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【車のダッシュボードって、どこまで熱くなるの?】外気温25℃の北海道千歳市で準固体電池モバイルバッテリーを置いてみたら、完全に予想以上だった件

スマホにタブレット、モバイルバッテリー、ハンディファン。車の中でさまざまな電池式ガジェットを使っています。そして、それらが高温に弱いことも理解しています。ですが、危険といわれるダッシュボードが、実際にどのくらい熱くなるのかは知りませんでした。そこで、実際の温度を計測してみました。

夏の車内はバッテリーにとって危ない“だろう”と思っていた

“だろう”では不安だったので、実際に測ってみた

車のダッシュボードにモバイルバッテリーを置き忘れることがないと言い切れますか?

リチウムイオン電池を内蔵した製品による事故が、今年の夏も数多く報道されています。怖いです。ですが現実問題、内蔵バッテリー搭載のデジタルガジェットのない生活に戻れるわけがありません。

その代表はスマホでしょう。スマホなしの毎日なんて、すでに想像できません。これにタブレットに、ノートパソコン、それらに電気を供給するモバイルバッテリー。季節性はありますが、ハンディファンなども入れると、いったいいくつあるんだろうと悩むほど。

そして、これらの多くに採用されているのがリチウムイオンバッテリーです。スマホやタブレットなどでは、使用想定温度が0℃〜35℃や40℃程度に設定されていることも珍しくありません。これを大きく上回る高温環境では劣化が進み、発火などの事故につながるリスクが高まります。

一方、低温環境では一時的な性能低下が起きるほか、特にバッテリーが冷えた状態で充電すると、金属リチウムが析出し、それがデンドライト状に成長することで、内部短絡や熱暴走につながる可能性があります。

広温度帯に対応するHAMAKEN WORKSの「マグネット付きワイヤレス充電対応SSPB」。

スマホやタブレットの急速な普及に伴って利用が広がったモバイルバッテリーを中心に、その発火事故はニュースで頻繁に取り上げられています。こうした事故を受け、一部の山小屋では、小屋内への持ち込みを禁止したり、耐火バッグでの保管を求めたりするなど、モバイルバッテリーの取り扱いが厳格化されています。

航空機でも、預け入れ手荷物に入れることは禁止されています。機内へ持ち込めるのは160Wh以下で2個までとされ、個別の短絡防止や収納場所に関する制限に加え、機内での充電・給電も禁止されるなど、取り扱いルールが厳格化されています。

日常生活の中で特に高温になりやすいといわれているのが、直射日光の当たる車のダッシュボードです。危ない、危ないとはいわれていますが、実際に何度になるのか気になるので、筆者は実際にモバイルバッテリーを置いて、その表面温度を測ってみました。

ただし、保存温度が明示されていない一般的なリチウムイオン電池搭載製品を使うのはさすがに不安です。そこで、動作温度−20℃〜+60℃、保存温度−40℃〜+80℃をうたうHAMAKEN WORKSの「マグネット付きワイヤレス充電対応SSPB」で試してみました。

外気温25℃でも、30分程度で表面温度は50℃を軽く超える

ブラックとホワイトの表面温度差は予想以上に大きい

車のダッシュボードにモバイルバッテリーを2台並べて実験しました。

夏場の車のダッシュボードが、どのくらい熱くなって、いったいどのくらい危険なのか? いつか実験しようと思っていたのですが、なかなか実現しませんでした。今年こそはと思っていたのですが、7月の千歳市は意外と涼しかったのです。

そして8月に入り、このままでは機会を逃がすと考え、晴天の日を選んで実行。天気アプリなどによると、この日の外気温は25℃でした。北海道以外にお住まいの方は「ずいぶんと涼しいですね」とおっしゃるでしょう。

それでも午後2時ごろの日なたに止めた我が家の軽自動車のダッシュボードは、計測を始める前から60℃を超えていました。直射日光の当たるダッシュボードがいかに高温かは、この時点で驚くべき結果といえるでしょう。

