおかつゴーグルとのフィット感の相性も良し、そして白・黒のツートンカラーという珍しいカラーリングに惹かれました。

アバランチビーコン:PIEPS マイクロBT

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PIEPS(ピープス)
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スノーセーフティギアの老舗ブランド、PIEPSのラインナップの中でも最小、最軽量の3アンテナ・アバランチビーコン。雪崩時に埋没者を捜索するために不可欠なビーコンは、現在多くのメーカーから選ぶことができますが、フィールドで使い比べてみることなどがほぼ不可能なため、高い値段の割に実際のところどれが良いのか分かりにくいのが現状です(今年こそこのサイトで比較レビューしたい!)。しかしその実、アンテナの受信感度や操作性、細かい使い勝手などには結構差があり、思った以上にクセの強いモデルも無くはないということはあまり知られていない事実。そんな中で個人的におすすめしたいのがこのPIEPSマイクロBTです(ちなみにこの前まで使用していたのはMAMMUT Barryvox)。

大きな魅力はまず軽量であること、また受信範囲も、最長とはいかないものの十分に広い(長い)。加えて捜索範囲の形状がクセのない球形のため、埋没者探索が他メーカーよりもスムーズに(短時間に)探せる可能性が高いといった点も見逃せません。さらにbluetooth接続のスマホアプリによってデバイスの状態チェックや、実践練習のためのトレーニングモード、さらには本体のソフトウェアアップデートが瞬時にできてしまう点など、アバランチギアの世界でも通常の電子機器と変わらぬ利便性を感じることができます。

スコップ:ARVA ACCESS TS

積極的に使うならともかく、ほとんど使う機会のない(もちろんできれば使いたくない)というギアについては極力重量を削減することを念頭に入れています。そうして選んだのは、わずか530g、コンパクトに収納可能なARVA ACCESS TSにしています。これで今回のケースのように万が一に備えて携行するという場合には不満もありませんが、一方で雪山でのテント設営など、本気でたっぷり雪を掘ったり固めたりすることが確実に予定されている場合には、もっと大きくて丈夫な作業性の高いスコップが便利でしょう。

保温ボトル:mont-bell アルパイン サーモボトル 0.5L

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モンベル(mont-bell)
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やはり本気の雪山には、登山用に開発された軽量コンパクトなサーモボトルであるmont-bell アルパイン サーモボトルが現在のベストです。優れた耐久性と保温性はもちろんですが、熱々の飲料を持っていくためにコップがついているモデルであることやグローブをしたままでの扱いやすさも地味に重要なポイント。

アイスアックス&クランポン&ハーネス:PETZL ライド & PETZLレオパード LLF & BLUE ICE コーカスライト

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ペツル(PETZL)
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ペツル(PETZL)
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Blue Ice ブルーアイス
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今回の想定ルートは、岩稜帯を長時間歩いたり懸垂下降を前提とするようなものではありません。このため万が一使うかもしれないというレベルで携行するアイテムに関しては、機能は最低限でよし、何より軽さを最優先するという、先程のスコップと同様の基準で選んでいます。

今回選んだ3モデル(PETZL ライドPETZLレオパード LLFBLUE ICE コーカスライト)は、いずれもそんなバックカントリースキーで万が一、あるいは一時的な場面で携行するのに最適な超軽量モデル。とはいえPETZL・BLUE ICEともにクライミング専門ブランドとして妥協のないものづくりに定評のあるトップブランド。たとえシビアな場面に出くわしたとしても十分に対応し得る高い機能性・耐久性を備えています。

まとめ:今回リストアップした全アイテム一覧

以上、前・後編と2回にわたって、日帰りバックカントリースキーでの個人的ベスト・ギア・リストを紹介してきました。

最後に、ここでは紹介しきれなかったアイテムも含めた現時点での日帰りバックカントリースキー装備(フルバージョン)一覧をまとめておきますので、必要な方は参考までに使ってください。

スノーシーズンはそろそろ折返し。これからは春のザラメ雪の季節になってきて、まだまだこの先もしばらくはバックカントリーの奥深い醍醐味を味わうことができるでしょう。今シーズンは健康・安全面については特に慎重に考慮しながら、残り少ないシーズンを楽しんでいきましょう!

種類 アイテム名
アンダーウェア MILLET ドライナミック メッシュ
ベースレイヤー(上下) メリノウール素材の薄手ベースレイヤー
ミドルレイヤー MILLET トリロジー エッジ アルファ フーディ
ソックス Smartwool PhDスキーソックス
ハードシェル(トップス) Patagonia ストームストライド・ジャケット
ハードシェル(パンツ) THE NORTHFACE ピューリストビブ
スキー板 ATOMIC BENT CHETLER 120
ビンディング MARKER KINGPIN M-WERKS 12(&スキーアイゼン)
スキーブーツ TECNICA COCHISE 120
スキーポール G3 VIA CARBON
クライミングスキン POMOCA FREE PRO 2.0
バックパック Osprey ソールデンプロ 32(またはPatagonia ディセンジョニスト・パック 32L)
ゴーグル SMITH 4D MAG(&予備サングラス)
ヘルメット Salomon MTN LAB
スノーグローブ Mountain Hardwear エクスポージャー2 ゴアテックスグローブ(&予備)
防寒着 THE NORTH FACE L3 50/50 ダウン フーディ
アバランチビーコン PIEPS マイクロBT
スコップ ARVA ACCESS TS
プローブ MAMMUT  Probe 240
目出し帽(バラクラバ) ファイントラック メリノスピンバラクラバ
保温ボトル mont-bell アルパイン サーモボトル 0.5L
アイスアックス PETZL ライド
クランポン PETZLレオパード LLF
ハーネス BLUE ICE コーカスライト
ロープ 8mm × 20m(長さはケースバイケース)・支点用スリング
カラビナ類 カラビナ・エイト環
通信機器 スマホ・Garmin InReach mini・ココヘリ
モバイルバッテリー VENTURE 30 POWER BANK
ヘッドランプ PETZL スイフト RL
GPSウォッチ Garmin fenix 6
修理系用品 工具・針金・スキーストラップ・雪落としブラシ・ワックス
行動食・飲料 ジェル・スポーツドリンクなど
タオル・手ぬぐい 速乾タオル
救急用品 テーピング・バンドエイド・ガーゼ・ティッシュ・消毒用アルコールなど
トイレ用品 トイレットペーパー・ライター・ショベル
その他 地図・コンパス・ナイフ・日焼け止め・細引き・エマージェンシーシート・カメラ類など
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