計測をはじめた状況での表面温度の様子です。すでに最低が42.8℃となっています。

このダッシュボードにHAMAKEN WORKSの「マグネット付きワイヤレス充電対応SSPB」を置いてみました。筆者は、いつもスマホの背面に5,000mAhタイプを貼り付けて使っているので、複数個所有しています。そこで、同じモバイルバッテリーでもボディカラーで温度の上がり方に違いがあるのかを検証するためにブラックとホワイトを並べてみました。

温度の測定にはHIKMICROのMINIを使用。なおダッシュボード上に置いた温度計の表示も40℃を超えていました。直射日光の当たる車のダッシュボードがいかに過酷な環境かがよくわかります。

測定中はエンジンとエアコンを停止し、窓を閉めた状態で、充電・給電を行わず、車外から継続して監視しながら、約10分おきに複数回測定しました。2つの準固体モバイルバッテリーをダッシュボードに並べた時点で、いずれも表面温度は40℃を超えていました。さらに10分程度でブラックは50℃を超えはじめ、30分後には56.9℃に達しました。

約30分後の状況です。黒いモバイルバッテリーの表面温度は56.9℃となっています。

筆者にとって予想以上だったのは、ブラックとホワイトで表面温度が大きく異なったことです。約30分後、ブラック中央部は56.9℃。ホワイトの本体部分はサーモグラフィの色から約49℃と推定され、約8℃の差がありました。

ただし、サーモグラフィの測定値は、外装の材質や赤外線の反射にも影響されます。そのため、この差がボディカラーだけで生まれたとは断定できません。それでも、同じ条件で並べた2台にこれだけの差が出たことには驚きました。

HAMAKEN WORKSの「マグネット付きワイヤレス充電対応SSPB」は、動作温度−20℃〜+60℃、保存温度−40℃〜+80℃に対応しています。ただし、これらは使用時や保管時の周囲温度に関する仕様であり、今回測定した製品表面温度とは同じ指標ではありません。

そのため、数値だけを単純に比較して、安全性や仕様への適合を判断することはできません。今回は充電・給電を行っていなかったものの、表面温度が55℃を超え、なお上昇していたため、実験は約30分で終了しました。それでも、外気温25℃で製品表面が60℃近くまで上昇した事実は、ダッシュボードが極めて過酷な環境であることを示しています。

怖いものみたさでタブレットの温度も測ってみた

より日当たりのよい位置に車を動かしたら驚くほど温度が上昇

計測開始時のタブレットの表面温度は33.9℃でした。

車のダッシュボードにモバイルバッテリーを置くと、外気温がわずか25℃でも、直射日光が当たっていれば、わずかな時間であっという間に表面温度が上がることがわかりました。本当に怖い。気象庁の平年値を見ると、東京では9月下旬になって、ようやく最高気温が25℃前後まで下がります。

そこで、我が家では幼い息子たちが、何も考えずに使っているタブレットをダッシュボードに置き忘れたらどうなるのか? と考えて、実際に普段使っているタブレットを直射日光の当たるダッシュボードに設置して、その温度変化を観察してみました。

モバイルバッテリーの測定を終えたあと、より直射日光の当たりやすい位置へ車を移動しました。その時点で、タブレットを置く前のダッシュボードは、すでに50℃を超えていました。ここにウレタン素材の保護ケースを装着したタブレットを置いた直後の画面表面温度は33.9℃でした。使用中のタブレットなら、特に異常とは感じない温度といえるでしょう。

約35分後にはタブレットの画面の表面温度は58.9℃まで上昇しました。怖い。

しかし、わずか21分後には39.5℃まで上昇し、その3分後には46.2℃。さらに11分後には58.9℃まで急上昇。たった35分で、画面表面温度が33.9℃から58.9℃へと25℃も上昇したのです。

我が家の息子たちは、ちょっと目を離せば、車を降りるときに、それまで見ていたタブレットをダッシュボードの上に置いてくることは十分に考えられます。ですが、それに気付かず、そのままコンビニやスーパーで買い物をして戻ってくれば、30分余りで60℃近い温度になってしまうということです。これは本当に恐ろしい。

保存時より充電・給電時の温度条件が厳しいことが、さらに恐ろしい

電源供給したままのタブレットを放置したとしたら……

ダッシュボードの上に子どもが使ったタブレット。ありふれた光景です。

今回の製品のように、動作温度と保存温度の両方が公開されている製品もありますが、詳細な温度条件が公開されていない製品も少なくありません。しかも、保存時と充電・給電時では、許容される温度範囲が異なる場合があります。筆者がさらに怖いと感じたのは、この違いです。

ざっくりいえば、保存温度は充電や給電を行わずに保管できる温度範囲、動作温度は充電や給電などを行いながら使用できる温度範囲です。充放電中は電池内部で反応や発熱が起きるため、保存時よりも使用可能な温度範囲が狭く設定される製品があります。

例えば、ELECOMの半固体モバイルバッテリー「DE-C83-5000」シリーズは、使用温度範囲を充電時0℃〜40℃、放電時−15℃〜45℃としています。GREEN HOUSEの準固体モバイル充電器「GH-JKPBPA100」シリーズは、動作温度範囲を充電時0℃〜45℃、出力時−10℃〜60℃としています。

モバイルバッテリーで充電しながらタブレットを使うのもよくあることです。

安全性の向上や広温度帯への対応を特徴として掲げる半固体・準固体モバイルバッテリーでも、製品によっては放電時より充電時の使用温度範囲が狭く設定されています。安全性の高い電池を採用しているからといって、どのような温度でも充電・給電できるわけではありません。

我が家の例で考えると、一般的なリチウムイオンバッテリーを内蔵したタブレットを、準固体電池のモバイルバッテリーから充電しながら使っていた息子が、充電コードも接続したまま、両方をダッシュボードに置き忘れる可能性があります。この場合、モバイルバッテリーは出力中、タブレットは充電中です。そのままスーパーへ買い物に行くことを考えると、まさに胃の縮む思いです。

直射日光の当たるダッシュボードに充電池を放置しない

固定したままのタブレットや、充電・給電中のガジェットは本気で怖い

後部座席のドリンクホルダーに放置されていたモバイルバッテリー。本気で怖い。

外気温25℃の8月の北海道で、ダッシュボードに置いたモバイルバッテリーはどのくらい熱くなるのか。実験前は、さすがに温度が足りないだろうと思っていました。しかし実際には、外気温が25℃でも、ダッシュボードに置いたガジェットの表面温度は、ちょっと引くほどの速さで上昇しました。

筆者は、普段持ち歩くモバイルバッテリーについて、安全性や対応温度域を重視し、準固体、半固体、リン酸鉄リチウムイオン電池を採用した製品へ切り替えています。しかし、それでも直射日光の当たるダッシュボードへの放置は、真夏に限らず避けるべきでしょう。

モバイルバッテリーは、採用されている電池の種類や対応温度域を比較して選べますが、スマホやタブレット、ハンディファンなどでは、内蔵電池を利用者が選べないことも多いのが現状です。そのため、高温になる可能性のある場所では、製品の使用や充電・給電を避けることも念頭に置く必要があります。

筆者の愛用している車載用Android端末はバッテリーを内蔵していません。

また、幼い子どもがタブレットやスマホ、モバイルバッテリーを使用する家庭では、車内に置き忘れていないか、特に気を配る必要があるでしょう。先日も我が家の車では後部座席のドリンクホルダーに、子どもが使った準固体モバイルバッテリーが放置されていました。準固体電池とはいえ、これも怖い。

そして、最近スーパーなどの駐車場で気になってしまうのが、車のダッシュボードにホルダーで固定されたままのタブレットです。おそらくカーナビの代わりに使っているのでしょう。余計なお世話とは思いつつも、筆者はそのリスクがとても心配になります。

最近では、車両から給電する車載専用のディスプレイオーディオや、Androidベースの車載端末も販売されています。一般的なタブレットをダッシュボードへ固定したまま使っているなら、こうした車載専用製品への置き換えを検討してもよいでしょう。

ダッシュボードに放置した充電池からの発火は、頻繁に起きる事故ではないかもしれません。しかし、ひとたび発生すれば車両火災につながりかねません。可能な限り避けるべきリスクだと、筆者自身もあらためて肝に銘じました。

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